3ページ目   外国為替

何故騙される?

本日の日経紙には「投資詐欺の相談30代急増」として、金融庁が4〜6月に受けた投資詐欺に関する相談や情報提供の件数が特に30代で増え、1-3月期の約4倍になった旨の記事が載っていた。

内訳としては、海外FX会社に自ら口座開設し入金した後に出金できなくなる被害や、また投資詐欺全体では「無担保転換型新株予約権付社債」などの商品を語る勧誘が増えたというが、前者はシステムトレード系商材からの誘導というパターンが多いだろうか?昨今ではEAなんぞと名称はスマートになっているがモノによっては一昔前のインチキ投資顧問会社とその中身は殆ど変らない。

外側からその実績を見る限りではそれこそ凄いと感心してしまう時もあるが、内側から見るとそれこそ手品の種明かしのような稚拙さでほとんど笑ってしまうような手法なのだが、免疫が無い向きはこういった類に面白いほど引っ掛かってしまう。しかし高齢者なら兎も角も、鼻が利く30代が釣られてしまうあたりが一寸意外で金融リテラシーは依然進化していないようにも感じる。


税制が鍵

本日の日経紙夕刊FXウォッチには「大証FX10月に休止」として、取引所FXの税制面での優位性がなくなったこともあって今年10月にこの大証FXを休止にする旨が出ていた。この辺は年明けにも既に触れているが、取引所FXとして東京金融取引所「くりっく365」に次ぐ2番目として最初に当欄で取り上げたのは2009年7月のことであった。

他とは違って板表示などユニ−クな点もあって他投資家層も馴染み易いかとも思われたが、果たして5年は早いか遅いかあれから環境も変わり当初の目論み相違の部分も多かっただろう。今回の休止理由には成長分野ではないとの見解も出ていたが、金融庁の取引所デリバティブ損益通算拡大範囲構想も睨んでの仕切り直しとの見方も一方である。

今回の休止に至った主因が申告分離課税の範囲拡大なら、総合取引所のデリバティブ取引の損益通算案もまた復活のカギとなるのかどうか、税制を巡る各所の思惑にはまだまだ要注目である。


先手と出方待ち

本日の日経紙一面には「FX取引 円・ドル4倍」として急速に進行している為替相場の円安・ドル高を受けて個人投資家のFX取引が、日銀新総裁が大規模金融緩和を決めて以降の1日あたりの売買金額が前年平均の約4倍に膨らむなど急拡大している旨が載っていた。

斯様な取引高増加と言えば証券の如くこちらの業界も笑いが止まらないイメージではあるものの、一方では月内に自主規制団体である金融先物取引業協会などは不透明な価格形成を規制する指針を月内にも打ち出す方針となかなか浮かれムード一色というわけではなさそうだ。

この自主規制といえば先月はバイナリーオプションにおいて、予想する期間が2時間より短い商品は提供を禁ずるなど予想期間や1日あたりの取引回数を規制し、顧客の資産に応じ投資出来る金額に上限を設ける等の自主規制案もまとめられている。

この手の「射幸心」関連とされるものは昨今は自主規制を先手先手で打つ傾向になってきているが、その後はけっこう明暗別れる傾向もまた鮮明でこの辺はまた注視しておきたいところ。


両建賛否両論

さて自民党総裁の派手なリップサービスで順調に円安が進行してきたがここへきて本日は午前中の下落も一服で揉み合いとなっていた。同総裁の発言トーンを巡ってまだまだ思惑含みとなりそうで、今後もその実効性を見極める事になりそうだがそういえばFXマーケット絡みでは週初の日経紙夕刊で「両建て」について触れていた。

何とも懐かしく?なってきた用語だが、今では商品で基本禁じ手となったこの手法、当初はFXも難しかったものだがけっこう個人レベルでも生き残っているものだ。単純に見れば一時凌ぎの追い証や損失拡大回避という大義名分のもと手っ取り早く手数料が刈り取れる便利な性格上裏を返せば顧客には負担が掛かるもので、腕に覚えのある向きが税金対策や優待取りで使う意外理論的に見ればそのメリットは無いというのが一般論か。

ただ、この同紙に書かれていたので印象的だったのは「含み損か実現損かで個人投資家の心理状況は大きく違う」との一文。この例では含み損であったが、逆に含み益を両建で温存する向きも居るなど一般的投資家の特異な属性というものも見え隠れしてくる。この辺は難平などもまた同様の問題が被る部分もあるが、専業でなく個人目線で論じている限りそもそも賛否平行線だろうか。


その境界線

さて、今週一寸目に留まったニュースといえば一昨日の日経紙「はや耳」に「急増の二択型FX 業界が自主規制へ」のタイトルで、相場の方向感や到達水準を予想して投資する二択型FXの自主規制にFX(外国為替証拠金)取引業界が自主規制に乗り出すという記事だろうか。

一般にも極めてわかり易く小額でエントリー出来る取引だけに、同紙によれば4〜6月期の売買高は1,613億円と前年同期の11倍に急増するなどここ急速に広まった感もあったが、例のコンガチャ問題以降は既にこの二択系も規制は時間の問題と春先くらいから実しやかに噂が絶えなかったものだ。結局コンガチャに倣え(習え)ということで、やはりというか早めに手を打ってきた感が強い。

しかし、ギャンブル性が強いとはいうものの実際のところこれらの境界線は何処にあるのだろうか?よく相場予測論で期間が長くなればなるほど予測する事自体がナンセンスとの話があるが、そういった観点からはこの手が一番理にかなっているとの解釈も出来よう。射幸心という絡みではそれこそ手数料を無料にしたりするマル信の日計りもそうであるし、ワラントや果てはオプションまで取り方によっては射幸心を煽る要素は多大である。

根底に内部で刈るというような操作性の疑義が生じるものがある問題であればきつい規制は当然だが、資金流出が相次ぎ腰を据えた投資家が殆ど見当らなくそれこそ長期投資などというのが死語になりつつある昨今、投資・投機は軽薄短小化してきたのは時代の流れではないだろうか。そんなところへ規制好き?な本邦の土壌が絡み出る杭は打たれ再縮小というスパイラルな流れがパターン化しつつあるが、リクイディティの芽そのものまで摘み取ってしまうようなことの無いような采配が求められようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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