甘くない今年のケーキ

早いもので師走入りとなったが、昨年のこの時期は風物詩でもある街のイルミネーションもメジャーなところが中止になったり飲食店の時短に合せ早めに終了と寂しいモノとなったが、今年は新型コロナウイルス対策の時短要請解除もあってか表参道で2年ぶりにイルミネーションが復活し、丸の内から日比谷ミッドタウンにかけてもそれはもう煌びやかなイルミネーションが復活している。

斯様な光景を見るに月末のクリスマスに向けての各所も諸々の商戦期待が高まるというものだが、今年は原油価格の約7年ぶりの高騰に伴う燃料高が長期化しガソリンはもとよりクリスマスに大活躍する冬の味覚イチゴにまで影響が及んでいる。身近なところでイチゴ農家を営んでいる者が居るが、この時期ハウスに用いる燃料費が爆上げなうえにハウス周りの資材費もこれまた原油高で頭が痛いところとか。

イチゴだけでも斯様な状況のところに、周知の通り小麦粉や乳製品も値上げされそれ以上にグラニュー糖など糖類も値上がり著しくこれらから成る最もポピュラーなクリスマスケーキも今年は甘い香りも吹き飛ぶ思いという。もう一つ、クリスマスといえばチキンだがこちらもコロナの影響による人手不足などで輸入物が絶望的となりクリスマスに向け業者間で争奪戦になっているという。

斯様に各種製品の相次ぐ値上げで民間消費もこの書入れ時に冷え込んでしまう恐れがあるが、先月発表になった企業物価指数も上記の通りの原油高や世界的な供給制約を背景にして約40年ぶりの伸び率となっており、消費財への波及が焦点となるなか企業収益への影響もまた懸念されるこの師走である。


金の卵?

さて、昨年のオンライン中心から店舗販売が本格的に復活した今年の米ブラックフライデーだったが、今年の売れ筋商品はマイクロソフトのXboxなど主力商品と並んでメタのVRヘッドセット「オキュラクエスト2」が新たな注目商品となった。今後様々な分野で成長が期待されるメタバースだが、これを体験するには必須アイテムであるこれらが今後も注目されそうという。

慣れ親しんだフェイスブックという社名をメタと言えるようになるまでまだ少し時間がかかりそうだが、デジタル世界と現実世界の境界線を打ち壊すこの分野に注力する同社の意気込みは想像に難くなく、マーケットの方もこれを受けてまだ手探りで焦点が絞られないままに拡大解釈から幅広い銘柄に物色の矛先が向いている感がある。

それもそのはず、教育、医療分野、遠隔会議からエンターテインメントやゲーム、また最近取り上げたNFTアート等々今後何れが金の卵となるのか現段階では誰も確かめる術がないところ。直近でも凸版印刷がメタバース上でサービスを運用する企業向けに1枚の写真からリアルな3Dアバター、メタクローンTMアバターを自動生成出来るサービスを発表しているが、何れにせよ世界のIT大手が本腰を入れるこの日進月歩の市場で今後日本の企業がどうやって存在感を示してゆけるのかが課題になりそうだ。


オミクロンバブル?

周知の通り南アで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」だが、WHOは早々にVOC(最も警戒レベルが高い懸念される変異型)に分類することとなった。緊急事態宣言が全国で解除され、客や旅行者が徐々に回復しつつあった飲食店や観光地も水際対策の強化で再度冷や水を浴びせられた格好になる。

当然ながらマーケットも典型的なリスクオフ相場ということになり先週末に続いて週明けの日経平均も大幅続落の憂き目に遭っていたが、この辺は暗号資産もまた然りで代表格のビットコインなど先週末には8%超の下落を演じていた。そんな中でこれまで殆ど表舞台に立った事の無い暗号資産「オミクロン」が、その名が今回の変異株と同じという話題性だけで26日の約70ドルからその2日後には700ドル超と10倍以上の大化けを演じていた。

まるでネトフリの人気ドラマ、イカゲームのブームに乗った詐欺的?なイカゲームコインの異常な急騰を彷彿させるが、まさに暗号資産マーケットのバブル的状況を示す非合理性の最たるものともいえる。何れにせよ来年早々には北京五輪も控えこの辺にも影響してくるのか否か先ずはこの変異株の明確なデータ待ちというところだろうか。


企業とジェンダー

さて、今年の9月に当欄では歌手の島谷ひとみ氏が新型コロナウイルスの抗原検査サービスを手掛ける非上場の株式会社Checkの社外取締役に就任した件を取り上げた事があったが、先週は女優のいとうまいこ氏が不動産テック事業を展開する株式会社タスキの社外取締役に就任する見通しとの報道があった。

こちらは昨年マザーズに上場した企業となるが、女優の上場企業社外取締役といえば東証一部の不二家の社外取締役に就任した酒井美紀氏も記憶に新しいところ。有名人の社外取締役就任は斯様に話題にはなっているが、過日の日経紙では女性や外国人の取締役が主要上場企業の5割で入っていないなど上場企業で取締役の顔ぶれの多様化が遅れている旨の記事が一面を飾っていた。

同頁には欧米では主力の指標となっている米S&P500株価指数や英FTSE350種総合株価指数の構成企業で女性取締役の居ない企業は無く、いずれも取締役総数の3割を女性が占めている旨が書いてあったが、ジェンダーに関する配慮がビジネスにおいてもはや常識となっている証左で本邦との差が浮き彫りになっているだけに今後も世界標準に倣う動きが一層促進されて来ようか。


2021年度 商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う商品先物取引会社を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、22年目となる本年2021年度は10月末時点のデータを対象とし、11月29日(月)〜12月10日(金)の2週間で実施いたします。

▼2021年度 商品先物ネット取引データアンケート調査概要

11月29日(月)に11月時点で商品先物ネット取引を行っている取引会社【10社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月下旬に全データを公開予定です。

尚、アンケート項目などは以下の通り。

【取引データアンケート調査内容(主要項目)】
※全て一般顧客からの受託を対象としたアンケートとなります。

1. オンライン取引 口座数:口座(2021年10月末現在)
10月末時点でのオンライン取引総口座数(証拠金の預託されている口座数、否累計口座数)。
2. オンライン取引 実働口座数:口座(2021年10月末時点)
上記総口座数のうち10月末時点で建玉のある口座数
3. オンライン取引部門 預かり証拠金総額:円(2021年10月末時点)
10月末時点でのオンライン取引部署預り証拠金総額。
4. オンライン取引部門 月間売買高:枚(2021年10月度)
10月度のオンライン取引による月間トータルの売買高
5. 一日あたり平均注文件数:件(2021年10月度)
10月度取消し・不成立なども含む一日当たりの平均オーダー件数
6. 一日あたり平均約定件数:件(2021年10月度)
10月度一日当たりの平均約定件数(取消し・不成立などは除く)
7. 自社オンライン取引サービス内容の確認・修正など
自社サービス内容について記入、及び追加・修正ください。

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


急展開二様

さて、本日に予定されていた新生銀行の買収防衛策の発動の賛否を諮る臨時株主総会だが、直前に突如としてこれを中止するという突然の幕切れとなった。およそ2割を保有する政府が発動に賛成しない方針と伝わっていたのが背景にある模様だが、銀行初の敵対的TOBは幕切れという事になりSBI傘下入りの公算が大きくなった。

TOBといえばもう一つの注目案件、H2O傘下の食品スーパー2社との経営統合を巡る関西スーパーマーケットの方は、一度はTOB提案を取り下げたもののこれに疑義ありとし食品スーパーのオーケーが差し止め請求していた件で神戸地裁は今週はじめにこの訴えを認める仮処分決定をしている。前回取り上げた際に司法に委ねられる事になると先行きは混沌と書いたが、一先ず司法が待ったをかける事態となった。

司法が介入し仮処分決定となったケースは過去にも三菱UFJ等のメガバンクやライブドアとフジテレビの戦いでも記憶に新しいところだが、ともあれこれを受けて昨日の株価の方は差し止め請求と伝わった翌日に続く2度目のストップ高を演じ、今後はこの状況下でホワイトナイト探しに走るのかはたまたH2O側もTOBに切り替えるのかどうかというところか。

しかし新生銀行も複数の議決権行使助言会社からお墨付き?をもらい、一点の曇りも無く全く問題無いと主張してきた関西スーパーマーケット共々絶対の自信を表明していただけに当事者としてはとんだ誤算の展開だろうが、何れにしろ公的資金が絡む前者も今後いかに企業価値を上げられるか、また後者も如何に株主の承認を得られるかが焦点となって来るか。


2021年度 商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う商品先物取引会社を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、22年目となる本年2021年度は10月末時点のデータを対象とし、11月29日(月)〜12月10日(金)の2週間で実施いたします。

11月29日(月)に11月時点で商品先物ネット取引を行っている取引会社【10社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月下旬に全データを公開予定です。

どうぞ宜しくお願い致します。


FridayからMondayへ

さて、今週金曜日に本番を迎える大型商戦「ブラックフライデー」を前にネット系大手など先週からいち早くこれをスタートさせていたが、イトーヨーカドーやイオン等の大手も新聞の折り込みチラシなどでこのブラックフライデーを全面にPRしている。セール内容として特にこれといった目新しさは無いものの、米国のシーズンセールに倣って名前だけでも乗ろうかというこの商戦も今年は出足から好調な模様だ。

上記のイトーヨーカドーなど去年の2倍となるセール商品をラインナップし、発祥といわれる玩具のトイザらスのアクセス待ちは一時45000人にも達しスタートから1時間の売れ行きは去年の数倍以上にも達するなど購買意欲の高まりを感じるものとなっている。背景にはコロナ禍の緊急事態宣言でこれまで叶わなかった消費熱が、ブラックフライデー等の大々的セールを機に購買意欲が刺激されている事など所謂リベンジ消費に因るところが大きいか。

このブラックフライデーの本場、全米小売業協会の年末商戦の予想では過去5年平均の約2倍以上の伸びが見込まれている模様だが、このブラックフライデーが終れば今度は12月のサイバーマンデーが控える。これらホリデー商戦の行方を占う試金石となるだけに先ずはその動向に注目というところか。


二つのレガシー

さて、先週末の日経紙地方経済面では「五輪閉幕後も広がる輪」と題し、東京五輪・パラリンピックで活躍したボランティアが大会後も活躍の場を広げ、ホストタウンだった自治体も独自の登録制度を続けるなど五輪で生まれたボランティアの輪をレガシー(遺産)にしようとしている旨の記事があった。

ところで東京五輪・パラリンピックのボランティアに絡んでは、一方で道案内を担うはずだった都市ボランティアのユニホーム約2万8千人分が余っていた事も同じ日の日経紙が報じている。大会の延期やコロナ禍での事態が相次いだ事が背景になっているが、税金で購入されたその調達額は全体で17億円超となっており各所でこの活用法に苦慮している模様だ。

さて宴の後のナントカではないが更に大きな問題としては、世界にお披露目を果たした総額約1600億円もの公金を投じて新設された国立競技場もこれから年間24億円もの維持費が現実問題として重くのしかかる。これ以外にも各選手が大活躍した東京アクアティクスや有明アリーナなど、東京都が約1400億円もの巨費を投じて新設した計6か所の恒久施設も辛うじて黒字が見込める有明アリーナを除いては赤字運営の見通しという。

一般に五輪の開催国負担は重大災害に匹敵するといわれているが、今回の東京五輪もコンパクトを謳った割には誘致当初の見積もりから実に3倍近い増額という結果になった。華々しい選手の活躍を改めて思い出す頃、冒頭の通り五輪で生まれたボランティアの輪をレガシーにしようという動きの裏で斯様な負のレガシーともいえる問題も現実化してくる。


商戦に波紋

毎年この時期になると彼方此方の旅館から届くDMにはカニを謳ったプランが増えて来るが、今年のそれは昨年の同等モノから比較するに総じて値上げが目立つ。それもそのはずここから正月に向けてカニは最需要期を迎えるワケだが、世界的に資源量が不安定になっているところへ今年はコロナ禍のステイホームから世界的な需要増加で輸入価格の高騰が続いている模様だ。

上記の通り日本は北米やロシアからズワイガニやタラバガニを輸入しているが、主力のロシア産ズワイなど某卸業者では昨年11月から今年の価格は1.7倍に高騰しているといい、また日本海のズワイガニも漁獲枠の減少と共に値上がり傾向にあり国内でも石川県のカニは約10年で漁獲量が半減しその単価は2倍に跳ね上がっているのが現状という。

ところでカニと並んで年末年始に需要の高まるウニやイクラだが、今年は北海道で水温上昇やかつてない赤潮発生の影響でウニや鮭が大量死しその仕入れ値は約2倍にも跳ね上がっている。カニ、ウニ、イクラと高い原価率で提供している大手回転寿司などさすがに一部5割の大幅な値上げに踏み切っているが、暑さの残る時期から既にネット等で予約を開始している百貨店のおせちやお歳暮など価格転嫁は不可能でドル箱の物産展なども含め波紋の広がりは想像に難くない。


地銀の選択その2

昨日迄で上場地方銀行の2021年4~9月期の連結決算が出揃っているが、日経紙では集計が可能な76行・グループのうち65行の純利益がコロナ禍で急増したゼロゼロ融資の利息収入や歴史的低水準の倒産件数等も背景に前年同期比で増加、合計の純利益は39%増の5079億円となり2期ぶりに増益基調に戻ったと報じられている。

ところで地銀といえば先月に当欄では「地銀の選択」と題し、東証再編における地銀のプライム市場の選択の是非について触れた事があったが、本日の同紙金融経済面では「東商再編 地銀、割れる判断」と題しこの東証の新設市場移行を巡って地銀のなかでも判断が割れている旨の記事があった。

大半は最上位のプライムを選択している模様だが、身の丈に合ったマーケットという事で早々にスタンダートを選択する向きあり、12月末の選択申請期限を前に様子見を決め込んでいる向きもある。前回は末尾で地域の中核企業としての看板の意義がこの選択を巡って改めて問われるかと書いたが、ハードルのクリヤを視野に再編促進を指摘する向きもあるなか各行の動向には引き続き注目しておきたい。


脱コングロマリットの波

さて、先週米GE(ゼネラル・エレクトリック)は会社を航空機分野、ヘルスケア分野、エネルギー分野の3月の事業に3分割しそれぞれを上場させる計画と発表。同社は事業のリストラを進めており今年航空機リース事業を売却し、金融事業からの撤退も決めているが、会社の分割で焦点を絞る事で投資が適切に配分されるとし、複合経営に終止符を打つことで企業価値を高める狙いとみられる。

ところでこのGEとほぼ時を同じくして東芝も本体とグループで手掛ける事業をインフラ分野、デバイス分野、半導体メモリー分野の主要事業ごとに3つに分割し、それぞれが上場する方針を検討に入った事が9日付日経紙一面でも大きく報じられ、先週末にはこの分割案が会社側からも正式に発表されている。

東芝といえばかつて2部落ち?に遭った黒歴史があるが、冒頭のGEもあの発明家トーマス・エジソンを源流とする老舗企業ながら18年には米の代表指数であるダウ工業株30種平均の構成銘柄から外される憂き目に遭っている。GEは投資家からの圧力を受けて会社分割を決定したわけではないとしているが、海千山千のアクティビストが犇めく東芝はどうなのだろうか?

ともあれこれが現実化となると140年以上の歴史を誇る巨大企業が事実上の解体?に向かう事になるが、本邦のガリバー的上場企業では初の事例となる。米ではGEに続き直近でもJ&Jが会社分割を発表するなどコングロマリット経営が日米で節目を迎えている。斯様に世界的な趨勢という事もありこれらの件が今後別の複合企業で分割が進む起爆剤となるのかどうか注目しておきたい。