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値段の価値

さて、7月末に当欄では所謂「ダイナミックプライシング」を取り上げたことがあったが、今月アタマの日経夕刊・値札の経済学ではUSJはじめとしてテーマパークに価格変動制が広がっている旨の記事があった。収益の最大化と混雑の緩和による顧客満足度の向上が狙いだが、プライシングを巡ってはこのUSJのエクスプレス・パスやディズニーリゾートのプレミアアクセスなど近年枝葉の広がりが目立つ。

このプレミアアクセス、乗るまでに長時間覚悟のアトラクションやショー観賞の待ち時間を短縮できるまことに便利なシロモノだが、待ち時間の短縮といえば長年皆に知られていたモノとしてはいつの間にか休止になってしまったファストパスがあった。これが有料化になって復活?した時は失望の声もあったが、頻繁に来援が難しく効率よく回るのがミッションの遠方の向き等にとってはお金に変えられない価値になるか。

お金に変えられないといえば、超予約困難名店の予約席オークションサービスも先月から始まっている。既に某寿司店のランチ席では飲食代をはるかに超える10万円以上の入札があるようだが、落札時には手数料を取られ来店時には当然乍ら飲食代は別。そこまでして行きたいのかと賛否両論必至だが、プライシング理論の基本はより価値を感じている客から多く対価を受け取る事と同紙に書いてある通り今後もこうしたところへ商機を見出す動きは続きそうか。


効果と弊害

昨日の日経紙総合面には「中小、価格転嫁に遅れ」と題し、帝国データバンクの9月の調査では原材料などコストの上昇分を商品・サービス料金に全く転嫁できていない企業が6月の調査の15.3%から2.8ポイント上昇し18.1%を占め、東京商工会議所が9月に纏めた中小調査でもコスト増を全く転嫁出来ていないが22.9%に及ぶ旨の記事があった。

こうした取引価格の適正化無くして賃上げの原資は生み出せないワケだが、需要減少や競合他社が価格を上げない等々の要因もあり上記の通り遅々として進んでいないのが現状。加えて中小企業は重くのしかかって来るのが新型コロナ関連融資の返済負担で、現在借り入れがある企業は全体の半数にものぼる。

米などを見るに賃上げ競争に付いて行けない低収益企業は淘汰され、そうしたことによって新陳代謝が進んで生産性の高い企業が台頭し賃金も全体として伸びてゆく構図だが、日本の場合は上記の融資等に加え税制や助成金での優遇を受け易くするなど政府の過度な保護政策が低収益企業やゾンビ企業増殖の一因となっているのも否めないところではある。

また日銀も意固地な超緩和策を粘り強く貫いているが、社会が変らぬようにとの痛み止め政策を維持している限り賃金は全体としては上がり難いか。先月の所信表明演説で首相は企業の生産性向上を軸とした構造的な賃上げを目指すとしているが、効果と弊害を天秤にかけた新陳代謝の促進へ中小企業政策の見直しが求められようか。


霜月の実感

本日から霜月入りである。既報の通り帝国データバンク調べでは先月の値上げが月別で最多であったことで峠は過ぎたという事だが、今月も明治や森永乳業など乳業大手が牛乳やヨーグルトなど身近な品目を本日出荷分から3年7ヵ月ぶりに値上げし、8月に書いた通り大塚製薬も今月出荷分からオロナミンCドリンクやファイブミニ等を25年ぶりに値上げする。

今年中に値上げされる累計2万品目超のうち約3分の1は先月値上げされたのに対し、今月の値上げ品目は先月の約9分の1程度と落ち着きを見せるものの、一方で今月は外食チェーンでの値上げが一段と広がる。原材料価格の高騰や円安を背景にフードコート等で人気のリンガーハットや餃子の王将、ミスタードーナツも人気商品を中心に何れも再値上げに踏み切る。

上記の通り値上げ品目数一服とはいえ、購入頻度の高い身近な品目の今月の値上げは物価高をより実感させる。今の足元の値上げは円相場が1ドル130円台だった夏頃に計画されたもので、先に大規模な介入が行われた150円に絡む水準が反映されるのは来年の2月頃になる見通しで一般は引き続き物価上昇圧力を肌で感じる日々が続きそうだ。


ハロウィーン2022

本日はハロウィーンの本番、今年は3年ぶりに自粛要請も無いことから代々木公園で渋谷ハロウィーンフェスや日本最大級という池袋のハロウィーンコスプレフェスが開催され、近所の三越本店では入口のライオン像がハロウィーン衣装を纏って鎮座し、同じエリアの工事現場では夜間の現場照明までカボチャやゴースト仕様になっていた。

ところでハロウィーンといえばもはや代名詞格になっている渋谷は、行動制限が無くなった事もあって先週末の人出はほぼコロナ前の水準まで戻っていたと携帯電話の位置情報等から判明しているが、直近の韓国梨泰院で起きた大事故を受けての一段の警備強化もあって今のところ特に大きな問題は起きていない様子。

いつの間にかバレンタインデーを凌ぐ規模の経済効果を誇るまでになったハロウィーンだが、本格復活となった今年は如何ほどになるか。ちなみに本場の米では全米小売業協会の調査によれば今年のハロウィーンの支出額はこれまでの過去最高だった去年を上回る106億ドル、日本円で1.5兆円にのぼる見通しという。ハロウィーン後は年末商戦が本格化するため、個人消費が再度盛り上がりを見せるのかどうかも注目される。


消費税インボイス制度導入に伴う対応

2023年10月から、消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。これを受けて、大阪取引所及び東京商品取引所(以下「取引所」といいます。)では、以下の対応を行います。

●日本国内で消費税の授受を伴う受渡決済を行う先物取引(注)において、受渡しの受方(買主)が仕入税額控除を受けられるように、渡方(売主)は適格請求書発行事業者に限る(個人事業者にあっては事業として行う取引に限る)こととします。
●消費税法に定める媒介者等による適格請求書等の交付の特例に基づき、渡方(売主)に代わって取引所がインボイスを作成し、受方(買主)に交付することとします。

▼消費税法改正に伴う商品先物取引における受渡ルールの一部見直しについて


資本逃避

さて、先週の日経MJ紙では「日本の宝石、円安で富裕層が注目」と題し、先月中旬に開催されたオークションで6.11カラットのピンクダイヤが出品され、それがこれまでの国内オークションの落札最高額だった2017年の2億2500万のブルーダイヤの2倍以上となる5億3000万円で落札された旨の記事があった。
   
急速に進む円安を背景にドル建て取引が多い海外の富裕層からは円建て資産が割安に映り、日本円の価値低下に不安が高まるなか国内では円からのキャピタルフライトも見られるという。この辺は上記の宝石に限らず、これと同様に魅力的に映る現物資産として最近問い合わせが急増しているものに高級不動産物件もあるという。

冒頭の宝石も希少なタマが多く揃う日本だが、不動産もまた日本はクオリティがトップクラスな割に最近の円安も相俟って非常にリーズナブルに映るという。不動産の買い漁りといえば今週初めにも書いたバブル景気に沸いていた頃は米国の魂を買ったと揶揄された三菱地所によるロックフェラーセンター買収などが思い出されるが、時を経て今や日本は買う側から買われる側に成り下がっているあたり栄枯盛衰を感じ得ない。


親会社の上鞘に

さて、今週はじめにF1のターボ技術を量産車に初採用した新型AMG「SL43」を発売した独高級車大手メルセデス・ベンツだが、本日は同社がロシア市場から撤退する方針を明らかにしている。英ロールス・ロイスも先にロシア関連事業を全面停止しているが、ソ連崩壊と共に西側の資本や技術でもって近代化を進めてきたロシア自動車産業もこれで万事休すか。

ところで高級車といえば話変わって独ポルシェが先に独フランクフルト証券取引所に単独で新規上場を果たしている。発行済み株式のうち12.5%分が議決権のない優先株として売却された格好だが、欧州ではIPOがほぼ行われていないなかで公開価格は仮条件の上限に設定され初値はこれをも超えて時価総額は約780億ユーロと10兆円超えの大型上場となった。

ポルシェといえば独自動車大手フォルクスワーゲンの傘下にあるワケだが、子会社にあって親会社の12兆円に迫る時価総額で誕生を果たした同社は今月に入って既にこのフォルクスワーゲンの上鞘に躍り出ている。群雄割拠の自動車業界において開発に資金が幾らでも欲しいVWにとってはニンマリのIPOだっただろうが、EV開発など今後ますます熾烈を極めてゆくことになろうか。


コメ離れの一方で

さて、先週に農水省は2023年度の主食用米の需要量(23年7月~24年6月)が過去最低を更新するとの見通しを公表しているが、翌日の日経紙商品面でも「コメ離れ、需給均衡遠く」と題しコメ離れが止まらない旨が出ていた。確かにパンや麺類といった食の多様化により、日本のコメの消費量はかれこれ60年近く減り続けているというデータがある。

ただ上記の需要量見通しはそれとして、米穀機構の調査では2022年の一人当たり精米消費量は5ヵ月連続で前年を上回っているというデータもある。今月アタマにも当欄ではコメに触れていたが、小麦高騰や円安で値上げの影響を実感し主食をコメにスイッチするなどコメに着目する向きが増えて来ている証左だろうか。

コメといえばもう一つ、世界では日本食マーケットの拡大を背景にコメの引き合いも拡大傾向にありコメの輸出量も増加傾向にあるという。農産物といえば今年のアタマに輸出が悲願の政府目標1兆円を超えた旨を書いた事があったが、足元の急激な円安で日本のコメは世界から更に安価に映っておりこれを商機として活かせるかどうかが注目される。


31、32年前の光景

政府・日銀が約24年ぶりに大規模な円買い介入に踏み切ったのが先月の22日だが、周知の通りそこから再度ズルズルと反落しこの大規模介入からちょうど1ヵ月後の先週22日未明、1ドル152円手前にあった円が約2時間ほどの間に一気に144円台にまで急騰し政府が事実上市場介入に踏み切った動きを見せた。

今回は9月の大規模介入時と違い政府は介入の事実を公表していないが、本日の午前中も取引の薄い時間帯に再度150円目前まで戻した水準から一気に145円台にまで円高方向に急騰する動きが見られた。これまで日銀の介入で突っ込んだところは悉く絶好のドルの買い場になっているが、日銀が金融緩和を継続する一方で政府の大規模円買い介入実施という奇異な構図が変らぬうちはこうした動きもまだ続きそうか。

さて、上記の通りドル円相場は32年ぶりに1ドル150円の大台を割ってきたが、ほぼ同じく31年ぶりの水準を示現したのが先週発表された9月の消費者物価指数。輸入物価上昇の主因は資源高から今や円安に切り替わっており、価格転嫁が進まずに厳しい内需型の中小企業勢を中心に収益が圧迫されている。

思えば32年前、世はイタメシブームとなりこの時にティラミスが爆発的に流行っていたのを思い出す。そして31年前といえば今のZ世代はもはや知らないジュリアナ東京がウォーターフロント地区に華々しくオープンしたのも思い出すが、円相場や経済指標は同水準とはいえ名目賃金の上昇率一つとっても今とは比べ物にならず当時を思い出すに今の寒々しい現状がより浮き彫りになるとつくづく。


2年ぶりの経済効果

さて、全国旅行支援がスタートし初の先週末は各地の宿泊施設が多くの利用客で賑わった模様。今月はこれと並行して様々な支援策がスタートしており全国旅行支援と日を同じくして静岡県ではプレミアム付食事券の販売を開始、翌12日には大阪府がプレミアム食事券の第一期受付を開始している。

そして本日からは東京都の全国旅行支援「ただいま東京プラス」がいよいよスタートとなるが、更に26日から約2年ぶりにプレミアム付き食事券の販売も開始される。また翌27日からは新潟県もプレミアム付食事券の一般販売を廃止するなど全国旅行支援にGoToイートキャンペーンも加わる事で各業界の期待は大きく、先に書いたように大和総研では波及効果と合せ約8300億円の経済効果が見込めるとの試算もある。

前回のGoToシリーズはそれぞれ感染拡大を助長しているとの批判も浴びて事実上頓挫してしまったような格好になってしまっただけに今回のキャンペーンに臨む思いも一入だが、制度終了時に見込まれるであろう駆け込み需要や反動減を見据えソフトランディングさせる措置などその対応なども今後の課題となってこようか。


iDeCoも変更?

さて、政府は公的年金に上乗せ出来るイデコ・iDeCo(個人型確定拠出型年金)の加入対象年齢を現在の64歳以下から、69歳以下まで拡大する方向で検討に入った旨が本日は報じられている。投資から貯蓄への道筋作りということで先にNISAの恒久化が報じられていたが、「資産倍増プラン」の柱に位置付けるという。

今年の4月から公的年金の受け取り時期が最大で75歳まで先送り出来るようになったが、その翌月5月から上記の通りこのイデコ・iDeCoも元々の60歳までの加入年齢が65歳までに拡大され、今月からは企業型確定拠出年金に加入している人でも原則イデコ・iDeCoに加入出来るようになっているなど各所でハードルは下がりつつあった。

今回は加入年齢について更なる一段の拡大というものだが、そもそもが少子高齢化で公的年金の給付水準が先細りする事が予測される背景があり、ならば国民年金の加入期間も延ばして然るべきとも思うがその辺は兎も角、平均寿命も延び老齢年金の受給開始年齢を過ぎても働く向きが過半を占めつつある現状下でのポジティブな幅の広がりは期待出来るだろうか。


商慣習に変化

昨日の日経紙一面には「政策保有株売却2.3兆円」と題し、2022年3月期の政策保有株の売却額は前の期より約6000億円多い2兆3000億円となり開示が始まったここ4年間で最大となるなど上場企業の持ち合い株の解消が進んでいる旨が出ていた。東証再編前に当欄では上場基準も睨んで政策保有株の売却要請も進むと思われると書いていたが、果たしてこれらが後押しした格好となったか。

ちょうど昨年の今頃には政策保有株の減少が著しい三菱商事を取り上げた際に、これまであまり見られなかったAGCやキリンなど金曜会メンバーの株売却が目に付いた旨を書いていたが、三菱グループの中核とされる三菱グループの御三家の一角の三菱重工も三菱グループ中心に政策保有株を減らしている旨が同紙に書かれていた。

また政策保有株として多くの企業に持たれている割合が高いことで有名?なリクルートホールディングスも保有比率の高かった企業が手放す動きが継続している。ともあれ特異な商慣習ともいわれた持ち合いの動きは今なおあるものの、昨日も取り上げた東証再編における流通株式の基準変更等にも盛り込まれている通り持ち合いの合理性が問われるなか投資家目線の経営改革は粛々と推進されようか。