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総理のトップセールス

賛否両論あるなか今日の国葬を敢行した岸田総理だが、先の国連総会出席の際に米投資家を前に講演を行い自らの経済政策「新しい資本主義」を推進すると強調、「日本経済は力強く成長を続ける。確信を持って投資してほしい。」と日本への投資を呼びかけている。日本の優先課題として、年功序列型の賃金制度見直しや女性活躍の推進等を訴え、NISAの恒久化や新型コロナの水際対策の緩和も表明した。

昨日は円安の流れを受け入れその円安メリットを生かし日本に投資を呼び込む政策が喫緊の課題と書いたが、水際対策の緩和一つとってもこれは既に総理が5月から宣言している事で、聞いた感じでは小出し感も強く正直あまり新鮮味を感じなかったが、そこそこ長いプレゼンを終始英語で行った部分は一部の投資家には多少刺さったのだろうか。

またNISAの恒久化に関しても具体的に踏み込んでいるのはコレだけでその他には?という感じがしないでもないが、恒久化はこれまで何度も見送られて来た経緯がありそれこそ3度目の正直どころではないが今回こそ期待を持ちたいもの。多くの投資家が防衛的な構えなのが少なくないのも賃金上昇期待が弱く、中長期目線に乏しい部分もあるだけにこの辺に関する施策も併せて求められようか。


金融政策ウィーク

本日、総務省が発表した家庭で消費するモノやサービスの値動きを見る8月の全国消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いて去年より2.8%上昇した。消費税増税の影響を除くと1991年9月以来、30年11ヵ月ぶりの歴史的な上昇幅となり、原油価格高騰の影響で都市ガス代金が26.4%と81年3月以来、41年5ヵ月ぶりの上昇率となるなどエネルギー価格の上昇が続いている。

また輸送費の高騰や急速な円安等の影響で食パンが15%、食用油も39.3%上昇しているが、先に日銀から発表された8月企業物価指数も2020年の平均を100とした水準で115.1と比較可能な1980年以降で過去最高を記録、前の年の同じ月と比べた輸入物価の上昇率も円換算で42.5%とこれもまた急速に進む円安が指数を押し上げている。

斯様に円安が数多の指数を押し上げる悪役?になっているが、この円にとって今週は注目の金融政策ウィーク。本日はスウェーデン中銀が1%の大幅利上げに踏み切っているが、来る22日にスイス中銀が利上げをしてプラス金利入りとなれば円だけがマイナス金利と世界で際立つ事になる。また更に注目されるFOMCにおいてはインフレ上振れリスクの顕在化でその利上げ幅を巡る予測が喧しいが、これを経てドル円の相場水準も壁越えとなって来るのか否か先ずはその辺に注目したい。


サプライズのコア上昇

注目された8月の米CPIが発表され果たして前年同月比8.3%の上昇となった。前年比ベースでの伸び率は前の月からやや縮小し2ヵ月連続で鈍化したがたが、前月比ベースでは横這いからプラスになった。コア指数は前年比、前月比共に前の月からは伸び率が拡大、ガソリン価格は下落するも指数全体のおよそ3割を占める住居費等コア指数が0.6%上昇したのは懸念すべき点となった。

下馬評ではインフレ上昇のピークが来た事を示す数字が出て、ピークアウトから鈍化に向かう方向に期待がかかっていたものだが斯様にこれが見事に裏切られた格好となった。これで次の市場の関心は来週のFOMCということになるが、大方が予想しているところの利上げ幅0.75%も今回の発表で一部証券会社など1%の大幅利上げへの可能性を指摘する向きも出て来た。

FRB議長は先のジャクソンホール講演でも「痛みを伴っても」という表現をしていたが、今回サプライズだったコア指数の項目が下がる程度まで景気が悪くなっても利上げ継続を敢行することになるのか。先の8月雇用統計も極めて強かっただけに、利上げで多少の雇用が失われても容認されるとも取れ痛みを伴うステージへの下地も整いつつあるか。


鎖国から開国へ

本日の日経紙マーケット面では、昨日の東証プライム市場で年初来高値を付けた銘柄の数が148銘柄と前営業日から32銘柄増えて6月8日以来、3か月ぶりの多さとなった旨が書かれていた。円安のプラス効果が意識される製造業などの輸出産業と並んでとりわけインバウンド関連の強さも際立つ展開となっている。

この頁の一覧でも挙げられていた小売りからは三越伊勢丹HDに高島屋の百貨店の双璧が年初来高値を更新し、旅行関連からはJALやハナツアージャパン、JR九州などがいずれも本日も続伸しこちらも年初来高値を更新していた。これらの背景にはいわずもがな日経紙一面にも載っていた政府の水際対策の上限撤廃報道がある。

しかし他のG7並みに円滑な入国が可能となるように水際対策を緩和すると首相が宣言したのが今年の5月のこと、その後新型コロナの新規感染者数が統計上世界最多と記録するに至り水際対策が如何ほどの意味を持つのか誰もが疑問符だったが、この期に及んで漸く上限撤廃への道筋が見えてきたか。

ともあれ足元の円安で海外からは日本はモノが安い国に映っているのは事実。今の円安にブレーキをかけるには金融政策の正常化か開国?しかないワケだが、意固地になっている金融政策が当面動きそうもない今、急激に進む円安対策という意味でもこの開国での爆買い復活に期待したいものだ。


相次ぐ外形外し

本日の日経紙投資情報面には「HIS、税負担減へ切り札」と題し、先月末に長崎のテーマパーク、ハウステンボスを香港の投資ファンドに売却したエイチ・アイ・エスが、決算期末直前に臨時株主総会を開いて約250億円近くあった資本金を一気に1億円まで圧縮する減資を決めハウステンボス売却で得られる利益をフル活用しようとの思惑がある旨が書かれていた。

同じ旅行業界ではこのエイチ・アイ・エスに先駆けてJTBが昨年に約23億円の資本金を1億円に、日本旅行も40億円の資本金を1億円に、今年に入ってからはKNT-CTホールディングスが約80億円の資本金を1億円に、国内航空3位のスカイマークも90億円の資本金を1億円に減資している。これらいずれも減資後は税制上の中小企業となる事による外形標準課税の支払い回避が狙いだろうか。

ただ中には減資後に資本増強を行い、その後に資本金が増えた分を資本準備金に振り替え再び資本金を1億円にするなどフルに二重取り?の特典活用を敢行する兵も。自治体側としても税収の変動は好ましくない筈でこの辺を総務省はどう思うかだが、いずれにせよふるさと納税なども然りで公平性から見た税の原則が問われる場面も出て来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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