還元の流れ

昨日の日経紙投資面では「減配でも増配目立つ」と題して2025年3月期の予想配当性向ランキングが載っていたが、累進配当方針や自己資本に対する割合に応じて配当するDOEの導入など、東証の資本コストや株価を意識した経営の要請を背景にROEを高めようと各社一段の増配等を意識している旨の記事があった。

そういった事で上場企業の2025年3月期は配当総額が約18兆円と4年連続で過去最高となる見通しだが、このランキングに挙がるような大企業はキャッシュフローの実に6割が配当に回っているという。また自社株買いも純利益の約3割が回り17兆円と前年比で7割増加しこちらも3年連続で過去最高になっているほか、直近ではトヨタが初めて株主優待制度を導入するなどこういった優待関係の拡充も目立ってきている。

そういった事もあってこれら上記の総還元性向はかつての40%台から60%を超える水準までに上がって来たと言われるが米国のそれは約90%ともいわれる。ちなみに欧州は過去3年平均で64%ともいわれておりようやくというか日本はこれに追い付いてきたという感じだが、潜在成長率などこうした先進国と比較して見劣りが目立つ部分もある。

そういった理由の一つに成長投資の伸び悩みなどが挙げられ、そろそろこの辺はリスクを取って成長戦略に向けるべきではとの声も少なくない。とはいうものの今は不透明な米トランプ政権の政策はじめ、中国の景気減速など不確実要素も極めて高いという部分もあり、そういった類の投資などリスクを取ってまでしづらい環境下でもあるのも事実なだけにまだしばらくは現況の流れは続くことになるか。


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