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新たな共創

さて、昨年暮れには関西スーパーマーケットを巡るH2Oリテイリングとオーケーの司法まで巻き込んだ熾烈な争奪戦を伴うスーパー業界の再編劇を目の当たりにしたが、再編劇と言えば既に報じられている通りホームセンター大手のカインズが200億円超を投じて住まいと住生活部品の総合専門小売のホームセンターである東急ハンズの買収を発表しており本日をもって全株式の取得など諸手続きを完了している。

東急ハンズといえば学生の頃は渋谷店には今でいえばドンキに行くような感覚で通った思い出があるが、生活圏が渋谷から離れてからは空白期があったものの有楽町に店舗が出来て以降はまたちょくちょく顔を出すようになった。ただ昨年には渋谷店同様に待ち合わせまでの時間を潰していた池袋店のような大型店が10月末で閉店するなどなかなか状況は厳しかったようだ。

ホームセンターといえば一昨年も島忠を巡りDCMホールディングスとニトリが争奪戦を繰り広げた一件を思い出すが、この業界もここ20年くらい市場規模が横這いで推移する一方で店舗数は増加するなど所謂オーバーストアの状態。カインズとしてはアフターコロナを視野に入れた攻勢で次の経営にシフトする狙いが見え隠れするが、これに限らずドラッグストアなど他の流通業界の再編も今後ますます加速してゆくのは想像に難くないか。


米の分割熱

米テスラは一昨日に2022年内に株式分割を実施する計画を表明している。2年ぶりの分割発表だが、前回1株を5株に分割すると発表した際にこの発表月の末までその株価は実に約8割もの急騰を演じその後3年足らすで株価は実に3倍にも化けた経緯があり、その連想からかこの日も発表直後にこれを好感し株価は約9%の上昇を演じていた。

米大手の株式分割といえば直近ではアマゾンも9日に1株を20株に分割すると発表しており、同社の株式分割は実に23年ぶりのこと。また、グーグルのアルファベットも先月に1株を20株に分割する計画を発表しているが、アマゾンは加えて自社株買いの限度額を現行から2倍に引き上げる事も併せて発表しており株主重視姿勢を鮮明にしている。

確かに小口の個人投資家などからしてみれば株式分割により対象企業が大幅に買い易くなるだけに、経営陣が株主フレンドリーなスタンスを有しているという証左にもなる。株式分割で企業の市場価値が変るワケではないものの、ローコストで株式価値を高める手法の一つとして改めて評価される動きが広がれば今後更に分割熱が高まる可能性があるか。


アカデミー賞2022

昨日は周知の通り世界最高峰の映画の祭典「第94回米アカデミー賞」がハリウッドで開催された。2年前にはメーク部門で日本人が2度目の受賞と果たしたのが話題になったが、今年は日本映画史上初の4部門にノミネートされ注目されていた「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞に輝き、09年の「おくりびと」以来、13年ぶりの快挙となった。

こんな本邦勢快挙の裏で主演男優賞に輝いたウィル・スミスのMCへの平手打ち騒動など前代未聞のトピックもあったが、アカデミー賞といえばレッドカーペットでのセレブ達の装いもやはり必見。ニコール・キッドマンのアルマーニ・プリヴェやクリステン・スチュワートのシャネルにビリーアイリッシュのグッチ等々これぞレッドカーペットといえるハイブランドの見事な作品の競演であった。

2年前のレッドカーペットではハイブランドの豪華なドレスやスーツもリメイクしたものであったり、廃プラスチック等を再利用した素材とサステナビリティを訴えた服が目立ったが、今回は例えば(クィア)を公言している助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズの女性らしさや男性らしさを打ち破ったデザインのヴァレンティノのジェンダーレスな装いなど印象的であった。何れにしても全員ノーマスクでレッドカーペット復活と、さながらコロナ禍前に戻ったような束の間の華やかさが見る事が出来たアカデミー賞であった。


お台場名所の閉館

さて、未開の地であった臨海副都心の魅力を押し上げる一翼を担ってきたお台場の商業施設「ヴィーナスフォート」だが、トヨタグループの不動産会社による多目的アリーナの建設計画に伴うパレットタウンの再開発により、昨日で惜しまれつつも平成11年の開業以来、約23年近くに及んだ歴史に幕を閉じた。

開業当初に初めてこの施設に訪れた際には、中世ヨーロッパの街並みが再現された館内にさながらラスベガスやマカオのホテルにあるショッピングモールに来ているような感覚にも陥ったものだが、噴水広場なども幾多のテレビドラマに頻繁に登場しパレットタウンの発展と共に実に延べ2億人が来館したという。

思えば此処は商品を所有する「モノ消費」から、体験や思い出に価値を見出すという所謂「コト消費」時代の先駆けとして開業したと言ってもいい施設であった。今後も隣接の透明なゴンドラがあった大観覧車も8月末での営業終了から解体の運びとなり、また同じくチームラボによるあのアートミュージアムも一旦営業を終了するなど時代を駆け抜けてきた定番のデートスポットが姿を消すのは寂しい限り。


代替魚介の枝葉

さて、久し振りにお寿司を食べた際に一昨日の日経紙社会面で「魚介高騰 乱獲が影」と題し、世界的な乱獲や気候変動に伴う海水温の上昇も重なり烏賊や雲丹など寿司ネタの定番とされる魚介類が深刻な不漁に陥っている旨の記事があったのを思い出した。確かに都内の個人店では悲鳴に近いものが聞こえ、盤石な大手回転ずしチェーンでさえ値上げに踏み切ったところも少なくないのが現状。

上記の通り特に懸念されるのが中国の乱獲というが、この国の乱獲は今に始まったことではなくこの記事に書いてあったスルメイカの国内漁獲量の3.7倍にも相当する乱獲のみならず昨年はサンマの乱獲も話題に上っていた。こうした違法ともいえる乱獲で得た魚介類が中国で加工され一部は回り回って日本に輸入されているかと思うと何とも複雑な気持ちになる。

そんな中で日本では養殖魚やサステナブルシーフードに注目が集まりつつあるほか、植物由来の代替食品が肉以外にも広がりを見せイカやサーモンなどが続々登場している。驚異的暴騰を演じている雲丹など既に都内の高級ホテルでは大豆由来の雲丹が海鮮グラタン等に使用されているが、何れにしろ現在国際的に導入している漁獲規制措置は殆ど効果が無いといわれているだけに何とも歯痒く、こうした代替の枝葉が広がり易い環境は暫く続くか。


コロナで変貌 

昨日は国土交通省が2022年1月1日時点の公示地価を発表していたが、全国全用途平均は前年比0.6%上昇と2年ぶりに上昇、ほか住宅地は0.5%、商業地も0.4%の上昇とコロナ禍の影響が徐々に緩和される中で新たな需要取り込みにより上昇に転じる場所が出て来るなどいくぶん回復の兆しが見られた。

上記の上昇に転じた場所で身近なところといえば浅草駅周辺で、昨年は数地点で銀座8丁目あたりと並び10%を超える大きな下落を見せていたものだが、今年は若年層など中心とした観光需要回復を背景に1.1%の上昇と一転して上昇へ。一方で全国的にみると同じくインバウンド需要が高かった大阪などマイナスが継続し全国商業地下落率ワーストの多くを占めていた。

また住宅は依然として都心の一部地点で根強い人気を誇っているところがあるものの、このコロナ禍でのテレワーク急増など働き方変化に伴う生活の変化で郊外嗜好が顕著に表れその流れは東京都心から周辺に広がりつつある。こうした住宅事情は商業地にも波及する効果があるだけに、コロナを境に従来の構図が今後どう変貌し定着してゆくのか今後も注目される。


金融リテラシー向上へ

さて、先週末の日経紙マーケット面の大機小機では「金融教育、重要になった背景は」と題し、民法改正で成人年齢が引き下げられ銀行機能の変質や預金の位置付けの転換とも相俟って金融教育の必要性が高まったことなどを背景に2022年度から高校の家庭科で金融教育が本格的に行われる旨の重要性が書かれていた。

既に一部の学校では証券会社などから講師を招いて金融教育を開始しているところも見受けられるが、現場の教師の間では戸惑いも見られるようだ。戦後長らく続いた貯蓄増強の推奨が染み付いている世代では然もありなんだが、こうした若い世代からその親世代へも資産形成の重要性を波及させ「貯蓄から投資」と政府が予てより旗を振って来た流れを加速させる意味でも自然な流れか。

老後2000万円問題がかつて話題になったが、斯様な将来に対する不安から日銀統計では個人金融資産に占める預貯金は過去最高を記録している模様。政府も分配政策もいいがこうしたお金を有効活用して経済を回すのが本当の成長戦略ともいえるだけに、先ずは若年層と共に幅広い金融リテラシーの向上から資産運用等で老後不安を解消してゆく流れを作ってゆく事が先決か。


ブランディング彼是

本日の日経紙商品面の価格は語るでは「和牛、輸出単価1割上昇」と題し、和牛の輸出が20年の落ち込みから急回復し過去最高となった旨の記事があった。確かに海外での和牛の存在感は高まっていて、去年1月から11月までの輸出額は87.7%増加と前年より9割近く増加、輸出単価も1割以上上昇して日本の食品輸出を牽引する存在になりつつある。

富裕層を中心に需要が高まったのが大きな要因のようだが、これまで和牛のブランドといえば神戸牛一択が浸透しており国内のような様々な産地の銘柄牛は認知されているとは言い難かったものの、海外展開における要のこうした世界各地の富裕層達は一歩進みそれらの細かい違いを意識し始めているという。

この和牛も最近ではサステナブル和牛なる商品も開発され、SDGsという観点に付加価値を見出している海外での販路を広げるなどの動きもある。この辺に絡んでは当欄で以前にエシカルなランドセルがロンドンのポップアップストアでお披露目された旨を書いていたがこうしたライン上にあるといえ、和牛を含め今後もこうした海外マーケットで価値を上げてゆくビジネスには商機が潜むか。


非財務価値対応

昨日の日経紙投資情報面には「ESG投資家が銃をとる日」と題し、ロシアのウクライナ侵攻を背景に、平和を希求する支援など民主主義や人権を守るうえで重要としてこれまで人道的な観点からタブーとされてきた防衛産業への投資も社会主義にかなうとして従前の見解も変わらざるを得ない旨が書かれていた。

このESGといえば国内でも金融庁が昨年のガイドラインでESG課題などに取り組む体制整備を推奨、ESGを推進する社内委員会を設置する企業も昨年末時点で118社が設置し1年半で倍以上に増加した旨も先週末の同紙が書いており、来る4月の東証市場再編でもそれぞれにESGの内容を含む基準を定め上場する企業はESGへの対応が義務付けられる事になっている。

このディスクロでは従前のように過去の情報を開示するのではなく、例えば将来の気候変動がどういったものになるのか、またそれらを踏まえそれが事業にどう影響するのか分析したうえで定量情報として開示しなければいけない点でこれまでと違う難しさがあるが、ESGが企業価値という成果に繋がっているか今後厳しく問われる事が予想されるだけにこの非財務指標は重要なポイントになってくる。


あれから11年

先週であの東日本大震災から11年が経過した。いまだに2500人以上の行方不明者がおり捜索が続いているが、福島ではもう戻れないとみられていた帰還困難区域の一部で春以降住民の居住が可能になるほか、岩手・宮城両県ではインフラ復興に一通りのメドがつき政府は2021年度からの5年間を第2復興・創生期間と位置付けている。

一昨日に冬季のパラリンピックが閉幕したばかりだが、思い返せばオリンピックを誘致するべく当時の首相が福島はアンダーコントロールされておりこの辺は保証するとの一文で引っ張て来たくだりが蘇る。その福島だが上記の帰宅困難区域に若干の進展が見られたものの、除染、廃炉、その先の核ゴミの問題含め道筋がついているとは言い難い。

それら含め我々は原発をどうするのか本格的な議論を始める時だが、おりしもこんな時期にウクライナの原発関連施設にはロシアが攻撃を加えるなど信じられない暴挙が行われ、こうした過程でエネルギーの供給不安も最高潮に高まり脱原発どころか原発回帰論もまたぞろ台頭してきている。風化させるべからずの東日本大震災だが、皮肉なことにこんな一国の暴挙が改めて原発問題と向き合わざるを得ない状況を作り出している。


システミックリスク

周知の通りロシアの供給不安で数多の商品が急騰しているが、先週のマーケットでそれが特に顕著だったのはなんといっても非鉄金属のニッケルであったか。国際指標となっているLME(ロンドン金属取引所)の3ヵ月先物は週明けの7日から前週末比約2倍に急騰、翌日も前日比約2.1倍の1トン10万ドル超えと暴騰しまさに倍々ゲームで史上最高値を更新した。

ミーム株の類ならまだしもあらゆる製品に多用されている非鉄金属がたった2日間で約3.5倍にも化ける事態となった事で、LMEはこの日ニッケルの取引を即日停止措置にしてその日の取引を全て取り消しにすると発表。その背景には多くの参加者がマージンコールへの対応に追われる中でも、中国メーカー大手の看過出来ない額のショートポジションが市場全体へ多大な影響を及ぼすと予測された事への思惑がある。

個人投資家としてLMEの鉄火場に参加するのはハードルが高いものの、手軽にこの暴騰劇が味わえたところでは非鉄大手の住友金属鉱山が7日に年初来高値を更新、またETFではWisdomTreeニッケル上場投信が週末4日の大引3,100円から8日の6,152円まで2営業日でほぼ2倍に急騰と破竹の勢いであった。

しかし同じくロシアの供給不安で急騰しているパラジウムもたしか2000年だったかTOCOMで解け合いの憂き目に遭った記憶があるが、名門LMEの取引帳消し措置は前代未聞といえる。こうなるとこれまでにも増して回収やリサイクルの強化等々、所謂都市鉱山を囲い込む戦略が今後も改めて重要になってくるか。