4ページ目   雑記

遠いジェンダー平等

そろそろ桜の開花時期が気になる頃だが、花といえば寒い冬もそろそろ終わりを告げつつあるこの時期に可憐な黄色い花を咲かせるものにミモザがある。ミモザといえば世界中の女性の権利を守り女性の活躍を支援する為の行動を呼びかけるべく1977年に国連によって制定された「国際女性デー」だが、今年も先週のこの日は日経紙などでこれに因んだ特集や広告が当日多く目についた。

当欄では毎年のようにジェンダーギャップ指数を取り上げているが、昨年のそれは146カ国の中で125位。残念ながら一昨年の116位から更に後退したがこれは言わずもがなの過去最低水準で、G7の中でももう毎年恒例のように最下位となっている。項目別でも昨年1位だった教育が47位に大きく後退し、経済分野が123位、また政治分野が138位とこれらもそれぞれ昨年から順位を下げている。

また、SDGsの達成度を評価したランキングもSDNSが毎年公表しているが、2023年は上位を北欧勢が占めるなか日本は21位で、SDGs17の目標のうち5番目のジェンダー平等の評価点が低かったのが目立つ。今年に入ってからJAL社長に初の女性が就任し、今月は三井住友銀行副頭取ポストに初の女性が就任しており、政府は2030年までに女性役員比率30%以上の目標を掲げているが、各項目ともそろそろ形ばかりのお飾りで無いものに踏み込まない限り汚名返上ははるか遠い道のりとなろうか。


あれから13年

2万2千人以上が犠牲となり、今なお避難生活を送っている人が約2万9千人も居る東日本大震災の発生から昨日で13年を迎えた。各地では追悼の催しで黙とうが捧げられ、福島で行われた東日本大震災追悼復興記念式では総理大臣が出席、引き続き東北の復興に全力を尽くすとして「国が前面に立って福島第一原発の廃炉や帰還に向けた環境整備に取り組む」等と述べていたが、この廃炉が遅々として進んでいない。

廃炉の鍵を握るのが原発の1号機から3号機内で約880トンもありいまなお増え続けているデブリの除去だが、ロボットの作業で取り出せる量は非常に少なくその作業は果てしない。総理の言葉通り復興に向けては原発の廃炉作業を完結させることが不可欠とはいうものの、斯様に廃炉の道筋がいまだ見通せないのが実情となっている。

処理水の海洋放出もなんとか始まったばかりだがこれとて約30年間にわたって続く。廃炉完了の時期は2041~2051年とされるが、当然ながら過去に例のない規模の廃炉作業なだけに試行錯誤の連続が致し方ない面もある。おりしも年初にはあの能登半島地震が起きたばかりでこの復興では生かすべきはこの東日本大震災の教訓だが、予てよりいわれてきている首都直下型地震なども睨み教訓から得た普段からの備えを各々再確認したい。


進化し続ける冷食

さて、一昨日から明日まで東京ビッグサイトでは食の最新トレンドを一堂に会した「FOODEX JAPAN 2024」が開催されている。食品系では昨年の同時期に食品流通業界の最新トレンドが集結した展示会「スーパーマーケット・トレードショー」も幕張メッセで開催されたが、そこで注目されていた冷凍食品類は今年も技術の進化で引き続き注目度は高く、各社からは数多の新商品が出されその出展数は去年の2倍にのぼっている。

展示された冷凍食品の中には近年需要が高まっている代替食品も幾つか出品があったようだが、代替食品といえばプラントベースなど近年は急速に新商品が開発されている感が。それも世相が反映され、ウクライナ侵攻等の影響で価格が高騰している小麦などの代替でパスタに黄エンドウ豆を使ったモノや、大手コンビニでもツナ缶高騰や環境負荷等を考慮し代替ツナのおにぎり等を発売しはじめた向きもある。

少し話が逸れたが、冷凍食品は一昨年の「今年の一皿」にも選ばれるほど出荷額も過去最高を記録し、その市場は今後堅調な伸びが予想されることもあり大手スーパーはもとより三越銀座など大手百貨店もオープン以来の地下フロア大規模リニューアルでは冷凍食品類に注力、店舗付近の有名レストランの逸品の冷食が自宅で簡単に食べられるラインナップが為されている。

ところで毎月アタマに当欄では食品系の値上げの状況などを書いているが、今月もまた冷凍食品類は値上げの中心に入っている。とはいえ他とこの冷凍食品が違うのは相次ぐ値上げでも高い値上げ耐性を誇っている点が挙げられる。冷食各社の株価は業績と共に高値圏で推移しているが、その背景にはこれらが評価されているところが大きいのは間違いないだろうか。


EVシフトへの逆風

先に日産自動車が米の新興EVメーカーであるフィスカーとの間で資本提携に向けた交渉を進めている旨が報じられているが、このEVといえば世界で近年進められてきた開発に陰りが見られる。欧州各国では補助金はじめ各種優遇策を繰り出してきたものの、諸々の大規模な構造転換などハードルも高く欧州委員会が推してきたEVシフト政策は破綻しつつある。

その欧州では独メルセデス・ベンツGが2030年までに市場が許す限り新車販売をEV車にすることを検討していたが、先に2030年以降もエンジン車の生産継続を明らかにしている。また、米アップルは27日、約10年にわたり開発したとされたEV開発プロジェクトを中止する方針が報じられ、同じく米ゼネラル・モーターズは2024年半ばまでのEV生産目標40万台断念が報じられている。

政府も一昨年だったか当時の菅総理が2035年までに新車販売でEV車100%を実現すると宣言し、東京都は更に前倒しで2030年までに都内販売の車を100%非ガソリン化し世界の潮流を牽引すると知事が表明していたのを思い出すが、ESG投資が逆風のなか欧州など環境に良い合成燃料等使用ならよしとするなど緩やかに後退しその潮流はニーズ連動型になりつつある。脱炭素の大義名分があるとはいえ、一気にEVへと舵を切る事が難しいという現実のハードルが見えて来たというところか。


ガリガリ君も再度

さて、今から8年前の新年度にあの“ガリガリ君”で有名な赤城乳業の値上げ告知の全面広告が日経紙に載った。当時は実に25年ぶりの値上げという事でわざわざCMが作成され値上げの歌を披露、テーマにするにはリスキーなモノに敢えて挑んだことから当時話題になったものだったが、そのガリガリ君が今月は8年ぶりに再度値上げに踏み切っている。

帝国データバンクによれば3月の食品値上げはこのガリガリ君も含めた728品目と発表され、前年同月の3503品目からは大きく減少した。ボンカレーなどレトルト食品や冷凍食品などの加工食品に、引き続きのトマトショック関連、2022年末から実に価格が約3倍にも急騰したカカオ豆相場を背景にチョコレート製品を中心とした菓子が中心で全体の7割を占めるという。

上記の通り今月こそ前年同期比8割の大幅減だが、来月は加工食品を中心に昨年の10月以来半年ぶりに3000品目を超える大規模な値上げとなる見通しだ。原材料コスト以外にも先月も書いたところの所謂“物流2024年問題”も差し迫っており、既に食品分野以外ではこれに対応した値上げが広がってきているだけに付随した値上げが続く可能性もまたありそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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