介入乱舞
さてGWも終わったが、そんな連休中でも先週の為替を巡る動きはなかなかボラタイルなものであった。先ず昭和の日は対ドルでの円相場が1時1ドル160円台まで急落していたが、あと午後に入って突如として154円台まで急騰、次に月替りの1日NY市場でFOMC後に再度対ドルで円相場が急騰、1時間程度で4円超の円急騰を演じた。
財務省側は介入の有無についてはコメントせずを貫いてはいるが、月末公表の当座預金残高での財政等要因による減少額が事前予想をはるかに超える額で約5兆円規模の円買い介入が実施されたとの観測が強い。いずれにせよこの一連の介入により先週の週間値幅は8円強にのぼるなどここ数年で最も大きな動きで投機筋等との激しい攻防の跡がうかがえた。
22年の大規模介入から今回の介入水準まで次第に防衛ラインが切り下がってきているがさてこの160円水準、某生保系シンクタンクの試算では160円でも実質賃金は下期にプラスになる見込みというが、別の外資系証券の試算では春闘の賃上げ率3.69%を打ち消してしまう水準は24年平均ベースで157円との試算もあり、これ以上の円安は物価上昇で企業努力が帳消しになってしまうとの見方もある。
現状日米の金利差は4.5%前後で依然として開きがあるために円売り素地は十分ともいえ、現在のドル高主導の円安トレンドの転換には米国のインフレ抑制と利下げを待つほかないのは否めないところ。22年の大規模介入では約1年の時間稼ぎが出来たがはたして今回は如何に?いずれにせよ今週はミシガン大学消費者信頼感指数、来週には米PPIやCPIなど物価指標の公表があり、これに合わせまたぞろ円が振れる場面も予測されるだけにしばらくは介入に神経を尖らせる場面が続きそうだ。