2ページ目   雑記

本当だったドコモの買収話

さて、先週はNTTドコモが「住信SBIネット銀行」を買収する方針を固めたとの報があった。当欄では昨年12月にこの住信SBIネット銀行をNTTドコモが買収との一部報道を取り上げていたがやはりというか具現化することとなった。携帯大手といえばこれまでKDDIやソフトバンク、楽天などがそれぞれ銀行業に参入しておりこれで通信大手全社が傘下に自前の金融機関を持つことになる。

これに伴い先月30日からNTTドコモが行っている同社へのTOB価格は4900円ということで、先週末の同社株は2300万株以上もの買いを残して比例配分のストップ高で引け、本日も同価格へのサヤ寄せで日経平均が大幅続落するなか続伸していた。その口座数825万口座、預金残高は約9兆8千億円を誇る同社だが、一昨年のスタンダード市場への上場からこのTOB成立をもってわずか2年で上場廃止となる見通しだ。

思えば住信SBIネット銀行が上場した際に、当欄では異業種のサービスを既存の金融サービスと連携出来る新たなプラットフォームとして注目されているBaaSの領域で先行している同社は或る意味アドバンテージになるかと書いていたが、これでNTTは金融サービスのインフラ企業へと一歩踏み出し一層BaaS時代の到来も近づくことになる。

斯様に通信事業も携帯利用料だけで稼ぐ時代は終焉を迎え、銀行など解約に繋がりにくい長期契約を見込める業種と連携することで客を囲い込み、その経済圏を如何に拡大させられるかが勝負所となって来ている。こうした金融サービスを巡る競争激化の動きは当然なはら証券やメガバンク等に取っても脅威となるわけで、今後は彼らにもいろいろな動きが出てくるのは想像に難くなく引き続きその陣取り合戦が注目される。


寿司リブランディング

さて、昨年末に株主優待を廃止したのも束の間、そこからわずか2か月で株主優待の復活を発表し株価もストップ高に沸いた東証プライム市場上場の「くら寿司」だが、本日は同社の高級路線の店「無添蔵」が中目黒にはれてオープンしている。既に関西エリアでは数店舗展開しているものの、関東エリアでは初の進出となる。

ところで回転すしチェーンといえばその全体の店舗数の推移だが2022年の4270店をピークとして、2023年は4201店、2024年は4164店とここで2年減少してきている。中小含めた各社の出店で地方の幹線道路沿いなど特に飽和状態となり、競争が激化した事などを背景にしてこうしたロケーションの店舗整理が進んだものとみられる。

斯様に地方出店が飽和化しつつあるなか、都市部へはまだ出店の伸びしろがあるということで新たな選択肢としてこの高級路線投入か。外食産業ではこうした高級路線とコスパとの二極化がいわれているが、高級路線を投入した「くら寿司」の対でコスパ路線を数年前から投入しているのが、ここ数年「すしざんまい」に変わりマグロの初競りにおいて1番マグロを競り落としている高級寿司店「銀座おのでら」か。

ここは2021年10月に表参道に新業態の低価格回転寿司とをオープンし、その翌年4月には若手職人育成を兼ねたこちらも“おのでら系”では低価格を謳う立ち食い寿司店をオープンしている。 “高級店の低価格路線”と“低価格店の高級路線”、両者の価格帯も近くこれはこれでどちらが当たるかたいへん興味深いが、今後もこの二極化の拡大が予想されるなか他と如何に差別化が図れるかが各社とも勝負所になってこようか。


老舗名店も抗えず

本日に帝国データバンク横浜支店が伝えたところによると、明治17年に横浜中華街で創業した現存する日本最古の中華料理店の流れを汲み東京、大阪などで6店舗を展開していた「聘珍楼」が事業停止し清算手続きを進める旨の掲示が行われたとしている。元の聘珍楼は景気悪化で法人需要が落ち込んで業績が悪化し、平成28年には香港ファンドの出資を受けた新法人「聘珍楼」へ事業譲渡していたもの。

この新法人から分割した別の法人が運営する「聘珍楼横浜本店」もあったが、こちらも以前取り上げた通り2022年に破綻し既にその約140年の歴史に幕を下ろしている。中華街もバブル期からコロナ禍を経てすっかりその姿を変えてきているが、今どきの流れに合わせて此処も似つかわしくないファストフードスタイルの聘珍茶寮なども展開していたが中途半端な立ち位置のまま終焉を迎えることとなった。

中華街もかつては幾つかの店は深夜にフラっと行ってもその店の自慢の一皿が堪能出来たものだったが、今やそんな店も次々に閉店し大箱の食べ放題がすっかり主流になっている。中華の名店といえば東京でもコロナ禍のあおりで銀座の「楼蘭」なども無くなってしまっているが、聘珍楼も然りそれぞれの店にそれぞれの思い出がありなんとも寂しい感は否めないがこれも時代の流れと甘んじて受け入れるしかないのだろう。


各社冷食注力

昨日の日経紙ビジネス面では「無印の冷食商品数25%増」と題し、良品計画が8月末までに雑貨店「無印良品」で冷凍食品の商品数を約100品と足元から25%増やす旨の記事があった。雑貨店とはいうもののココはレトルトカレー中心に特に食品部門が伸びており、私も銀座店に時々行くがほとんどが食品関係の物色がメイン、この冷凍食品もキンパなど前から人気があったが最近はイタリアンから中華まで幅広く網羅している。

ところで冷凍食品に注力といえばコンビニも注力する向きが出ている。ローソンは今月に冷凍おにぎりの販売を現在の約400店舗から関東の約1700店舗に拡大させると発表している。更に今年11月末までに約2000店舗、来年は9月までに約4000店舗、そして来年中には冷凍ケースが無い店舗を除いて国内の全店に拡大することを目指すという。

これまで冷食といえばストック需要がウエイトを占めていたものの、このおにぎりなどは直ぐに食べられるニーズも取り込めるか。同紙にも出ていたが昨年の冷凍食品の消費額は前年比で4.4%増の1兆3000億円超えと過去最高を記録しており、10年前は1兆円にも届かなかったものだがそこからは32%も増加している。

低食料自給率の日本では喫緊の課題としてたびたびフードロスが取り上げられているが、冷凍食品は消費期限の長さ含め企業側も製造コストなどメリットは多くこうした点でまだ伸びしろが予測されている。近年の冷凍技術の飛躍的な向上とも相俟って食品ロスを防ぐ魅力的な商品の拡大に今後も期待したいもの。


最高益更新後の収益モデル

周知のように三井住友FG参加の三井住友カードの「Olive」とソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」とが連携しデジタル金融サービスで手を組むことが先週に報じられている。現在のOlive利用者は500万人以上、そしてコード決済でナンバーワンのPayPayの利用者は約6900万人ということだが、ポイント経済圏の覇権争いが激しさを増すなかこの連携で日本最大級のポイント連合が誕生することとなる。

さてメガバンク勢のこうした動きでは他にも今月は既にウェルスナビを完全子会社化している三菱UFJFGがインターネット専業の新しい銀行を来年中に設立する方針も報じられているほか、昨年末にはみずほFGが巨大なポイント経済圏を構築している楽天グループとリテールビジネスを再構築する旨も報じられており、若年層を含めた多くの個人顧客を囲い込むうえで各社共にこれら連携が加速している感がある。

ところでこれら3メガバンクといえば先週には決算も出揃っているが、金利のある世界の復活を追い風として冒頭の三井住友FGはグループとしては初めて最終利益が1兆円を超え、上記の三菱UFJFGは前年比で25%増、またみずほFGも前年比30.4%増とこの3社合計では4兆円に肉薄する規模となりいずれも過去最高を更新してきている。

改めて金利の重要性が再確認されるというものだが、この要の金利引き上げも米の関税政策などによる景気の不透明化で後ろにずれることも予想される。金利に頼らない収益源を視野に入れることを考えるに、今回のような提携は収益モデル転換の選択肢の一つとして挙がろうか。そういった意味で今後ほかの金融機関や決済サービス等でも顧客を囲い込むために新たな提携を模索する動きが活発化してくる可能性もあり注目か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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