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茶葉も高騰体勢?

過日知人よりシンガポール「TWG」の限定品を貰ったのだが、これがなかなかレアなフレーバーだけあってとても美味しく頂いた。ところでこの紅茶と言えば先週の日経紙夕刊・値札の経済学では、主要生産国の干ばつや大雨による洪水被害等の異常気象や茶葉の病害、主要生産国の経済危機などを背景にして紅茶の平均価格はここ5年間で1割上昇している旨の記事を見かけた。

お茶といえば紅茶に限らず国内でも抹茶葉の価格が上昇傾向にある。上記の紅茶と同じくここ数年で見てみると2020年はキロ当たり2168円だったものが以降毎年続伸し、2023年は3141円と3割ほど上昇してきている。こうしたことにより煎茶生産量が5年間で4割ほど減少してきている影響を受け、当の煎茶もまたキロ当たり取引価格は昨年の14271円から今年は16637円と前年比で約2割上昇してきているという。

都内でも抹茶専門店などここ数年で客層がガラリと変わり今や店内は殆どがインバウンド客で溢れかえっているが、こうした需要に答えるべく農水省は先月に抹茶生産量を増やす方針を発表している。茶農家が煎茶から次々に碾茶(抹茶)へ移行しているのを見るに、近年東南アジアでも中国人による悪魔の果物”ドリアン需要の高まりによりコーヒー農家のドリアン転作が増加しロブスタ種の高騰に拍車がかかっている旨を思い出した。

転作といえばもう一つ、最近のコメの高騰を受けて日本酒を作る原料の酒造好適米が食用米に対し3000円以上下回る逆鞘減少となった事などを背景に、酒造好適米を作っていた農家も更に高く売れるという事で食用米への転作を図る向きも多いという。嗜好傾向や市況如何で斯様に生産の変化が彼方此方で起きているが、今後もこれらの動向に注視しつつ市況の推移に注目しておきたい。


人手不足の継続性

先に総務省が東京都区部の消費者物価指数を発表し2年4か月ぶりの高水準となっていたが、恒例の主要な食品メーカーにおける今月の飲食品値上げ動向の方は帝国データバンクによれば1932品目と前年同期比から約3倍に急増、これで年明け以降は6か月連続で前年同月を上回り連続増加期間としては記録的な値上げラッシュの1年となった一昨年の6月以来、2年ぶりの長さになったという。

食品分野別では調味料の962品目が最多となり、次いで加工食品の755品目となるが、ここではやはりコメの高止まりを受けサトウ食品はじめとして各社パックご飯の値上げが目立ち、コメ関連では他には味の素の御粥や岩塚製菓の煎餅も値上げされる。高騰といえばカカオ関連も一向に落ち着く気配がなく、明治など1日出荷分からチョコレートなど9~36%値上げする。

先月も一寸触れたが値上げ要因では原材料の価格高騰や物流費の上昇、人手不足による労務費の上昇などが複合的に重なっている模様だが、この全体の53.6%を占める人件費は同社が要因別集計を開始した2023年以降で最高となったという。天候状況如何で落ち着く原材料費等と違い人手不足が落ち着くのは至難の業、今年の値上げは2年ぶりに年間2万品目を超える可能性が高いとみられるが、この辺の値上げ要因の動向には引き続き注意しておきたい。


本当だったドコモの買収話

さて、先週はNTTドコモが「住信SBIネット銀行」を買収する方針を固めたとの報があった。当欄では昨年12月にこの住信SBIネット銀行をNTTドコモが買収との一部報道を取り上げていたがやはりというか具現化することとなった。携帯大手といえばこれまでKDDIやソフトバンク、楽天などがそれぞれ銀行業に参入しておりこれで通信大手全社が傘下に自前の金融機関を持つことになる。

これに伴い先月30日からNTTドコモが行っている同社へのTOB価格は4900円ということで、先週末の同社株は2300万株以上もの買いを残して比例配分のストップ高で引け、本日も同価格へのサヤ寄せで日経平均が大幅続落するなか続伸していた。その口座数825万口座、預金残高は約9兆8千億円を誇る同社だが、一昨年のスタンダード市場への上場からこのTOB成立をもってわずか2年で上場廃止となる見通しだ。

思えば住信SBIネット銀行が上場した際に、当欄では異業種のサービスを既存の金融サービスと連携出来る新たなプラットフォームとして注目されているBaaSの領域で先行している同社は或る意味アドバンテージになるかと書いていたが、これでNTTは金融サービスのインフラ企業へと一歩踏み出し一層BaaS時代の到来も近づくことになる。

斯様に通信事業も携帯利用料だけで稼ぐ時代は終焉を迎え、銀行など解約に繋がりにくい長期契約を見込める業種と連携することで客を囲い込み、その経済圏を如何に拡大させられるかが勝負所となって来ている。こうした金融サービスを巡る競争激化の動きは当然なはら証券やメガバンク等に取っても脅威となるわけで、今後は彼らにもいろいろな動きが出てくるのは想像に難くなく引き続きその陣取り合戦が注目される。


寿司リブランディング

さて、昨年末に株主優待を廃止したのも束の間、そこからわずか2か月で株主優待の復活を発表し株価もストップ高に沸いた東証プライム市場上場の「くら寿司」だが、本日は同社の高級路線の店「無添蔵」が中目黒にはれてオープンしている。既に関西エリアでは数店舗展開しているものの、関東エリアでは初の進出となる。

ところで回転すしチェーンといえばその全体の店舗数の推移だが2022年の4270店をピークとして、2023年は4201店、2024年は4164店とここで2年減少してきている。中小含めた各社の出店で地方の幹線道路沿いなど特に飽和状態となり、競争が激化した事などを背景にしてこうしたロケーションの店舗整理が進んだものとみられる。

斯様に地方出店が飽和化しつつあるなか、都市部へはまだ出店の伸びしろがあるということで新たな選択肢としてこの高級路線投入か。外食産業ではこうした高級路線とコスパとの二極化がいわれているが、高級路線を投入した「くら寿司」の対でコスパ路線を数年前から投入しているのが、ここ数年「すしざんまい」に変わりマグロの初競りにおいて1番マグロを競り落としている高級寿司店「銀座おのでら」か。

ここは2021年10月に表参道に新業態の低価格回転寿司とをオープンし、その翌年4月には若手職人育成を兼ねたこちらも“おのでら系”では低価格を謳う立ち食い寿司店をオープンしている。 “高級店の低価格路線”と“低価格店の高級路線”、両者の価格帯も近くこれはこれでどちらが当たるかたいへん興味深いが、今後もこの二極化の拡大が予想されるなか他と如何に差別化が図れるかが各社とも勝負所になってこようか。


老舗名店も抗えず

本日に帝国データバンク横浜支店が伝えたところによると、明治17年に横浜中華街で創業した現存する日本最古の中華料理店の流れを汲み東京、大阪などで6店舗を展開していた「聘珍楼」が事業停止し清算手続きを進める旨の掲示が行われたとしている。元の聘珍楼は景気悪化で法人需要が落ち込んで業績が悪化し、平成28年には香港ファンドの出資を受けた新法人「聘珍楼」へ事業譲渡していたもの。

この新法人から分割した別の法人が運営する「聘珍楼横浜本店」もあったが、こちらも以前取り上げた通り2022年に破綻し既にその約140年の歴史に幕を下ろしている。中華街もバブル期からコロナ禍を経てすっかりその姿を変えてきているが、今どきの流れに合わせて此処も似つかわしくないファストフードスタイルの聘珍茶寮なども展開していたが中途半端な立ち位置のまま終焉を迎えることとなった。

中華街もかつては幾つかの店は深夜にフラっと行ってもその店の自慢の一皿が堪能出来たものだったが、今やそんな店も次々に閉店し大箱の食べ放題がすっかり主流になっている。中華の名店といえば東京でもコロナ禍のあおりで銀座の「楼蘭」なども無くなってしまっているが、聘珍楼も然りそれぞれの店にそれぞれの思い出がありなんとも寂しい感は否めないがこれも時代の流れと甘んじて受け入れるしかないのだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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