360ページ目   雑記

理想郷

さて今週気になった話題といえば、週初に都内最大級の広さを売り物に丸の内トラストタワーに開業した「シャングリ・ラ ホテル東京」であろうか。
外資系の中でも後発組になるこのシャングリ・ラ ホテル&リゾーツであるが一昨年相次いで開業した外資系も供給過剰気味、加えてそれ以降の急激な経済環境の悪化でハイグレードを謳うところほど稼働率は低下している模様。

当欄では昔、ホテルといえばコンサバ系が主流の国内勢よりは外資系の方がセンスが光るとコメントした事があったが、なかなかどうして昨今ではこの国内勢が浮沈激しい主要顧客層とコンサバ系顧客層の違いや余暇の安・近・短傾向が幸い?してこの国内勢が急速に息を吹き返している模様とか。

まあ確かに背景となるこうした環境も激変したが、当方も過日ある老舗に所用で泊まった折に、遺失物に対する対応から他の接客に至るまで主要外資系以上に素晴らしいと感じた接客態度に非常に感心した事があり、外資寄りであった嗜好がどうもハードの部分だけ見ていたようで改めて反省しきりだった覚えがあったのも事実である。

まさに土砂降りのような株価暴落の中でIPOを敢行するような今回の開業であるが、さてホテルウォーズ第二幕はどういった戦況になって来るのか今後も目が離せない。


歴史の売買

産経で見掛けたのだが近くニューヨークで競売に掛けられるというマハトマ・ガンジー氏の遺品を巡って、インド政府が他者の手に渡る事なく祖国に留まるように躍起になっている模様だ。

斯様にオークションで他の手に渡るのは我慢ならないというところで今一番話題になっているのが、周知の通り故イブ・サンローラン氏の遺品から競売に出された、1860年に円明園が英仏連合軍の略奪に遭った際に持ち出されたとされるブロンズ像である。

このクリスティーズで思い出すのが今からちょうど一年前くらいに当欄で触れた「運慶の大日如来坐像」出品騒動か、このクラスを扱う大手になると時にトンでもないものが突如として出てきたりするのでその経緯にいろいろ想像を馳せるのも面白いが、結局問題の銅像は3,140万ユーロで中国人が競り落とす結果になった。

さてこの落札で競り落とした中国人だが「取り戻しましたよ、はいどうぞ」と無償で国に返還でもしたらそれこそカッコ良すぎたのだったが、やはり?というかこの期に及んでカネは払わんと言っているらしい。間に入ったクリスティーズも大変だが歴史的経緯が絡む国際問題だけにまだまだややこしそうである。


奇異なる日本のValentine’s Day

気象庁によるとバレンタインデー前日の金曜日の強風は春一番であったとの事だが、確か一昨年も春一番はこのバレンタインデーではなかったかと記憶している。

春一番は兎も角、さてこのバレンタインデー、今年は土曜日という事で義理系の商戦が不安視されてはいたもののその品にかける予算平均額はアップと不況知らずの様相を呈していたらしい。

今年は目に留まったところでミントンの容器に入ったバブリーなモノもあったが、あと面白いと思ったところで「グリーン電力証書」なる物が付いたチョコレートや、西洋銀座などではフェアトレードチョコレートを展開と人に地球に優しくとやはり今の時世を感じさせるものありと様々。

そういえば今年の商戦では男性から女性へプレゼントする所謂「逆チョコ」なるものも登場し提議の変化とか大袈裟に言われていたが、そもそも欧州等でバレンタインデーといえばお互いに思い思いの品を交換したりするのが普通で寧ろこの日本独特の習慣は以前からかなり奇異に見られていたのが事実。さて、次第にこの辺も国際標準の道を歩むのであろうか?


マハラジャに見たマーケティング

このところ街もこの時期バレンタイン一色になってきたが、ヒルトンなどでは「バブル期を思い出して」と宿泊券付きのチョコを売り出している。

さて、バブルといえば昨年の秋には「夜に見る世相と経済」というタイトルであの「ジュリアナ東京」を一晩だけ復活させるイベントについて触れた事があったが、先週末には同イベントの「マハラジャ」版が行われた模様だ。
こちらの方には行かなかったが前のジュリアナの時に書いたようにバブルを謳うならやはりジュリアナ以前のこのマハラジャこそ世相を見てきたというのが正解と個人的に思うところあり、思えばFD・FF形式のブッコミがディスコの主流といわれた渋谷・新宿系を、ドレスコードの設定やVIPルームを設けるとなどの差別化を図りその概念を全く変えたこの系統の功績は大きいだろう。

それこそこれで夜は比較的閑散であった麻布十番やこれの絡みでキンクイが登場した表参道など一躍華やかな社交場?に変身してしまったものだが、水商売の概念を覆すマーケティングの上手さは当時間違いなく1歩先をゆくものであったと思う。

しかし考えてみればこのデフレの狭間に咲いたロハスやらエコやらと抑制へ回帰するものが増えて来る気運の中で、逆にこうした反動の部分を煽るモノが出てくるのも何やら分る気がする。


La Multi Ani

さて何だかんだで一月ももうすぐ終るが、この一月恒例の新春「歌会始の儀」の今年のお題は「生」であった。

その中で皇后さまや皇太子さまが詠まれた歌はそれぞれ通常であれば先ず注目もされないであろう昆虫や植物を採り上げたものだったが、これから連想されたのが個人的に好きな事もあるのだろうがやはりエミール・ガレか。

その素晴らしい作品は無数に存在するが、一貫して訴えているのがやはり「生」であろう。例えば1900年頃の作品で「蘭文扁壷」という有名なものがあるが、表裏に一厘ずつある花は表に妖艶な花、その裏には朽ち果てた花を溶着しその対比を強調したものとなっているが、この花は朽ち果てる寸前の一瞬の生が投影されまた生への哀惜であり、それがまた花の一瞬の生を際立たせている。

他にもこの系統では上記と同年代の代表作でもある「ひとよ茸ランプ」もそうだし、1889年頃の「蜻蛉文鶴頸扁瓶」の蜻蛉もまた然り、これほど「生」を意識させられるものに只々感心である。

ちなみに来年のお題は「光」だが、はて万事光明を見出す事が出来るか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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