無店舗とデジタルの強味
このところ株式市場ではNT倍率が低下傾向にあり、本日段階で14.03倍と昨年の9月10日以来、約5か月ぶりの低水準になっている旨を日経が報じている。高寄与度の半導体関連株等が冴えず日経平均の足を引っ張る一方でTOPIXを支えているのは銀行ポストで、今年のTOPIX上昇寄与度において業種別では銀行業が首位となっている。本日も日経平均が500円超の急反落で3か月ぶりの安値へ沈む中を三菱UFJやみずほFGなどメガバンクは逆行高を演じていた。
そんな堅調持続している銀行株の背景にはいわずもがな国内金利の上昇による収益の改善期待があるわけだが、そんなポストのなかでも特にここ最近では市場の関心がネット銀行に集まっている旨が先週末の日経紙投資面スクランブルに書かれていた。実際今月に入ってから住信SBIネット銀行や楽天銀行等が急騰し揃って上場来高値を更新し、メガバンク勢を大きくアウトパフォームしてきている。
以前に銀行やライセンスを持った事業者が決済などの仕組みを他の事業者に貸す事で内製化の動きの流れが顕著化すると想定した場合、同事業の市場規模は非常に広いと書いたことがあるが、住信SBIネット銀行のIPOはその想定時価総額から大型案件であったものの、このBaaS事業などの強味が評価され米銀破綻という悪地合いの中でも初値は公開価格を上回る好スタートを切り、ヤマダデンキや高島屋とコラボしてネオバンクサービスを精力的に展開している。
また強力なポイント経済圏をバックにした楽天銀行もアドバンテージがあるが、こうしたポイント経済圏やスマホ決済の広がりで大手のメガバンクとて顧客情報を独占する従前の優位性も崩れてきており、顧客ニーズを汲み取るうえでサードパーティーである各種事業者などとの連携もポイントになってきている。本日は三菱UFJがネット専業銀行を新設する方向で検討している旨が報じられているが、金利のある世界が戻るなか引き続き各社の戦略には要注目である。