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脱日銀トレード

本日の日経紙マーケット面には「日銀、ETF購入ゼロ」と題し、5月最終日の昨日も買い入れを見送り結局先月は買い入れに動かなかった旨が載っていた。月間ベースでは2013年春の異次元金融緩和開始後で初めてゼロとなった格好だが、最後に観測されたのが4月の21日にTOPIXが大幅続落し1900ポイントを割った時の701億円購入というから確かに久しく鳴りを潜めている。

周知の通り日銀は3月の金融政策決定会合で年6兆円程度としてきたETF購入目安を撤廃の政策修正を表明していたが、上記の購入はこの表明以降初の事であったもののこれまでの一定の下落率というような単純推測では肩透かしに遭い、マーケット関係者の間では悉くコレと言った法則?で測れなくなったのは否定できないところだ。

ところで日銀といえば先に発表された2020年度の決算では保有するこのETFの時価から簿価を差し引いた含み益は21年3月末時点で15兆4444億円と過去最高を記録、実に前年の50倍に急拡大している。財務体質が一層株価に左右され易くなっている背景を鑑み新法則?探りもよいが購入論議と並行し出口政策も自ずと意識されて来ようか。


脱炭素気運

さて、先週は米エクソンモービルが開いた株主総会で気候変動対策の強化を求めアクティビストが推薦した取締役候補が選任されるに至った。またオランダでは同じく石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルに対し裁判所が大幅な二酸化炭素の排出削減を命じる判決を言い渡すなど脱炭素に向け世界的な企業に厳しい要求が相次いでいる。

この辺は先週金曜の日経紙社説にも「市場の力を脱炭素社会への移行に生かせ」と題し、上記の例を挙げ日本企業にとっても自社の環境関連の取り組みについて積極的に情報を発信する必要があると書かれていたが、直近では伊藤忠商事がインドネシアで建設中の石炭火力発電所について契約満了を待たず売却交渉を模索と石炭火力から完全撤退の方針を固めた事が明らかになっている。

この手の長期売電などの美味しい案件からの撤退は通常で考えれば理解に苦しむが、脱炭素は自然になるわけも無くIOC会長の言葉よろしく?実現する為には企業側も犠牲を払わなければならない。経産省など太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した事の証明書を公的機関が発行、価格も安くし一般企業が買えるようにする新たな市場創設取組を打ち出しているがまさに世界規模で気運が高まってきている。


中国市場の踏み絵

さて今週はファーストリテイリング傘下のユニクロが、同社製品の生産過程で強制労働が確認された事実はないとするコメントを発表していたが、これは同社のシャツが中国の新疆ウイグル自治区産の綿製品に対する禁輸命令に違反した可能性があるとして米国が輸入差し止め措置を取った事に対するもの。

新疆綿を巡っては同じファストファッション業界のH&Mが新疆ウイグル自治区に工場を持つ企業との取引停止を表明、これが引き金となってあっという間に中国のECから締め出された経緯があっただけにユニクロ同様に衣料品にこの新疆綿を使用している良品計画なども毅然とした使用中止宣言には逡巡している感が受け取れる。

一方でカゴメは今年中に新疆ウイグル自治区で生産された加工品を製品に使用するのを止める事を先月に表明、また日経紙の取材ではミズノやワールドにコックスなど3社も新疆綿の使用を止める事を表明している。これら以外の小売り各社も続々とサプライチェーンの生産履歴の確認の厳格化を打ち出している。

これらの各対応の背景には中国市場への依存度も大きく関係しているのは想像に難くないが、近年の中国市場の特性として政府と国民が外交関係で一体化し連動して動いている感が強い。ESG喧しい昨今、企業は特にSの対応により重要度が増しており中国が成長のドライバーとなる企業には迎合するか切り捨てかまるで踏み絵のような難題だが、何れにせよこのウイグル問題も一つの試金石になるか。


強弱材料併存

さて、今月に入ってから早々に金価格は1800ドルを回復し先週も一段と水準を切り上げはや1900ドルも指呼の間となっているが、先週末の日経紙商品面にも「金ETF、資金流入超に」と題し世界の金ETFが保有する金現物の残高が5月に入り2週間連続で増加し第2週の流入超幅は13.1トンと1月8日以来約4か月ぶりの高水準となった旨が出ていた。

とはいえこの金といえば米の長期金利上昇等を背景としてWGCによれば今年1月〜3月は95億ドルの流出超過となり、四半期では13年4月〜6月以来の大幅流出を演じていた。これが景気回復期待等を背景に市場が予想する将来の期待インフレ率が上昇、その結果名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利が低下し金利が付かない逆相関関係の金には追い風となっている構図。

ただ上記の約1兆円にも及ぶ流出超過の裏で金嗜好の強いインドの輸入関税引き下げや、双璧である中国の春節が需要を喚起するなどの背景からアジアでは残高が増加、欧米投資家の売りにこれらが受け皿として効いた格好といえるか。上記のように強弱材料が併存している下で方向性は見極め辛いものの、何れにせよ環境に左右され難い実需の買いが下支えとして効いている構図には変わりないか。


面従腹背

緊急事態宣言の延長がほぼ確実視されるなか昨日は一般社団法人日本映画製作者連盟が映画館再開の要望について新たな声明文を発表していた。これまで休業の根拠について説明を求めても納得のいく合理的な説明が得られていない中、クラスター発生のエビデンスも無く「なぜ映画館が」と今回の措置に対する平等性への疑問も生じ、また投資資金の回収が絶たれるなど休業が及ぼす甚大な被害の可能性を謳っている。

この辺は先週も当欄で「場当たり要請?」と題して書いた通り目安となる明確なエビデンス無き線引きの曖昧さがストレスを増幅させており、これに先駆けてライブエンタメの4団体も要請撤廃を求めた声明文を発表していたが、何れも政府・自治体の連携も覚束無く納得のゆく回答が得られていないところが不平等感を煽っている部分が大きい。

同じく先に取り上げた百貨店も高級品の解釈を巡って東京都と鬩ぎ合いが続いており、これまた担当者サイドが豪奢品とは具体的に何かと都へ説明を求めたが曖昧な返答にとどまったという。コロナ禍でも富裕層のブランド品への消費意欲は旺盛で百貨店に取ってもこのセクターは売り上げの要、意地になって押しつけ要請を継続させれば何れの業種も面従腹背でいたちごっこの構図になってくるか。


逃げ恥マーケット

このところサプライズな芸能人の結婚報道が散見されるが、先週は日本中がガッキーこと女優の新垣結衣さんと俳優の星野源氏の結婚報道でもちきりになった。5年前に大ヒットし一世を風靡した恋愛ドラマが現実化した格好になったワケだが、この手のパターンは「逃げ恥」放映の近いところでは前年15年の舞台嵐が丘で共演した女優の堀北真希さんと俳優の山本耕史氏なども居る。

ところで業界では話題の芸能人が結婚報道で「○○ロス」と話題になったパターンは翌日の株価に影響があるという相場と絡めたジンクスが以前より実しやかにあるが、なるほど上記の堀北真希・山本耕史両氏の時も翌日は下落、女優の石原さとみさんの時に至っては東証がシステム障害で終日停止追い込まれているのが記憶に新しい。

今回の逃げ恥婚では発表翌時の前場でこそ200円以上安くなる場面があったものの引けは辛うじて小反発となったが、個別では両者が出演しているCM企業9社中6社の株価がご祝儀買いで上昇、他に面白かったのは星野つながり?で星野リゾートが反発、また「可愛ガッキー」と読める?河合楽器まで買い物を集め年初来高値を更新するなどほとんど冗談とも取れる物色劇が展開された。

まあ河合楽器は巣ごもり需要好調から21年3月期通期連結営業利益が前期比18%増で着地の素地が背景にあるとはいえ、近年は一定のワードに過度に反応する頻度が確実に高くなって来た気がする。IT駆使が顕著化している最近ではバズったワードに関連しイナゴ勢が大挙するパターンも多いという表れなのかどうか、何れにせよ最近の環境を表す光景を垣間見た20日の市場であった。


逆鞘の憂鬱

さて、先週の日経紙には「歯科医悩ます「銀歯」高」と題して、 保険診療で代表的な銀歯を作成する仕入れ価格が混ぜ物の一つであるパラジウムの高騰などで近年大きく跳ね上がり、昨年から今年にかけては診療報酬上の告示価格に対する上鞘も顕著となってその鞘分が歯科医側の利幅を大きく圧迫しているという旨がでていた。

現在JIS規格では銀40%以上・金12%以上・パラジウムは20%以上と決められているが、強度を増す為にこのパラジウムは要。ちょうどこの記事が出た後に知人の歯科医師に会う機会があったのでこの辺を聞いてみたら、確かにキャストウェルも数年前は3万前後で調達出来たモノが最近だと9万円前後まで跳ね上がっておりヤレヤレという感じであった。

ただ確かに利幅は大きく減少してはいるものの新聞等で報じられているが如く銀歯の補綴一辺倒で黙って赤字を垂れ流している向きは少ないといい、その辺は近年チタン冠やCAD/CAM冠など保険の適用範囲も広がってきており双方共に選択肢もまた広がってきているだけにこの辺も一括りで酷い惨状というワケではなさそう。

とはいえ一長一短でチタン冠など硬度の面で人によって合う合わないがあり、ならばやはりジルコニアセラミック等がお勧めとなるもののなかなか全ての患者が自由診療に手を出せない部分もある。点数も順次上がってきているとはいえ昨今の市況環境も変わってきており、それらを鑑み公定価格も機動的な対応が必要な状況になってきているのかもしれない。


競争力強化の鍵

昨日の日経紙総合面には「東証、取引時間の延長検討」と題し、東証が仕事帰りの取引機会が増える個人投資家や、時差がある海外投資家の利便性を高めると同時に東証の国際競争力も挙げる狙いから現物株取引で夕方や夜間取引を軸に取引時間の延長を見据え証券会社などと調整を進める旨の記事が載っていた。

後場の時間延長や昼休みの廃止も含めた延長の具体策を練るとの事だが、この昼休み廃止論は今から11年前にも議論された件で、当時の当欄でも「欧米主要取引所は昼休みを設けないのが主流でグローバルな流れからもそういった機運になってきたか。」と書いていた。侃々諤々の末に辛うじて30分の短縮が叶ったが果たして今回は如何に。

そういえば昼休み撤廃論が出た当時は前引け・後場寄りのギャップを狙ってスキャルピングを狙う向きも多数居たものだったがHFT業者が蔓延る現在では随分と光景も変わっている。また当時はコストの問題もあって時間延長が対面メインの中小証券等の反対に遭った経緯があったが時代の流れで当時とは状況も異なってきている。

場が立っていない時間の材料を受けた取引は海外やPTSへという流れだが、PTSは米国の取引量に占める割合が約30%なのに対して日本では双璧の2社合計でも7〜8%程度と振るわない。私設取引も課題を抱え試行錯誤が継続しているが、何れにせよ取引システムの刷新が予定される2024年を睨み大幅な見直しが具現化する否か注目されるところ。


場当たり要請?

さて目下のところ緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が鋭意延長中だが、先週末から高級ブランド等の営業を拡大させていたそごう・西武など百貨店大手は都からの要請で20日から当面の間高級衣料売り場を休業すると発表している。実にわずか1週間ほどで再び休業の憂き目に遭った格好だが、他の老舗大手もどう対応すべきか検討しているという。

この辺に関しては当初は「生活必需品」のガイドラインを明確に定めておらず百貨店各社の裁量に委ねられていたものだったが、当欄で何度か取り上げたホテルの大広間で開催される「逸品会」などのイベントなら兎も角も百貨店の高級ブランドフロアで人が密になる光景は考え辛くこの辺も一括りで縛ってしまっている弊害だろうか。

また百貨店といえばテナントで入っている某サロンに施術の予約をしていたところ施術のメニューでもあるものはOK、しかし一連の施術延長線上にある別のメニューはNGでキャンセル扱い要請の電話があった旨の話を知人から聞いたが、当の現場スタッフもこの辺には甚だ疑問を感じているらしい。

生活必需品に限らず予てよりイベント関係は開催OKで美術館や動物園、映画館はNG等という線引きがわかりにくいとの指摘は多く、あまりに場当たり的と都や政府への憤りを感じている向きは多いだろう。人流抑制のエビデンスや宣言解除の目安となる明確な数値の提示も無く、押し付けの要請で振り回すやり方も何れ何処かで限界が訪れようか。


普及への距離感

さて先週はインフレ懸念が売りを誘い日米共に株価が大きく突っ込みを見せたが、株式と共に大きく値を崩したモノにビットコインはじめとした暗号資産もあった。この辺の背景の一つには2月にビットコインを15億ドル購入し翌月には米でEV等の自社製品についてビットコインンによる決済を受け入れ始めたものの、先週に一転してこのサービスを停止表明したところが大きい。

当初年内には米国外にも拡大すると意欲を見せていた話題のサービス導入発表からわずか3ヵ月での方針一転の背景には環境に大きな負荷をかけてはいけないとの理由があったようだが、今朝はテスラの売却否定発言で漸く下げ止まったビットコイン相場も発言直後には約10%ほど下落しテスラ本体も約3%下落し4日続落となっていた。

またマスク氏といえばわずか1ヵ月の間に800%の暴騰を演じた同じ暗号資産のドージコン支援も有名なところだが、こちらも米人気バラエティー番組内で詐欺とを発言したのを受けて同番組放映時間後に3割以上もの暴落を演じている。斯様な急変動を目の当たりにすると、他企業も挙って決済手段としての参入を計画しているもののその普及にはやはり疑問を感じざるを得ないのが正直なところか。

ボラティリティに対する仕組みの構築や関連手数料コスト、盗難リスクの問題等々課題は多いが、SECなどは予てより暗号資産市場へ監視を強めている。また直近では米司法省とIRSが暗号資産交換業者で世界最大規模のバイナンスHDに対してマネロンや脱税などの疑いで情報収集しているとの報も入ってきており先ずはこの辺の動向を注視しておきたい。


ダイハード4.0の現実化

今週は周知の通り米国最大の石油パイプライン運営コロニアル・パイプラインがハッカー集団らと思われるサイバー攻撃に遭いパイプラインの稼働停止にまで至ったとの報が世間を騒がせていたが、先の水道浄水施設のハッカー攻撃と併せ2007年に公開されヒットしたハッカー集団が金融機関やインフラを狙うという筋書きの映画「ダイハード4.0」が瞬時に思い出された。

14年前の娯楽映画がまさか本当に現実のものになってしまうとは当時は想像もしなかったが、これに限らず本邦企業も先月から今月にかけてだけでもゼネコン大手の鹿島、センサー機器大手のキーエンス、また直近では印刷機大手の小森コーポレーションなど続々とハッカー集団によるサイバー攻撃に遭い金銭の支払いを要求されるなどの被害に遭っている。

本日政府はサイバー攻撃を念頭にサイバー分野の防御力を強化するのが柱の次期サイバーセキュリティー戦略の骨子をまとめ昨日発足が正式に決まったデジタル庁との連携も進める構えだが、台湾など近隣諸国と比較しても先のコロナウイルス接触確認アプリのお粗末さに見られるようにデジタル分野でも心もとないのが現状。一昨日取り上げたワクチン同様にこの分野も後進国落ちと揶揄されぬよう官民共に対策強化が喫緊の課題なのは言うまでもない。


世界経済の覇者

さてインフレ懸念から直近でこそマネーが流出している米のテック株群だが、これらのうち主力のGAFAは先月末までに発表された21年1〜3月期決算ではアルファベットの純利益が1年前の2.6倍、アップルは同2.1倍、フェイスブックも同1.9倍、アマゾンは巣ごもり消費に加えクラウドサービス事業も好調で実に3.2倍と何れの企業も破竹の勢いとなっていた。

というワケではこのGAFAが3ヵ月で稼いだ利益は実に6兆4000億円とまさに前代未聞な数字となり何かと本邦企業と比較するのもあれだが、例えば日本を代表?するトヨタ自動車の昨年の純利益が約2兆円相当として考えると実に同社の3年分の利益をたったの3ヵ月で稼いだ計算になる。

昨年はテスラの時価総額がトヨタ自動車のそれを超えたのも束の間、わずか半年足らずであっという間にこのトヨタ自動車含めた日本を代表する自動車9社をも上回った旨を書いたのを思い出すが、改めて日米の新陳代謝の違いを見せつけられると共にイノベーション力を武器にビジネス拡大を狙っていたかつてのガムシャラさがすっかり色褪せてしまった感は否めない。