二季化

さて、2005年のクールビズの導入から20年が経過したが2005年の開始当初は6~9月だった期間は2011年に5~10月に、2021年以降は指定が無くなるなど気候変動に合せてその期間も変化している。その気候だが気象庁は先月の平均気温が平年より2.34度高く、統計を開始した1898年以降で最も高かった2020年の1.43度を上回って歴代1位の高温であったと発表している。

7月に入ったが、ここから9月にかけても高温傾向が予測され年間真夏日の日数100日時代の到来も囁かれており、「暑さ対策」にかける費用もインテージ調べでは今年は前年比9%ほどの増加という。気温が暑さを増し35度までは消費が増加するものの、これを超えると外出控えなどから減少傾向になる「35度の法則」も有名だが、さて今年はどの程度消費に影響が出るであろうか。

斯様な気候の影響を特に受け易いアパレル業界などは長期化した夏の売れ筋が変化し、秋も短くなり冬も遅くなってきている事で季節衣料がこれまでに増して振るわなくなっているという。各社の戦略では各々で夏を(初夏・盛夏)と(猛暑)に分けて定義したり、1年を二季として定義し長い夏の中での商品構成を細分化して見直す方向という。長期化した夏を背景にライフスタイルにも各所で変化の兆候が表れつつある。


初の70万人割れ

週明けには団塊の世代が後期高齢者になると共に想定されるであろう現役世代の負担への懸念を取り上げたが、高齢化と合せて深刻なのが少子化か。先に発表された「人口動態統計」によれば、昨年の出生数は前年比5.7%減となり統計のある1899年以来初めて70万人割れとなった旨が報じられていたが、加えて自然減も減少幅が拡大し過去最多となるなど想定を上回る人口減少となっている。

コロナ禍で出会いの機会が減ったとかそもそも若年層の結婚観が変化し意欲低下がいわれているとか所説あるが、一部婚活会社の調査では結婚したくない又は関心が無い割合が適齢期の男女共に4割を超えてきているのを見るに少なくとも一昔前とは隔世の感がある。また、そもそも適齢期となる人口の層そのものが失われつつある人口縮小フェーズに日本は既に入ってしまっている構図もある。

斯様な少子化でインフラに歪も表れつつあり、先のTVのバラエティー番組で学校を舞台にした企画モノをたまたま見たが、番組中にテロップで「少子化等の理由で統廃合する学校は全国で300校を超える・・」と出ていたのが印象的だった。こうした足元の生活インフラへの影響はもとより更に長期で見れば生産性への影響や年金の問題にもつながって来るが、今後の社会的配分を考えるに国全体での広範な支援など喫緊の課題となるか。


“お薬”受診

過日久し振りに整形外科で湿布薬の類を処方してもらったのだが、この手の市販薬と効果が似る所謂「OTC類似薬」に関して政府は保険適用の見直しを進める旨の記事が先週末の日経紙経済・政策面に載っていた。現行の自己負担額の1~3割を10割にすることで、医療費を数千億円削減出来るということから現役世代の負担を軽減する狙いという。

例えば上記の湿布薬でいえば市販薬では数枚入って2000円前後だが、OTC類似薬では診料や処方箋料に調剤技術料こそかかるものの40~50円程度の負担で済んでしまうし、インフルエンサーが美容効果を謳った事で美容クリームの代替需要が殺到するなどいろいろと問題になった保湿剤のヒルドイドは市販薬であれば1本1500円前後だが、OTC類似薬では1本当り負担が100円未満といずれも市販薬の数十分の一で済んでしまう。

病院ではしばしば待合室が例えば高齢者が他の高齢者と日々の交流の場と化している光景も目にするが、一部医療ジャーナリストによれば後期高齢者が医療機関にかかる回数は30回以上と諸外国の5~6回と比較して日本は突出しているという。こうした背景にはそもそもが日本の医療の特長として安価でかつ手厚い医療が自由に受けられるというのがある。

なるほどそういった事から政府の見直し論も出て然るべしとも思う一方で、これが適用になったら一部受診控えなど出て来ないだろうか?医師の診断で判明するケースが素人判断で見つかるものが見落とされるリスクも孕む。なんとも難しいところだが、いずれにせよ団塊の世代がこれから後期高齢者になり医療費も今後更に膨らむ事を考えるに保険範囲を再考すべき分岐点にあるか。


日本の定位置

G7(主要7か国)サミットがいよいよカナダで開幕となったが、このG7の中で今年も最下位と不甲斐ない結果に終わったのが日本の「ジェンダーギャップ指数」である。毎年恒例の世界経済フォーラムによる男女平等の実現度合いを数値にしたこの2025年版が先週に発表されたが、今年は調査対象148カ国中で118位となり昨年の118位と変わらずという結果であった。G7中では次がイタリアであったが、同国は全体で85位であるからその差は大きい。

項目別にザッと見てみてみると、政治分野の順位が昨年は113位に浮上していたが今年は石破内閣で女性閣僚が2人にとどまったことなどで再度125位に後退、経済分野は昨年の120位から112位へとわずかに上昇したものの依然として女性管理職の低比率が続いている。ほか健康分野が昨年の58位から50位へ、教育分野は昨年の72位から60位とこちらは共に若干順位を上げる結果となっていた。

この政治だが、ランキング対象148カ国の国会議員における男女平等率は昨年には過去最高となる33%に達し、2006年の約2倍近くになっているという。ひとり置いていかれている日本の構図が際立つが、なるほど常日ごろ我々が感じているであろう日本のジェンダー格差の実感はこうした部分からも十分に感じられる。

ところで現在ミッションインポッシブル最新作が上映中だが、G7でトップの4位だったイギリスではあの「MI6」の長官に116年の歴史で初の女性が選ばれている。万年下位の国からはもう別次元の話でしかないものの、昨年は複数のプライム上場企業で女性取締役就任の報が目立つようになってきた。こうした流れが政治分野に波及してくるのはいつの日かというところだが、まだまだ壁の高さを感じざるを得ない。


2025年上期ヒット商品番付

さて、先週は日経MJがこの時期恒例の2025年上期(1~6月)の「ヒット商品番付」を発表している。昨年は東の横綱が「新NISA」、西の横綱は「円バウンド」であったが、今年は東の横綱が「米(コメ)フレーション」、そして西の横綱が「大阪・関西万博」となっていた。コメ価格はあれよあれよという間に急騰し軒並み昨年の倍に、連れて関連株までわずか数か月で2倍以上に化けるなどまさに主食のインフレで横綱も納得といえようか。

大関は東西共にスポーツ系で、今ちょうど話題なのが西の関脇「Nintenndo Switch 2」、これまでゲーム機の売り上げに業績を左右されてきた同社だが、1億5千万台以上のヒットとなった初代Nintenndo Switchの再来となるや否や、応募は初回で220万人に及び同社株かは先月に上場来高値を更新している。同ゲーム向けゲームタイトルの開発環境構築で協力したシリコンスタジオも先週末から今週初めにかけて連続ストップ高で株価は短期大化けを演じていた。

そして小結では当欄でも取り上げた「資さんうどん」、今年は福岡勢の関東進出が顕著で「因幡うどん」もここに続いて原宿に県外初の店舗をオープンしている。富士経済によればうどん市場は来年には24年比で4%増の5950億円規模に拡大する見込みというが、これを見据えてか東証プライム市場上場の外食産業がラーメン店のM&Aよろしくいずれの会社も傘下に収め動きが活発化してきている。

他に食の分野では前頭で「ドバイチョコ」も。どの商品もカダイフが入っただけでどうしてこんな強気な値段が付くのか理解に苦しむが、今やリンツやゴディバまでこのドバイチョコに便乗している始末だ。また昨年はネトフリの「地面師たち」が大ヒットし西の小結となったが、今年そのネトフリで話題になったのは東の前頭「新幹線大爆破」か。幾つかは当欄で都度触れて来たものだが、さて後半は何がランクインするのか注目しておこう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

7

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31