110ページ目

犇めく思惑

さて、東芝は半導体メモリー子会社である東芝メモリを米ファンドなどに売却する計画について、5月末までに独禁法の審査で難色を示している中国当局の承認が得られない場合、既に債務超過が解消されており売却の必要性が乏しいとの判断もあり売却を中止する方針を固めているとの報が先週あった。

昨日は香港の一部アクティビストについて当欄で書いたが、本件に絡んではこれまで鳴りを潜めていたアクティビストであるやはり香港の別な投資ファンドが、他投資ファンドが主導する買収案の再考を促す内容の書簡をCEOに送るなど圧力を強め始めた旨が本日の日経紙に出ていた。

昨年のスピード増資劇において本邦勢がその短期間で巨額のリスクの受け皿になれない中を錚々たる投資ファンドの面子が受け皿となって上場廃止の回避が叶ったワケだったが、それと引き換えの最初の関門に当たった感じでここからが同社にとって吉と出るのか凶と出るのかアクティビストの思惑が絡み合うこれから目が離せない展開である。


発掘作業

さて、先週末の日経紙投資情報面には年末の経営統合で上場廃止となるアルパインが香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーから2018年3月期の期末配当として1株325円を支払う事や社外取締役2人の選任を求める事などの株主提案を受け取った旨が載っていた。

同社がもともと期末配当として予定している金額は1株15円だが、予定額を20倍以上も超える配当要求が最終的に通るか否かは別としてこの手の予定額の10倍以上にものぼる大幅な配当金引き上げに追い込まれた?パターンとしてやはり記憶にあるのは、2003年にスティール・パートナーズからTOBをかけられた当時2部であったソトーとユシロ化学か。

ソトーはそれまでの年間13円の配当を15倍以上の200円に、またユシロ化学もそれまでの年間14円の配当を14倍以上の200円に其々引き上げている。思えば当時は極端な話解散してもなお時価を大幅に上回る分配が出来たような不当な低評価で放置されていたケースがごろごろ発掘出来たものだが、当時からアクティビストの質がガラリと変わり掘り尽くしたかのように見える市場で今なお冒頭のケースのように飽くなき対象の発掘は続いている。


転売ヤー

現在日本橋高島屋で開催されているフィギュアスケートの羽生選手の「羽生結弦展」で販売されている限定グッズが、ネットで40倍以上の高値で転売されているのが物議を醸し出しているが、転売といえば今週は衆議院第1議員会館でも「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」が行われた。

こちらは昨今チケットが元値の100倍以上で取引される事もある現状をこれ以上看過出来ない問題として歌手らが超党派の議員らに訴えたもの。確かにプラチナチケットといわれるコンサートでレアシートの空席が目立ったりグッズの販売までその影響が及んだりとアーティストも危機感を持って問題視している。

とはいえ都道府県条例もことネットの世界では縛れずこれまた法の抜け穴が露呈されるが、マッチングにしてもアナログ?な路上などよりネットの方が遙かに受け皿を捕まえ易くこの辺もまたビジネスチャンスを提供してしまっており、その範囲も海外へ舞台を移したりSNSを駆使したりと縦横無尽だ。

冒頭の議員会館の要望を聞く会ではライブ・エンターテイメント議員連盟会長がゴールデンウィークまでに事務的な事を詰め終わったら一気に行きたいと意向を示したが、来る20年五輪・パラを前にしてこれらの観戦チケットで斯様な高額転売が横行するような事があれば国際問題化さえしかねないだけに早急な対策が求められる。


温度差

さて、小学校4年生が子どもでも簡単に円を描けるように考案したコンパス用補助具が特許庁から実用新案登録を受けたのがニュースになっていたが、特許といえば上場企業の世界でも本日の日経紙・真相深層に出ていたように大手ゲーム会社業界が特許侵害として訴訟を起こす事態が相次いでいる旨が載っていた。

冒頭では昨年から関係者の関心を集めている任天堂によるコロプラへの提訴が書いてあったが、任天堂と並びカプコンなど古株勢?からコーエーテクモにグリーやディー・エヌ・エーの新興勢まで各所で著作権ではなく特許というステージでの争いが主流にシフトしてきている模様だ。

気になったのが文中にあった「従来は顔なじみの企業同士が交渉によって内々に収める場合が多かった」という大手知財担当者の言葉。クロス・ライセンス契約等もあり業界の商慣習を回してきた老舗勢と或る意味ドライな新興勢との温度差も一因と考えられなくもないが昨今の消耗戦が市場成長の枷にならぬか危惧されるところである。


資源枯渇?

昨日の日経紙夕刊一面には「ウナギ今年は高値」と題して、3月以降専門店でウナギの値上がりが相次いでおり、今年は年間で最も需要が高まる土用の丑の日は量販店にも高値が広がりそうな旨が載っていた。

シラスウナギの漁は今月いっぱい迄だが、このウナギの稚魚不漁で記録的な不漁だった2013年度を大きく下回る恐れがあると当欄で書いたのが今年の1月であった。はたしてこの時から前年の3倍に高騰し、ウナギの卸値も前年比6割高とこの2013年以来5年ぶりの高値を付けている。

1月段階で早くも丑の日の影響が懸念されると書いたが、その懸念は月を追う毎により一層濃くなっている。昨年の3年ぶりの豊漁が幻の一服だったか、やはり国際自然保護連合に絶滅危惧種にまで指定された物がいつまでも食材で罷り通るワケは無いのか否か、今年は代替商戦も注目されそうである。


安い買い物か高い買い物か

さて、マネックスグループによる仮想通貨交換会社コインチェックの買収が本日完了となったが、この辺に関して昨日の日経紙総合面には1月下旬に巨額流出した仮想通貨NEMに関する同社の訴訟費用を最大でも10〜20億円と見積もっていると明らかにした旨が載っていた。

この買収、収益性は高いものの満身創痍の企業なだけに評価が分かれ結局アーンアウト条項での解決となり、今回マネックスGが同社を買収した金額は36億円と報じられているが、当初難しいと言われた約460億円もの補償をやってのけた企業に内部留保は存在したのかどうかこの辺も報じられていないだけに、一般論としてはたして今後の展開でこれが安物買いのナントカとなるのか否か気になるところではある。

ところで大手による仮想通貨交換会社の買収といえば、先週はヤフーもまた子会社を通じて仮想通貨事業者のビットアルゴ取引所東京に20数億円を出資し同事業に参入すると表明している。コインチェックに対してこちらはまだ営業も開始しておらず顧客基盤も無いハコへの対価として高い買い物ではないかとの意見もある。

いずれにせよ仮想通貨の時価総額を考えるに交換事業は多くの手数料収入が見込め旨みのあるビジネスともいえるが金融庁が改正資金決済法を施行しちょうど1年、決済手段より投機として育った部分がより表面化した背景が見え隠れするが、斯様にITや証券の大手を軸に業界再編も加速し次の成長を模索する段階に入って来ている。


第2回リアルトレードコンテスト結果発表、トップは利益率214.94%

東京商品取引所が主催となり取引所が開催する日本初のリアルトレードコンテスト「TOCOMリアルトレードコンテスト」。

2018年1月〜3月を評価期間とする「第2回TOCOMリアルトレードコンテスト」、3月末の最終ランキングが4/12に発表されました!第2回の参加者は340名となり、第1回大会の242名から大幅に増加しました。

▼東商取、第2回TOCOMリアルトレードコンテストの結果を発表



株式会社東京商品取引所(東京都中央区・代表執行役社長 ?田?道、以下東商取)は、商品先物市場における取引の活性化、商品先物市場への参入促進等を目的として1月5日から3月30日まで「第2回TOCOMリアルトレードコンテスト」を開催し、このほど最終成績を集計しました。この結果、ニックネーム「おいちゃん」さんが利益率214.94%を上げ、総参加者340名のうち第1位となりました。以下、第2位はニックネーム「かじゅ」さんで利益率168.54%、3位は「青色吐息」さん150.58%が続きました。

TOCOMリアルトレードコンテストは、個人投資家の中にも商品先物取引で利益を上げている方々がいることを広く知っていただくため、公設の取引所が開催する現実の取引成績を競うコンテストとしては日本で初めての試みとして、昨年6月に第1回を実施しました。第1回コンテストでは、総勢242名の中から利益率296.37%を上げた参加者が優勝しました。このたびの第2回には、さらに多くの参加者340名が全国から集まり、商品先物取引が魅力ある投資商品として活用されていることが証明されています。

今回、上位の成績を収めた方の取引内容を見ると、主に貴金属を中心にポジションを長期保有する戦略と、多様な商品を中心に短期で取引を行う戦略の両方が見られました。取引形態では、ネット取引が多くを占める中、対面で取引を行っていた方々も含まれていました。

個人投資家に対する商品先物取引の普及啓発のため、東商取では今後もこのコンテストを定期的に開催する予定です。さらに今年度は、中国の投資家を含む国際大会開催など、新たな展開を検討しています。

さて、次回大会はどうなるでしょうか。


世界が欲しがる匠

本日は木曜日で和風総本家の放映があるが、先の日曜日付けの日経紙には「日本製はビーズ界のロールスロイス」と題して、2016年〜2017年の秋冬オートクチュールコレクションで登場した伊アトリエヴェルサーチのドレスで使われたビーズを例にあまり名も知られていない企業の隠れた日本製の高品質を謳った記事があった。

このビーズに限らず上記のヴェルサーチのようなハイブランドから引き合いがある例としては、和歌山の山奥に潜むアクリル製のフェイクファー製造会社もまた然り。以前に当欄でアニマルフリーの波と書いた事があるが、それらを背景に先陣を切ったグッチやルイヴィトンなどからオファーが殺到しているという。

冒頭のビーズは匠の管引き作業によって生み出される旨が書いてあったが、このフェイクファーも10年かかったという僅か0.3ミリの針で丸く等間隔に植え付ける匠の技術が世界を代表するハイブランドの目に留まった。この手の素材は中国製もまた出荷量の多さを競うが、日本製は中国製より単価が5〜10倍するもののハイブランドからの引き合いは挙ってある。

同紙の末尾では出荷の大半を輸出が占めるという国内需要の少なさが泣きどころと書いてあったが、こうしたハイブランド向けに限らず一般モノでもかっぱ橋の調理器具等を目当てに世界中から顧客が殺到している。高品質を国内に謳うのが後手に回っていたとの指摘もあるが、昨今は製品アピールも逆輸入の様相を呈しているか。


劇薬の処方

本日の日経紙経済面には「劇薬の緩和策重いツケ」と題して、黒田体制で2期目がスタートした日銀のETF購入という劇薬にも似た金融緩和政策のランディングへの懸念が書かれていた。これまでの過程で購入額を倍増させて以降株価の値位置は切り上がってきたが、日銀としては現状の購入ペースを維持する構えとなっている。

日銀が保有するETFの残高は昨年末公表の4〜9月期決算で20兆円を超えた事が報じられていたが、先月の株安で月間購入額は最大を記録した影響もあって先月末の段階で含み益も合わせて約24兆円となっているがこれは株式市場全体の4%弱にのぼり、現状の購入ペースが継続されればこれが5%を握るまでになると試算されている。

また上記昨年の時点で自己資本8兆1銭億円に対して保有ETFの時価は約2.5倍となっていたが、これも現状の購入ペースが継続されれば19年末の保有残高は日銀の自己資本の4倍強になると試算されている。斯様な構図からその危うさを指摘する向きは多いが、2%の物価上昇の大義名分を掲げ劇薬の処方はまだ続きその出口戦略はまだ誰も想像出来ない。


骨抜き誘致

本日の日経紙社説には「上場誘致の市場間競争は投資家目線で」と題して、世界の取引所が誘致を競っているものの、こうした競争が上場ルールの緩みなどで一部特殊な体質企業の上場などで質を落とすという例も見られる事等を鑑み、投資家目線で生み出す好循環が市場間競争に勝つ旨の事が書いてあった。

この辺に絡んでは当欄でも先月に取引所ジレンマと題して書いた事があったが、やはりここでも東証に関して親会社の保有比率が高いまま子会社が上場する所謂親子上場の多さがなお残る課題と書かれており、日本の特異な慣行を武器にしてゆくのもそろそろ限界となりそうだ。

斯様に既存の現状はもとより、昨日まで連日年初来安値を更新していたソフトバンクなど親子上場形態をこれから検討とこちらも風当たりの強さが株価にも表れていたとも言えなくもないが取引所も上場している折、自身の営利追究と投資家目線との利害バランスをどう取ってゆくか悩みどころである。


イースター2018

さて、今月はイースターという事で西方を参考にしている向きが多い日本では今月あたまにかけてサロンドゥショコラ並みにインスタ映えしそうなショコラdeイースターが開催されたり、パティスリーのショーケースにはクリスマスよろしくさまざまな趣向を凝らしたイースターモチーフの品々が並ぶ。

東方では昨日にさまざまな行事が執り行われ、私もニコライ堂で深夜から行われる復活大祭へ顔を出してきた。この時期に此処でしか会わないような知人の中でもある方は新たに日本での生活が始まり、またある方は他界されたりと復活祭ならでは出逢いと別れが交錯するが、変わらないのは聖堂のこの復活大祭の鐘の音を聴くに日々の喧騒を忘れ厳かに心が洗われるというものである。

ところで気になるのはその経済効果だが、クリスマスより重要な祭りとされているイースターもその経済効果の方は日本での浸透度合いもありまだクリスマスの数百分の一と僅か。ただ各所の啓蒙もありその伸び率は際立っており独自の宗教色を持つ日本マーケットの伸びしろは大きく、今後も市場規模やその経済効果に注目が集まるのは想像に難くないか。


買い占め副作用

さて、月替り1日付け日経紙一面では「高島屋、10年ぶり高利益」と題して、高島屋の2018年2月期の連結営業利益が訪日客消費の好調で08年2月期以来10年ぶりの高水準を確保した旨が載っていたが、高島屋といえば京都店が売り出した限定人形全てが1人の中国人とみられる男性に買い占められた件も先週末に話題になっていた。

百貨店側は転売の確認が出来ず契約も成立してしまっているいとしているが、整理券分全てを1人が支払うなどどう見ても不自然なのは一目瞭然。果たしてというか既に中国の通販サイトには同人形が掲載され明らかに転売目的の買い占めであったと思われる報道が相次ぎなんとも酷い話である。

この人形は中原淳一氏の絵を再現したというマニアには垂涎の品だが、斯様に日本オリジナルや先行発売モノなど最近では必ずといっていいほど標的にされている。買い占め事件といえばつい先月も人気ファッションブランドSupremeの新作アイテムの買い占めを狙って並んでいた中国人が警備員に集団暴行する事件もあったばかり。

これまた明らかに転売色が濃いものであったというが、これらと並び買い占め定番?の化粧品群などは既に資生堂やコーセー、ファンケルなどが購入制限を設け始めている。冒頭の通り訪日客消費の恩恵は多大なものだが、一方で品切れによる既存顧客への悪影響や上記の通りの転売によるイメージ低下という弊害もあり店側も今後の対策が急務だろう。