商業地・住宅地揃ってバブル化?

昨日はこの時期恒例で国土交通省より公示地価の発表があった。新型コロナの5類移行で経済活動が活発化してきており全ての用途で昨年比2.3%上昇、この上昇幅はバブル崩壊の影響が出た1992年以降で最大となっておりこれで3年連続のプラスとなった。ちなみに商業地も含めて価格が最も高かった地点は東京銀座の山野楽器銀座本店で1平方メートルあたり5570万円、こちらはこれで18年連続となった。

住宅地・商業地は去年より上昇幅を拡大させ一部地域を除いて多くの地域でコロナ前の水準を回復しているが、この商業地も一部はバブルの様相を呈する。先月に当欄では半導体デジャブと題しTSMC熊本工場周辺のバブル化を書いていたが、この工場付近の大津町商業地の一部は33.2%上昇している。一方の住宅地も一部はバブル化しつつありリゾート地として知られる北海道富良野市は27.9%の上昇で全国の上昇率トップとなった。

しかし豊洲の1万円近い海鮮丼が頻繁に取り上げられているが、この北海道もリゾート地はフードトラックの簡単な丼モノでさえ3000円台に乗ってきているモノもありさもありなん。外国人からの別荘需要などが急速に高まって来ているというが、そういった部分では軽井沢もまた然りで、こちらも公示地価は昨年比で13.1%の上昇を見せている。やはり円安の影響は多大で日本の物件を漁りまくるインバウンドの襲来?はしばらく続くことになるか。


開花予想に翻弄

今日は一日中寒い雨が降る冴えない天気であったが、今週は桜の開花を巡りヤキモキしている向きも多いのではないか。今年の全国一番乗りは高知県であったが、3月に入ってから思うように気温が上がらず季節外れの寒さが長引いた為に去年より6日遅い開花宣言という。そんな具合なので最新の開花予想ではここ5年で2度の一番乗りを果たしている東京も既に開花している筈なのだが、こちらもいまだ開花は確認出来ず。

そういえばここ数年は桜に因んだ各所のイベントもその開花予想に翻弄されている感も。温暖化の影響もあり桜の名所で早咲きが相次ぐなどで早々に散ってしまい、コロナ前の2019年の来場者より昨年は半分以下になってしまったと思えば、今年は上記の通り例年より開花が遅く桜イベントなどを例年より前倒しで開催するところあれば延期するところも出てくるなど各所の苦労が窺える。

いずれにせよ今年は新型コロナが5類に移行してから初めてのお花見という事もあり、外に出て春を感じるイベントを楽しみたいと考える向きは多い筈で、某調査会社が行ったお花見に関する意識・行動調査ではお花見を予定している、するかもしれないとした向きが35%近くと2021年比較で13ポイント近く増加している。その経済効果も気になるところだが、ちなみに昨年の桜の経済効果は関西学院大学によれば約6158億円だったという。

インバウンドも日本で体験したいものベスト3に「お花見」がランクインするなど近年の人気ぶりが窺える。斯様に内需に外需も連動してくるとまた一層の商機も出てこようが、桜に感動しているこうしたインバウンド客を見るに改めて今更ながら春の花見、秋の紅葉など四季折々の美しさが愛でられる日本にはいい国だと再認識するものだ。


金利のある世界へ

周知のように先週の日銀金融政策決定会合で日銀はマイナス金利政策の解除やETFの買い入れ終了等を決定した。世界で最後まで残ったマイナス金利に幕という歴史的な転換点となるが、早速これを受けて三菱UFJ銀と三井住友銀は同日に普通預金の金利を2007年以来、17年ぶりに引き上げる旨を発表。バブル期以前の金利を知る向きには何の感動も無い数値だが、其れは兎も角も今後は各行で預金獲得競争も激化してくることになろうか。

しかしこの銀行といえばメガバンクはじめ長らく逆境に晒されてきたものだが、金利のある世界の到来は間違いなく追い風になってくる。これを睨んでメガバンク勢では一番乗りで三菱UFJ株が今月に入り14年半ぶりのPBR1倍回復を達成していたが、当面は緩和的な金融環境が継続するとした事で目標達成感が出易いこの1倍から更に上の水準に移行するのは日銀が次に利上げをどうするかという場面というところになろうか。

斯様な緩和的金融環境の継続意向で住宅ローン金利の上昇が足枷になるとみられた大手不動産株などもまた軒並み急騰、三井不動産や東急不動産は上場来の高値を更新している。同様な背景で東証REIT指数も急反発していたがこちらは曲がりなりにも今月上旬に3年4か月ぶりの安値を付けており、今後の金利上昇で不動産価格がどうなってゆくのかその行方と影響については注視しておくことが必要か。

また、結果として企業の起債等にまで影響を及ぼし円を世界最弱通貨に陥れ?たYCCに、約40兆円近くも買い漁り上場企業の約4割で上位10位以内に入る大株主となるなどガバナンスの空洞化を招きかねなかったETF買い入れも廃止となる。今思えば世界の中央銀行の中でも特異な政策であったなとつくづくだが、これら人為的な市場操作の終了で今度はETFの出口戦略等に関心が向かうところでこの辺は今後も折に触れて取り上げてゆきたい。


日本のお家芸

さて、日本時間で先週アタマには米映画界最大の祭典である第96回アカデミー賞の授賞式が開催され、下馬評通り最多13部門にノミネートされていたオッペンハイマーが7冠を手にし、日本勢は長編アニメーション賞に「君たちはどう生きるか」が2003年以来、21年ぶりに選ばれ、また視覚効果賞には「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」から監督ら4人が受賞する快挙となった。

しかし改めて日本の定番コンテンツの凄さを感じるもの。このゴジラなど実に1954年から続く東宝が抱える看板シリーズだが、このアカデミー賞と日を同じくして任天堂は「スーパーマリオ」の新たなアニメ映画を2026年4月に公開すると発表している。このスーパーマリオもまた1985年の登場からもう40年近くも経つが、前作の世界興行収入は13億6000万ドル(約2000億円)超えの実績を誇るなどなお収益を生み出し続けている。

任天堂はこのスーパーマリオ以外にも「ポケットモンスター」という宝を擁しているが、知的財産の類では日本はこれら以外でもサンリオの「ハローキティ」などもある。これら定番のIPはシリーズ化で息の長いビジネスを継続出来るが、ちなみにポケモン、キティ共にその累計収入額はあのスター・ウォーズを上回っているというから凄い。

斯様にその背景には大切に育てたコンテンツを武器にIPビジネスでは他の追随を許さない強味が光り、ハローキティのサンリオの株価は昨年末の5000円台水準から今月付けた8875円の年初来高値まではや80%近くも上昇、任天堂もまた先に時価総額が10兆円の大台を突破している。今後も“宝”を擁する企業はIPの活用が促進され、日本のお家芸として世界にその存在を印象付けてゆくことは想像に難くないか。


ROE拡大傾向

本日の日経平均は金融政策を巡る不透明感が和らいだ事などで1000円を超える急反発を演じていたが、今月の上旬だったか日経紙には「本紙面では、東証から公表された開示企業一覧表の内容をはじめ関連トピックについて、今後も継続的にアップデートとともに掲載する。」と謳い、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関する開示企業一覧」を掲載した全面広告が載っていた。

この資本コストに絡んでは先週の日経紙金融経済面では第一生命HDがTOBをかけたベネフィット・ワンを軸にしROE改善を目指す旨の記事があり、同日の投資情報面にも藤田観光が構造改革によりROEが急回復している旨の記事があったが、斯様に資本効率の改善に向けた動きにより個々の企業でもROEの拡大が漸く見え始めている。

ちなみにこのROE、昨年の3月末時点では8.1%であったものが23年9月末時点では8.7%へ、そして24年2月末時点では8.9%と順次拡大傾向にあり、2024年3月期では9.7%と2008年の金融危機後で2番目の高水準となる見通しにある。とはいえ日米のROEを比較してみると数字としてはここ4年程のあいだ米が15%以上を維持しているなか日本は10%に満たない水準が続く。

ちなみにこのROE10%水準、コロナ禍で落ち込みをみせた20年のそれは日本が5%未満にまで落ち込んだがその時でも米は10%以上をキープ、これはここ10年でも日本がまだ到達しない水準である。上記の通りROE拡大傾向でPBRも漸く最下位から脱出出来たものの、これとて過去10年のレンジ内推移にとどまる。今後も成長投資や株主還元の拡大が課題となろうが、強固だった持ち合い株などこれまでにない解消の動きも出てきているだけに悲願のROE10%以上の水準達成に今後期待したいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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