3ページ目   雑記

同盟国も一括り

今週の日経平均は週明けから1,500円超の急落と今年最大の下げ幅を記録し、本日も年初来安値を更新と冴えない展開となっている。言わずもがな関税不況リスクを背景にしたものだが、周知のようにトランプ大統領は3日から米国が輸入する全ての自動車に25%の追加関税を課すと表明している。現在日本から米への最大の輸出品はこの自動車、実に昨年実績で輸出台数約37万台、輸出額の6兆円超がもろに打撃を受ける。

これを受け首位のトヨタやマツダなど自動車株が改めて売り直され大幅安となっていたが、米自動車メーカーでも49.6%を輸入が占めているGM株も利益ゼロ予想から大幅安となり輸入比率が20.3%とGMの半分以下のフォード株まで売られる始末であった。加えてWSJが報じたところではトランプ大統領は米自動車大手CEOらに関税を理由に価格を引き上げぬよう警告したとかでやりたい放題。本来、国内産業を保護するための関税も米自動車業界に打撃と皮肉なものになるか。

ところで価格引き上げといえば早くも対応を発表したのが伊フェラーリ。米で販売する一部車種を値上げし人気モデルは750万円ほど上乗せされるというが、フェラーリを購入する顧客は裕福でこの程度の値上げは容易に受け入れるだろうとしている。まあ言われてみれば確かにそうだろうが、それは兎も角も日本政府の関税上乗せ除外要請もけんもほろろで米政府高官など日本を名指し批判する始末で日本の各大臣が入れ代わり立ち代わり訪米し媚びを売っていた姿も滑稽に見えてくる。

自動車産業は裾野が広く部品メーカーなどの関連事業では6万社超え、就業人数も約560万人近くにのぼるだけに影響は計り知れない。自動車のみならず鉄鋼など幅広い製造業にも影響が出て、一部試算ではこれにより最大で13兆円の経済価値が打撃を受ける可能性があり来年度のGDPも0.3%押し下げ要因になるとみている。大統領令で同盟国との関係でさえ犠牲にする姿勢が鮮明だが、さて明日のXデーに予定通りこれらが発動されるのかどうか先ずは注目だ。


今年最大のラッシュ

4月とは思えぬほど冷たい雨が降る中で新年度を迎えることになったが、この新年度から暮らしや企業活動に関わる制度がいろいろと変わると共に依然として食品値上げラッシュの方も続き、恒例の帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける今月の飲食料品値上げは4225品目に上る。値上げのピークだった一昨年の10月以来、1年半ぶりの高水準となり今年最大の値上げとなる。

食品別では品目最多が「調味料」で2000品目を超えた「調味料」だが、次いで品目が多いのは値上げの波が押し寄せて来たビールなどのアルコール飲料、大手ビール4社は一斉に缶ビールや酎ハイなどそれぞれ200品目以上を3%~12%値上げする。また止まらない米の価格高騰を受けテーブルマークなどは先月の値上げに続いて今月も最大で約36%値上げする。

他、ティッシュやトイレットペーパーなど日用品も値上げされるが、政府の補助が無くなるなか4月使用分の大手電気や大手ガス料金も値上がりする。今年の値上げ傾向は人件費や物流費といった粘着性の高い値上げ要因が押し上げるとしているが、今の構図はやむなく値上げするコストプッシュ型インフレというがディマンドプル型へ移行するのはいつの日か引き続きこの辺の動向には注視しておきたい。


再開発熱

先週は東京都心の新街区「高輪ゲートウェイシティ」が街びらきのはこびとなった。超高層ビル4棟からなる国際最大級の複合都市で国際会議を誘致できる最大約2000人を収容出来るコンベンションセンターなどが入るツインタワーなど一部が開業したが、今年の秋にはマリオットホテルほか約180店舗がオープン、更に来年春には100畳の畳を備えた文化施設や高級賃貸マンションも開業し総工費6000億円をかけるJR東日本史上最大の開発になるという。

タワーには屋上レストランやマリオットホテル、100畳の畳部屋を備える文化棟では夜に観劇などが出来る“ナイトタイムエコノミー”の活性化を図る。JR東日本は街のコンセプトを実験場と掲げ来月からロボットがオフィス等へ飲食をデリバリーするサービスを開始、今後マンションの住人が改札を通ると自動でエアコンがつく仕組みなども予定しているが、新たな成長を目指しKDDIやウミオス(マルハニチロ)など此処に本社を移す。

街びらきといえばこれまでも当欄では一昨年2023年の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に「麻布台ヒルズ」、また昨年2024年の「渋谷サクラステージ」などなど幾つか触れてきたが、今年はこの高輪ゲートウェイ以外でも湾岸エリアだけでも「TOYOTA ARENA TOKYO」に「コナミクエイティブフロント東京ベイ」、そして「ブルーフロント芝浦」などが続々と開業予定だ。

斯様に東京ではいま100年に1度といわれる大規模再開発の真っただ中にある。各地でこの波は止まることなく上記の湾岸エリア以外でも現在進行中の渋谷の広域圏再開発に来年の品川駅周辺での複合施設整備、28年にはあの麻布台ヒルズを上回る高さを誇る「トーチタワー」が東京駅近くに完成する。円安効果でインバウンド喧しいが、日本の首都圏が今後も世界中から人やお金などさまざまなモノを誘致出来る都市であり続ける為にもこれらは非常に重要な意味を持つことになるか。


SDGs【12】

一昨日の日経紙、総合・経済面では「フードロス、損保も対策」と題し、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保保険が4月以降、食品の再販売などの費用を補償する保険を事業者向けに始める旨が出ていた。フードロスといえば消費者庁も先週には検討会を開いて食品の消費期限や賞味期限の設定を見直すガイドラインの改正案を取りまとめている。

この改正案では食品の特性に応じて科学的・合理的根拠があれば日数をなるべく長く設定するように事業者側に求めているが、消費期限や賞味期限については客観的指標に基づいて事業者側が設定しているものの、消費者庁は必要以上に期限を短く設定しているケースがあるとも指摘している。この辺はおそらく「安全係数」を指していると思われるが、目安よりもはるかに保守的な安全係数を掛けているケースが多いのが現状だ。

こうした賞味期限に絡んでは他にも流通の“3分の1ルール”などがよく知られたところだが、この辺も農水省が見直しを呼びかけている。この辺は既に日本乳業協会などが緩和に向けた働きかけに動いているが、大手企業もキューピーは主力のマヨネーズの消費期限の延長に動き、ニチレイフーズも今年に入って賞味期限の延長を発表するなど企業努力の動きが見られる。

他にも生産段階でロスを防ぐ取り組みやアップサイクルフードに取り組んでいる向きも数多あり上記以外の大手でも10年前年対比で今年には食品ロス総量を半分以上減らすという目標を掲げている向きも。食品ロス削減は日常の中でも身近なもので、SDGsの目標の中でも取り組みやすいテーマの一つだけに斯様な企業の取り組みと並行し我々も日々意識してゆかねばならない課題か。


春闘2025

先週は今年の春闘で大企業が労組に回答を示す山場となる集中回答日を迎えていたが、自動車や電機などお約束のように満額回答が相次いだ。ザッと挙げても電機大手では日立製作所、NEC、富士通が満額回答、賃上げ相場をけん引してきた自動車ではトヨタ自動車が5連続の満額回答となった他、トヨタグループのデンソー、アイシンなども集中回答日を待たずに満額回答の結果となっている。

また外食や流通の労組が集まるUAゼンセンも満額回答がズラリと並び、昨年に過去最高の賃上げを行った牛丼チェーンすき家のゼンショーHDは定期昇給を合せた平均で11.2%の賃上げで妥結したほか、すかいらーくHDは定期昇給も合せて満額の回答、2014年に再上場した同社だがこの再上場以来最高水準の賃上げとなり、株価の方も本日は3000円の大台を超えて上場来高値を更新してきている。

さてこの大手の賃上げの動きが中小に波及するのか否かだが、中小企業の賃上げの状況は価格転嫁を進めて賃上げが出来ている企業と、コストが上昇しても価格転嫁出来ず賃上げ原資がなく破綻する企業があるなど二極化の様相という。実際に帝国データバンクの調査によれば高い賃金を求め他社に移られて従業員不足から破綻する従業員退職型倒産は昨年過去最高になった模様だ。

この集中回答日に併せ石破総理は政府と経済界、労働団体と共に政労使会議に臨み、今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け政策を総動員すると強調し述べていたが、この辺に絡んでは中小企業がうまく価格転嫁出来るよう発注側の大企業が受注側の中小企業と協議せずに取引価格を決めることを禁止する「下請け法改正案」の閣議決定など、これらも後押しするかどうか期待したいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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