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中国版PKO

昨日の日経紙総合面には「中国、追加の株価対策」と題し、中国証券監督管理委員会が上海総合指数の低迷が続く自国の株式市場にて株価テコ入れの一環としてこれまでも上場企業の大株主等の保有株売却の制限をしてきたが、“空売り”を制限するため譲渡制限株式の貸し出しを昨日から全面禁止にする旨が出ていた。

上海総合指数といえば2015年の急落がいまだ記憶に新しいが、この時の株価対策といえば国家ファンドが2400億ドル相当を投じたと伝えられたが株価下落の勢いを止めることは結局出来ずほぼ失敗に終わった経緯がある。この度の低迷時も先に政府系ファンドによるETFの購入などが画策されたが、これまた効果が出ないままにこの度の追加措置に至ったという感じか。

これら以外にも約2兆元にものぼる市場安定基金などの活用論も一部で報じられていたが、昨今の本邦株式のバブル崩壊後の高値更新云々等の報道を見るに連想してしまうのがこのバブル崩壊後1990年代のPKO(Price Keeping Operation)なる経済対策か。昨日はトヨタ自動車が歴代最大の時価総額となった旨を買いたが、おりしも今月に入って東証の時価総額は上海証券取引所を上回っている。

約3年半ぶりのアジア首位への返り咲きだが、当の上海に上場している日経ETFや米国株ETFの価格が異常人気で実際の基準価格より大幅に上回るイレギュラーな状態により売買が一時停止にまでなっている。予てより中国は日本と同じ轍を踏まぬよう研究し当局が対策を講じるとの記事を度々目にして来たが、日米のETFに大挙して流れ込む逃避資金を見るに当局に対する信頼度の一端を見た感もする。


時価総額歴代最大

本日の日経平均は前週末の急反落の反動で急反発となったが、年明けから堅調な株式市場のなか次々に時価総額大台替えの企業が出てきている旨を先に書いた。そうした中で先週にはトヨタ自動車の時価総額が終値ベースで48兆7981億円となり、バブル期の1987年にNTTが付けた48兆6720億円を上回って日本企業で歴代最大を記録している。

ところでNTTの株式といえば抽選に当たりワクワクしながら上場初日を見守ったのが懐かしく思い出されるが、当時の時価総額ベストテンの顔ぶれといえば首位はこのNTT、そして2位は東京電力、3位は住友銀行、4位は日本興業銀行、5位は野村證券、6位は第一勧業銀行、7位は富士銀行、8位は三菱銀行、9位は三和銀行、そして10位は三菱信託銀行と3位以降は全て金融機関が占めていた。

こうして見ると2位だった東電は東日本大震災を経て今や本日段階で141位に、またベストテンのうち統廃合や株式移転等を経てその名が株式市場から消えているモノが実に7つと時代の流れを感じるものだ。さてその辺は兎も角も、歴代最大更新とはいえ米市場などと比較するに本邦とその圧倒的な規模の違いをまざまざと見せつけられるものだ。

先週など米マイクロソフトの時価総額が一時3兆ドルを突破しアップルに次ぐ2社目となった事が報じられていたが、トヨタ自動車は実にこれの約9分の1に過ぎない。しかしながら同社も利益率の高いハイブリッド車の拡販余地に加えグループでの持ち合い解消など潮流の変化が見られ、斯様な化学変化が起きつつある株式市場で今後の日本企業の成長加速には大いに期待したいところだ.


株価も客単も開園来高値更新中

さて、今週はUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の人気アトラクションであった「スパイダーマン・ザ・ライド」が20年の歴史に幕を下ろしている。同アトラクションは今からちょうど20年前の2004年1月に誕生、2014年のリニューアルを経てのべ1億人以上が楽しんだ人気アトラクションで最終日の一昨日は一時4時間待ちとなる場面もあったとか。

人気テーマパークの人気アトラクション終了といえば、この西のUSJに対して東の東京ディズニーランドでもあの「スペース・マウンテン」が今年の夏に終了する。昨年4月には東京ディズニーリゾート40周年を書いたが、この開園当初からある目玉アトラクションでNASAの宇宙飛行士がコンサルで参加するなど当初から屋内型では筆頭格の話題性のあるアトラクションであった。

双方共に発展的解消というワケだが、TDRはこのスペース・マウンテン終了を前にして過去最大のエリア拡張となる「ファンタジースプリングス」を開業し、併せて最大で通常価格の約3倍にもなる新チケットを投入する。新エリア内の特定ホテルの宿泊者向けという事もあってチケット獲得コストは軽く4万を超えてくる計算だが、改めて一昔前を思い起こすにフラリと園に出向き入口にて1人5千円でお釣りのきたチケットを買って楽しめた時代が懐かしい。

時を経て年間パスポートも販売中止となり、またファストパスも休止となり、近年顕著なのは上記の通り価格転嫁姿勢への舵取りが鮮明となっていることだが株価の方は今月に上場来高値を更新、既に数年先の業績まで織り込んでいると一部指摘もある。昨日は40周年の新作記念グッズ目当てに今まで見た事もないような行列が出来た様子が報じられているが、さていつまで覚醒させずに夢を見続けさせられるか株価共々この辺に懸かっているといえようか。


マック上場来高値更新

周知の通り、今日からマクドナルドは単品を中心とした約3分の1の商品の税込店頭価格を10円~30円値上げしている。ザッと主なものを挙げればテリヤキバーガーは370円から400円に、フィレオフィッシュも同じく370円から400円に。ダブルチーズバーガーは400円から430円に、そしてみんな大好きビッグマックも上がる。

去年1月に約8割のメニューの値上げに踏み切ったマックだが、このビッグマックなど去年1/15まで410円であったものが450円になり、そして今回は480円と1年で70円も上がったワケだ。かつて100円もしないコカ・コーラにそのおまけで今や200円近くするマックのハンバーガーやフライドポテトの無料引換券が付いていた時期が嘘のようだ。

しかし今月のマックはファンにとっては“泣きっ面に蜂”ともいえる改変が多い。この値上げに先駆けて今月は定期的な商品ラインナップの見直しとして、人気のあったスパビーやビッグブレックファスト、ホットティー等の商品を販売終了にしているほか、dポイントや楽天ポイントのサービスも終了になってしまった。

とはいえ株価の方は先週に上場来高値を更新、昨年は客数が減少したものの客単価の伸びでこれを吸収出来た経緯があり、今回の値上げでも十分これを吸収出来るとの見方が背景になっている模様だが、個人では優待目当てが多いこの株式についてもまた優待条件が昨年末から継続保有期間の新設により厳格化しており、この辺が今後ジワリと影響してくるのかどうか引き続き見ておきたい。


マグニフィセント・セブンの独壇場

米S&P500は先週末に約2年ぶりに史上最高値を更新し今週に入ってもダウ共々これを更新してきている。緩やかな景気拡大が続くというゴルディロックス(適温)経済への期待が背景にもなっている模様だが、TSMCの強気の業績見通しを受けてもとより相場を下支えしてきたエヌビディアなどのテック株が上昇をけん引した側面も大きいか。

昨年は24.2%の上昇を見せたS&P500だが、個別ではやはりアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・メタ、エヌビディア、テスラの所謂マグニフィセント・セブンの大化けが目を惹く。中でも主力である上記のエヌビディア等は約3.4倍、メタは約2.9倍、テスラは約2倍に、その他いずれも概ね5割以上と本体の指標をアウトパフォームしている。

もっと長いスパンでみると例えば仮に10年前にこれらにパッケージで投資していたとしたら実に39倍の大化けを演じており、同様にS&P500のETFに投じていたら現在は約3倍でありその差は歴然である。斯様にマーケットを牽引してきた騰勢が今年も継続されるかどうかだが、高い増益率の維持や飛躍的拡大が見込まれるAI需要を背景に引き続き高パフォーマンスに期待する市場関係者は多く、新NISAの資金が挙ってこれらに傾斜するのも致し方の無いところか。


リキャップCBの功罪

先週末の当欄では東証による資本コスト経営への対応を開示した企業の公表がスタートした旨を取り上げている。この資本効率改善を目指し各社鋭意取り組んでいるのが代表指標のROEを上げてゆくこと等だが、この辺に絡んでは先週末の日経紙投資情報面で「タダでは済まぬリキャップCB」と題し、この向上の為の手段としてリキャップCBが昨年は一昨年から5倍に増加した旨の記事が出ていた。

このリキャップCBなるもの、当欄でも昨年の春頃にアベノミクス時代に自社株買いの見せかけ実績に多用された旨を書いていたが、企業はコストの最小化を図れるうえにCBも或る程度安定した需要が想定されることでまことに都合の良い手段にも見え当時は実施企業の株価も代表的な指標から軒並みアウトパフォームしたものであった。

ただ年を経るごとに投資家の懸念は潜在的な希薄化の方に移ったこともあり近年では実施企業の株価パフォーマンスが冴えないのも事実。バランスシートの構成を変えることで手っ取り早く資本効率を改善出来るシロモノだが、CBを中心とするアービトラージャーなどの輩がこれを恰好の食い物にしているといった話も聞こえてくるに再度増加の兆しを見せている昨今、企業側の一層の金融リテラシーもどこかで要求されようか。


改革取り組み公表スタート

東証は既に昨年の春に資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請しているが、こうした取り組みを開示している企業の一覧表を開示済みとして今週から公表がスタートしている。今回は初回で昨年末時点の報告書に基づいて集計したものだが、検討段階である場合は検討中と付記するように求めている。

日経紙では昨年7月時点の集計でプライム市場上場企業では開示済みは31%だったというが、この資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応策を発表した企業数は9月までは10社未満であったのが11、12月は25社超えと年末に急増傾向になっていて、対応策の中には増配や自社株買いなどの株主還元方針を引き上げといった施策を打ってくる企業も散見される。

初回では開示済みだったのはプライム市場で約40%にあたる660社であった一方でスタンダード市場は約12%の191社と消極姿勢が目立つが、このポストでなくとも高PBR企業の中には指標に胡坐をかいて開示が進んでいない向きも一部見受けられる。改革への取り組みは株価にもパフォーマンスの差として表れてきているだけにこうした企業でも株主等からのプレッシャーはかかり易く、株主総会に向けてこの改革が緊張感のあるものになってゆくのは想像に難くないか。


大台超えに仲間入り

さて、昨年は日経平均が33年ぶりの高値を更新するなどの株高のなかで個別でも時価総額が節目となる1兆円の大台を超えた企業が、此処でも取り上げたOLCとねじれの京成電鉄など含め165社に達し22年末比で約2割増えることとなった。そしてさらにハードルの高い5兆円大台をクリヤした企業もまた32社とこれも過去最多となっている。

今年も時価総額の更なる増加に期待がかかるというものだが、周知の通り年明けからも日経平均は好スタートを切り1兆円、5兆円よりさらに狭き門の10兆円の大台に乗って来るプライム企業も出てきている。先週10日には任天堂が10兆円を超える場面があったが、ゲームで育てた豊富なコンテンツを武器にIPビジネスでは他の追随を許さない強味が光った一例だろうか。

そしてこの翌日11日には伊藤忠商事の時価総額も初めて10兆円を超え、総合商社では三菱商事に次ぐ2社目となった。総合商社といえばあの著名投資家のウォーレン・バフェット氏による買い増しの報で昨年は各社ともその水準を一段引き上げることとなったが、商社の中にあって非資源分野が強く最も収益安定性見込めるところが買われる格好になっている。

ところで昨年はカタリストとして東証が資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応などに関する要請や、経産省も企業買収における行動指針が出たりしたが、こうしたことによってTOBやMBOなども急増し企業の事業再編など加速してきた。こうした変革の波は今年も続くとみられ今後もその結果順次大台替えを達成してくるであろう向きには引き続き注目としたい。


悲願のETF承認

ビットコインの現物ETFを巡っては当欄でも度々取り上げてきたが、先週にSEC(米証券取引委員会)は、同ETF上場を申請していた米運用会社大手ブラックロックやフィデリティ、アーク・インベストメンツ等の10本をはじめ、グレースケール・インベストメンツが求めていたビットコインで運用する未上場投資信託のETF化も認めている。これまで20軒以上の申請が却下されてきただけに悲願だった関係者の想いもひとしおだろうか。

そういえば上場承認の前にはSECのX公式アカウントがハッキングされ「同ETFの申請を承認した」との偽情報が流れ、当のビットコイン相場は急騰した後に急落する乱高下の憂き目に遭っていたが、はたして初日の取引額は今後半減期も迎えるだけに合計で45億ドルを超え早くも次期期待からイーサリアムなども2割近く上昇する場面も見られた。

ビットコインはデジタルゴールドとも言われているが、ゴールドといえば金ETFがNYに初めて上場した時はこれをポートフォリオに含めるハードルが下がり金需要を高めるまでになったが、このビットコインETFがその先例である金ETFに匹敵し暗号資産業界に大きな変化をもたらす可能性のあるモノになるか否かは未知数。とはいえこの時同様に投資家のハードルは一気に下がる事になるだけにどの程度彼らを呼び込めるかがキーとなって来るか。


経営者が占った2023年

今年の株式市場は能登半島の被災者に捧げる黙とうで始まり、取引の鐘も鳴らさないという異例の大発会で3日続落でのスタートとなったものの、先週は2,000円以上も値を上げ週明けの本日も続伸し5営業日連続でバブル後の最高値を更新、約34年ぶりの高値水準と辰年らしい登り龍の様相となっている。そこで今年もまた新春恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズで株式市場を振り返ってみたい。

昨年の日経平均の高値予想平均は31,200円でその時期は9割以上の向きが10~12月との回答であったが、時期は大方の予想通りとなり値段も予想平均を2,600円以上上回る好パフォーマンスとなった。一方で安値平均予想は25000円台でその時期は3月を挙げる向きが多かったが、こちらは結局大発会が安値となったことで平均25,000円台に当て嵌まった格好になった。

今週の日経紙投資情報面では「注目銘柄2024」と題し、個別の有望銘柄を順に取り上げているが、こちらの1位に昨年選ばれたのはソニーG、一昨年は3年連続でトップに選ばれながらも40%以上の下落の憂き目に遭ってしまったが、昨年は大発会の10,120円から6月高値の14000円台示現まで約40%の上場と面目躍如となった。

さて今年の経営者各氏の予想はというと、日経平均高値の平均は約37,900円で年末高を予想する各氏が多く、安値予想の平均は31,250円でこちらは逆にその時期は1~3月を挙げる向きが多かった。有望銘柄は3年連続トップだったソニーGが4位に沈む一方で昨年2位だったダイキン工業が今年はトップに。昨年3位だったトヨタ自動車も5位に沈んでいる。

また今年は日経平均の史上最高値を塗り替える予想を挙げる経営者も散見されるのが印象的だったが、証券会社団体の年初の集いでは野村、大和、SMBC日興の大手三社のトップが揃って4万円台の大台を示し万年強気にも一層拍車がかかっていた。ただ昨年は東証のPBR1倍割れ是正要請や経産省の買収における行動指針が出て市場は様変わりの様相を見せており、昨年が水準訂正第1弾だとして次のステージで何処まで更なる水準引き上げが叶うか、今年も市場の新陳代謝から目が離せない。


世界10大リスク2024

今週は国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる米調査会社ユーラシア・グループが、年初恒例の「世界10大リスク」を発表している。昨年の1位は「ならず者国家ロシア」であったが、今年の1位には「米国の分断」を挙げている。11月の大統領選に向けて国内の政治的分断は悪化し、米国の民主主義がこれまでになく試される年になるとの予測だ。

成程、今年は大発会の日にも書いた通り世界規模で史上最大の選挙イヤーである。今週の台湾総統選を皮切りにして、来月のインドネシア大統領選、そして3月には昨年1位に挙げられた「ならず者国家ロシア」でも出来レース?の大統領選がある。このロシアも米大統領選でバイデン氏の再選か「もしトラ」かで命運が大きく変わって来る可能性があるが、その結果如何で世界のあらゆる問題にも大きく影響してくるであろう。

そして2位に挙げられたのが「瀬戸際の中東」、ロシアによるウクライナ侵攻もこの現代にあってまさかの出来事であったが、にわかに勃発したイスラエルとハマスの衝突も衝撃であった。いずれも今なお終息が見えないが、斯様に世界各地で落ち着いていたかに見えた紛争も活発化の可能性の高まりで世界は更なる紛争に戦々恐々とする事になってゆくのか不気味である。

また3位に挙げられた「ウクライナの事実上の割譲」もなんともやるせない感だが、この辺は上記も書いた通り米大統領選の結果次第か。そして4位にはAIのガバナンス欠如が挙げられているが、世界経済フォーラムも国際社会を取り巻く2024年の報告書にて誤情報と偽情報を短期リスクの1位に挙げている。昨年2位に挙げられた中国の不透明感も一段と増す事も予測されているが、いずれにせよ今年もまた各方面で予期せぬ事態に身構える1年になりそうだ。


今年の値上げは?

さて年が明けても巷で関心が高いのが飲食料品等の値上げラッシュの行方について。帝国データバンクによれば昨年のそれは累計で3万2396品目と一昨年の累計である2万5768品目を6628品目、率にして25.7%上回る事となった。年間で3万品目を超える水準というのはバブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない規模であり、記録的な値上げラッシュであったといえよう。

今月の値上げは日清オイリオのドレッシングやごま油に味の素の調味料などだが、今年の値上げで最も多い食品分野は冷凍食品類やパスタソースなど「加工食品」の2137品目で全体の約半数を占めており、次いでトマトケチャップや出汁・つゆ製品など「調味料」の784品目となっている。

そうした裏でここ数年続いた値上げラッシュに消費者の購買力が追い付かなくなり買い控えをはじめとした値上げ疲れが食品の売り上げにも影響を及ぼし始めている。食品スーパーではPBへ人気が集中、相対的に値上げ品目商品は購入個数が減少したり販売数量の減少も見られ結果、後半以降の値上げの勢いが大幅に減速する事となった。

そんなことや輸入物価の下落等を背景に24年は4月頃までは比較的抑制された状態が続くと想定されるが、昨年に進行した円安の影響や人件費などの動向次第では変化する可能性もある。サービス価格では既に後者の人件費増を反映した上昇傾向が顕著にみられるが、今後は食品分野にも波及することも想定され値上げの内容の部分の変化には要注目である。