米年末商戦2024

米では感謝祭が明け今週ブラックフライデーがスタートするが年末商戦の前哨戦となるこのセール、日本でもこれを倣って早くから先鞭をつけたイオンほか各社が先週から日本版ブラックフライデーをスタートさせアマゾンも今週からこれがスタートする。米に倣えの日本だがこちらも年末商戦のスタートとして国内消費の盛り上がりにつながるかどうか期待のかかるところ。

さてその本場のアメリカだが、NRF(全米小売業協会)によれば、今年の年末商戦の売上高予想はトランプ関税を見越した駆け込み需要が増加する見込みもあり前年比で最大3.5%増となるものの、2021年以降から鈍化傾向にあるその伸び率自体は6年ぶりの低水準になるとの予測を発表している。ただ、そういった中で昨年10%を超える伸びを見せたオンラインの勢いは今年も期待されそう。

先に第3・四半期決算を発表したアマゾンはネット通販事業の改善が寄与し利益と売上高が市場予想を上回り、また先週に決算発表を行ったウォルマートも既存店売上高が予想を上回り1株利益、売上高とも予想を上回っていたが、うちeコマースの売上高は前年比で27%増を記録するなどここでもオンライン分野の成長が目立つ。

今年の年末商戦は例年より期間が短くEC業界は中国の新興勢が勢いを増してきているという中でも、上記のNRFは今年もオンライン販売の売上高は前年比で最大で9%増の2979億ドルになると予想している。そういったことで今後もオンライン販売における戦略等で企業間でも明暗の分かれる場面も出て来ようか。


ボジョレ・ヌーボー2024

さて先週はワインの新種“ボージョレ・ヌーヴォー”が解禁されている。昨年は円安の影響こそあったものの航空運賃の下落や地政学リスクの顕著化前に輸送などヘッジしていた事などもあって一昨年より店頭価格が1~2割ほど安く14年ぶりの値下がりとなったが、今年も輸入量が減少傾向である市場を活性化するため、販売価格を据え置く動きが見られている。

ボージョレ・ヌーヴォーといえば毎年の如く「〇〇年に一度の」「〇〇年で最高」と最高の評価が恒例となっていたものだが、今年は産地が日照に恵まれ例年以上にフレッシュな仕上がりになっているとのTV等の控えめなコメント以外には上記のような専門家が絶賛する類の言葉は見当たらず、週末に立ち寄った家電量販店でも特設コーナーはここ数年で一番小さく感じた。

それもその筈今年の日本全体の輸入量としては昨年並みになるものの、近年はワインも種類や価格帯の多様化で新酒だけを“売り”にしたボージョレは相対的にその魅力が薄れてきていることなどを背景にここ10年間は輸入量の減少傾向が継続され10年ほど前に比べれば約7割減少しているという。こうした需要減少を背景に企業側も対応が割れてきている現状だが、秋の風物詩も次第にその風景が変わりゆくか。


私鉄統合思惑再燃

本日の日経紙投資面には「物静かな株主対話動く」と題し、アクティビストが台頭する一方で信託銀行や地方銀行の存在感が低下している旨が出ていたが、冒頭では昨日の株式市場で旧村上ファンド系投資会社が株式を買い増しているとの観測報道が背景となって突飛高を演じた京成電鉄と京浜急行電鉄が取り上げられていた。

村上ファンドに鉄道株といえば同頁にも出ていたが2006年の阪急・阪神経営統合が記憶に新しい。当時同ファンドは最終的に阪神電鉄株を実に5割近くまで買い進んだものの、例の村上ファンド事件も絡むなか阪急ホールディングスのTOBに応じ両社は株式交換を行い経営統合型の私鉄の再編劇が為されてこの件は幕を閉じた経緯がある。

本日の市場では京浜急行電鉄が反落する一方で京成電鉄は続伸となっていたが、この京成電鉄は当欄でも取り上げたことのあるように持ち分適用のOLCの時価総額が10倍近くにもなる資本捻れが顕著で、既にこの辺に目を付けられ英投資ファンドに一部株を握られている。本日はOLCの実施する自社株買いに応募した報道があったが、なお出資比率は20%を超えファンド側が求めている水準を上回る。

仕手株のような上昇軌道を描いた当時の阪神電鉄のような派手さこそないもののにわかに再燃した令和の私鉄再編劇思惑だが、資本効率等に関して具体的な発信力の無い企業にはアクティビストが虎視眈々と狙い隙をついて群がるマーケットになって来た今、私鉄に限らずビッグバンに繋がる構図も多いだけに企業側の資本政策が一層問われることになりそうだ。


3度目で上場

先に東京メトロが上場した際に当欄では末尾にて今後はまだキオクシアホールディングスや非鉄大手JX金属の大型上場も見込まれている旨を書いていたが、この半導体メモリー大手キオクシアホールディングスは先週末に東京証券取引所から上場を承認され、来月18日に東証のプライム市場に上場する運びとなった。

このキオクシア、もともとは2020年に東証から上場を承認されていたものの新型コロナの影響で半導体市況の見通しが不透明なことや米政府の取引規制を懸念し上場を延期、今年に入ってからも半導体関連株下落等の影響も懸念され10月に予定されていた上場が延期と2度にわたる延期を経ての今回だが、目論見書では1株あたり公募・売出価格は1390円ということで、上場時の想定時価総額は約7500億円が想定される。

そんな紆余曲折を経ての今回の上場だが、上記の通り約7500億円の想定額は当初に掲げていた目標額の1兆5000億円の実に半分という数字になる。来年のデータセンター需要拡大を当て込み想定額を退けて挑んだ格好ともいわれるが、米ウエスタンデジタルとの経営統合協議には次期大株主の韓国SKの壁が立ちはだかるなど課題も数多ありこれが吉と出るか凶と出るか?上場後の動向にも目が離せない。


エンゲル係数と台所事情

先の日曜日の日経紙には「エンゲル係数 日本圧迫」と題し、主要7か国中で消費支出に占める食費の割合であるエンゲル係数の首位が日本との記事が一面を飾っていた。今の日本は高齢者の割合が多い環境下で可処分所得の伸び率も低迷するといったもともと同係数が高くなり易い素地があるなか、加えて物価高の波が食材を直撃している構図か。

その昔学校で初めてエンゲル係数なる単語が出てきた時にはこの係数が低いほど生活水準が高いと教えられた記憶があるが、記録では2000年以降でエンゲル係数が一番低かったのは2005年3月の19.7%、以降10年ほど前まで20%台前半での推移となっていたが、今年の8月では30.4%と30%大台を超えるまで水準を切り上げてきている。

食材に絡んではもう一つ、帝国データバンクが出しているものにカレーライス1食分に必要な食材と水道光熱費から算出した「カレーライス物価指数」なるものがあるが、先週発表された9月の同物価は364円と6か月連続で最高値を更新。これで2020年の平均を100として算出した同物価指数も133.1となり、ここ5年間で3割を超える上昇率を演じ前年同月比では18.8%上昇し16か月連続のプラスとなっている。

先に行われた住友生命保険による「我が家の台所事情アンケート2024」によれば物価上昇の家計への影響があるか?との質問では影響ありが8割近くにのぼり、具体的に何に影響を感じるかでは約9割が食費と回答、これにより7割以上が支出削減・節約に取り組んだとしており項目では食費が1位であった。より厳しさを増す台所事情が浮き彫りとなった恰好だが、継続的な実質賃金の上昇などやはりここでも重要課題として挙がって来る。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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