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経営者が占う2025年相場

昨年の株式市場は能登半島地震を受けて大発会は鐘も鳴らさない異例の静けさで始まり、大納会は金融行政に対する信頼が大激震となった東証社員インサイダー取引発覚でその年に話題になったゲスト招待も見送るという最初も最後も異例な光景で終わった。その足取りは2月にバブル期の史上最高値を34年ぶりに更新、翌3月には初めて4万円の大台を突破し、更に7月には42000円超えの史上最高値を更新するも、翌8月には1日で4000円超えという過去最大の下げ幅を記録するというボラタイルな市場であった。

そこで今年もまた新年恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズでこの株式市場を振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想平均は37900円でその時期は年末との予想が多かったが、一昨年に続いて予想平均を4000円以上も上回る好パフォーマンスとなった。一方で安値平均は31250円であったが、こちらは8月の“令和のブラックマンデー”で示現した31156.12円と皮肉にもほぼドンピシャとなった。

有望銘柄とした個別企業は上記の通り日経平均が予想を4000円超も上回る上昇を演じたことで、2位の伊藤忠商事から6位の東京エレクトロンまでの5銘柄全てが上場来高値を更新するなど当然な結果に。今年の有望銘柄は昨年1位に選ばれながらも上場来高値更新が叶わなかったダイキン工業が3位に転落する一方、昨年2位の伊藤忠商事が1位になり昨年ベストテン圏外だった日立製作所が2位に急浮上している。

そして今年の日経平均高値予想平均は44450円、安値平均は37025円であった。昨年控えめに4万円の高値予想を挙げたSMBC日興証券の今年の予想は同業大手の大和証券の45000円を大きく上回る48500円と大きく上方修正してきた。ちなみにこの高値予想の平均44450円だが、大発会の日に買いた巳年平均上昇率を大発会の引け値に当て嵌めた値段44574円と奇しくもほぼ一致する。

いずれにせよ今年最大の注目点はトリプルレッドとなった予測不能なトランプ政権の動向、そしてやはり日銀の金融政策動向だろうか?いずれも日本経済の腰折れにつながるような政策が取られるようであればそれこそ昨年高値がしばらくハードルとなるリスクシナリオとして認識されてしまう展開になるだけにこの辺には特に注意しておきたい。


マグロ初競り2025

先の日曜日には各地で年初の風物詩である初競りが行われたが、やはり話題になるのは「マグロの初競り」、今年は2019年に記録した3億3360万円に次ぐ過去2番目の高値となる2億700万円で競り落とされ豊洲が沸いた。見事にこれを落札したのは5年連続でまたもONODERAフードサービス、コロナ前はすしざんまいの「喜代村」の独壇場であったものだがここ数年一番マグロの常連は「ONODERA・やま幸連合」になっている。

ところでマグロといえばこれまた昨日に続き株式相場に絡んだアノマリーがあり、一番マグロの落札価格が1億円を超えた年の日経平均の上昇率は二桁を超える好パフォーマンスになるというもの。すしざんまいの「喜代村」によって初めて1億円を超えたのは2013年であったが、以降この億超えは2019年の3億3360万円、2020年の1億9320万円、そして昨年の1億1424万円の4回。これらの年の日経平均は2013年のプラス56.7%をはじめ2019年は18.2%、2020年は16.0%、そして昨年は19.0%となるほどいずれも二桁を超えている。

そうなると今年も辰巳天井の縁起を担いで日経平均の二桁上昇が期待出来るというもので、斯様にご祝儀相場は高いほど景気の良さを感じるものだがマグロといえばもう一つ、昨年末の国際会議で今年から日本が漁獲出来るクロマグロの枠が大型魚で1.5倍に、小型魚で1.1倍にそれぞれ増やす事で最終的に合意されている。漁獲枠が増えるのは3年ぶりのことというが、今後は市場のクロマグロの値段が下がる可能性が出てきたのは我々にとっては朗報だろう。


大発会2025

皆様、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします


本年最初の取引となる東京株式市場の大発会は500円超の大幅続落のスタートとなったが、大発会の下落はこれで3年連続となった。昨年の株式市場をザッと振り返ってみると「辰巳天井」の通り2月には早々にバブル絶頂期に付けた史上最高値を34年ぶりに更新、翌3月には初めて4万円台の大台をも突破し更に7月には42000円超の史上最高値を記録した。

今年の「乙巳(きのと み)」は西暦の末尾が5の年となり年の前半が冴えないとの指摘も一部にあるが、戦後6回あった巳年の株式市場の勝敗は4勝2敗となっている。兜町の相場格言では引き続き株高がこの年にピークアウトする事を意味するが、過去の巳年ではかつて日経平均の史上最高値を付けた忘れもしない1989年があり、これがその後34年間抜けない大天井を形成することとなった。

ちなみに過去の辰年の日経平均の年間騰落率はプラス26.9%、2024年の大発会値にこの上昇率を当て嵌めてみると42242円と7月11日に付けた史上最高値42224円とほぼ近似値になる。たまたまにしても実にドンピシャな数字となるが、同じように巳年の年間騰落率であるプラス13.4%を今年の大発会値から当て嵌めてみると44574円となる。

そうなれば昨年の上昇の勢いほどではないにしろ曲がりなりにも史上最高値を更新し相場格言通りの「辰巳天井」が具現化することになるがさてどういった展開になるか。予測不能なトランプ政権が始まるだけに、一括りのアノマリーとして済ませるには無視出来ない経験則として存在する十二支の相場格言も今年は頭の片隅に置いて相場に臨みたいところ。


量から質への転換

さて、東京証券取引所の主要3市場に上場する企業数が2024年末時点で計3842社となり、前年度末から1社減る見通しであることが先週末に報じられている。上場企業数減少は大阪証券取引所の現物株取引が東証に統合された13年以降で初めてというが、この辺に絡んではちょうど1週間前の日経紙でも上場廃止する企業が今年は前年比33社増えて94社となる予定との記事が一面を飾っていた。

株式持ち合いが減少傾向にあり同意なき買収が成立し易くなっていることなどで企業買収が活発化し、経営の自由度を高めるためのMBOも増えている事などが背景にあるがMBOに関しては先月も当欄で取り上げた通り。東証が企業に対し資本コストや株価を意識した経営を求めている結果でもありその対応状況を開示するよう要請しているが、プライム市場の開示企業は先月末時点で約9割に達するなどこの1年で8割以上も増加している。

とはいえ取り組みの内容だけを並べる開示にとどまっているケースも多く、東証は先月に開示内容の質の向上を促す為「投資家の目線とギャップのある事例」を公表している。株価も正直なもので単に開示が進展するだけで上昇という局面は既に終わっており、具体性のない取り組みのみで定量的な説明が無いものは将来の企業価値判断にどのように寄与するのか判断が出来ないという点から一歩踏み込んだものだろう。

TOPIXにおいても今後は3市場を対象に入れ替え制が導入され、見直しに向けた判定として先ず来年2025年3月末に浮動株式数判定が控える。企業によっては政策保有株のような固定株売却等の動きが一層促進されるなどコーポレートアクションも出て来ようが、斯様に量から質への舵切りが鮮明になってきた事で米欧との比較で見劣り感の強かった新陳代謝も昨日書いたような上場銘柄の淘汰等も含め今後より一層促進されるか。


キオクシア上場 

本日は年内最後の大型案件となる半導体メモリー大手のキオクシアHDが東証プライム市場にはれて上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格の1455円を1.03%下回る1440円となったが、あと切り返しを見せ大引は公開価格を10%上回る1601円となった。当初は上場時の時価総額目標を1兆5000億円と想定していたものだが、大引ベースで8630億円となった。

ところでこのキオクシア、東芝メモリと呼ぶ方が馴染みがあるがこの規模だけあってプライム市場ではあるが同市場の上場維持基準の流通株式比率は35%と定められているものの大型特例により現状の比率は28%にとどまる。今後は同比率の引き上げ等も課題になってくるが、舞台がセカンダリーに移行した後は大量の新株予約券付社債を保有し昨年の米WD社のメモリー事業統合交渉で反対姿勢を示した韓国のSKハイニックスの動きも気になる。

度重なる上場延期で煮え湯を飲まされた彼らの思惑如何にというところだが、彼らが新株予約券を株式に転換すれば約14%を出資する大株主として浮上する事になり、更なる出資状況によっては経営に関与してくる可能性が出てくるのかも気になるところでもあり今後も引き続きこの辺の動向には注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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