2ページ目   株式

影のキーマン

本日の日経平均は米金融政策を改めて警戒し運用リスクを避ける動きから、グロースはじめとする幅広い銘柄に売りが出て3営業日ぶりに急反落の動きとなった。そんな中で一際目立っていたのがコスモエネルギーHDで寄り付きから買い気配で推移し約13%の値上がりで一気に年初来高値を更新している。

この背景には本日の日経紙一面にも出ていた通り、昨日に提出された大量保有報告書で旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンズが共同保有者とあわせて5.81%の株式を取得し大株主に躍り出た事がある。これまではUAEの政府系ファンドが大株主であったが3月に全株売却で入れ替わり実質的な筆頭株主になった事になる。

ところでコスモエネルギーHDといえば言わずもがな石油大手の一角だが、元売り業界と村上氏といえばかつての出光興産と昭和シェルの経営統合において泥沼化していた出光経営陣と創業家側の対立緩和に一役買った存在なのは有名な話。奇しくもこのシティインデックスイレブンズは現在富士石油の大株主にもなっているだけに、新たな業界再編への思惑も浮上しており今後の両者の行方には目が離せない。


60年ぶりの市場再編

周知の通り本日は東京証券取引所の再編により誕生した「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の三つの市場での取引初日であった。ネット証券の取引画面も「東証P」や「東証S」等に表記が変わっていたが、結局日経平均は4日ぶりに反発となったものの1日のボラは今年最少を記録、その売買高も1~2月の1日あたり平均から2割程度低い低調スタートとなった。

予てより上場企業の絞り込みに期待をかけていた投資家勢とは裏腹に、基準未達でもプライムに噛り付いていたい企業勢の意を汲んだような骨抜き市場再編とも揶揄されてきた今回の措置だが、この辺は金融審議会でも挙がった投資対象としての機能性と市場代表制を備えた指数が存在しないとした問題点にも絡んで来る。

現在機関投資家の多くがベンチマークとしてきたTOPIXは東証一部全てを対象としているがここ10年で約3割増加と企業数が多すぎる状態は否めなく、同じベンチマークでも米のS&P500等と比較するにその水膨れ感が際立つ。日経紙には日々TOPIXはじめROEなどの基準をもとに銘柄選定したJPX400等が掲載されているが並べてみるとこの10年でもそのパフォーマンスは何れもほぼ差が無い。

今回の再編で東証一部が消えTOPIXも今年後半からは時価総額の小さい企業は順次段階的に外されてゆくというものの、その比率は1%程度とあまり意味が無く日本を代表するマーケットを表すベンチマークとして如何なものかという課題は残る。ただ玉石混合?の経過措置企業の中でも真剣に企業価値向上に目覚めた向きもあり、こうした向きの増加は日本株のパフォーマンスを劇的に改善させる起爆剤にもなり得、将来的にはMSCI等に相当するような” 使える”指数が出てくる可能性にも期待したいところ。


米の分割熱

米テスラは一昨日に2022年内に株式分割を実施する計画を表明している。2年ぶりの分割発表だが、前回1株を5株に分割すると発表した際にこの発表月の末までその株価は実に約8割もの急騰を演じその後3年足らすで株価は実に3倍にも化けた経緯があり、その連想からかこの日も発表直後にこれを好感し株価は約9%の上昇を演じていた。

米大手の株式分割といえば直近ではアマゾンも9日に1株を20株に分割すると発表しており、同社の株式分割は実に23年ぶりのこと。また、グーグルのアルファベットも先月に1株を20株に分割する計画を発表しているが、アマゾンは加えて自社株買いの限度額を現行から2倍に引き上げる事も併せて発表しており株主重視姿勢を鮮明にしている。

確かに小口の個人投資家などからしてみれば株式分割により対象企業が大幅に買い易くなるだけに、経営陣が株主フレンドリーなスタンスを有しているという証左にもなる。株式分割で企業の市場価値が変るワケではないものの、ローコストで株式価値を高める手法の一つとして改めて評価される動きが広がれば今後更に分割熱が高まる可能性があるか。


禁じ手

昨年11月に当欄ではSMBC日興証券の社員が、大株主等が時間外で一度に大量売却出来るブロックオファー取引に絡んで特定銘柄の株価を維持する目的で不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして強制調査されている件を取り上げた事があるが、直近で報じられている通りこの事件は東京地検特捜部が同社の幹部ら4人を逮捕する事態にまで発展した。

これと同様の終値関与で事件になった件といえば、リーマンショックの年に今は市場からその姿を消したケイエス冷凍食品のIPOに絡んだ株価操縦で起訴された丸八証券が記憶にあるがこれ以来の事か。とはいえ今回の舞台は大手証券内で行われ、このエクイティ部門の中枢を担っていたのは何れも一流外資系証券出身者との事だが海千山千を潜って来た兵にしては脇が甘かったと言わざるを得ない。

そもそも同社は取引日を提示する特異な形式で空売りを誘発し易い状況を作り出しており、売り手・買い手・胴元の” 一見三方よし”にも見える同取引が公平に機能していたのか疑わしいところ。斯様な大手証券が同取引に対する売買監視部門が機能していない訳は無く、ここで同社側が組織的犯行の立証を回避?すべく個人の犯行として蜥蜴の尻尾切りに動くのか否か、市場の門番として言語道断の行為だけに特捜部の徹底した解明が待たれる。


米株マル信解禁

さて、年明けからネット証券などでは米国株式取引のラインナップが充実するなど同分野へのサービス強化が見られているが、若年層を中心に米国株への投資意欲が高まっており投資機会の多様化を進める狙いもあって更に今年の夏からは米国株式の信用取引が解禁される旨が先の日曜日の日経紙に出ていた。

これらのルール改正で日証協や金融庁を動かす原動力ともなったのが上記の若年層の動きで、あるネット証券大手ではここ2年程度で初めて米国株を取引する向きは約7倍に増加し売買代金も17倍に急増、また別なネット系大手では1年間で米国株の取引件数が3.5倍に増加し顧客数も約3倍に伸びたという。

とはいえ国内株のようにストップ制限など設けられていないなど流動性のリスクもあるだけにこのマル信も当初は時価総額条件を満たす大型株等に限定、保証金や維持率共に国内株式と比較して厚く設定される模様。そういった事で山っ気のある向きなど当初は小粒のミーム株など存分に堪能出来るというワケにもいかなそうだが、いずれはこの手のオプション取引なども手軽に出来る日も来るや否や近年の枝葉には隔世の感を禁じ得ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2022

5

1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31