吸い上がる浮動株
さて、今週アタマに取り上げたメガバンク勢も決算に合せて自社株買いを発表していたが、過日の日経紙では「株数減少時代に日本突入」と題し、資本効率改善手段としての大規模な自社株買いを背景に昨年は上場企業の株式発行額から自社株買い額を引いた値がマイナス12兆円となるなど日本の株式市場で株数が本格的に減る時代に突入している旨の記事があった。
この自社株買いだが、ちなみに先の関税ショックで急落した4月初旬から今月7日までの設定枠は4兆3000億円と前年同期の3倍になっている。これまで過去最大といわれた昨年の自社株買い実績は18.7兆円であったが、今年は新年度から今月第2週までのわずか1か月ちょっとのところで既に約5.2兆円に上るといわれておりこの段階でもう28%近くを達成していることになる。
ところで東証が本日発表した5月第3週の投資部門別売買動向によれば、海外投資家は日本株を6232億円買い越しておりこの買い越しはこれで7週間連続となっている。こうした海外勢の買い越しの背景には、米関税政策等で外部環境が逆風のなかでも活発な企業の自社株買いなど想定以上の株主還元策を出している事などがポジティブ視され日本株にマネーを引き寄せている要因の一つとの指摘もある。
足元ではモラトリアムの90日間が折り返しを迎えるなか経済再生担当大臣が日米関税交渉に向け明日には3回目の訪米が予定されているとかだが、この日米関税交渉の行方がどう決着するのか見えないなか、冒頭の通り決算発表と併せて自社株買いを発表する公表する企業は少なくない事で、海外勢含め投資家がこうした株主還元姿勢を拠り所にするという動きはしばらく続きそうだ。