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鎖国ニッポン

ゴールデンウイークも終わり今日から通常の日々が戻りヤレヤレという向きが多いと思うが、3年ぶりに行動制限の無かった今年は各交通機関で去年を大きく上回る予約状況を記録した模様だ。新幹線は東北線で前年比200%、東海道線で同239%と何れも去年の2倍以上に、空の便の方は国内線予約数がJALで約2倍、ANAで約1.5倍と大きく増加し各地での賑わいが連日報じられていた。

また国際線の予約数もJALで昨年の4.2倍、ANAで去年の5.6倍と急増した。特にツアーが再開となったハワイが寄与し人気だった模様だが、マスク無しで繁華街を闊歩できる解放感を満喫する一方でゴールデンウイーク前の当欄で書いた通り大幅な物価上昇の波に加え、この20年ぶりの円安のダブルパンチでアクティビティやら買い物やらに散財するいつものテンションも自粛モードになった向きも多かっただろうか。

そうなるとちょうどこの逆もまた然りで、政府の水際対策強化の悪影響がこのタイミングでクローズアップされ、鎖国状態が続く日本は商機を逸している感は否めない。そんな危機感もあってか政府は6月をメドに外国人観光客の新規受け入れ再開の調整に入り、これを受けた先週末の株式市場では早くもインバウンド関連が動意づいていたが、内需回復の決め手ともなるだけに円安で稼ぐ力を生かせるような環境整備が喫緊の課題だろうか。


3年ぶり脱巣ごもり?

さて、今年もゴールデンウイークが明後日からスタートとなる。気になるのは行動制限だが新型コロナ対策担当大臣など今年は特に行動制限はかけない考えを示しており、大型連休中に政府が都道府県を超える移動や自粛を呼びかけないのは3年ぶりという事になる。そうした事から感染対策とのバランスを測りながら各所で数年ぶりの再開を模索する動きが続々と出ている。
   
ツアー関係では楽天トラベルが2年ぶりに海外ツアーを再開するほか、最大手JTBも今月からハワイツアーを再開、HISも来月より同ツアーを再開する。とはいえこの20年ぶりの円安に原油高などを背景にサーチャージは大幅アップ、現地では円の弱さを存分に思い知らされるのは想像に難くはないか。そんな背景もあって国内旅行にシフトする向きも多そうで、某大手生保の調査ではGWは国内旅行予定との回答が昨年より2倍以上に膨らんだ模様だ。

今年はあの南米最大のリオのカーニバルも2年ぶりに再開となったが、国内イベントも例年約200万人が訪れる「博多どんたく」など開催時間短縮や参加団体縮小、更にパレードの様子はオンライン配信とはいえ3年ぶりに来月の開催を予定している。また京都の夏の風物詩「祇園祭」も最大の見せ場となる(山鉾巡業)が3年ぶりに開催される旨が選手発表されている。

というワケでこのゴールデンウイークからリベンジ消費も更に活況になるとサービス業界など自ずと期待も膨らむところだが、インバウンド再開など含め課題は多い。おりしも猛威を振るう物価高や20年ぶり円安が暗雲で昨日記の通り政府は総合緊急対策を決定したが、特に7~9月期以降には物価高の影響が本格化してくるだけに消費が軌道に乗るか否かは甚だ不透明と言わざるをえないか。


デフレ国家の政策

政府は本日、ロシアによるウクライナ侵攻などを受けた物価高騰対策として事業規模13.2兆円の「総合緊急対策」を決定、首相はガソリン価格抑制のための補助金や中小企業対策などに拠出するものとして6.2兆円の国費を充てる方針であるとの意向を示し、ガソリンと共に輸入小麦についても9月まで政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置くと説明した。

この総合緊急対策で国民生活を守り抜くとの事だが、なるほど先に発表された3月の消費者物価指数はエネルギー価格が41年2か月ぶりの大幅な上昇となり昨年より0.8%上昇、これで7ヵ月連続の上昇となりコロナ禍前の2020年1月以来の伸び幅を演じエネルギー価格や食品の値上がりによる家計の負担増が浮き彫りになった格好だ。

これらの経済指標を見るに政府の” 緊急” とした趣旨は理解出来るものの、一過性なものではないのは明らかでトリガー条項凍結が続くなかで補助金引き上げを何所まで続けるのか出口が見えない。消耗戦のなかで継続介入は市場メカニズムを歪めてしまうと懸念の声も喧しく、俯瞰して見ると日銀と政府とで各々の政策が整合性の取れないものとなっており何故日本だけがデフレの沼にはまっている状況なのか今一度再考すべきだろうか。


カモ?成人

さて、先週は若者に人気のエンタメユニットの公式SNSを装い企画モノでカード等の登録を狙う悪質手口が横行している報や、FX投資名目で詐欺グループの男が逮捕された報などがあったが、15日付の日経紙社会面でも「悪質商法 若者が標的に」と題し先の民法改正で新たに18~19歳が成人となる中、こうした若者を狙ったと見られる投資関係などの悪質商法被害が相次いでいる旨の記事があった。

厄介なのは成人扱いとなるだけに締結した契約の取り消しが難しくなる点か。この10年で投資を取り巻く環境はNISAやらiDeCo等が登場し大きく変わったが、これと並行してお金の情報との接点もまた大きく変わっている。あるシンクタンクの調査では金融情報の入手先としてSNSを挙げた向きが金融機関のウェブサイト、TVの情報番組に次いで3位に浮上、投資に関するインフルエンサーについても所謂マトモ?な金融の専門家は増えずユーチューバーやブロガーと答えた向きが増加している。

いちいち親の同意無く各種の契約が可能になる範囲が広がる事で解放感で満たされる向きも居ると思うが、なによりもSNSをバイブル視している一部の脳内お花畑な若者は騙す側からしてみれば可也オイシイ存在なのは間違いなく彼らは虎視眈々と”新”成人に狙いを定めている。斯様に若者の被害増加が懸念されるが、金融はじめ各業界も彼らから信頼されるためにどう振る舞うべきか再考すべき時か。


短信一本化

さて、今週は金融庁が金融審議会の作業部会を開き上場企業が開示する2種類の決算書類を一本化する事を了承している。この見直しは岸田首相が就任時に目玉政策の一つとして打ち出したモノで、金融商品取引法で上場企業に開示を義務付けている四半期報告書を廃止し内容を充実したうえで証券取引所のルールに基づく決算短信に一本化する方針だ。

この四半期開示の是非は2018年にも金融庁のWGで議論が為されたが、市場競争力に影響を及ぼしかねないとの懸念から見送りになった経緯がある。それでも当初は四半期開示の廃止を含め政府内で検討していた模様で、こうした背景には企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しているとの懸念があり企業が長期的な視点に立った経営を行う事が重要との認識があったようだ。

ちなみに欧州でもこの法的義務が廃止になっているところは少なくないが、英などは14年に廃止したもののその後に実際に開示を止めた企業は全体の9%しかなく9割以上が任意で開示を継続している。やはり廃止すれば投資家からは情報開示の姿勢が後退したと受け止められ株価はじめあらゆるところへの悪影響が懸念されるのだろう。

ともあれ上記の長期的視点云々も重要だが仮に廃止のパターンでも単純にこれで長期視点に繋がる訳では無いうえ、日本の大手企業のように社長の任期が短いきらいのあるところを一括りで見直しを図るのは如何なものかという感もある。金融審の作業部会では詳細を詰める為に今夏以降も議論を継続する模様だが、政府としてはガバナンスを通じ企業経営を変革させる流れを尊重すべく制度設計に工夫が求められるところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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