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ガリガリ君も再度

さて、今から8年前の新年度にあの“ガリガリ君”で有名な赤城乳業の値上げ告知の全面広告が日経紙に載った。当時は実に25年ぶりの値上げという事でわざわざCMが作成され値上げの歌を披露、テーマにするにはリスキーなモノに敢えて挑んだことから当時話題になったものだったが、そのガリガリ君が今月は8年ぶりに再度値上げに踏み切っている。

帝国データバンクによれば3月の食品値上げはこのガリガリ君も含めた728品目と発表され、前年同月の3503品目からは大きく減少した。ボンカレーなどレトルト食品や冷凍食品などの加工食品に、引き続きのトマトショック関連、2022年末から実に価格が約3倍にも急騰したカカオ豆相場を背景にチョコレート製品を中心とした菓子が中心で全体の7割を占めるという。

上記の通り今月こそ前年同期比8割の大幅減だが、来月は加工食品を中心に昨年の10月以来半年ぶりに3000品目を超える大規模な値上げとなる見通しだ。原材料コスト以外にも先月も書いたところの所謂“物流2024年問題”も差し迫っており、既に食品分野以外ではこれに対応した値上げが広がってきているだけに付随した値上げが続く可能性もまたありそうだ。


注目される春闘

本日も小幅ながら日経平均は続伸し連日の最高値となっているが、背景にあるのはデフレからの脱却と賃上げと物価上昇の好循環実現への期待がある。賃上げといえば昨日の日経紙夕刊の明日への話題でもミネベアミツミ会長CEOが賃上げについて取り上げていたが、来る春闘の交渉結果で国内消費に繋がるようなある程度の前向きな状況が出てくるかどうかがポイントか。

先に実質GDPのショッキングな内容が公表され、当欄でもこれを取り上げたが約半分を占めるのが個人消費。実質個人消費をみれば米が右肩上がりなのに対し日本はこれだけの金融緩和をしても息切れかせいぜい横這い状態である。斯様な状態で振るわないのは緩和維持策による円安で生活コストが上昇し、実質賃金が削がれて消費にも陰りが出てしまっているという構図か。

大どころの春闘の結果で昨年平均の3.58%を上回るものが出てくるかどうかだが、連合はベースアップと定期昇給分合せて5%以上を要求している。ただ日本の企業構造は全従業員の約7割が中小企業なだけに、大手の後に決まって来る中小企業こそが焦点。とはいえ厚労省によれば労組の推定組織率は今や16%台にまで低下、組合の無い中小企業がどの程度大手に追随してくるかが焦点になろうか。

連合の会長は先に開催された経団連労使フォーラムで中小企業の賃上げに向けては労務費を含む価格転嫁が重要だと強調している。中小企業の賃上げが難しければ個人消費も伸びず上記の実質GDPの足を更に引っ張る要因にもなろうが、ちょうど現在はデフレ脱却から金利のある世界に向かう転換点であり、そういった意味でも賃上げが必須の課題だけに春闘の行方が引き続き注目される。


表舞台に出るONIGIRI

今週月曜日の日経夕刊には「ONIGIRI 海渡る」と題し、日本のおにぎりが海外進出を加速している旨の記事が一面を飾っていた。おにぎりといえばぐるなび総研が一年の世相を反映し象徴する食を選ぶ年末の「今年の一皿」が、昨年は“ご馳走おにぎり”に決定している。今年の一皿でおにぎりは2015年にも握らないで家でおにぎりを作ることが出来る“おにぎらず”が選ばれているが、ご馳走おにぎりは握って出来たモノを敢えて外で食べるスタイル。

同総研によれば昨年は東京など都市部でのおにぎり専門店の開業は前年比で5割増になっているとのことだが、此処の近所に出来た冒頭の日経記事にも出ているおにぎり屋も“出汁パンチ”や“いぶりがっこ味噌チーズ”等々そのネーミングから惹かれるユニークな品々を揃え、オープン以降はTVでも度々取り上げられていることもあってかなかなかの盛況ぶりだ。

そういった事も背景に最近ではコンビニでもお握りの種類が増えて価格もそれと並行して高価格帯のものが増えてきている。またローソンなどは今年の2024年物流問題や食品ロス削減を念頭に冷凍おにぎりの実験販売も昨年夏に試みるなどしているが、最新技術を武器に東京オリンピックで好評を博した日本のおにぎりがこちらでも世界へ進出し易くなるかもしれぬ。

さておにぎりといえばコメだが、日本のコメの一人当たりの消費量はパンや麺類といった食の多様化により60年以上にわたりその消費が減少を続けて来たものだが、輸出は好調で昨年は前年比で3割増加している。恒常的な円安を背景に購買力も増しており世界で広がる日本食マーケットを追い風に海外へ販売先を持って行くことはリスクヘッジの一つとしても商機ともいえるか。


コンプラと私的問題

本日の株式市場で昨日に続いての連続ストップ高でひとり気を吐いていたのは東証プライム市場のアウトドア用品大手のスノーピークか。これは言わずもがな先の日経紙でも報じていた通り米投資ファンドのベインキャピタルと組みMBOによる株式の非公開化を決め、そのTOB価格へのサヤ寄せによるもの。スノーピークといえば2023年12月期の連結決算にて純利益が実に99.9%減少と激減した旨を先週に発表したばかりであった。

新型コロナ禍で我が世の春を謳歌した同社もその反動が一気に襲った格好だが、株価もこのピーク時の4000円台から今や800円台と低迷。そういえばこの過去最高の純利益に沸いた翌年には、当時の社長で創業家3代目であった女性が既婚男性との交際及び妊娠を理由に突如として社長職を辞任した衝撃的なニュースもいまだ記憶に新しいところ。

プライベートでの男女問題が明るみに出た例としてはこれ以外にも、一昨年だったか同じく東証プライム市場に上場する横浜ゴムの当時の社長が私大に通う女子大生と仲睦まじく手をつなぎ沖縄旅行に出かけるなどのパパ活を週刊誌にスクープされた一件があったが、この社長もつい先日に交代人事を発表している。斯様に近年では上場企業トップのプライベートもさまざまな形で世に明るみになるものだ。

そんな世の中だけに脛に傷持つ上場企業の役員連中は日々戦々恐々の毎日だろうが、勿論のことこれら明るみになった問題が今回のMBOやら社長交代の主因では無い。不倫やパパ活のような私的な問題によって経営者としての責任を問うべきか否か、この辺についてはオーバーコンプライアンスを挙げこれまた議論のわかれるところでもある。


4位陥落

先週に内閣府がGDPを発表しているが、物価の変動が反映されより生活実感に近い2023年の名目GDPは5.7%増えて591兆4820億円と過去最高額となった。とはいえ予てから予測されていた通りこれをドル換算すると4兆2106億ドルとなり、ドイツの4兆4561億ドルを下回って世界4位に後退することとなった。

低成長が続いている事に加え、円安の進行でドル換算した場合の規模が目減りしたことも影響し世界3位の座をドイツに明け渡すことになった構図だが、2010年に次ぐ陥落で気が付けば2ランク下がった。この3位に陥落の時は実に42年間にわたって世界第2位の経済大国の座を保ってきただけに、それを中国に明け渡すことになった衝撃が走ったのを思い出す。

OECD(経済協力開発機構)など人手不足を展望しさまざまな雇用促進を日本に提唱しているが、そのOECDの加盟38か国中でも2022年の日本の一人当たりGDPなどは年末に書いたように前年のイタリアに抜かれ比較可能な1980年以降で最も低い21位に陥落、先進7か国でも2008年以来の最下位に沈んでいる。

購買力平価で試算した名目GDPはまだドイツを上回っているというから左程悲壮感は無いという向きも居るものの、この低成長に円安が続けば来年にはインドにさえ抜かれると指摘する声もある。連続のマイナス成長となっているのを余所に日経平均はバブル期の史上最高値を指呼の間に捉え沸いているこの解離感をどう捉えるか、いろいろ考えさせられるものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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