4ページ目   雑記

エコフレンドリーの広がり

本日は所用で日比谷界隈に行ったが、この時期の風物詩でもあるイルミネーションが綺麗だ。お隣の丸の内も今年の煌びやかなジャンパンゴールドのイルミネーションがスタートしてはや1ヵ月になろうというところだが、先月末からはもう少し歩いたところの東京駅と皇居外苑を結ぶ行幸通りの一部でもイルミネーションが輝いている。

斯様に先月あたりからは上記の丸の内界隈をはじめ、イルミネでは此処と双璧ともいえる六本木ヒルズのけやき坂のイルミネーションもまたスタートしているが、今年は昨年よりもLEDの数を10万個増やしたそうでこちらは相変わらずアイスブルーが綺麗だ。この時期は各所でクリスマスツリーも飾られるが、この近所のアークヒルズのカラヤン広場のツリーは昨年までクリスマスイベントで使われたツリーが再利用されているという。

再利用といえば目黒川のイルミネーションも数年前から地域の飲食店等から廃油を回収し、イルミネーション用の発電機を動かす燃料にバイオディーゼルとしてリサイクルする活動が継続されている。食用油のリサイクル燃料はUSJでもまたパーク内レストラン施設の廃油をリサイクルしアトラクションの燃料として活用できるようになっている。斯様に各所でエコフレンドリーな動きが活発化しているが、こうした広がりで来場者の方も意識の向上に繋がってゆくのを期待したいところ。


ネット銀戦略

先週はヤマダデンキのヤマダNEOBANKにおける積み立て預金の満期特典の10%還元中止が報じられたのが話題になっていたが、預金といえばこれと同じ日にはSBI新生銀行が28歳以下の全ての預金者を対象に普通預金金利を通常の0.11%から3%への引き上げが発表され、次いでPayPay銀行も円・ドル貯金セットでメガバンクの普通預金の約20倍になる年利2%を開始と報じられるなどネット銀行のニュースが相次いだ。

このネット銀行だが、以前に当欄でコロナ前と比較して預金残高が2倍以上にも増加しておりメガバンクや地銀もうかうかしていられない状況だと書いたことがあったが、彼らの精力的な動きが近年は目に付く。上記の金利引き上げに加えネオバンクサービス等もそれで、冒頭のヤマダNEOBANKを共同で提供しているのは住信SBIネット銀行だがココは高島屋とも組み高島屋ネオバンクを展開、他にJR東日本×楽天銀行によるJREBANKなど他業種とのコラボも目立つ。

日銀の利上げによる“金利のある世界”の到来ではや預金獲得競争がスタートしているが、SBI新生銀行は若年層にターゲットを絞る戦略で、またネオバンクの類は大手百貨店など富裕層が眠る宝庫が魅力でもあり他業種側の方は総合的なワンストップサービスの提供から顧客の囲い込みが狙えるウィンウィンの関係を狙っているが、今後一層他業種との提携等が加速する可能性は高い。

その辺に絡んでは高島屋やヤマダデンキと組んでいる住信SBIネット銀行をNTTドコモが買収との週刊誌報道もあり同社には物色の矛先が向き本日も続伸して年初来高値を更新してきている。いずれにせよ長らくの金利の無い世界の間にネット銀行が台頭してきた経緯もありこれに伴い競争の構図も変わった感があるが、これら預金獲得競争が今後も激化してくるであろう象徴的な報道でもある。


田中一村展2024

さて、9月から先の日曜日まで東京都美術館で「田中一村展」が開催されていた。当欄で田中一村に触れたのは今から6年前に同じ東京都美術館で開催されていた「プーシキン美術展」を取り上げた際にアンリ・ルソーのテイストにも似ている旨を書いた時であったが、私も当時そう書いたように田中一村は度々過去の偉大な画家達とよく比較されてきた。

意を決して南国に移った事でよく言われてきたのは同じく南国に題材を求めた仏のポール・ゴーギャンになぞらえ「日本のゴーギャン」、また絢爛たる極彩色と精緻な筆遣いで花鳥風月を描いたことで、江戸時代の画家、伊藤若冲になぞらえ「昭和の若冲」とも評されたこともあった。ただそういった極彩色の作品が多数ある中でも「枇榔樹の森」などの作品にみられるモノトーンの美しさがひと際光る作品が個人的に惹かれる。

もともとこの田中一村を知ることになったのは、個人的にバリのプンゴセカンスタイルの絵画が好きでかつて何度か現地に買いに行ったものだが、20年くらい前からプンゴセカンを得意とする現地の画家が挙って上記の「枇榔樹の森」や「奄美の海に蘇鉄とアダン」など特徴的な炭黒のグラデーションをアクリルでもってかなりの完成度で模写し始めたのを目の当たりにしたのがきっかけである。

それらは大多数の花鳥画とは異なり、まるでその中に入って外を見るかのような構図で逆光を思わせるような美しさに生命を感じる。これは閻魔大王への土産品とした晩年の生涯の集大成ともいえる傑作「クワズイモと蘇鉄」においても、クワズイモの花が咲くところから実になりそれが朽ちるまでの全てが描かれる通常ではあり得ない構図を絵の中に完結させているところにも感じられる。

こうした生命とそれが朽ちるまでを一つの作品に落とし込む技法はエミール・ガレの作品にもよくみられるものでいずれも私のお気に入りだ。しかし伊藤若冲にしても田中一村にしてもひと昔前の美術展は直ぐに入場出来てゆったりと鑑賞を楽しめたものだが、メディアの煽りやSNSの発達でにわかファンが殺到する場と化しつつある現状を見るに以前の空間は贅沢であったなとつくづく。


輝きを増す日本真珠

さて、先週末に国内ファンドのユニゾン・キャピタルとアジア系投資ファンドのファウンテンベスト・パートナーズが宝飾品販売のTASAKIを買収総額1000億円規模で買収したことが報じられていた。かつて東証一部に上場していたTASAKIは2017年にMBOに踏み切った経緯があるが、インバウンド需要に伴う消費回復などの追い風もあって環境は大きく改善しているようだ。

ところでTASAKIといえばかつて「田崎真珠」の社名であったように真珠を使った宝飾品に強みを持っていたわけだが、近年は日本の真珠に対する注目度がにわかに上がっている。中国で人気に火が付いた影響もあり真珠の価格推移は、主要産地である愛媛水産統計の養殖真珠単価の例で2012年には1匁(3.75グラム)あたり1997円であったものが2022年では6644円とここ10年で約3倍になっている。

週明けの当欄ではマグロとタコの逆転劇でゴールドを引き合いに出したが、この日本真珠も過去最高値を更新したゴールドと似たような上昇の軌跡を描いてきている。現在ではほぼ同率の上昇軌道だが、とりわけ上記の2022年までの上昇率に限っていえばこの期間での上昇率は日本真珠がゴールドをも上回っている。

いずれにせよ素地として近年の海水温上昇に伴いアコヤガイ稚貝に大きなダメージが出て生産量が減少していたところに人気も乗った格好になるが、ここでも異常気象の影響が出ている。かつて指輪など貴金属を売却する際にウワモノ扱いの真珠等は高グレードの玉でも算定から外されていたものだが、今やしっかりと値が付く存在になっているだけに家で眠る製品に思い当たる向きは確認してみるのも一考か。


ビットコインとETF

昨日の日経紙一面には「DMMビットコイン廃業」と題し、DMM.comグループで暗号資産(仮想通貨)交換業中堅のDMMビットコインが廃業する方針を高めた旨の記事があった。同社といえば5月末に482億円相当のビットコイン不正流出が当時話題になったものだが、今後顧客口座や預かり資産はSBIグループのSBIVCトレードに移管される予定だ。

ところでビットコインといえば、トランプトレードの波に乗り今や節目の大台10万ドルを指呼の間に捉えているが、ETFも米に上場する12本のビットコインETFの純資産総額合計は1000億ドル(約15兆円)にも達し、これを保有する国家はじめ銀行や年金基金からヘッジファンドまで機関投資家の裾野もまた大きな広がりを見せている。

このETFを巡っては1月に米が承認の先鞭をつけて以降、アジア圏では4月に香港が、そして6月にはオーストラリアが承認に踏み切っている。当欄では5月に「ビットコインETFの国内承認は叶わないのだろうか?」と書いていたが、日本では今だそういった機運も高まっておらずETF承認云々の議論さえ始まっていないのが現状だ。

冒頭のような交換所の不正流出が度々世間を騒がせてきたイメージに加え、そもそも暗号資産自体が投資信託の運用対象である特定資産に入っておらずそれら以外で税制面でもまたETFと現物取引での税率の違いなど課題は山積みとなっている。とはいえ既にこれだけ広く浸透している様を見るに、完全に日本が周回遅れなのは否めないだけにガラガラポンでリセットするには今が好機とも思えるが重い腰が上がるのを期待したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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