285ページ目

牛歩

FUTURES PRESSでも既報の通りだが商品取引所連絡会が発表した1月の商品先物出来高は前月比9.1%減の306万731枚と依然として冴えなかったが、今月に入って日本商品先物振興協会は東工・東穀・中部大阪・関西の4商品取引所に対し合併や解散・統合などを促すために「再編に関する提言」を示したと発表している。

そうこうしている中でも本日の時事にてカネツ商事は該当上場商品が人気離散傾向を強める状況にあり、中部大阪商品取引所と関西商品取引所の受託業務を廃止する旨の記事を見掛けたが、まあ最後に一括して纏めるので途中の川下の紆余曲折は黙認されているのかどうか、業界世論も背景に気運がマッチしているのにこれほど時間を費やしているのも珍しい。

結局は最終的な目的がまだ不透明という事の裏返しなのだろうが、証券の方でも中部はセントレックスが上場している五分の一が上場廃止基準に抵触する等こうした部分にも再編のネタあり。

そういえばお隣韓国では、証券や先物を手掛ける企業の合併や再編を加速し総合金融投資会社の育成を狙い、証券・先物など業種間の垣根を取り払う「資本市場統合論」が4日に施行される旨が2日付け日経紙にて載っていた。


悲哀こもごも城下町

週明けも続落と冴えない日経平均であったが、中でも売り気配から終日一際下げが目立っていたのが重電の雄、日立であろうか。

それもそのはず先週末の日経紙一面にも報じられていたように09年3月期の業績予想を下方修正し当期損益が7,000億円の赤字になる見込みと発表、これは実に創業以来最悪の水準でこれに伴い7,000人がリストラ対象になる模様だそう。

朝日紙には早速いわゆる日立城下町へ衝撃が走り各々川下への影響が懸念される旨が載っていたが、これは現状愛知県でも先のトヨタショックからトヨタ城下町も末端までが可也の影響を被っている様と同様。

リーマン破綻の後の昨年10月に「〜富裕層だけの問題ではなく今回はこうした件の弊害が何れ一般にまで及ぶのは必至〜」とコメントしたが果たして川下はこうした憂き目に遭っているといえようか。

また財政上も問題有りでこの豊田市では法人市民税が過去に例が無い90%の減収となり還付金も相当額出る模様、こうした主力産業に税収を頼る自治体の影響も計り知れないが、マクロというか全体で法人税がどの程度吹き飛ぶか、さて国の財政もお偉いさん方に知恵を絞ってもらわなければならない。


La Multi Ani

さて何だかんだで一月ももうすぐ終るが、この一月恒例の新春「歌会始の儀」の今年のお題は「生」であった。

その中で皇后さまや皇太子さまが詠まれた歌はそれぞれ通常であれば先ず注目もされないであろう昆虫や植物を採り上げたものだったが、これから連想されたのが個人的に好きな事もあるのだろうがやはりエミール・ガレか。

その素晴らしい作品は無数に存在するが、一貫して訴えているのがやはり「生」であろう。例えば1900年頃の作品で「蘭文扁壷」という有名なものがあるが、表裏に一厘ずつある花は表に妖艶な花、その裏には朽ち果てた花を溶着しその対比を強調したものとなっているが、この花は朽ち果てる寸前の一瞬の生が投影されまた生への哀惜であり、それがまた花の一瞬の生を際立たせている。

他にもこの系統では上記と同年代の代表作でもある「ひとよ茸ランプ」もそうだし、1889年頃の「蜻蛉文鶴頸扁瓶」の蜻蛉もまた然り、これほど「生」を意識させられるものに只々感心である。

ちなみに来年のお題は「光」だが、はて万事光明を見出す事が出来るか。


待てば海路の日和あり?

本日は打合せで銀座界隈に出向く途中でユニクロの前をたまたま通ったのだが、外から見た感じでも相変わらず繁盛している様子であった。

ところでこのユニクロで他の事を思い出したのだが、同社が一昨年にUAEの国営投資会社と買収合戦で火花を散らし結局諦め?たあの高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」を当の競り落とした国営投資会社が売却を検討しているとの報道があった件。

高級品も落ち込み当の中東も年明け早々に当欄で触れたように厳しい状況に晒されている状況ならではの売却検討であろうが、当然ディスカウントが予測される中でユニクロさん(ファーストリテイリング)が再度食指を伸ばすか否か興味あるところ。

経済混乱が買収を後押し?した例としては先には三菱レーヨンが英国の大手化学メーカーをポンド安から買収に踏み切る例や、キリンが豪州飲料最大手の買収を豪ドル安から仕掛ける例も既に具現化しており、このパターンは年末に日本電産の件に触れた際に書いた「不況であるが故にM&Aやまた人材面においてもチャンスが巡ってくる可能性があり」とした事例になってこようか。


淘汰さまざま

日経平均は3日ぶりに急反発となったがそんな中にあって本日は今ひとつ冴えなかったFX会社株であったが、さてFXといえばFOREX PRESSでも既報の通り金融庁がFX業者の顧客資産保護策を証券会社並に強化する方針を固め、業者が顧客から預かる証拠金について信託保全を4月にも義務付ける事になった模様である。

現状で例えば預貯金等の流用可能な証拠金管理手段が認められているものを禁止しますよというものだが、信託保全していない半数ともいわれる業者の中でも体力的に厳しい向きには死活問題との声が上がっているとか。

こうしたファイナンス系の壁としてはさしずめ商品取引員でいえばJCCH清算参加者純資産額引上げも広義ではそうした一つに入ろうかというものだが他に、今月は先に経済産業省が新法を視野に海外商品先物取引業者等を、国内商品先物取引業者同様にハードルを高く設定する許可制にするとの方針も固めている。

また当然この次の展開としてはCFD業者を語りよからぬ事を企んでいる動きも出てきている模様だが、一向にこの手が絶滅しない構造では看板を掲げる生業としては各々現状の趨勢というかその委託者規模にも違いがあるものの、そのパイに合った適正水準へ回帰する(させる)という動きは或る面必要不可欠だろう。


それぞれの活路

昨年末には「和製メジャーへの道」として新日本石油と新日鉱HDの経営統合について触れたが、先週末にはこの新日石と三洋電機が薄幕シリコン太陽電池事業の合弁会社を設立したとの報道があり15年度までに薄膜型で世界一を目指すということである。

新日石としては業界の合従連衡の口火を切ったが、原油価格暴騰で引いた消費はその後の暴落でも喚起されず消費低迷は固定化、こうした石油系燃料に替る分野への活路を見出すのが急務なものの、経営環境の厳しさが増す中で新規投資できる向きは限られてくる中で同社よろしく他社としても今後の出方がまた興味のあるところ。

両者共に個別では上記の通り先の統合組であるが、電力各社のメガソーラー建設計画が目白押しとなるなど外的環境の変化からこうした部分でかつて日本の得意分野であったものが、再び外的要因というか政策も含め掘り起こされ相乗効果が試されるところが昨今の特徴ともいえるか。


My ex

さて、年明けからその揺れも大きくなってきた米金融大手シティグループだが、目下のところ傘下の日興売却についての去就?が注目されている。

現況では三菱UFJが食指を伸ばしているとも喧伝されているが、先週の日経一面にも出ていたようにココは2,880億円の減損処理を行うと発表したばかりで乗せ乗せの巨額投資を敢行出来るか否かは不透明、しかしながら過去には付き合って?いた時期もありシティにフラれたから出戻りというパターンも充分考えられるか。

金融は直近でもまた損保二位の三井住友海上GH始めとして第四位、第六位の三社が統合計画を発表したが、成熟市場の中での合理化の流れという部分で他業界でも合従連衡は進んでいる。

何れにしろこれらが為されたあかつきには自然な流れとして店舗統合やリストラは避けて通れないところ、グレーゾーンの中をなんとか切り抜けてきたものの今度は胴元の危機から放出危機の可能性に晒されているが、確か順番は違えど某取引員でもこんな運命を辿ったトコがあったなとフト思った次第。


オバマ氏就任

週明けから大きく値を飛ばし本日も全般冴えないTOCOMの中で堅調であった金市況だが、この金と云えば先週末付の日経紙商品欄には英GFMSの予測として、本年上半期に金の国際価格が過去最高値を更新する可能性があると発表した旨が載っていた。

米国の超低金利政策と積極的な財政出動からインフレ脅威や財政赤字を通じて金相場を押し上げるとの事であるが、現状足元ではデフレリスクを指摘する評論が頻繁に目に入る昨今、たしかに新興国の景気回復に伴う諸々の価格含めた争奪懸念に関しての危機感が感じられなく逆に穴なような感もある。

ところでヨーヨー・マはやはりイイなと思った昨晩のオバマ氏就任演説であったが政権始動でこの財政にしても国際発行で凌ぐということになろうし、こうした事からしてもケースとしてはやはりどうしても将来的にインフレ黙認の雰囲気も否定できないかというところで、そうした事からも従来の漠然とした懸念より一歩突っ込んだところから脚光を浴びる場面も増えるのかなという感じである。


Buy!〜〜

本日の読売総合面でちょっと目に留まったのが、富士通が社員対象に自社製品の購入促進を呼び掛ける旨の記事であった。

確か先週だったかこれに似たような物としては、トヨタ自動車が部長会メンバーを対象にトヨタの新車購入を呼び掛けている旨の記事を日経夕刊にて目にしたが、何れも自発的活動で強制力は無いとしているもののこれってどうなのだろう?

アパレルや銀行、証券、そして保険のような金融業界もこれまで似たようなノルマを自己で消化するような事は古くからよくあったが、そういえば商品業界ではこの手の話はあまり聞かないなと・・その辺は兎も角、これら勿論自社製品購入を通じて業績回復に貢献?しようとする意気込みは買えるが、冷めた見方をすれば一過性の特需を喚起したところで寄与度としてはなんともという感じがする。

結局のところ踏み絵のような慣行が他業種にまで及んできた点は最近の特徴とも言えるものの、販売量落ち込みの根本的な問題解決なしに業績回復はなんともという感じがするが、目先でのこれらからの波及効果が齎されるのが狙いなのかもとも思う。


年度末への脅威

さて週末はまた上場企業の破綻が表面化しこれで年明け後の上場企業破綻は早くも3社目となったわけだが、昨年の9月に「従来の不動産一辺倒という構図から他業種にまで破綻の波が及んで来た〜」とコメントした件も継続され、今回のエス・イー・エスも今年先に破綻した二社のような所謂不動産ポストではなく6000番台であったところがネガティブサプライズとなっている。

また、昨年11月から「上場企業でもこのままでは年を越せない既にカウントダウンに入っている云々もいろいろと耳に入ってきており対照的に消えゆくモノもありといったところか。」とし果たして続々と予定通り?破綻の道を辿り、それでも何とか年を越せた企業でもやはり年内危ういと聞いていたモノは年明け早々に大型破綻の報道で紙面を飾っていた。

そんなわけで昨年の上場企業破綻は前年比5.5倍の33社で戦後最多となったが、これら含め企業破綻は1万5千件以上、負債総額も倍以上の12兆円超で6年ぶりの高水準となっていた。

年明けて心機一転なんとか希望を持ちたいところだが、日本の事情として年度末が控えており資金需要からいっても破綻第二弾の波が来ないとも限らなく、その中で一応ネットとして政府の緊急保証制度があるものの景気の悪化がこれを軽く呑んでしまう昨今の情勢はまだまだ要警戒といったところか。


本年第一号の名門破綻

さて当欄で昨年の雛祭りの時期だったか一度スペインの高級陶磁器「リヤドロ」について書いた事があったが、今年も桃の節句に先駆けて先週末の日経夕刊には全面広告で限定数の素敵な雛人形が載っていた。

ところでこの手の陶磁器といえば今月ショックだったのはあの「ウェッジウッド」が破綻したという報道、ジャスパーウェアなど実にヒットし個人的にはそのお酒には全く興味が無くてもボトル欲しさにグレンフェディックを購入したりした時期もあり、他の有名陶磁器どころも挙ってこれを模倣した逸話もあったのだが、そんな250年の歴史も世界的な景気悪化の下に幕を閉じる事態になった模様だ。

連鎖的にドイツのロゼンタールもこの余波から直近で破綻報道があったが、この欧州圏の企業が今年借り換えを行わなければならない社債と融資は約5,300億ユーロ相当とか、スプレッドも大きくなってきており企業負担も相当厳しい年となる筈。

そんな折、直近ではS&Pが僅か4営業日の間にユーロ圏の4カ国を格下げ対象にしユーロもここ再度急落してきたが、これらの爆弾を抱えそうそう安穏とはしていられない雰囲気もある。


ワイドの恒常化

昨日の日経紙経済面だったか東京証券取引所が、CDS指数を作成し投資信託として上場する所謂損失肩代わり商品のETFを検討するとの報道があった。

このCDSも昨年あたりから俄かに脚光を浴びて有名な固有名詞?の一つになったが、直近でこれに関連した銘柄として思い当たるのは株価暴落から一転急騰の乱高下をしているソフトバンクが挙げられ、他にも似たようなボラタイルな金融株があるもののマトモ?なところで600円そこそこから二ヶ月の間に1,000円以上も戻したのだから何とも凄い。

この背景にはCDSを組み合わせて構成する合成CDOという債務担保証券に絡んだ思惑があったのだが、構成銘柄のデフォルトが一つ出る度に数百億円の損失となって表面化する訳だからそのディスクロのあり方も今後の課題として問われようというもの。

その辺は兎も角としてこのようなエッセンスを汲んだ商品が個人レベルにまで降りてきたのには時世の流れを感じるが、金融危機の狭間に咲くあだ花?はまだ今後数多く出てくることになるか。