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保険彼是

今日も昼間の外出が逡巡される暑さであったが、太平洋高気圧の影響で関東甲信では連日にわたり最高気温が40度に迫る記念な暑さとなっている。東京都心でも最高気温が35度を超えて今年13回目の猛暑日となり、1995年、2010年と並び年間の猛暑日の最多記録となったが、この猛暑で「熱中症保険」の加入件数が急増しているという。

俄かに出て来た保険の類といえばこのコロナ禍で一躍脚光を浴び当欄でも取り上げた事のある「コロナ保険」が記憶に新しいが、当日申し込み直後から適用になるというPayPay保険サービスが提供する熱中症お見舞金など既に真夏日を記録した6月下旬には前週比で約6倍にもなったそう。

ところで昨日は3年ぶりに青森のねぶた祭りが再開されたように全国で祭りの再開を見に行く向きも多いと思うが、2月にペイペイアプリで手軽に契約出来るコロナ保険で爆発的な加入件数を記録した損保ジャパン系では旅行の出発前から旅行先での感染というケースまでカバーした「コロナ安心旅行保険」なるモノが販売されこれまた先月は月初比で契約件数が7倍に急増したという。

コロナ保険では想定を上回る支払いから販売停止に追い込まれた向きや、保険金の大幅減額を止む無くされ中には関東財務局から業務改善命令を受けた向きも最近ではあったが、次々と打ち出される俄かお手軽保険はこれら踏まえた万全な商品設計になっているのだろうか?商機と勝算を巡る駆け引きは各社まだまだ続きそうだ。


急務の課題

ちょうど一週間前に当欄で取り上げた最低賃金を巡る厚生労働省の審議会だが、企業が労働者に支払うべき今年度の最低賃金の目安を現在から31円引き上げて全国平均で時給961円とする事が決まった。上昇率は3.3%となり昨年度の引き上げ額28円を上回って過去最大を更新することとなったが、それでもなお政府目標とした1000円の大台には殆どの地域で届かないか。

今年の議論は物価高の影響で労働者側と経営者側では引き上げ額等の主張に隔たりがあり時間がかかったが、先に書いたように原材料の値上がり分を製品価格に転嫁し切れていない中小企業に労働者の割合は集中しておりなかなか厳しい。言うまでも無く賃上げの原資は労働生産性という事になるが、日本の労働生産性はG7中で最下位という状況も変わらないまま。

長引いたデフレで製品やサービスの付加価値が高まらず、景気悪化時に落とし難い所定内給与の引き上げにも慎重で賃上げを進める余力は乏しい構図だ。下請け等で立場の弱い中小企業など企業間での従前の商習慣を見直し物価高を転嫁し易い仕組み作り等々、各企業が最低賃金を払えるだけの環境の後押しなど根本の課題に向き合う必要があるか。


葉月の値上げ

早いもので週末には立秋を迎える葉月入りだが、今月も食品を中心に値上げの波が加速する。本日納品分からでは味の素冷凍食品が家庭用製品47品目を約6~14%の値上げ、この冷凍食品ではニチレイフーズも本日納品分から家庭用冷凍食品の一部を約8~20%値上げし、日清製粉ウェルナもパスタやパスタソースを約2~8%値上げする。

他にも馴染の深いところで江崎グリコのビスコや東ハトのキャラメルコーン等がステルス値上げを併せて実施するほか、電気代も大手4社で更に揃って値上がりし東電では平均モデル料金で前月比247円増、前年同期比では2000円以上のアップとなり、6月に挙げた大手航空会社のサーチャージも過去最高の水準となる。

また街ではファミマも中旬以降に人気商品ファミチキの値上げに踏み切るものの、ココは明日から3週間にわたり惣菜やサンドイッチ類など全20商品を値段据え置きで中身を40%増量する「逆ステルス」?のようなキャンペーンを実施する。既にローソンが定期的に実施しているキャンペーンだが、消費者に如何に受け入れられるかコンビニ各社も戦略が問われる。

帝国データバンク調べでは上場する主要飲食料品メーカーで7月末までに累計1万8532品目の値上げが判明、このうち8月単月での値上げは2431品目に上り単月で初めて2000品目を越えることとなる。このペースで推移すると年内の累計値上げ品目は今月中に2万品目超えが確実視されるが、年初の値上げ実施組も円安を背景とした再再値上げ等が秋以降に集中しているだけにまだまだ身構える構図が続くか。


価値と価格

本日の日経紙総合面には「鉄道運賃 変動制に」と題し、国土交通省が時間帯によって価格を変える所謂「ダイナミックプライシング」の導入に向け、鉄道各社が運賃を変えやすくするための法改正など制度設計に入る旨の記事があった。通勤時などの混雑緩和は長年の社会的課題となっているだけに斯様な柔軟性を持たせる部分で少し前進の期待がかかるか。

このダイナミックプライシングは既にこうした交通インフラの分野では航空会社や高速バスなどに導入され広く知られているところだが、他にも東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどレジャー施設からホテルの予約サービス、身近なところではアマゾン等のECまで幅広く導入されている。

近年ではこの動きはBtoBからCtoCサービスにまで広がりを見せてきているが、とりわけこのコロナ禍では行動様式の変化がこれまでとは違って顕著なだけにパラダイムシフトが求められ、社会の変化と共にこれまで以上に価格の在り方というモノが今後もますます変って来るのは想像に難くないか。


双方乖離の審議会

厚生労働省の審議会は昨日から企業で働く全ての労働者の最低賃金を決める協議を行っていたが、果たして労使双方の主張には隔たりがあり合意する事が出来ないまま次の日程も決まらないという異例の事態になっている。最低賃金に絡んでは本日の日経紙総合面でも取り上げていたが、欧米に比べると本邦の水準はまだ大きく見劣りするのが現状だ。

今年度の協議は物価高を背景に、労働者側が生活費の上昇等を訴えて賃金の大幅な引き上げを求める一方、経営者側は原材料費の高騰等が中小企業の経営に悪影響を与えているとしてこれに難色を示している構図となっている。確かに原料費高騰を背景に値上げが行われているものの、実際は一部転嫁に過ぎず賃上げ出来るほどこれが為されているかといったら甚だ心許ない。

上記の通り日経紙では「最低賃金、欧米に見劣り」と題していたが、確かに世界中が賃上げするなかその名目年間賃金は日本だけが横這い推移となっている。毎年3%の引き上げが続けば24年度には政府が目指す水準に近付く云々も記事にあったが、日本の労働者の約7割が中小企業に勤めているワケでそうしたところにコンスタントに3%賃上げの余裕はないのが現状か。昨日取り上げた日銀の継続緩和も虚しく見えて来るものだが、税制等含めた政府支援は喫緊の課題か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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