老舗名店も抗えず

本日に帝国データバンク横浜支店が伝えたところによると、明治17年に横浜中華街で創業した現存する日本最古の中華料理店の流れを汲み東京、大阪などで6店舗を展開していた「聘珍楼」が事業停止し清算手続きを進める旨の掲示が行われたとしている。元の聘珍楼は景気悪化で法人需要が落ち込んで業績が悪化し、平成28年には香港ファンドの出資を受けた新法人「聘珍楼」へ事業譲渡していたもの。

この新法人から分割した別の法人が運営する「聘珍楼横浜本店」もあったが、こちらも以前取り上げた通り2022年に破綻し既にその約140年の歴史に幕を下ろしている。中華街もバブル期からコロナ禍を経てすっかりその姿を変えてきているが、今どきの流れに合わせて此処も似つかわしくないファストフードスタイルの聘珍茶寮なども展開していたが中途半端な立ち位置のまま終焉を迎えることとなった。

中華街もかつては幾つかの店は深夜にフラっと行ってもその店の自慢の一皿が堪能出来たものだったが、今やそんな店も次々に閉店し大箱の食べ放題がすっかり主流になっている。中華の名店といえば東京でもコロナ禍のあおりで銀座の「楼蘭」なども無くなってしまっているが、聘珍楼も然りそれぞれの店にそれぞれの思い出がありなんとも寂しい感は否めないがこれも時代の流れと甘んじて受け入れるしかないのだろう。


各社冷食注力

昨日の日経紙ビジネス面では「無印の冷食商品数25%増」と題し、良品計画が8月末までに雑貨店「無印良品」で冷凍食品の商品数を約100品と足元から25%増やす旨の記事があった。雑貨店とはいうもののココはレトルトカレー中心に特に食品部門が伸びており、私も銀座店に時々行くがほとんどが食品関係の物色がメイン、この冷凍食品もキンパなど前から人気があったが最近はイタリアンから中華まで幅広く網羅している。

ところで冷凍食品に注力といえばコンビニも注力する向きが出ている。ローソンは今月に冷凍おにぎりの販売を現在の約400店舗から関東の約1700店舗に拡大させると発表している。更に今年11月末までに約2000店舗、来年は9月までに約4000店舗、そして来年中には冷凍ケースが無い店舗を除いて国内の全店に拡大することを目指すという。

これまで冷食といえばストック需要がウエイトを占めていたものの、このおにぎりなどは直ぐに食べられるニーズも取り込めるか。同紙にも出ていたが昨年の冷凍食品の消費額は前年比で4.4%増の1兆3000億円超えと過去最高を記録しており、10年前は1兆円にも届かなかったものだがそこからは32%も増加している。

低食料自給率の日本では喫緊の課題としてたびたびフードロスが取り上げられているが、冷凍食品は消費期限の長さ含め企業側も製造コストなどメリットは多くこうした点でまだ伸びしろが予測されている。近年の冷凍技術の飛躍的な向上とも相俟って食品ロスを防ぐ魅力的な商品の拡大に今後も期待したいもの。


最高益更新後の収益モデル

周知のように三井住友FG参加の三井住友カードの「Olive」とソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」とが連携しデジタル金融サービスで手を組むことが先週に報じられている。現在のOlive利用者は500万人以上、そしてコード決済でナンバーワンのPayPayの利用者は約6900万人ということだが、ポイント経済圏の覇権争いが激しさを増すなかこの連携で日本最大級のポイント連合が誕生することとなる。

さてメガバンク勢のこうした動きでは他にも今月は既にウェルスナビを完全子会社化している三菱UFJFGがインターネット専業の新しい銀行を来年中に設立する方針も報じられているほか、昨年末にはみずほFGが巨大なポイント経済圏を構築している楽天グループとリテールビジネスを再構築する旨も報じられており、若年層を含めた多くの個人顧客を囲い込むうえで各社共にこれら連携が加速している感がある。

ところでこれら3メガバンクといえば先週には決算も出揃っているが、金利のある世界の復活を追い風として冒頭の三井住友FGはグループとしては初めて最終利益が1兆円を超え、上記の三菱UFJFGは前年比で25%増、またみずほFGも前年比30.4%増とこの3社合計では4兆円に肉薄する規模となりいずれも過去最高を更新してきている。

改めて金利の重要性が再確認されるというものだが、この要の金利引き上げも米の関税政策などによる景気の不透明化で後ろにずれることも予想される。金利に頼らない収益源を視野に入れることを考えるに、今回のような提携は収益モデル転換の選択肢の一つとして挙がろうか。そういった意味で今後ほかの金融機関や決済サービス等でも顧客を囲い込むために新たな提携を模索する動きが活発化してくる可能性もあり注目か。


オルタナティブ資産のオルタナティブ

今月は代表的な暗号資産であるビットコインがニューハンプシャー州やアリゾナ州などが挙って同通貨への投資や準備金使用の州法を成立させた事などを背景に2月上旬以来、約3か月ぶりに10万ドル台を回復してきている。このビットコインといえば今週の日経紙夕刊では「資産価値への好影響に期待」と題し、ビットコインを保有し株価や企業価値を上げようとする上場企業が日本でも次々と登場している旨の記事があった。

ここで挙げられていた上場企業はネクソンやenish、等のゲーム会社はじめ電力小売りのリミックスポイント等であったが、メタプラネットなど五反田でビジネスホテル(先々はビットコインホテルに生まれ変わるとか・・)を運営している企業とは思えないほどのビットコインホルダーである。株価も分割前の一昨年だったか、わずかに10円台という低迷時期からビットコイン高騰を囃しミーム株の如く数十倍に急騰した経緯がある。

斯様にビットコインの大量保有が事業戦略の一環となっている企業の代表格は言わずもがな米ナスダック100指数にも採用されているマイクロストラテジー社で、今年もCB発行による資金調達で買い増しを図り現在では約477億ドルのビットコインを保有している。暗号資産関連では他に暗号資産取引所のコインベースもナスダックに上場しているが、もう一つ、日本の交換業者としては初めてマネックスグループ傘下のコインチェックの持ち株会社も昨年末にナスダック市場に上場を果たしている。

これらの株価はビットコインとの連動性の高さから投資家の多くに代替投資先にもされているが、ビットコインETFも解禁され投資の選択肢も多彩な米に比べこの辺の解禁が遅々として進まぬ日本こそ代替投資先としてこれら関連企業が魅力に映る投資家も少なくないか。ともあれこれらの行方は今後のビットコイン価格に懸かって来るだろうが、政治的な不確実性が高まっているなかで枝葉の拡大は不可逆的なものともいえるか。


地銀業界も再編加速?

本日は金融庁が地方銀行等の地域金融機関に公的資金を注入する制度の大幅な期間延長を検討していることが報じられている。現行制度は来年の3月末に申請期限を迎えるわけだが、これまで5年程度の延長期限を繰り返してきたが今回は米の関税強化や人口減による経済減速懸念を背景にして延長幅が10年を超える可能性も指摘されている。

そんな地銀を取り巻く環境だが、地銀といえば今年はこの業界も再編に拍車がかかってきた。年明けの1月は青森銀行とみちのく銀行が合併して青森みちのく銀行に、また同じく1月に愛知銀行と中京銀行が合併してあいち銀行に、3月には千葉銀行が千葉興業銀行の株式を取得、再来年には荘内銀行と北都銀行が合併してフィデア銀行となる予定のほか、この年の4月には群馬銀行と第四北越FGも経営統合を目指す事で合意している。

これら以外でも包括業務提携や連携協定を結んだり、大手証券と金融商品の仲介業務などで包括業務提携を結んだりする地銀も少なくない。こういった背景にはこれまでのマイナス金利の世界では経費率など如何にコストを削減するかが焦点だったが、金利のある世界に突入し預金の重要さが復活するために規模の拡大など再度攻めの時代に突入したことがあるか。こちらもまた不可逆的な流れで次は何処の地銀が動くのか今後も注視しておく必要があるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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