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変動行使価格

先週末の日経紙マーケット面では「人気の増資 株主に不利?」と題し従来の新株予約権に比べ行使が進み易く資金調達のメドが立ちやすい行使価格が動くMSワラントなどの新株予約権の発行が増加している旨が出ていた。ここではジャスダックのINESTが取り上げられていたがなにぶん二桁の株価だけにその変動率が話題になっているようだ。

これを発行する企業も一般に知名度の高いモノも少なくなく、日経紙に出ていた以外でも例えばこれも株価が超低位となってしまったAV機器老舗のオンキョーホームエンターテイメントや、あの「いきなりステーキ」を展開するペッパーフードサービスも同ワラントの発行を発表しているが、いずれも株価が下落トレンド中で不安定な値動きが繰り返されている。

同ワラントはあのライブドアがニッポン放送株取得の為に発行したMSCBに非常に顔が似ているが、公募等との違いは価格が引き下げられた段階での権利行使で大量の新株発行から急激な希薄化が起こり得る点で、また行使次第で払い込みのタイミングもムラが出て来る或る意味非常に不安定なファイナンスともいえる。

極端な言い方をすれば同ワラントの類は引受先証券会社の取りはぐれは無く、逆に既存株主は常に損失リスクを抱えるファイナンスともいえるだろうか。ちなみに上記のライブドアのファイナンスでは引受先のリーマンは貸株でザッと100億円以上の利益を上げたが株価は一貫して下落、最後はこのライブドアは破綻し投資家の株券も紙屑に、果てはこの手で彼方此方暴利を貪っていたリーマンまでもが破綻し全員が残念な結果で終ることとなった。


あれから10年

毎年この時期には防災啓蒙が活発化してくるが、本日で東日本大震災からちょうど10年が経過した。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が中止となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、今年は参列者を減らすなどコロナウイルス感染対策をとったうえで2年ぶりに開催された。

昨年は丁度この時期にコロナパニックで株式市場が暴落、大震災による原子炉のメルトダウンで当時の株式市場がパニックになったのを思い出させたものだったが、今年は先月起きた福島県沖の大きな地震に加え、先のみずほ銀行の大規模なATMトラブルも大震災直後に義援金の振り込みが集中した事によるシステムトラブルを思い出させ、何やら3.11を決して忘れてはならないと節目で暗示されているようにも感じるのはいささか考え過ぎか。

ところで上記の義援金といえば以前はこれが主流であったが近年では被災自治体へのふるさと納税やクラウドファンディングも定着しつつあり、某大手ふるさと納税サイトからは約30の災害で累計70億円の寄付金が被災地へ届けられたという。まだまだ永続的支援やコミュニティーの再構築等々課題を挙げればキリが無いが、私たちに出来る事を永続的に続けてゆきたいものだ。


金融分断

本日の日経紙金融経済面には存在感低下が指摘されてきた英が上場誘致の背積極化に乗り出した旨が出ていたが、英金融といえば先の日曜日の同紙にもEU離脱で事業の前提になる規制が変わりEU投資家離れなど金融分野の英国側への影響が如実に表れた事で金融取引のシェア低下に直面している旨が出ていたが、シティーの地位低下が英経済や世界のマネーの流れに及ぼす影響が懸念されている。

同頁にもCBOEの集計データが出ており、欧州株の売買占有率において昨年末には43.5%と2位の13.9%のフランクフルトを大きく引き離し首位に君臨していたロンドンであったが、完全離脱後の今年1月の同データでは21.7%とほぼ半減し4位だったオランダに首位の座を明け渡している。

英とEUの間で金融機能の分断が進行すれば域内全体に負の影響が及びかねないともいえるが、分断といえば一方でアジアでは米中対立の影響からIIPO企業が上場先として香港を選ぶ動きが顕著になり、米政府の制裁を受ける中国企業にも本土からの買いが膨らんだ事で香港取引所は純利益が過去最高となった模様。金融分断を巡っての明暗模様とも取れるが、何れにおいてもリスクとして燻り続けるという部分は否めないところで今後もこの辺は注視しておきたい。


ジェンダー世界標準への道

さて、昨日は米ニューヨークで1904年に実施された婦人参政権を求めるデモが起源とされる「国際女性デー」であったが、この日はヨーロッパの一部では日本の所謂「母の日」という位置付けの国もある。日経紙でも特集ページでは各所女性トップの対談や企業の全面広告等と共に日本の男女格差を取り上げグローバルでこれらを是正するうねりが起きている旨も出ていた。

その中で意思決定の場に女性を増やすとの項があり欧米企業のケースが幾つか出ていたが、当欄でも先月に女優の社外取締役起用を取り上げた際に末尾でこの辺に触れている。この日の一面にも「女性役員、2年で1.6倍」と題し主要企業で女性社内役員は2年で1.6倍に増加し、先に触れた社外取締役として起用する例が大半だった日本でも生え抜きの女性役員が増え始めた旨が出ていたが、それでも上記の欧米のケースに程遠い感は否めない。

先に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長による女性蔑視発言が炎上し辞任にまで追い込まれた過程ではスポンサー企業が不快感をあらわにした旨がニュースになっていたが、既にこれらの企業ではジェンダーに関する配慮はビジネスにおいて常識となっているという証左で上記の件に絡んでも今後の各社の取り組み姿勢に期待したいところ。


出資証券乱舞

本日の日経平均は週末の米株式急反発を受け寄り付きこそ急反発して始まったもののあと失速し3日続落で引けたが、121円安のうち中身はファーストリテイリングの57円とソフトバンクの51円の2銘柄で108円押し下げるという高寄与度銘柄によるもの。そんな中個別で先週から地味?に目立っているのはやはり日銀株か。

同株は年明け早々に24,610円と80年代のバブル期以降での最安値を更新し後もダラダラと出遅れ感著しい動きだったが、先月末から突如として動意づき3月に入ってからは4日連続ストップ高の離れ技をやってのけわずか1週間でその株価は2倍化したものの、ザラバで年初来高値を更新した先週末からは一転してストップ安となり週明けの本日も終日ストップ安とジェットコースター相場を演じている。

バリュー株など物色の波が一巡し最後に目を付けられたか否か、確かに日経平均がバブル期以来約30年半ぶりに3万円大台に乗せてきたのを考えると買い進めたETFの運用益増加など勘案するに究極の好業績出遅れ銘柄とも取れなくもないが、政府が半分以上を出資する出資証券の乱舞は違和感が付き纏う。

ところで昨日の日経紙一面を飾っていたのがチャートは語るで「迫るバブルの足音 緩和、見えぬ出口戦略」と題した記事であったが、バブル期に40倍以上にまで大化けした経緯のあるこの日銀株の突然の物色はやはり過剰流動性によって引き起こされた金融相場を象徴するような動きといってもよく上記の日経記事も妙に実感が湧いてくるというものだ。


自販機彼是

さて、一昨日だったか朝のニュース番組にてこのコロナ禍で人と接触しないというところに主眼を置いた自販機が続々と登場している旨が放映されていたが、その内容も様々でやはり今の時世を反映してのマスクから営業時間の制約などを背景にしたラーメンなど今ならではのユニークなモノが見られる。

また蜜になり易いイベントものに絡んでは先のバレンタインの時期に新宿高島屋のエントランスにてカカオサンパカの自動販売機が登場したのが話題になっていたが、昨年宮下公園がリニューアルしオープンした渋谷MIYASHITA PARKではこれと似た感じでホワイトデーまでの期間限定で真珠のアクセサリー類の自販機が設置された模様だ。

話は飛ぶが以前ドバイに行った際に「金」が自販機で売られていたほか、別の自動販売機ではジュースを買ったところ搾りたての果汁に皮付き生オレンジが入っていたのに感動した覚えがあるが、虎ノ門ヒルズビジネスタワーでも生食用の牡蠣や車エビの自販機が登場した模様で日本でもこの手のモノが自販機で買えるようになってきたか。

自販機メーカーの業界団体によればこのコロナ禍で外出自粛が続くなか、足元の自販機の出荷台数は例年の7割程度まで落ち込んでいる旨を目にした事があっだが、そうしたなか斯様に新形態で需要を掘り起こそうという動きが広がり始めている。上記の自販機はいずれもタッチ決済だが、現在開発中のモノもAR技術を駆使した自販機からスマホ購入で取り出し口も自動開閉の完全非接触自販機も登場予定という事で今後も要注目というところか。


資源明暗

本日の日経紙マーケット面には、コロナ禍からの回復で需要の持ち直しやEVの普及見通しも重なった事で世界有数の銅生産企業米フリーポート・マクモランの株価がここ約1年間で5倍超になった旨や、ブラジルの資源大手ヴァーレも同期間に2倍となった旨などこのところ資源高が鮮明になりこれら関連株に資金が集まっている旨の記事があった。

国内企業も先に銅の国際価格が約9年6か月ぶりの高値に急騰した日には住友金属鉱山も年初来高値を更新し2007年10月以来、実に約13年年4か月ぶりの高値を付けたが、後者の鉄鉱石も生産落ち込み等の影響から国際価格がおよそ9年半ぶりの高値圏で推移し、主力輸出品目を謳っているだけに豪ドルもまた先高感が強く店頭FX業者の投資家持ち高も2019年5月以来の大きさという。

同じ資源でも上記のモノと石油などでは明暗が分かれているものの、同紙商品面では国際商品価格が数年単位で長期の上昇とその後の下落を描くスーパーサイクルに入ったとの指摘も書かれていた。この辺は懐疑的な見方もあり賛否両論だが、既に資源関連株に表れている通り明暗の構図も近年のSDGsなどの動きを睨みそれらの取り込み如何で恒常化するか否かというところか。


報告徴求命令ループ

さて、周知の通り先の日曜日にはみずほ銀行の全体の8割にあたる約4300台のATMが正常に稼働せず、預金引き出しや操作中のATMからキャッシュカードや預金通帳が戻らないなどの障害が起こった。定期預金に絡む約45万件のデータ移行に加え、月末の処理で負荷がかかったとの事だが障害の歴史にまた一つ加わった格好。

みずほ銀行といえば思い出すのが一番最初の2002年のみずほ発足時に起きた旧3行のシステムを接続しようとして起きた障害か。二重引き落とし問題などが起こったものだが、それに次いだのが2011年に起きた東日新本大震災の義援金に絡む大規模障害、これらの経緯を踏まえ4000億円以上の費用を投入し基幹システムの全面刷新をし2019年夏に稼働を開始したがまたもやという感じか。

私自身はみずほ銀行は普段使いしていないものの、運悪く日曜日だったというのもあるとはいえ利用者を長時間放置した当日の対応も問題だろう。金融系のシステム障害といえば先の東証システム障害も然り、これら相次ぐシステム障害は個々の経営改革の足枷になるばかりでなく顧客の不信感を助長し金融不安を引き起こしかねない芽にもなるだけに、重要な社会インフラを担う重みを改めて認識すべきだろうか。


日銀の布石

さて本日の日経平均は半値戻しの急反発となるも、世界的な金利上昇を背景に2月の最終売買日となった先週末の日経平均は1200円を超える急反落となり2016年6月24日以来約4年8ヵ月ぶりの大きさとなったが、今月に入ってからのマーケットでは下げ相場の中で日銀によるETFの買い入れがぱったりと止まった旨でにわかに話題になっている。

事実、日銀はここ約5年ほど前場のTOPIX下落率が0.5%を超えた日は必ず買い出動してきた経緯があるが、先週末の日経紙には今月に入ってから18日、19日、そして直近では先週24日と前場のTOPIX下落率がいずれも0.5%を超えたにもかかわらず日銀に動きが見られなかった旨が書かれていた。

この辺の背景には来月の決定会合で公表予定の「金融緩和の点検」を巡って、ETFの買い入れ減額を視野に入れた柔軟化措置などが含まれる政策対応等への布石との見方も一部に出ている。当欄では丁度1ヵ月前に「残高増と出口論」と題しインフレ目標は未達乍ら更に残高を積み上げる状況ではなくなっており出口戦略についての議論は続くとしたが、リスクプレミアムが縮小するなかまさに保有構造の正常化に向けた節目に差し掛かったといえるか。


コロナ禍どこ吹く風

さて先週の日経MJ紙の一面を飾っていたのは「富裕層は揺るがない」と題して、新型コロナウイルスの感染が拡大したこの1年でも日経平均株価が3万円の大台を回復するなど株高による資産効果が富裕層の消費マインドを後押しし、個人消費が弱いといわれているなかでも高額消費が堅調な旨の記事であった。

ここではそごう・西武が昨年開催した富裕層向けの催事「高輪会」が取り上げられ、現代アートやダイヤモンドのルースなどが売れゆきも良く前年同月比20%増の売り上げになった旨や、高級輸入車の売り上げも昨年は1000万円超の高級車が前年比0.5%増となり5年連続での前年超えとなった旨が書かれていたが、不動産もまた然りで億の桁のマンション市場も即成約が多く不況知らずという。

ところで斯様な億ションなど私には無縁の存在だが、今月は「三越 春の逸品会」に招待されたので過日ニューオータニに出向き選りすぐりの品々を観てきた。エントランス付近に置かれたクルーザーやプライベートジェットの案内を横目に見乍ら、アールデコのガラス工芸品からペルシャ絨毯含めた店舗ではなかなか見られないような一点モノの伝統工芸品の逸品を十分堪能する事が出来た。

また高輪会よろしく店頭では見た事もないような大粒ダイヤのルースも目の保養になったが、印象的だったのは外商さんがズラリと並ぶ独特な雰囲気のなか会場内の各ブースは成約した顧客でごったがえし混雑を極めていた光景か。何かこうコロナ禍で制約されてしまった従前消費の鬱憤を晴らすが如く高額消費にぶつけている感もあり、まさに「富裕層は揺るがない」を目の当たりにした一日であった。


時価総額1兆ドル突破

さて、先週からビットコインの乱高下で市場が喧しく本日は仮想通貨関連銘柄のシンボルストック的なポジションにあるマネックスGやセレスなど直近でのビットコイン急反落を受け軒並み急反落となっていたが、一昨日の週明けはセレスがストップ高で年初来高値と同時に上場来高値を更新するなどこれらは一斉に急反発となっていた。

これらの背景になっていたのが周知の通りのビットコインの急騰で先週末にはその価格が初めて55,000ドル台を突破し史上最高値を更新、結局週間では11%強、月初からでは6割強の上昇となっており活況な市況を背景とした仮想通貨取引の売買が今後も膨らむとの見方からこれらの人気に連動する格好で関連銘柄が再度蒸し返された構図だ。

その時価総額も先週は予てよりこの大台がETF承認条件の一つともいわれてきた1兆ドルを遂に突破することとなったが、北米で初の承認を受けたパーパスインベストメントのETFの資産運用残高は上場後わずか2日で4億2180万ドルと目覚ましいスタートを切る事となり、続いて翌日には別の「EvolveETF」もはれて上場の運びとなった。

またこれに続いて同じくカナダの金融会社CIファイナンシャルも小会社を通じビットコインETFの予備申請を行ったほか、デジタル資産運用の3iQも予備申請を行っているが、JPモルガン・チェースはじめとして懐疑的な見方が燻り続け要人の一言で20%以上も変動する現状はたして新たな成熟の段階に入ったのか否か今後もこれらETFと併せその動向には注目しておきたいところ。


ペコちゃん社外取締役

さて、来月の決算に向けて各企業が発表する決算・人事情報が各紙で取り上げられているが、これに絡んで先週目に留まったのがペコちゃんで知られるところのあの不二家の取締役に女優の酒井美紀氏が就任するという件か。これまでの同社アンバサダーの経験を買われ来月の株主総会の承認を経て就任予定の運びという。

ところでこう言っては一寸失礼かもしれないが、この報で思い出したのがもっと有名?なところで昨年の6月にあのハリー・ポッターシリーズのハーマイオニー役をやっていた女優で近年はアクティビストで話題なエマ・ワトソンが、グッチやサンローランなどを傘下に展開するケリング社の取締役に就任した件か。

それは兎も角も近年こうした女性の社外取締役を巡ってはコーポレート・ガバナンス改革を背景に社外の優秀な女性人材を迎える動きが広がってきており、不二家のような東証一部上場企業に在任する女性取締役は昨年日経紙が報じたところによれば前年比で22%増加したという。

折しも直近では東京オリンピック組織委員会の森会長が女性蔑視の失言で炎上、多様性に反するとして辞任に追い込まれた経緯があるが、斯様に投資家や株主の圧力が高まるなか企業側も多様性の観点から彼らに説明がし辛いなかでこれらを重視せざるを得ない空気になってきている証左だろうが、一方では女性の社内取締役は微増にとどまっておりこの辺のハードルが変ってゆくのか否かも今後の注目点か。