経営者が占う2026年相場

週明けにも書いた通り昨年の株式市場は米相互関税の発動で前年比2割以上の暴落を4月に演じたものの、そこからは日本のインフレ定着と想像を超えるテック相場の牽引も相俟って5万円大台の大納会まで年間上昇率は26%となり3年連続の上昇となった。それに伴い東証プライム市場にあって株価が2倍以上になる“ダブルバガー”が実に58社と続出し一昨年の29社の2倍に増えることとなった。

そこで毎年の検証が恒例になっているが今年もまた新春の日経紙「経営者が占う」シリーズでこの株式市場を振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想は平均44450円でその時期は毎年の如く11~12月との予想が多かったが、昨年もこの予想を8000円も上回る好パフォーマンスとなった、一方で安値予想は37025円であったが、こちらも4月の関税ショックで付けた安値はこの予想を6000円以上下回る30792.74円であった。

斯様に総じてボラタイルな相場となったわけだが、この上昇相場でも有望銘柄では9位に挙げられたユニ・チャームが年間約30%のマイナスパフォーマンスとなったほか4位の信越化学も年間約8%のマイナスパフォーマンスとなっていた。一方で圏外ではあったものの信越化学工業社長だけが挙げていたキオクシアなんぞは536.28%と東証プライム市場で堂々の年間上昇率1位に、4月の安値からは実に約9.5倍と“テンバガー”を射程圏に捉える暴騰劇を演じた。

さて今年はといえば日経平均の高値予想の平均は57350円と、「午尻下がり」の相場格言もどこ吹く風で更なる上昇からの最高値更新で一致している。中でも大納会間近の日経紙で全面広告を出していた大和証券の社長は12月の62000円予想と威勢がいい。個別の有望銘柄では1位が伊藤忠商事に2位は日立製作所とこれらの順位は昨年と同じ、アンダーパフォームとなった上記のユニ・チャームや信越化学も昨年から順位を下げたものの多くの経営者が再度挙げている。

週明けに書いたように今年の注視しておくべき点としては昨年から引き摺る日中関係悪化への対応、これが続けば7兆円規模のインバウンド消費の鈍化懸念がくすぶる。また対米投資の成果も求められようが、その米では春にFRB議長の交代が控え、そして秋には中間選挙が控える。TOPIX企業の予想増益率は11~14%に高まるとみる金融機関が多いが、後は各バリエーションをどの程度まで許容出来るか、この辺も相場を見るうえで注目しておきたい。


福袋も体験型に

さて、「働いて働いて働いて・・・」と連呼する人もいるが、働き方改革が浸透し元日営業を止める向きも多くなったなか、大手百貨店でも今年は3日からという向きも出てきている。百貨店といえばマグロ初競りと並んで今月の風物詩として「福袋」がある。昨年のお歳暮商戦では“お試し”など「体験価値」を提供する向きも多くこれが一つのポイントであったが、今年の限定福袋も体験型が主流となっている感がある。

高島屋では今年の干支である馬に絡めて競走馬デビュー前の育成馬の1口馬主として牧場見学や馬主席での観戦ができる馬主気分が味わえる福袋を抽選販売、今年で開店100周年を迎える松屋銀座では、銀座と浅草に居を構えていることから銀座でスーツの仕立てに浅草観光など6つの複数体験が出来る福袋や、銀座の老舗和菓子店で和菓子作りができる体験福袋を販売、また東武でも今年の干支にちなみ乗馬体験ができる乗馬体験&記念撮影の福袋を販売した。

しかし福袋と言えば一昔前はファッション系が花形でそれも中身に何が入っているか分からないものが多く、それでもそんな不透明さ?が楽しみの一つでもあったわけだが、消費喚起のスタイルが変遷した今、何とも多彩な内容に変わったものだ。令和に変る境目くらいからコト消費モノも進化してきた感があるが、今後も体験価値やお得感を明確にする戦略で各社が鎬を削る動きが継続しようか。


初競り史上最高額

昨日記の通り東証は景気の良い大発会となったが、日を同じくして年初の風物詩として「マグロの初競り」が行われた。昨年は過去2番目の高値落札となったが、今年はこれを大きく上回るなんと5億1030万円で競り落とされた。これを見事に落札したのがかつてのコロナ禍前まで常連であったすしざんまいの「喜代村」、コロナ禍を境にONODERAフードサービスの後塵を拝していたが、6年ぶりに表舞台に返り咲いた。

満を持しての返り咲きといった感じだが、それにしても5億超とは凄い。そのまま価格転嫁したら一体一貫幾らになるかだが、すしざんまいでは通常価格での大盤振る舞いを実施。ちなみにだがこの配分、荷受けの東都水産が6.5%、地元漁協力に5%、青森漁連に1.5%が払われこれらを差し引いて約4億4千万がこのマグロを釣ったところに行く計算、ガッツリと税金が徴収されるもののまあそういった感じでなんとも景気のいい話だ。

さてマグロほど注目を浴びないものの、この日はサクランボの初競りも行われておりこちらも「佐藤錦」が1箱155万円と史上最高額の落札となった。史上最高額同士で比較してみるとマグロの方は1グラム約2100円だが、こちらは約3100円とマグロより高額な計算に。そんなことは兎も角も1番マグロが1億円を超えた年の日経平均上昇率は二桁を超えるパフォーマンスのアノマリーもあり「午尻下がり」を撥ね退けるのか注目したい。


大発会2026

皆様、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします

本年最初の取引となる東証の大発会は米による軍事行動が懸念されたものの蓋を開けてみれば4年ぶりの急反発スタート、とりわけ大発会の上げ幅としては過去最大を記録している。昨年を振り返れば4月には関税ショックで急落し前年比で2割以上もの暴落を演じるも、その後のテック相場でV字回復から11月には52636.87円と史上最高値を更新、大納会を迎えてみれば年間では26%高と3年連続の上昇と、まさに「辰巳天井」後半戦を地で行く相場であった。

さて今年は丙午(ひのえうま)で相場格言では「午尻下がり」。前回の午年は「アベノミクス」効果で株高となったものの、1990年の午年は総量規制の影響で日経平均は約4割も下落、また2002年の午年にはITバブルの余波から日経平均は約2割下げるなど巳年から午年に移るタイミングで分岐を迎えてきたヒストリーがある。総じて戦後の成績は3勝3敗、年平均ではマイナス5%と小幅安といった形になっている。

世界的なAI期待とインフレ定着が潤沢な投資マネーを呼び込んだ昨年の環境であったが、高市政権はこのAI・半導体など17の重点分野への官民による戦略的な投資を掲げている。このインフレ局面での財政拡張も今年はどう転ぶかだが、この新政権は昨年から引き摺る日中関係の悪化対応に対米投資の成果も求められる。その米では春にFRB議長の交代、秋には中間選挙も控えており今年も材料には事欠かない。

というわけで相場格言通り昨年までの「辰巳天井」の楽観ムードから今年は警戒感も出てきそうな気配もするが、株式市場はもとより商品市場まで個人投資家の資金フローが急増してきたのが昨今の市場の構造的変化でもあるだけに今年も各市場から目が離せない展開になりそうだ。


2025 Flight to Quality 

師走の恒例行事の日本漢字能力検定協会による今年1年の世相を1字で表す「今年の漢字」だが、過日に「熊」と発表されている。この字の選出は初めてらしいが、冬眠の時期が過ぎてなお各地での出没とそれに伴う被害が相次いだことやパンダ(熊猫)の中国への返還が相次いだことなどが選定理由とか。ちなみに2位は「米」、3位は「高」ということだったが、個人的には今年こそが昨年に続いて最多選出の「金」とも思っていた。

その「金」だが昨年の国際相場の上昇率は約3割、国内も円安効果と相俟って年間上昇率は約4割となった事で選出されたわけだが、今年の金の上昇率は約70%となっており過去比較でも突出した上昇なっている。なので2年連続の資格は十分にあると思うのだが、それを言うなら同じ貴金属の「プラチナ」は金をも上回る上昇を見せ、さらには「銀」も140%超の上昇率だからむしろ軍配が上がるのはこちらのほうか。

いずれにせよ今年はトランプ大統領就任から始まってその後に相互関税を発表、国内では大阪・関西万博がありコメの急騰で備蓄米の大量放出、後半では初の女性総理誕生、また日経平均が初の5万円台大台超え、それから冒頭の通り熊の相次ぐ出没などが印象に残った出来事ではあった。ある種様々なことが矢継ぎ早に出てくるまるでトランプ氏の政策のような一年であったような気がしないでもないがさて来年はどうなるか?

昨年末の当欄では地政学リスクも新たな拡大を見せ混迷を極める様相となっており、一段と輝きを増した金にはある意味こうした“影”の部分が反映された部分も大きいと書いていたが、昨年の倍以上のペースで貴金属御三家が挙って漁られた今年は昨年にも増して通貨不信含めたこの“影”が増幅した証左とも云えようか。世相を反映する各種相場だが、来年もまた少しでも今年より明るい世になるよう願いを込めて筆を擱きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。


クリスマス2025

街を彩るイルミネーションの煌びやかさが増すなか今年もはやクリスマスであるが、インテージの調査によればクリスマスの予定が無いと答えた向きは昨年より増加し54%に上った模様。そういった中でも上記のイルミネーションと並んで近年新たな風物詩となっているものの一つに昨日も書いたドイツ発祥のクリスマスマーケットがある。メジャーなところでは都内では先月から神宮外苑や各所のヒルズ、横浜では赤レンガ倉庫あたりが賑わいを見せている。

確かに今週は街のレストランもクリスマスメニューに変わりテーマパークなどと併せ混んでいる上に料金も高めに設定されているところが多く、上記インテージの調査でも物価高など経済的な要因も影響しお金をかけたくない・節約したいとの回答も見える。そういったところで無料で楽しめるエリアもあり、気軽にクリスマスの雰囲気が楽しめるこうした場はトレンドなのかもしれない。

さてクリスマスといえばケーキだが、過日の日経紙商品面には「Xマスケーキ甘くない原料高」と題し、今年もケーキに使うほぼすべての材料が前年より軒並み値上がりしている旨が出ていた。ザッと挙げても先ず鶏卵のプラス15%、生クリームのプラス11%、イチゴのプラス21%、そしてチョコレートのプラス29%等々、他に粉や砂糖から乗せる装飾品まで軒並み高となっている。

たしか4年前も当欄では「甘くない今年のケーキ」と題して原材料高によるケーキの値上がりを書いているがこうした状態がかれこれ4年目、洋菓子店の破綻は過去20年で最多という。冒頭の調査会社によれば2025年のクリスマス市場規模はかつてのスタイル離れが浮き彫りとなり前年比6%減の7274億円となるというが、今後は各所の価格転嫁と併せ何処まで消費者が付いて来られるかこの辺が焦点になろうか。


東京再評価

昨年の9月に当欄では森記念財団都市戦略研究所が発表している「都市特性評価」を取り上げたが、同じく森記念財団が2008年から毎年発表している都市の力を6つの分野からなる72の指標で総合的に評価したところの「世界の都市総合力ランキング」が本日の日経紙の全面広告に出ていた。今回は16年以来9年ぶりに上位5都市の変動があり、東京が3位から2位へとランクを上げている。

16年から9年間にわたって3位に甘んじていた東京だったが、文化・交流における外国人訪問者数、環境における企業のサステナビリティ評価等がスコアを押し上げたかっこうだ。円安の恩恵が大きいと思われるが、観光地も充実し飲食店の豊富さやナイトタイムエコノミーへの取り組みも奏功しインバウンド客増加が寄与し、冒頭の都市特性評価で4年連続1位だった大阪は万博効果が寄与し大きく躍進した。

ところで森記念財団といえば森ビルだが、上記のサステナビリティに絡んではこの時期開催されている同社が手掛けた麻布台ヒルズのクリスマスマーケットでは、廃棄予定だった昨年の各所ヒルズでクリスマスを彩った広告宣伝用バナーフラッグをバッグに再利用し販売している。資源循環の活動の一環という取り組みだが、大手企業も循環の輪を日常の暮らしの中に広げて行く活動が増加傾向にあり今後も各社の取り組みには注目しておきたい。


金利上昇でも逆行高

2026年度の与党税制改正大綱が決定したのと日を同じくして日銀は金融政策決定会合で政策金利を30年ぶりの高さとなる0.75%に引き上げると決めた。この利上げや現政権下で財政悪化が進むとの懸念から債券売りが加速しているが、昨日の長期金利は一時2.1%に上昇し1999年2月来、約27年ぶりの高水準を付けている。

そういった中で日経平均の強さが目立つが、順当にこういった金利上昇局面で本命なのはなんといってもその恩恵が直接及ぶメガバンクなど銀行株で三菱UFJは15日に上場来高値を更新、三井住友FGも連日で上場来高値を更新している。一方で分が悪いとされる有利子負債の多い不動産ポスト等も堅調を保っている。丸の内の大家こと三菱地所は上記の三菱UFJが上場来高値を更新した日に年初来高値を更新、住友不動産に至っては先週末に上場来高値を更新してきている。

支払利息の増加云々より保有資産価値向上や今後の賃料上昇が収益改善に寄与するとの見方が勝り、何より実物資産を保有するインフレ耐性が買われているか。こうなると何でも理由が付きそうだが、実質金利がマイナスに沈む状況が続き緩和的な金融環境が続くとの見方が株価の追い風になる一方で利上げペースは遅いとの観測でダラダラとした円安が続いている。市場によって利上げに対する反応が其々だが、既に日銀離れし一人歩きの様相を見せている長期金利の不気味さが増す。


税制大綱の金融彼是

先週末に2026年度の与党税制改正大綱が決定した。物価高対策や経済成長に向けた企業支援を意識した内容と謳われているが、ザッと我々に関係のあるところではNISAの「つみたて投資枠」を18歳未満も利用できるように広げる点や、暗号資産(仮想通貨)取引で得た所得については金額に関係なく現状の総合課税から分離課税で一律で20%と株式や投信と同等の扱いになる点などか。

この暗号資産もこれまで総合課税で最高税率55%だったことで、売却し難い点を付いてこれを売却することなく資金需要に対応するべく暗号資産担保ローンビジネスなど登場したものだったが、これが叶えばまたビジネスの景色も変わってくるか。この辺は富裕層において暗号資産投資の裾野が広がっているのが背景にあったが、富裕層といえば27年の寄付からふるさと納税も上限無しだった控除額に193万円の上限を設けるという。

一方で中所得層には国民民主党の悲願であった年収の壁の178万円引き上げが叶う見込みだが、試算してみると年収665万円とそこから1万円多い666万円とでは控除額急減の壁があり手取りが逆転してしまう歪な構造も指摘されている。またこの税制大綱では税収が集中する東京都がターゲットにもされているが、企業や人の集中という特異な構造上この辺は致し方ない部分もありまだ課題が残るか。

ただ28年にも分離課税開始が叶うかどうかという冒頭の暗号資産だが、諸外国をみれば既に金融資産としての地位が高まっておりその税制も米国が最大20%(1年以上の保有)、英国が20%、ドイツに至っては非課税(1年以上の保有)となっている。斯様に国際比較をしてみると金融課税扱いしていないのは先進国で日本くらいであったわけで、こうした部分においては国際標準に漸く一歩近づいた感もあるか。


廃止という選択

今週は米投資ファンドのカーライル・グループが医療用不織布首位のホギメディカルに対してTOBを実施し全株式を取得、同社は非公開化される見通しとの報道があった。これでプライム市場からまた一つプライム市場から銘柄が消えることになるが、3日連続ストップ高から本日も続急騰を演じている同じくプライム市場のメディカル・データ・ビジョンも週明けに書いたように日本生命が全株式を取得しこちらもプライム市場から消えることになる。

上記は他社や投資ファンドによる買収ということになるが、他に今年は当欄で先月も取り上げたところのスタンダード市場のアヲハタのように親会社のキューピーが完全子会社化するパターンや、はたまたプライム市場のプロトコーポレーションのように創業家によるMBOというパターンのようにさまざまだが、そういったことを背景に今年は東証上場廃止の企業は昨年より30社多い124社となる見通しと昨日の日経紙一面でも報じられている。

東証といえば市場区分再編から順次基準を設け経過措置を講じている最中だが、未達企業としては来年の秋口以降には各々の身の振り方が迫られることになろう。9月にも一度書いた通り他のポストでも要請期間内に達成しようとすれば所謂“ロールアップ”などの動きや、ファンドが絡んでファイナンスを駆使した時価総額拡大計画の動きなども予測されるがこれは冒頭のファンドとはまた異質のモノか。

いずれにしてこれで昨年に続き2年連続で上場廃止は過去最多となる見通しだが、一昔前は「上場廃止」と聞くと今年の夏にグロース市場から上場廃止になったオルツの粉飾のような不祥事やら業績不振から破綻し上場維持出来なくなるような“後ろ向き”な撤退というイメージのほうが強かったが、昨今は東証要請などもあり企業も投資家と共により“前向き”な退出イメージのほうが強くなっているあたり東証の目指す質の変化は着実に進んでいるといえようか。


3度目の上場

さてSBIのグループ入りした段階で3500億円あった公的資金を今年7月に完済し農林中央金庫との提携も発表した「SBI新生銀行」だが、本日はれて東証プライム市場へ上場となった。注目の初値は公開価格の1450円に対し9.4%上回る1586円となりあと1680円の高値まであった。引けは1623円でその時価総額は約1兆4500億円となり今年のIPOでは最大規模となった計算だ。

思えばこのSBI新生銀行、かつての新生銀行時代にSBIホールディングスと繰り広げた熾烈なTOB劇が記憶に新しい。初の銀行を対象とした“敵対的TOB”として注目されたが、当時の新生銀行はこれに猛反対しSBIホールディングス以外の株主が無償で株式割り当てを受けられる新株予約権を発行する“ポイズンピル”などの買収防衛策を発表するも、分の悪さから後にこれが取り下げられ臨時株主総会も中止されあっけない幕切れでTOBが成立した。

いずれにせよ90年代に国有化されて以降も紆余曲折あったこの銀行も、東証への上場は長銀時代からこれで3度目となる。おりしもマイナス金利から脱し金利のある世界に突入した環境下での再上場はその舵取りもとりわけ注目されることになろう。ところで今年のIPOは数としては全体的に減少傾向だが、今回のSBI新生銀行、それに今年はJX金属やテクセンドフォトマスク等々の大型案件が調達の総額押し上げに寄与している。小粒量産時代から景色が変わってゆくのか今後この辺も見ておこう。


各店の矜持

さて、街がイルミネーションで彩られる時期になるとショーウインドーも競うように各店で工夫を凝らしたものが街ゆく人たちの目を楽しませるが、先の日曜日の日経紙・The STYLEの頁では「ショーウインドー、銀座を彩る心意気」と題し、日本で最も早くショーウインドーが登場した銀座の百貨店や老舗などのディスプレイにまつわるヒストリーが書かれていた。

同紙の頁で一番初めに出てきたのがまさに銀座の“顔”ともいえる「和光」だが、個人的には「資生堂」が好きだ。此処の5メートル以上はあるかとおもわれる縦に長いウィンドウは最初からショールームを意識して作られたともいわれているが、三年前だったか資生堂の創業150年の年に「生きる地層」が話題を呼んだのを思い出す。“接状剥離”という造形保存技術を用いて実際に本物の地層を剝ぎ取ってディスプレイにしたもので実に圧巻であったなと。

またその翌年には同紙でも出ていたが、伝統工芸が持つ日本古来の美意識をテーマとし京都の職人が手作りした和傘でクリスマスツリーを表現した「在る美」も話題を呼んだ。本来は傘の内側にあり使用者しか見ることのできない竹骨と飾り糸を敢えて露出させたデザインで、これは日本空間デザイン賞でグランプリを取っている。ついつい通り過ぎてしまうショーウインドーだが、たまには気にしてみると思わず心を奪われるモノに出逢ったりするのが実に面白い。