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現代版生類憐みの令

昨日の日経紙夕刊では「世界のアパレル、動物愛護」と題して、ファーストリテイリング傘下のユニクロや、スペインのZARAにスウェーデンのへネス・アンド・マウリッツなど国内外のアパレル各社が相次いで2020年までにアンゴラヤギの毛であるモヘアの使用中止を表明する旨の記事があった。

その背景には企業のブランド戦略が環境や社会への影響を配慮したエシカル消費の関心が高まった事による影響が出始めた旨が云われているようだが、この辺は当欄でも昨年秋にグッチやアルマーニなど複数のハイブランド群が揃って毛皮の使用を廃止する動きで足並みを揃えてきた旨を書いた事があった。

こうしたファーフリーの動きの裏で今年4月に書いたように世界が欲しがる本邦匠の技を駆使したフィイクファーやレザーが注目されるようにもなったが、ファーに比べ普及品?のモヘアまでとなるとその範囲も広くなるだけに業界でも賛否両論が出てきそう。かつてシルクの代替といわれたテンセルが出現したように、今後特製をカバーした新素材が取って代わってくるのか否か。

しかしファッションに限らず食の世界でもフカヒレが残酷、フォワグラも残酷、ウナギもダメと生類憐みの動きが喧しく、倫理観は別としてここ近年でこの辺は極端になってきたなと感じざるを得ない。斯様な世論に迎合するESGを謳う波も何所まで進展して行くのか気になるところではある。


国産品質

さて、何時だったか皮ごと食べられる国産のバナナを某TV番組で見掛けたことがあったが、昨日の日経紙夕刊には「熱帯植物 国産化 広がる」と題し、熱帯地方から輸入する食品を国内で量産する試みが広がり始めた旨の記事でこの皮ごと食べられるバナナも取り上げられていた。

廉価で日常食のバナナも近年では新種の病害が広がりそのうちに現在のような供給体制が危ぶまれるとの報も一時出た事があったが、ゼスプリが圧倒的なシェアを占めるキウイなどと共にこれまで殆どを輸入に頼っていたフルーツの類も国内では粛々と量産の試みが為されていたか。

冒頭の記事ではバナナ以外で小笠原諸島のカカオ豆も同時に取り上げてあったが、これも当欄では今からちょうど2年前に「カカオ熱再び」と題して取り上げた事があった。あれからはや2年、来年には収穫した豆で自社ブランドの板チョコを商品化する計画というが、冒頭のバナナ等と共にコスト面で末端の食指が動くまでになるか否かこの辺も気になるところ。


新規参入と本邦勢

本日の日経紙金融経済面には「米仮想通貨大手日本へ」と題し、国最大級の仮想通貨交換会社であるコインベースが出資する三菱UFJフィナンシャルグループと連携し年内にも金融庁へ交換業の登録申請と日本に進出し市場を開拓する意向の旨が出ていた。

仮想通貨の交換事業に関しては昨日もSBIホールディングスが、年初のコインチェックによる仮想通貨巨額流出事件以降初めて交換事業の営業を開始している。ネット証券国内最大手の顧客基盤を背景に、仮想通貨の販売時に上乗せするスプレッドについて業界最低水準を目指す事で優位に立つとの思惑から昨日の同社株は急反発する場面があった。

一方でコインチェックを買収したマネックスグループや、リミックスポイント等の関連株は競合出現を嫌気し軒並み安となり本日も続落模様となっている。とはいえSBIも本日は往って来いの反落となっておりかつてのネット証券の手数料競争を彷彿させたか否か、今後も各社の舵取りと新規参入の動向には目が離せない展開か。


意識改革

週明けの日経平均は5月雇用統計を好感した先週末の米株高やそれに伴う円安進行から急反発となったが、そんな中で先週からあまり地合いに関係無く上昇ピッチが目立っている個別が2部の相模ゴムやジャスダックの不二ラテックス等のコンドーム大手で本日も共に大幅高し揃って年初来高値を更新している。

上げの背景としては先に発表された好業績もあるが、毎回配布されるオリンピックに向けての商機も取りざたされている模様。直近の平昌でも冬季大会最多の11万個が配布されたが、先のリオでは過去最多の45万個が配布されている。来る20年の東京大会では新種目に伴い選手数も増える事で配布数が過去最多を更新するのが規定路線となっている。

冒頭の相模ゴムなど日本最大級のクラブイベントで有名なageHaとコラボしたり、はたまたSRIも意識し屋久島文化財団への寄付など内に向けての意識改革もしっかり押さえているが、何れにしても予てより訪日客が大量に爆買いするのに見られるようにその品質は世界が注目しており日本の技術力の高さをPRする絶好の商機到来で各社が鎬を削る展開は想像に難くないか。


Wコードが齎す変化

さて、毎年この時期になると複数の企業から定時株主総会の総会招集通知が届くが、本日の日経紙投資情報面には「株主総会 お土産やめます」と題して、30日までに開示したこの総会招集通知で今年は昨日取り上げたKDDIをはじめ三菱商事、第一三共、東京ガス、コマツが総会におけるお土産取り止めの旨が出ていた。

株主総会のお土産といえば昨年も当欄でちょうどこの時期に触れた事があったが、これを取り止める企業が話題になり始めたのは三年くらい前からだろうか?お土産を止めた途端に出席者数が3割から企業によっては7割も減ったとの件で大手紙でも取り上げていたが、昨年の双日などお土産廃止で会場を訪れる株主数が9割も減ったとの件が話題になっていた。

冒頭の企業もこれで今年の総会へ出向く向きが減ってしまうのかどうかだが、お知らせでただ廃止しますとしている粛々とした向きから株主間の公平性等を挙げているものまであるがこの辺は世間の趨勢をふまえて等との文言併せ昨年の各社のご案内と同様に金太郎飴のような感じである。

当欄で、スチュワードシップ・コード導入からこの辺が今後どう意識されてくるか注目と書いたのが今から4年前だったが、果たしてというかお土産や優待目当ての株主が篩にかけられ、ESGの波もまたこうしたところへ及ぶに至りモノからコトへシフトする向きも年々増加しつつあり、二つのコード始動で総会絡めた企業姿勢が俄かに変化しつつある。


自社株買いの継続性

本日の日経平均はイタリアの政局混乱などから南欧諸国の信用リスクに対する懸念が再燃した事を嫌気した欧州株安や、その流れを受けた米株式の大幅続落を受け大幅続落となった。そんな中で主力の一部のなかでも地合いに左右されず底堅い動きをしていたのがNTTやKDDIであったが、これらに共通するのは自社株買い銘柄という点。

自社株買いといえば今年は初めてそれに踏み切る企業も多く目にするようになってきた感があるが、上記の通信二社は毎年取得の常連組でこうした悪地合いに左右されないのもその辺が評価されている面もあるか。この継続性では野村証券によると10年以降に初めて自社株買い発表をした296社のうち、2度目の実施率が4割、3度目では約2割まで下がっている旨が過日の日経紙で見掛けた。

事実これまで取得枠設定の発表をしても実際は申し訳程度しか買わずに終了というケースも多く酷いモノでは買わないまま終了するケースもあった。今年は2月からの株安等も相俟って2割程度実施額が増加するとの見方もあるが、配当と共にROEの向上など株主還元強化手段としてその継続性も今後注目される事になろうか。


PER乱高下

本日の日経紙投資情報面には「ソニー、8年ぶり日立逆転」と題して、昨年度の電気ポストの純利益ランキングにおいて10年ぶりに過去最高を更新したソニーが8年ぶりに日立製作所を上回り第2位に躍り出た旨が出ていた。ところでその上の首位はといえば東芝であったが、これは米WH向け債権売却に伴う税負担減少効果に因るところが大きい。

同紙のランキング表では首位ながら同社のみ二部ポストであるが、規模が規模だけに投資のモノサシとしてのPERなど大揺れしているのが現状。今月は中旬に発表された決算で前期から純利益が2,600億円以上の増額となったことで、約10倍であった二部予想PERが一日で6.30倍と急低下する珍事?があった。

この辺に絡んでは当欄で一年くらい前に「二部の池に鯨」と題して、東芝同様に黒字転換となった上記ランキングの14位にランクインしたシャープと東芝で二部時価総額の3割を占めるに至りその弊害を懸念した事があったが、果たしてというか同社が決算発表をするたびに投資尺度が乱高下を繰り返している。

シャープが抜けたとはいえいまだに東証二部の時価総額のうち同社だけで約2割を占めているワケだから上記の通りその影響度は推して知るべしで、はたして東芝も何時の日か一部復帰が叶うのか否かそれまではこのクジラに振らされる展開が今しばらく続く展開になるか。


取引員合従連衡

週明けの日経平均は4月以来の薄商いとなるなか円安等を支えに小幅続伸して終了したが、全市場値上がりランキングの2位には本日ストップ高のまま引けたジャスダック上場の豊商事がランクインしていた。先週のマーケットでもストップ高を交え急騰した岡藤ホールディングスが週間値上がりで堂々の第1位となるなどこのところ取引員の値上がりが目立つ展開だ。

斯様な急騰劇の背景には、既に資本業務提携をしている日産証券が来月にも岡藤ホールディングスの第三者割当増資を引き受け筆頭株主になる事で、将来的な収益拡大の手を打った事が好感されたという事が週末の日経紙商品面でも出ていた。本日の豊商事にしても然りで、エボリューションジャパンからの商品部門取得効果が18年3月期の連結黒字浮上に見られるように早速の統合効果が出ている。

一寸前までを辿れば上記の日産証券はかつてジャスダックに上場していた日本ユニコム色のもとトレイダーズ証券からエイチ・エス・フューチャーズまで絡み、エボリューションジャパンも前身はかつてジャスダックに上場していたエース交易であったが、両社とも上場していた頃を思い返すに最近の合従連衡の動きと併せ随分とその景色も変わってきたものだ。


100周年後のこれから

さて、先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは3月下旬にスイスで開かれた世界最大級の時計見本市である「バーゼルワールド」が記事の冒頭で挙げられ、若年層はスマホの普及で高度な性能に興味は無くなってきたかわりにライフスタイルや服装に合うかどうかなど時計に求めるものがカジュアル化してきている旨が書いてあった。

ところでこの「バーゼルワールド」といえば、今年の出店企業数が約650と昨年の1,300からほぼ半減し、その開催期間も6日間と2日間短くなった旨の報道も前に見掛けた。ちなみにその前の一昨年の出店企業は1,500で、ここ数年のピークであった2011年の2,000からははや三分の一になった計算である。

本邦からもブランドイメージを浸透させる必要性からセイコーなどグランドセイコーの独立ブーズ設置の試みを見せているが、出展企業が減少してきたその背景には高額な出展料で費用対効果を疑問視する声が上がっている事や、双璧ともいえるもう一つの見本市であるジュネーブサロンの存在も大きいとの指摘もある。

一部ではこのジュネーブサロンと会期の接近を図りたいとの報も出ているが、冒頭のような新たなターゲットとして訴求したい若年層はインスタなどで情報を得たり発信するのが主流になってきており、出展側もこの辺を鑑みた不参加の動きもあると思え見本市そのものもデジタル時代のあり方を考えるタイミングになってきたといえるだろうか。


大手事業方針

本日の日経平均はトランプ大統領が来月予定される米朝首脳会談を見送る可能性に言及、地政学リスクが高まった事から大幅続落となった。そんな中で値上がり上位に顔を出していたのはアイフリークの大幅続伸をはじめとし、DLE、モバファク、アイル等々の仮想通貨関連銘柄の逆行高が目立っていた。

仮想通貨といえば昨日の日経紙金融経済面には「世界の大手も仮想通貨」と題し、米金融大手ゴールドマンサックスがビットコイン関連のトレーディング業務を始める方針や、米取引所大手ナスダックも仮想通貨取引所開設を検討するなど仮想通貨関連事業を拡大してゆく旨の記事もあった。

国内でも仮想通貨の取引金額が昨年は16年から約20倍の規模に膨張するなどその根強い需要や、逆風と見られた各国の規制強化の流れもそれに伴う不正取引の減少期待を背景にして日米共に大手が粛々と拡大の波に乗ってきているが、こうした動きによって日進月歩の技術革新と併せマーケットも成熟に向けての歩みとなってゆくかどうかが注目される。


中小型人気

本日の日経平均は米株式が大幅続伸となっていたものの、円安一服を受けた利益確定売りが優勢となり4営業日ぶりに小反落となった。とはいえ値上がりランキングを見てみるとトップ10のうちジャスダックが6銘柄、マザーズが2銘柄、東証一部とETFが1銘柄ずつと中小型株の物色は旺盛である。

この中小型株といえば投信の世界では先月まで10カ月連続で中小型株投信に資金が流入、合計の純資産残高が先月末時点で約1兆円と1年前からほぼ倍増となるなど人気の高さから相次いで新規の申し込みを停止している旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。その規模は東証マザーズとジャスダックの合計時価総額の1割弱に匹敵するだけに運用効率を考慮すれば致し方無いだろう。

ところで中小型モノ投信の新規募集停止で思い出すといえばやはり数年前にJPモルガンアセットが売り出した「ザ・ジャパン」か。新規売り出しで早々に信託金上限に到達したことで、その上限を倍にして新規募集を再開したものの僅か1週間で再度の募集停止となるほど人気があった。

組み入れ銘柄がディスクロされていた為に設定後はアクティビストが買い込んだ銘柄よろしく更にチョウチンも付いてそちらでも話題になったものだが、こうした中小型偏重は裏返せば大型系の成長力の乏しさを表しているともいえ過熱の反動とも併せ何所までこうした傾向が続くのか注視しておきたい。


金密輸ループ

さて、米の金利上昇傾向で先週は相場が1,300ドル割れとなるなど金相場が調整傾向を強めているが、金といえば先週末の日経紙に「金密輸団、32億円荒稼ぎ」と題し韓国から福岡に金塊を密輸したとして韓国人グループを摘発した事件では国内に密輸され売却された金塊が約400億円相当に上り、その抜いた消費税分の金額約32億円が密輸グループの手に渡った旨が報じられていた。

昨年の当欄で金密輸の成功率95%を前提にすれば100億円超が国庫から奪われている計算と書いた事があったが、同紙では今月成田でも香港から金10キロを密輸しようとした男女が逮捕された件も載っており昨年は約48億円相当の金塊を国内で売却し約3億9千万円を得る事に成功しているといい、上記の件と合わせなるほど日本が密輸の主戦場たる位置付けをされているのも頷ける。

一昨年だったか貿易統計で金の正規輸入量2トンに対して輸出量が161トンと約80倍に達している量から取りこぼしも相当なものだが、一連の金密輸はイグジットとして金は再び香港等に輸出されそれがまた日本に密輸されるケースが多く、このループにおける売却時と輸出時の過程でそれぞれ消費税分が確実に食われている計算となる。

斯様に抜ける鞘の大きさに加えてもう一つの旨み?は仮に摘発されたとしても消費税罰金相当の納付で金塊は返却されるというユルさか。冒頭のグループは韓国人であったが、その韓国では金塊は没収で罰金は最大で約1億円罰金が科されるという。森友文書書き換えからセクハラまで失態オンパレードで忙しそうな財務省だが関税法の罰金上限引上げ等の検討含めその対策が急がれるところか。