高級酒バブル一服
昨日の日経夕刊の値札の経済学では「国産高級ウイスキー、2割下落」と題し、中国の景気低迷を背景に長らく高騰が続いていた国産ウイスキーの流通価格が昨年の半ばから下落が始まり最盛期から2割近く下がるなど落ち着いてきた旨の記事があった。国産高級ウイスキーはベースに世界的な評価の高まりから原酒不足も加わり、メーカー側の大幅な価格改定も相俟って投機対象に乗り易かった経緯もあった。
ところで高級酒といえば同じく中国の景気低迷を背景に、当の中国を代表する高級白酒を手掛ける「貴州茅台酒」の時価総額も先月末で1兆8000億元と1割強にあたる約2700億元が減少し、同じく白酒を手掛ける老舗の「瀘州老窖」の時価総額も約600億元減少しているという。かつて貴州茅台酒は国内で時価総額トップを誇るトヨタ自動車をも凌ぐ時価総額を誇りその高いROEで海外の機関投資家からも人気だったものだがすっかり色褪せている。
上記の高級酒以外でも同じ投機のテーブルに乗せられていたロレックスも一部人気モデルが大幅な値崩れを起こしている模様だが、考えてみれば本来は身に着けたり飲んでそれらを愛で楽しむものが、違う目的で値を付け投機対象になるのを異常な光景と見て来た向きも多かっただろう。顧客需要に支障をきたす場面も少なくなかった事でメーカー側も希望小売価格から大きく乖離した価格で流通する実態に困惑してきたものだが、図らずも中国の不動産不況がもたらした景気低迷がこれの是正の一助となることになる。