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10年目のふるさと納税

さて、多くの被害をもたらした西日本豪雨災害から約1ヵ月が経とうとしているが、これに関してふるさと納税経由でも多くの寄付が寄せられている。本日も関連サイトふるさとチョイスから状況報告のメールが来ていたが昨日25日の段階で寄付件数が55,899件、寄付金額は実に10億円を超えた模様だ。

このふるさと納税だが総務省が今月発表した2017年度の寄付額は全体では前年度比で28%増えて3,653億円に達している。一頃は返礼品競争が過熱し7割を超える返礼率のところも出て来た事で自粛を促す総務大臣通知から見直しの動きも広がったものだが、伸び率は縮小したとはいえ依然その人気は高いといえる。

返礼品競争の過熱ピークの時期にはふるさと納税評論家と称した一部の高所得者層が「もし返礼品が無かったら寄付なんてしませんよ。」とバラエティー番組で発言していた事があったが、なるほど昨年から半分以下となった増加率の中で受け入れ額が増加した自治体の中には今だ豪華な返礼で寄付額の上乗せに貢献?しているところもある。

このふるさと納税、発足から今年でちょうど10年を迎えるが、上記の通り返礼品勝負が継続される一方で近年のESGの波で冒頭の通り被災自治体を他自治体が支援する代理寄付や、所謂故郷ケアなど様々な支援形態も生まれている。予測困難な災害に押し寄せる高齢化の波を鑑み寄付文化をどう根付かせてゆくか今後の在り方が引き続き注目される。


株式給付信託

さて、昨日の日経紙には「自社株報酬 導入600社超」と題し、株式給付信託を導入した上場企業が6月末までに延べ約630社に上りコーポレートガバナンス・コードが適用された3年前に比べて4倍以上に増えるなど、信託を使った自社株報酬制度を役員や従業員向けに導入する企業が増えている旨が書かれていた。

コーポレートガバナンス・コード導入以降に企業の安定株主論で何時も出て来るのが株式持ち合いの問題だが、これが遅々として進まない現状が問題になっているなか従業員向けなども安定株主作りと自社株の活用術で福利厚生目的等とも併せ導入する企業が増加している。

かつて取引員でもこの手の自社株報酬を実施していたところもあったものの破綻してしまったという笑えない例もあったが、それは兎も角も企業は給与等増加額の10%を法人税額から控除でき付与した株式の時価相当額も含まれる事になっているが、18年度改正ではこの控除枠が15%に拡大することになり企業側のメリットも拡大する事で今後普及が加速してくるかどうかこの辺も注目される。


拘るクラフト

昨日の日経紙夕刊にウチの近所にあるお店が出ていたので目に留まったのだが、「クラフトジンに酔う」と題し地域の蒸留所で素材や製法にこだわったお酒であるクラフトジンが話題を呼び、地元の食材を使った国産品も登場するなど多彩な味わいで消費者を賑せている旨が書いてあった。

クラフトものといえば一寸前にはビールが流行り彼方此方にそれ系の店が乱立した時期があったが、今度はジンという感じか。ジンの場合はジュニパーベリーさえ押さえておけばあとの香味付けは特に決まりがない事から、その辺にまた拘りの追求が残されているワケで斯様な個性で勝負出来るあたりに商機を見い出す向きも多いのだろう。

思えばサロンドゥショコラでも近年は欧州勢が挙って柚子やら山椒やらと日本ならではの素材を使用する作品が目立って来ているが、日本のクラフトジンこそこの手の出番でそれこそ寿司店や和食処など日本酒やビール一辺倒の構図も今後はお家芸の匙加減で変わってくるかもしれない。


ブランド保護の選択

さて、今の時期どこの商業施設でもセールと併せ在庫処分品のそれも酣だが、在庫処分に絡んでのニュースといえば先週入って来た報に英バーバリーが知的財産を保護し意図しないマーケット等への流出防止措置で過去1年で約42億円相当の在庫処分品を焼却処分、これに対し英国内で厳しい声が上がっていた旨が報じられていた。

まあその辺の商業施設のテナント品と英高級ブランドのバーバリーを同一比較するのは無理があるが、昨年秋にはファストファッションのH&Mが2013年から毎年12トンほどの在庫品を焼却処分しているとの報が物議を醸し出し、その前にはスポーツ大手ナイキも在庫品をリサイクルではなく破壊という形で処理した同様の案件で物議を醸し出している。

上記の2013年からというのを基準に見ればバーバリーでは破壊した商品は金額にしてこの間6倍に膨れ上がり、ここ2年でも破壊された商品は金額にして50%増加しているという。上記のファストファッションと相違しバーバリーのターゲット層は環境意識の高いミレニアル世代が多く、投資家とも併せイメージを考慮するに斯様な措置は悩ましいところではあるが、リサイクルを避けブランド保護を図る企業の選択も近年厳しさを増してきているか。


ウナギ所相場

連日酷暑の日々が続いているが、そんななか明日も恒例の丑の日がやってくる。丑の日といえばウナギだが、昨日の日経紙にはウナギの極度の品薄で築地市場では売りたいのにモノが無いという状態に陥っている旨が書いてあった。卸値が前年同期比4割高と過去最高値にあるなか、近所のウナギ屋も挙って値上げの波が押し寄せてきている。

そんな一方で先週の朝日紙では宮崎の養鰻業界では前年の1割程度の出荷量にもかかわらず買い手が付かずに多くのウナギが余る異常事態となっている旨が報じられている。県養鰻漁業協同組合では値段が高騰した国内産需要が値段の安い外国産に移った為と分析しているが、こんなさながら所相場もレーショニングの成せる業か。

思えば今から10年くらい前にウナギの産地偽装が騒がれて以降高騰が加速してきた感があるが、ここへきて秋刀魚も水揚げ量が振るわず釧路の初セリでは過去最高の値が付いたとか。水温変化、乱獲等々でこれら以外の海産物も不漁が云われ始めているが近江商人の「三方良し」ならぬ、今の「三方悪し」のこんな現状は何時まで続くことになるのだろうか。


其々の削減努力

さて、さきほど飲み物を買いにスーパーに立ち寄ったところ弁当や総菜の多くに半額のシールが貼られていたが、数多積み上げられた弁当など足が早いモノは本当に売り切れなければほぼ廃棄コースというところか。こんな光景から先の日経紙社説にて「流通業は新技術で食品ロスの削減を」と題した記事も思い出した。

この辺に関しては先月も当欄で外食店やメーカーと消費者をインターネットで繋ぐフードシェアなど食品廃棄をネットで削減する動きが広がり始めている旨を取り上げた事があったが、家庭からの廃棄量削減なども併せ消費者の意識改革と流通過程においても食品ロスの削減に工夫して行かねばならないとの指摘もある。

店側も先ずは単純なところで例えば近年話題になった恵方巻など事前予約をすると値引き特典があるなどのお得感を出すなど販売数を把握する努力などは可能だろう。先にも書いたが国内で食べられるのに捨てられる食品は1年間で646万トンとWFPによる世界の食糧援助量の約320万トンの倍以上にも膨れ上がっているだけに、今後も各所の取り組みに努力が求められようか。


総レンタル時代

さて、一昨日放映のTBS系の某教養バラエティー番組では、理想の部屋のイメージを伝えるとプロが無料でコーディネートしてくれるレンタル家具メーカーの紹介をしていたが、レンタルといえば衣料品も先週にはレナウンや三越伊勢丹がレンタルサービスに乗り出す旨が先の日経紙に出ていた。

クールビズなど仕事着のカジュアル化が進んだが故のサービスともいえるが、アパレルに関しては既にブランド品などのアクセサリー類は先行している。そういった面ではこれまで百貨店業界はレンタルビジネス分野とはある一定の距離を置いていたものだったが昨年まで4年連続で衣料品販売が前年を下回っただけに重い腰を上げざるを得なくなったか。

しかし周りをちょっと眺めて見ても、例えば近所のガソリンスタンドなどちょっと前まで洗車サービスから車検までやっていたものだったが、今ではレンタカー事業がメインとなりこれまでのサービスは全て終了している。若者のクルマ離れという現実を前にカーシェアリングなど急速に台頭してきたのも近年の特徴といえよう。

冒頭の家具やアパレルなど気に入った商品は自分で買い取ることも出来るとはいうものの、斯様に最近の若年層は所有願望に乏しく利用へと消費行動が変化してきている。今から数十年前にレンタルレコードが登場した時は衝撃であったが、時代と共にレンタルの構図も伸び代が出来まだ今後も変遷してゆくことになるか。


二度目のルソー

さて、今月は先週末で終了したプーシキン美術展に出掛けて来た。開催されていた東京都美術館に出向いたのは春の池坊展以来のことであったが、このモスクワのプーシキン美術館といえばフランス絵画コレクションで知られるところで今回は選りすぐりの65点が展示されていた。

なかでも20代のモネの作品「草上の昼食」など日本趣味の画家の貴重な初来日作品もあるなどなかなかの構成であったが、個人的に目当てはやはりアンリ・ルソーの1910年作「馬を襲うジャガー」である。ルソーの実物を観たのは今から8年前のオルセー美術館展の「蛇使いの女」であったが、サイズ感は違えどなるほど独特のルソーテイストであった。

ルソーの作品はどこかバリのプンゴセカンスタイルのテイストを持ち日本の田中一村の作風にも似ている面白さに惹かれるのだが、もともと遠近法を無視した構図にこれまた現実感に乏しい動植物は空想感に溢れている。上記の習作といわれ所説あるモネの作品とも併せ風景画のカテゴリーもなかなか深い背景が存在するなど解った展でもあった。


SIXPAD上場

昨日の日経紙にはあの「SIXPAD」で有名なMTGの全面広告がひときわ目立っていたが、この日はマザーズ市場にはれて同社が上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格5,800円に対してこれを12.6%上回る7,050円で初値形成となり、引けは7,350円で初日の取引を終えた。

この上場に先駆けて代官山にシックスパッドステーションなる電気刺激型ボディースーツを用いた進化形ジムも展開させているが、同社は先月に上場したフリマアプリのメルカリに次ぐ大型案件となる。今年のIPO資金調達額は前半段階で既に前年同期の2.5倍に膨らんでいるが、これで更に上乗せされる形となる。

マザーズ市場の時価総額ランキングもこれまでミクシィが長らく首位を独占しサイバーダインが続くという構図であったが、先月のメルカリと昨日のMTGのIPOでこの構図も変った。立て続けの大型上場を機にマザーズ市場が活況を取り戻すかどうかだが、以前より本邦勢のユニコーンは世界規模で見劣りするといわれこの手が育つ土壌を培ってゆく工夫が今後も焦点となってこようか。


貿易摩擦と商品

週明けの米株式は貿易摩擦に関する新たな悪材料が出なかった事も安心感につながり300ドル超の大幅3日続伸となったが、これを受けた本日の日経平均も3日続伸となった。周知の通り米中貿易戦争がついに幕を切ったが、高揚感に乏しいなかを一先ずは灰汁抜け感からカバーが先行するようなかっこうになっている。

斯様にここまで主要先進国の株式も通商政策に絡むものは大きく売られてきたが、モノの動きを敏感に映し出すコモディティーもまたそれぞれが反応している。大豆は米シカゴ先物が直近高値から約2割の下落を見せ9年半ぶりの安値圏に沈み、また中国経済の悪化懸念から銅も指標のLME3ヵ月物は直近高値から約1割強安値水準に沈んだ。

ここからまたぞろ貿易摩擦の影響が深刻化していった場合には利上げの関係から他に金など再度の上昇軌道を描く可能性もあろうが、何れにしても米は11月には中間選挙を控えその辺の思惑も燻るだけに米中双方が落としどころを模索してくるのかどうか今後も市況と共に目が離せない。


25%超のこれから

昨日の日経紙社説には「長期的な成果へ公的年金運用を透明に」と題し、冒頭に156兆円の資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年度に10兆810億円の収益を挙げた旨が載っていた。14年に国債中心だった運用を変更し株式などリスク資産を増やしてきたが昨年末には国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えている。

文中には環境や社会との共存も意識しつつ企業が経営効率を上げ、評価が高まれば運用収益の底上げに繋がると期待できるとあったが、この辺に関しては昨年から所謂ESG企業に絞った投資を開始し1.5兆円を投じている模様で、これらの企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待出来るという見方をしている。

斯様にスチュワードシップ・コードへの取り組みなどが注目される一方でもう一つのコード、コーポレートガバナンス・コードに絡んでは逆行する部分があるなどの指摘は依然として喧しい。クジラの如く幅広く買い漁るさまから現代版PKOとも揶揄されて久しいが、株価嵩上げの構図が一区切りしたとされるいま上記のESG含め次の一手が注目される期に差し掛かっている。


9/8大阪・9/22東京で「コモディティフェスティバル2018」開催

東京商品取引所、大阪堂島商品取引所、日本商品先物振興協会は、9月8日(土)大阪、9月22日(土)東京で、年に一度のコモディティの祭典「コモディティフェスティバル2018」を開催。

コモディティを知り尽くす講師陣による、これからのコモディティを考えるセッション、勝つトレーダーの本質に迫る対談、魅力を伝える多彩な展示ブースまで。本年は7月より開催となる「第3回TOCOMリアルトレードコンテスト」とも連動。詳細、お申込みは以下リンク先・バナーより。

▼コモディティフェスティバル2018