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出資証券事情

本日も日経紙の一面は「円高で海外シフト・4割」等と相変わらず為替関係の記事には連日事欠かない状況が続いている。直近でも先物買越残高が前週比で増加してきており、投機筋側もなお円買い余力があるといわれているが関係者には戦々恐々の状態だ。

財務大臣も金太郎飴のように「動向を注視しあらゆる手段を排除せず断固たる措置を取る」と繰り返すばかりだが、よく考えなくても動向を注視する仕事だけにわざわざ言葉に出すまでも無いだろうし、FRB議長講演を前にはたして落ちてくるナイフを掴めるのかそう考えるとあらゆる手段も万策尽きた感さえ漂う。

前回はこのナイフを掴んだ途端にFOMCがゼロ金利政策維持を打ち出し怪我をしてしまった経緯から、介入は出来ればFRB議長講演まで温存しておきたいところがみえみえだが、その間に市場に虐められないだろうか?日銀総裁も充分な金融緩和を実行したとは言ってみたものの相場を見ればそうだったのか一目瞭然、このまま小出しな金融緩和に終始すれば在任中の金利上げなどとても実現せずに終る可能性が濃厚だ。

ところで日銀といえば株式(出資証券)も低迷、本日も300円安の40,500円と先の年初来安値近辺まであり約10年ぶり近くの安値を付けている。この円高や米国債の格下げで外貨建資産の目減りが懸念されているほか、過日の日経紙「まちかど」ではリスク資産であるETFの買い入れが中央銀行の信用力低下に繋がりかねないとも書いてあったが、出資証券価格と共にその手腕が問われようか。


善し悪し

先週末に各紙の紙面を賑わせたのが1ドル75円台に突入し、3/17に付けた過去最高値を更新した円相場の動きだろうか。本日の日経紙一面にも円売り単独介入準備等と虚しいタイトルがあったが、前回の介入を踏まえ足元を見られていただけに高値更新も自然で違和感が全く無いといった感じだろうか。

さて、こんな円高で今年のお盆はこの恩恵を受けなきゃ損とばかりに、海外へ向け出国する人々のラッシュで成田空港は賑わい、金券屋ではまたもキャッシュが品薄、某ホテルでは一泊100ドルという宿泊プランを打ち出しているところも出て来た。

そういえば一昔前に日経平均が10,000円の大台に絡んで低迷していた頃に日経平均終値が宿泊料金になる企画をやった台場界隈の某ホテルもあったなとつい思い出したが、稼働率に苦しむ昨今こんな相場を使った企画もいいのではないか?ただこの手は一度手を染めると消費者側は覚えがあるので、所謂諸刃の剣。アパレル関係のセールなんぞはこれのいい例でもはやその開催時期にしてもシーズン真っ只中と後戻りのきかないところまで来ている。

ともあれ市場にはこの円高に関して善悪両論喧しいが、この状況でなければガソリン始め諸物価は可也キツいものになっていた一方、産業界は末端まで悲鳴を上げている。立場が変われば自ずと意見も変わろうというものだが、しかし何とも諸事情勘案するに収拾が難しくなってきたものだ。


規制第二弾

さて、既に数日前から証拠金維持率の注意喚起やら最大レバレッジを謳う法人名義での口座開設の案内などが一部流布されていたが、周知の通り本日から「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」なるものによって、FX(外国為替証拠金取引)のレバレッジ規制(25倍以下)が実施された。

前回も規制による円高憶測があったが、今回もまた個人投資家の動向から円高に拍車等の記事を多く目にした。個人パワーが関係しているのか否か目下のところ前回時同様に直近でもまた円高、前回はQE2議論絡みで円が際立ったが今年は米債務上限を巡ってのデフォルト懸念と偶然にもこの期の材料には事欠かない。

一方度重なる規制でこの業界再編の思惑も出る中、上記の法人口座ではないが各社は個別でスマホの注文システム導入、総合口座、通貨の多様化、キャッシュバック、人気店の軽食を付けた女子会風セミナーなど客層を絞ったセミナー等々、顧客確保に各々余念がない。

また当の取引所サイドも本日から「中国人民元/円」、「韓国ウォン/円」、「インドルピー/円」、のアジア3通かペアを上場させたがNDFなど金利裁定が利かない分スワップ等どういった調整になるのだろうか?他かつて組成されたETFなど見るにリクイディティーの問題などどうしても気になるが、いずれにせよ取引会社、取引所併せこれらが今後奏功するかどうか見守りたいところ。


バランス

本日の日本時間午前に行われたオバマ大統領の債務上限問題を巡る演説にてデフォルト懸念がまた台頭し、東京外国為替市場では円を買ってドルを売る動きが活発化した結果、円相場は一時1ドル77円台に突入した。

昨日ももう何度目だろうか野田財務相が円高に関し「必要なときは断固たる措置を取る」と述べ急激な相場変動を阻止する為に円売り介入も辞さない姿勢を示しているが、実際に政府が為替介入に踏み切れば戦後最高値を受け3/18に行った欧米各国との協調介入以来になる筈なものの、今のところは口先介入にとどまっている。

しかし毎度の事ながら、無秩序な動き、断固たる措置、市場動向を注視等々こと言葉尻を捉えればおかしな表現満載なのだが、その辺は兎も角もある面口先でも表現の優劣が出るなとつくづく。まあ為替とて相場、先の当欄で「現実味を帯びる日本脱出」としたような動きや、最近また出てきたM&A熱もまた然りでこれも平準化の基本形の上にあるのは同じだろう。


順次トリガーに

本日の東京外国為替市場の円相場は対ドル・ユーロ共に円高が進みまた80円大台の攻防となっている。GW中も米経済の思惑や、コモディティー下落もあって円カバーの動きから海外市場では円が一時79円台まで買われ、G7が円売りの協調介入に踏み切った3/18以来、1ヶ月半ぶりの円高水準があった。

そんなワケで介入思惑など再度話題に上り始めたが、デリバティブ系もまた然り。中小企業が抱えている為替デリバティブの損益状況は金融庁の調査結果によれば、2004年度から10年9月までの期間中に、差し引きで約1,400億円の損失が発生した模様と先に報じられている。

中小に限らず大手も然りで6月に「サンエー・インターナショナル」との経営統合を控える「東京スタイル」は先に11年2月期の連結最終損益予想を黒字から一転赤字に修正、というのもこの円高で為替連動型のデリバティブの評価損が36億円発生、これを営業外で計上することになる為とか。

同社の経営統合本部の話によれば、04年以降1ドル100円より円高が進むことはないだろうと考えて投資した模様だが「相場に翻弄された」と。今後は本業に集中する為にデリバティブからは撤退するというが、フラット為替然りデュアル・カレンシー債然り台が変わる度にまた幾つか明るみに出てくるものも多数だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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