単位引き下げ再要請

さて皆が注目したキオクシアHDの2026年7~9月期の連結純利益だが、先週の発表は事前の市場予想平均こそ下回ったものの前年同期比31倍になる見通しとなり、1株を3株にする株式分割も併せて発表している。しかしながらこの3分割でも最低単元を購入するのに今日の終値でも480万円以上が必要と東京証券取引所が望ましいとする「50万円未満」にはほど遠い。

当欄ではかつてNTTの25分割も取り上げたが、同社など分割前でも最低単元を買うのに東証の望むところの50万円以下であったものだが、ふたを開ければ驚きの25分割をやってのけ最低単元購入は数万円から可能になった。そう考えるとキオクシアHD株もそうだが、最低単元買うのに1000万円近くの資金が必要になる値嵩株の分割は他社も控えめなものが多い感もある。

とはいえこのキオクシアHD株、一時は上場来高値ベースで、最低単元買うのにも実に1100万以上もの資金が必要だったことを考えれば、曲がりなりにも購入のハードルは下がったのか?そういえばこのキオクシアHDの分割発表の数日前には、東証が所謂「根嵩株」と呼ばれる投資単位の大きい上場企業約270社に向けて株式分割の再要請を通知した旨が報じられている。

この投資単位引き下げ努力?は今から4年ほど前に東証が分割要請したものだが、それ以降は確かに分割が急増し昨年の分割発表件数も前年度比で36%増加し2025年度末の上場企業平均の最低投資額は21万円と20年前の半分以下になっている。とはいえ近年の株高効果で分割してなお分割前水準に上昇してくる企業も珍しくなく、個人投資家が期待するという10万円以下水準のハードルも高くなってきているだけに今後の各社動向が注目されるところだ。


ブランディングとPBR

本日の日経平均は202.63円高と反発となったが、個別では昨日に市場予想平均を上回る連結純利益と27年3月期通期の業績予想も上方修正しストップ高比例配分となったカシオ計算機は本日も続伸し年初来高値を更新していた。これに限らず“時計株”は好調でシチズン時計は先月末に上場来高値を更新し、またセイコーGも本日は年初来高値を更新してきている。

このセイコーGだが、先週末の日経紙投資面には「セイコーG、ヴィトン並み」と題し、同社のPBRが3倍を超えて欧州高級ブランドの仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンに追い付いた旨が出ていた。このPBRは本日の終値では既に4倍をも超えてきているが、ブランド戦略が奏功し高付加価値な腕時計の販売を世界で伸ばし高級ブランド企業に変貌してきたという。

確かに「GS」も近年では大きく成長し「クレドール」も一昔前とは価格帯が随分と変わったなと感じるが、日本企業のブランディングに関してはもう10年以上も前に当欄で「ブランド構築の重要性」と題して書いたことがあり、当時の時計市場の金額シェアは国内勢の23%に対してスイスなどは66%と史上を席巻していたといっても過言ではなかった。

世界最大級の時計見本市である「バーゼルワールド」が高額な出展料を背景に出店企業数が半減する中でも、ブランドイメージを浸透させる必要性からGSはブース設置を敢行してきたものだが、このバーゼルワールドは事実上消滅してしまったものの当時の地道な努力が実りつつあるといえ、今後も株価指標と共に度の動向には注視しておこう。


モメンタムが振り回す

令和8年熊本地震により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。


本日の日経平均は昨日の2566.27円安に続く大幅続落となり5月中旬以来、約2か月ぶりの安値となった。これでも本日の安値から戻した感はあるものの、ザラバではお隣の韓国市場でKOSPIにサーキットブレーカーが発動される場面があり、こうした局面での日経平均の下げ幅は1900円を超えあわや6万円台の大台割れ寸前まで急落する場面があった。

昨日の日経紙でも「日中2%超、3か月連続」として、日中変動率が今月は平均2.5%と先月の2.6%に続き変動率が高い状態が続いている旨の記事があったが、これらの背景にはやはりAI・半導体関連株の寄与が高いが、筆頭ともいえるキオクシアHDなどついこの間の上場来高値から7割弱も暴落し先の決算発表後の急騰分が“往って来い”となっている。

しかしこれら構造的な変化も大きいだろう。上記の韓国市場では単一銘柄のレバレッジやインバース型のETFが新たに誕生、日本市場でも昨今ではマル信買いがかつてないほど活況を呈し過去最大水準に膨らんでいるのが現状で、“落ちてくるナイフ”を掴みにゆく向きが急増した証左でもあるか。

そんなこんなで曲りなり?にも先月に国内時価総額で1位に躍り出たばかりのキオクシアHD株だったが、本日の終値でははや9位に転落している。同社は明後日に4~6期決算発表を控えているがさてこれで株価がどうなるか?この内容には耳目が集中するのは想像に難くないが、なんともヒリつく局面の先をまずは見てみたい。


形式から実質へ一歩

昨日の日経紙社説では「企業は統治指針を自ら生かして成長を」として、金融庁と東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コードの5年ぶりの改定が書かれていた。今回の改定で目に付くのは先ず原則そのものの数が大きく減らされていることで、これまでは基本やら補充やらと何層?もの構造で80以上もあったものが、今回の改定では半分以下の30まで大きく減らされていることか。

より形式から実質を問うようにしたかっこうだが、例えば5月にも当欄で一度書いたように現預金などを含めた経営資源の配分による投資促進など取締役会に検証を求める項目など企業に積みあがった現預金の有効活用などこのインフレ下において成長投資もタイムリーな突っ込んだ内容になっている。また取締役会といえばこれまた守りから攻めへ進んだ構図になっている。

この辺は社外取締役が積極的に議題に関われるようにするなど取締役会の強化を謳っているが、これで所謂“お飾り”からの脱却も少し促進されようかというもの。こうした改定を重ねるごとに企業側と投資家のズレも埋まってくるか否かだが、有報開示などまだハードルの高い部分の項目などもあるだけにそうした部分の対話も今後の課題だろうか。


崩れる“時間の壁”

先週末の日経紙一面には「米株23時間取引、12月開始」と題し、NYSE(ニューヨーク証券取引所)にナスダックなど米市場に上場する株式を対象とした23時間取引が12月6日から始まる旨の記事が載っていた。一昨年にNYSEの通常取引時間延長計画を書いたことがあったが、この時間外取引延長で祝日を除く日曜から金曜にかけ午後9時から翌日午後8時までの取引も提供することとなる。

先に世紀のイベントといわれたスペースXのIPOがあったが、これまで米株に手を出したことがなかった多くの投資家も挙ってこの知名度抜群のIPOに参加するなど米国株式に関心を持つ向きが急増している。そうした中でのタイミングでの発表となったが、同時になんといってもポイントはこれで東証の前後場通じての取引時間中に売買が可能になるという点か。

これらが奏功してアジア圏からの米市場への投資が今後増加してくるとなると、IPOを考える企業の中にはより一層米への上場に関心を持つ向きも出てくるのは想像に難くないか。この辺に絡んでは今年の春先にスマートフォン決済大手のPayPayが米ナスダック市場に新規上場しているが、実際に9億ドル近くの資金調達に成功しており今回の件と併せて今後米市場に傾斜する動きが出てくるのかどうかこの辺も注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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