幻の構想が幻に・・
昨年12月にはホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議を始める事で合意した旨を取り上げたが、周知のように先週にはこの協議を打ち切ると両社より正式な発表がされている。協議開始からわずか1ヶ月半のスピード破談劇であったが、当初の持ち株会社構想から遅々として進まぬターンアラウンド計画にホンダ側が業を煮やし買収提案へとなる過程で要は両社で経営統合に向けた合意点が見いだせなかったという事だろう。
正式にこの破談が発表された日には両社の決算発表もあったが、ホンダは当期純利益が4年ぶりのマイナスとなり、日産も最終損益は800億円の赤字となっていた。ちなみに主要他社のこれまでに発表された決算は最大手トヨタ自動車が増収増益のほかスズキやSUBARUも増収増益、25年3月期の業績予想もトヨタ自動車、スズキ、SUBARUは揃って上方修正しておりはっきりと明暗が分かれた格好になった。
上記の業績好調組はHVやSUVなど売れる車を持っていることが特徴だが、日産など売れる車が無いというのがそもそもの問題か。既に中国のBYDは既にホンダや日産を上回る世界2位に浮上し、国営大手の重慶長安汽車と東風汽車も経営統合する可能性があるとも報じられているがこれが実現すればBYDを抜いて販売トップになる。先端技術開発力を持ちながら再編で規模を拡大するなど時代は変革期を迎えているだけに両社がどう戦略を立て直すのか注目される。
日産のプライドもあろうが長らくの低迷を経てその時価総額は今やホンダの約5分の1なだけに対等を謳うのは素人目でも無理があるのは否めないところで、日産と対等な関係でありかつ日産を支えることのできるような都合のよい相手がはたして現れるのか?時価総額が落ち込めばそれだけ大手他社からの触手が伸び易くなるわけだが、いずれにせよ今後日産の経営陣がどのような方向性で会社を導くのか、その責任は非常に重いだけに去就が注目される。