悪い円安

本日の外国為替市場では米長期金利の上昇を受け円相場が一時、約20年ぶりに1ドル129円台まで急落した。気になる日銀の動向だが長期金利の上昇を抑え込む為に指し値オペを21日から26日まで連続で実施すると発表、既に本日の午前中に指し値オペの実施を通知しており異例の5営業日連続の指し値オペとなる。

周知の通り、米・英は物価の上昇を背景に利上げに動き、同様の理由でお隣韓国も先週には今年2回目の利上げを実施しており、ECBも先週の理事会で量的緩和策を夏までに終わらせ、年内にも利上げを実施する可能性が高まっている。斯様に世界中で利上げに走るなか、景気下支えの大義名分のもと超低金利政策を維持する姿勢を示している日銀は特異に映る。

斯様な金融政策の方向性の違いから日米金利差が拡大するとの思惑で冒頭の通りの円急落となっているワケだが、インフレ下で実質量的緩和を実施している強化している格好だ。ここ9年間にわたって歴史的な金融緩和を継続したにもかかわらず求めているような内需主導型の2%の安定的物価目標はいまだ達成されず、バランスシートも各国比で膨張し負のループに陥っている日銀にはたして各国の出口戦略はどう映っているのだろうか。


スイス・ショック

さて、先週末に起こった寝耳に水の出来事と言えばやはりスイス中央銀行が打ち出した無制限の為替介入政策の終了決定だろうか。突如の決定に当のスイスフランは対ユーロで約3割近くも急騰したが、想定外の決定からの急変動が他へも余波を広げた。

スイスフランの急騰に伴い先ず株価指数のSIMは前日比で約8.7%とここ25年で最も大きな下落となり、個別では腕時計世界最大手のスウォッチグループが前日比16%の急落、他リシュモン等も同様に急落となり、本邦株式市場も対ユーロの円相場が昨年ハロウィーンに日銀が追加金融緩和策を決定する前の水準まで上昇した事で、週末は欧州関連株が軒並み売られ、コモディティでは金がリスク資産代替で4ヶ月ぶりの高値まで買われた。

マーケットはそんな感じだが決定直後に直ぐに話題に上がったのはやはりFX関係、もともとスイスフランのような低金利通貨はキャリーでショートの対象になり易い素地を持っていたところへ、中央銀行のお墨付き?介入政策が為されていた事で個人投資家にとっては上限は限られるという安心感につながっていたからこれで一瞬のうちにパンクしたショート勢が続出となった。

これですぐさま思い出したのが、あの東日本大震災の時にクズ同然のプレミアムが大化けしたオプション事件だろうか。セルボラでほったらかしにしていた向きが一晩で一斉にパンクし、また業者もその顧客勘定損失をカバーし切れず破綻懸念が彼方此方で起こったが、今回も業者の中には破綻したところや金融支援を仰ぐところが出てきている。

それでも業者の中には昨年秋頃にカウンターパーティーよりスイス中銀が介入中断または放棄の可能性があるという事からの必要証拠金引き上げ要請を告知していたところもあった模様だが、改めて国家による為替介入には限界がある事を実感させられた事例だ。昨今は業者も投資家も以前にも増して想定外に備えたリスク管理の必要性を切に感じる。


ダミー

さて週末の日経紙では「外為予想商品トラブル増」と題して、超短期の外国為替相場の上げ下げを予想する金融商品を巡っての消費者トラブルが急増している旨が載っていた。特に今年6月以降に急増したのはバイナリーオプションの類で、金融商品取引業の登録が無い海外事業者のサービスが共通しているという。

しかし「何故騙される?」として海外FX詐欺を取り上げたのがつい先月、この時は4〜6月の相談件数が1〜3月期で約4倍になった旨を挙げたが、この直後から今後はバイナリーが急増したという事になる。あまりにベタな手口とはいえとはいえ、FXの時もそうであったようにこれと全く同じ光景が懲りない面々で繰り広げられているということになる。

FXといい、バイナリーといい規制モノに商機?とばかりに悪い輩が群がる構図だが、海外事業者とはいえヤッツケ仕事のHP等見てみると、国内で展開する如何わし系と同様にこれを隠れ蓑にし実質的には日本人が絡んでいる場合も多い可能性が見受けられる。相談者の8割が20〜30代というが、以前も書いたように鼻が利きそうな若手がいとも簡単に釣られてしまうあたりが非常に残念である。


何故騙される?

本日の日経紙には「投資詐欺の相談30代急増」として、金融庁が4〜6月に受けた投資詐欺に関する相談や情報提供の件数が特に30代で増え、1-3月期の約4倍になった旨の記事が載っていた。

内訳としては、海外FX会社に自ら口座開設し入金した後に出金できなくなる被害や、また投資詐欺全体では「無担保転換型新株予約権付社債」などの商品を語る勧誘が増えたというが、前者はシステムトレード系商材からの誘導というパターンが多いだろうか?昨今ではEAなんぞと名称はスマートになっているがモノによっては一昔前のインチキ投資顧問会社とその中身は殆ど変らない。

外側からその実績を見る限りではそれこそ凄いと感心してしまう時もあるが、内側から見るとそれこそ手品の種明かしのような稚拙さでほとんど笑ってしまうような手法なのだが、免疫が無い向きはこういった類に面白いほど引っ掛かってしまう。しかし高齢者なら兎も角も、鼻が利く30代が釣られてしまうあたりが一寸意外で金融リテラシーは依然進化していないようにも感じる。


税制が鍵

本日の日経紙夕刊FXウォッチには「大証FX10月に休止」として、取引所FXの税制面での優位性がなくなったこともあって今年10月にこの大証FXを休止にする旨が出ていた。この辺は年明けにも既に触れているが、取引所FXとして東京金融取引所「くりっく365」に次ぐ2番目として最初に当欄で取り上げたのは2009年7月のことであった。

他とは違って板表示などユニ−クな点もあって他投資家層も馴染み易いかとも思われたが、果たして5年は早いか遅いかあれから環境も変わり当初の目論み相違の部分も多かっただろう。今回の休止理由には成長分野ではないとの見解も出ていたが、金融庁の取引所デリバティブ損益通算拡大範囲構想も睨んでの仕切り直しとの見方も一方である。

今回の休止に至った主因が申告分離課税の範囲拡大なら、総合取引所のデリバティブ取引の損益通算案もまた復活のカギとなるのかどうか、税制を巡る各所の思惑にはまだまだ要注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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