5ページ目   雑記

コンクラーベ

周知のように週明けにローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が亡くなったとローマ教皇庁が発表している。教皇の在任中は貧富の格差解消から気候変動対応まで呼びかけるなど地球規模の課題解決に向けて積極的な発信を行っていた。日本にも2019年にローマ教皇としては38年ぶりに来日し被爆地の広島や長崎でスピーチし核兵器の廃絶を強く訴えていたが、復活祭のミサの翌日に天に召されたあたりまるで選ばれたかにも思えるものだ。

ところでここからは服喪期間を経て教皇が空位になってから15日後以降に、多くの観光客も訪れるシスティーナ礼拝堂の密室で次の教皇を決める「コンクラーベ」が開かれることになる。世界中に居る枢機卿の中で投票権を持つ者が参加し、投票者は外部との通信が遮断され電話なども持ち込みが禁止されるが、裏側ではいろいろと根回しや権謀術数まであるとまことしやかに囁かれている。

コンクラーベといえば奇しくもその裏側を描いた映画「教皇選挙」が先月にはアカデミー賞の脚色賞を受賞し話題となっているが、ほかに映画という絡みでは記憶にあるのは一寸前になるが2009年の「天使と悪魔」か。ここではコンクラーベのプロセスなどかなり丁寧にわかり易いタッチで描かれており、前作の「ダ・ヴィンチ・コード」と共になかなか楽しめたが、いずれにせよこの礼拝堂から決定の知らせとなる白い煙が上がるのはいつか見守りたい。


揺らぐ安全資産の信頼性?

本日は金価格が1トロイオンス3291ドルを超えて週明けに記録したこれまでの最高値を上回ってきた。長年安全資産とされてきた天下の米国債価格が急落し長期金利の上昇幅は23年ぶりの大きさとなり、幅広いリスク資産に売りが出る一方でこのゴールドにマネーの逃避が進んでいる。しかし米国債といえば通常では株式の急落時などでは真っ先に矛先が向うものだが一緒くたに売られる今回の光景はなんとも不気味だ。

今後もこんな動きが続いて米格付け大手が米国債の格付け引き下げに動くようなら、自ずとヘッジファンドなども運用金融商品の入れ替え等で更に売られスパイラルに株安ドル安と連鎖しかねないがはたして何処が売っているのだろう?米ヘッジファンド説、中国政府説、はたまた日本の金融機関説まで出ていたがこの辺の憶測に関しては直近で農林中金の理事長は「そういった事実はない」と否定している。

海外投資家が直近で保有していた米国債は総額で約8兆5000億ドル、この規模は米証券業金融市場協会が推計した発行残高の約30%に相当するという。そのうち保有トップは日本の1兆793億ドル、2位に中国の7680億ドルと続くわけだが、この度の市時混乱にて米国債は或る意味アキレス腱との見方が出ている。日米の関税交渉ではヘッジファンド出身で金融市場を熟知したベッセント財務長官が担当だが、さてこの辺も交渉カードの一つになり得るのかどうか成り行きを注視したい。


前倒し統合

さて、2年ほど前だったか当欄ではイオンが9年前にウエルシアHDを子会社化したものの業界再編に関しては会社提案による経営体制の下で協議を進めることが適切と淡々と述べていた旨を書いた際に末尾では「今後も物言う株主の圧力が結果的にイオンの背中を押し更なる再編に向けての動きが起きるかもしれない。」と書いていたが、先週にはウエルシアHDとツルハHDが2025年内の経営統合を決めることとなった。

当初の計画では2027年までの経営統合を目指して協議していたものだったが、この当初計画を2年も前倒しするという事になる。この経営統合によって3年間で500億円のシナジー効果を見込むというが、いずれにせよこれまでドラッグストアの売り上げとして1兆円超えが1~3位まで横並びであったもののこれで業界では一気に2兆円規模のガリバーの誕生となる。

ところでイオンの社長が会見にて大きな競争力を持つドラッグストア云々と言っているくだりで、「唯一無二」を「ゆいいつぶじ」と読んでいたのがどうも気になってしまったが、まあその辺はご愛敬として3位のマツキヨココカラが両社の統合で当時飛躍的な経理効率の上昇がみられたように、この度の統合も圧倒的なスケールメリットを生かしていけるかどうか注目されるところだ。

この前倒し劇の背景の一つには昨年にアマゾンがスマホから処方薬の配送が出来るサービスを開始し楽天やGMOなど他のネット系大手もこの分野に参入してきている危機感等もあろうが、昨日公表があった総務省の人口推計でも日本の総人口が14年連続の減少となるなど人口減で今後も市場縮小が顕著になってゆくというベースがあるだけに今後もこのガリバー誕生で業界再編劇が終演することはないだろうか。


大阪・関西万博開幕

さて、東京五輪・パラリンピック後の景気刺激策と位置づけ2005年の愛知以来、20年ぶりの大規模万博となる大阪・関西万博が開幕のはこびとなった。また同じここ大阪の地での万博開催としては1970年の大阪万博以来、55年ぶりだ。当初は会場建設費を1250億円と見込んでいたものの、資材高や人件費の上昇などで複数回にわたって増額、結局は約2400億円近くと当初からほぼ倍に膨らむなど賛否両論のなかの船出となった。

前売りチケットは当初目標の1400万枚を下回る約1170万枚販売されたとのことだが、運営費の赤字を回避する採算ラインは約1800万枚との試算もある。初日は生憎冷たい雨が降りしきりブルーインパルスのアクロバット飛行や空飛ぶクルマのエキシビジョンが中止に、自慢の大屋根リングは雨といの水が溢れ、やれやれ食事にでもといえど回転ずしに辿り着くだけでも4~5時間待ちとこちらも忍耐戦が展開されている。

この大阪・関西万博、予てより事前予約制を導入し“並ばない万博”が謳われてはいたものの、いざ蓋を開けてみればTV等では連日長蛇の列の映像が放映され、パビリオン予約やキャッシュレス決済などスマホ頼みなもののネットの繋がりにくい状況でQRコードの不具合が起きるなど各所ではなかなか波乱の幕開けぶりが窺える。

こうした運営面での課題など今後協会等による継続的な改善が必須となろうが、この「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマの万博は半年間で来場者は約2820万人が想定されている。政府はその経済波及効果を約2.9兆円との試算を出しているが、この万博後には会場となった夢洲では5年後にカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業が予定されている。こちらもいまだ賛否両論だが、先ずはこの万博が成功裏に終わるかどうか引き続き注視しておきたい。


脱・脱炭素の波

依然として世界のマーケットを混乱させている米トランプ大統領だが、つい昨日には米国内で石炭の生産と消費の拡大を目的とした4つの大統領令に署名している。相変わらず世界が進めている脱炭素の取り組みに逆行する動きだが、この脱炭素に絡んでは米国のみならずこのところ国内でも金融機関がこれに歩調を合わせて脱退が目立っている。

直近では先週末に「みずほフィナンシャルグループ」が金融機関で作る脱炭素を目指す国際的な枠組みであるNZBA、「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」からの脱退を決めているが、みずほFGはむしろ後発組でこれより先に先月には先陣を切って「三井住友フィナンシャルグループ」がこれを脱退、その後に「野村ホールディングス」が続きその後立て続けに「三菱UFJフィナンシャルグループ」が脱退を決定している。

米ではいわずもがな脱炭素に消極的なトランプ政権下で脱炭素を巡る業界横断的な活動への訴訟など法的リスクが浮上している事から、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど大手どころが挙って離脱表明しているが、米国で事業を展開する上記金融機関にとっても重要なリスクとなることでこうした波が邦銀勢にも波及してきているという構図だ。

とはいえ石油採掘ひとつ取っても採掘に要するエネルギーと採掘した石油エネルギーの比率、つまり掘削効率を示す指標はかつて200だったものが最近では20分の1程度にまで低下しているという指摘もあり、この厳しい現状も鑑みるにやはり脱炭素は時代の流れとして不可逆的なものと考えるべきだろう。反DEIよろしく歩調を合わせざるを得ない企業の苦悩も見え隠れするが、社会課題としてこれを見据えた投資支援など継続してもらいたいもの。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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