最大手生保の買収劇
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本日の日経平均は値嵩株への売り物から急反落となったが、そんな中で医療データ分析のメディカル・データ・ビジョンが引けで5700万株以上の成り行き買いを残し比例配分でストップ高に張り付き異彩を放っていた。これはいわずもがな日本生命が同社へTOBを実施し全株式を買い取る旨の一部報道によるもので、同社は昨年も国内介護大手のニチイHDを買収しているが国内の現役上場企業に対してのTOBはこれが初の案件ということになる。
ところで生命保険会社による上場企業の買収は、昨年に当欄でも取り上げた第一生命HDのベネフィット・ワンが記憶に新しい。パソナグループの子会社だった福利厚生代行サービスの同社へは第一生命より先に医療情報サイト大手のエムスリーがTOBを実施中だったものの、最終的には第一生命が同社を手中に収めている。その辺はともかくも他には住友生命も医療データ解析大手のPREVENTを買収している。
いずれにせよ日本生命はこの日本最大級のデータ蓄積量を誇る企業買収でヘルスケア関連事業の基盤を固め、保険事業の基盤を強化したい狙いだ。前回も書いたが少子高齢化・人口減少で国内の生保市場は中長期的な縮小が避けられず、収益の多様化を図るべくその事業開拓が急務となっており、生保トップに君臨する日本生命でさえ斯様な買収劇に動くさまはこの辺を象徴しているといえ今後もこうした動きが続くか。