116ページ目

白松露

昨日の日経紙夕刊・味な地球儀には世界三大珍味の一つであるトリュフが取り上げてあったが、シーズンになると良く訓練された犬などを使って地中に潜むトリュフの場所を探し当てさせている姿が時々メディア等で報じられる事がある。周知の通り、三大珍味の中でこのトリュフだけは他と違って生態がよく判明しておらず養殖や人工栽培が難しい。

加えて香りの足の早さもあってまるで松茸かそれ以上といったシロモノであるが、このトリュフといえば昨年から今年にかけてその登場範囲が一頃の洒落たイタリアンやフレンチレストランから範囲を広げてラーメン店にまでこれを扱う動きが出てきているのが目立つ。この広がりは更に製品にまで波及しインスタント食品からスナック菓子まで縦横無尽だ。

今年イタリアでは雨がほとんど降らなかった事で今シーズンは収穫量が少なく価格も其れなりに高騰している様子だが、養殖が出来るフォワグラも生産量が落ち込んでいる事から品薄で価格が上昇傾向にあるという。一般には益々手の出し辛い状況になってきているともいえる反面上記の通り普及品も日進月歩で今後の展開もまた興味深い。


寡占と規制緩和

さて、先週末の株式市場ではKDDIが2週間ぶり安値、NTTドコモとソフトバンクも一時3%下げるなど携帯大手の大幅安が目立っていた。これはいうまでもなくあの楽天が前日に携帯電話事業に参入と発表したのを嫌気したもので、国内市場が飽和状態で契約数の大幅な伸びが見込み難いところへの新規参入で競争が更に激化すると懸念されたところに因るもの。

このKDDIやNTTドコモは戻り切っていないものの、ソフトバンクは今日の寄り付きでこの急落前の水準を回復するなど戻り急となってきている。KDDIにしても日経紙銘柄診断の項では来期の営業利益1兆円超を視野に入れ株価調整は一時的との見方をするなどしているが、成る程まさに寡占状態の国内通信市場を見るにこれも頷ける。

楽天にしても電波割り当て申請し周波数帯の認可が下りればイー・アクセス以来13年ぶりとなるが、とはいえ基地局整備コストやなにより契約者数確保など新規参入のハードルは高い。長らく過剰利益が指摘されてきた国内寡占市場へ表明している2019年のサービス開始が叶うか否か、風穴を開ける期待も乗せて注目される。


香香熱

さて、いよいよ明日から上野動物園で今年6月に誕生したジャイアントパンダの子ども香香(シャンシャン)の一般公開が始まる。当のシャンシャンはこれまで多くの来園者に慣れさせる訓練を繰り返してきたが、職員も誘導訓練からテロ対策までその準備が最終段階となっており、周辺施設もパンダ関連グッズを数多取り揃えパンダ一色となっている。

まるで45年前のカンカンとランランの初来日を彷彿させるような熱気だが、今回の一般公開は1日400組という事前抽選制となっており実に最大で144倍の当選倍率との報が為されているがこうした抽選制はこれが初という。斯様な来園客数増加で園内の文化施設はもとより周辺施設にも経済効果の期待がかかる。

周辺施設といえば株式市場ではジャスダック上場の上野恩賜公園の老舗西洋料理「精養軒」などはこれまで赤ちゃんパンダに関して肩透かし交え何度となく反応してきたが、この明日公開決定発表の報では年明けの700円台から3倍超に大化けし2,000円の大台を突破するなど実に約21年2か月ぶり高値水準を示現、他に東天紅も然りだが今後もこれらと併せその経済効果にも今後は注目して行きたい。


師走のIPOラッシュ

昨日は今年最大のIPOと注目された佐川急便を傘下に擁するSGHDがはれて上場となったが、注目の初値は公開価格1,620円に対し約17.3%高の1,900円ドタとなり、同じく一部に上場となったアパレルのマツオカコーポも公開価格を46.2%上回る3,800円で初値形成、マザーズでは不動産のグローバル・リンク・マネジメントが公開価格2,620円に対して実に約2.3倍となる6,130円で初値と何れも好スタートを切った。

また本日はマザーズにサービスのエル・ティー・エスが新規上場となったが買い気配のまま初値は持ち越し。同様に公開価格2倍以上となる気配値上限で値が付かず持ち越しとなっていた昨日ジャスダックに上場の画像処理検査装置のヴィスコ・テクノロジーズは実に公開価格の約3倍で本日初値を形成となった。

こうした事も背景に冒頭のSGHDも本日は大幅続伸となっていたが、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスは11年2か月ぶりの高値水準となっている。今年の初値平均も公開価格の約2倍となっているが、いずれにせよ3年ぶりのIPOラッシュとなるこの師走、個人マネーの循環が効き一段の市場底上げに繋がるかどうか残りのIPOも注目される。


早耳行政処分

さて、本日の日経紙社会面には「岩井コスモ証券不適切な勧誘」と題し、リポート公表前に株価が上昇する可能性が高いとして営業担当が顧客に説明し複数銘柄を勧誘していたとして証券取引等監視委員会が岩井コスモ証券に対し行政処分を出すよう金融庁に勧告した旨の記事があった。

これと似たようなケースで思い出されるのが、上場企業が公表前の決算情報を自社の営業担当に伝えて顧客を勧誘していたとしたとして行政処分勧告を受けた昨年のクレディスイス証券の一件か。これが原因なのかどうか、果たしてその後年2回のアナリストによる業績プレビュー活動も自粛となった経緯があった。

この前には他の外資系も同様にアナリストが営業担当に公表前の重要情報を提供し顧客の勧誘に使っていたとして行政処分勧告を受けた一件があったが、そういった経緯を鑑み昨年から決算前の企業取材を自粛するような動きも出ていた。早耳情報は何よりの餌だった証券営業だったがこんな従来の情報格差も今や昔という光景になって来た感がある。


顧客本位運営の是非

本日の日経紙金融経済面には「金融商品販売、顧客本位に」と題し、地域金融機関向けに商品選びの仕組みなどを評価・支援する会社を新設したり、金融機関の取り組みを格付けするサービスを始めたりする動きが出るなど金融商品への顧客満足度を高めるためのビジネスが広がって来た旨の記事があった。

背景には金融庁が充実した情報提供など顧客に寄り添う販売体制を求めている事があるようだが、先に日本証券アナリスト協会主催で開催された国際セミナーでも金融庁長官は投信など商品開発・販売両面で見直すべき事例を挙げて講演していた経緯があり、並行して大手行系列も資産運用業務の営業改革に乗り出す動きが出てきていた。

融資での利鞘稼ぎが困難になり投信等の販売手数料へしばしば活路を見出してきた銀行も、金融ビックバンを隠れ蓑にしかつてノルマ証券並みに行員も理解出来ない複数建ての複雑なデリバティブ商品を挙って高齢者に売りまくっていた時期があったものだが、漸く襟を正し長期運用を見据えた資産形成啓蒙に向けた動きが具体化して来るようになったか。


ビットコイン先物上場

さて、先月の上旬に当欄では「動き始めた大手」と題しCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やCBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコイン先物の上場計画を発表した旨を書いていたが、あれから約一ヵ月本日の日経紙夕刊一面には10日夕に米CBOEがビットコイン先物取引を始めた旨が出ていた。

果たして期近の18年1月限は15,460ドルでのスタートとなったが、それから限物価格を超える場面もありサーキットブレイカーの2度の発動も交え18,000ドル超までの値上がりを見せることとなった。原資産も今月1日の約113万円から8日までのわずか一週間で約8割近くの急騰をみせたが、この辺はやはり先物への思惑に因るところが大きかっただろうか。

鳴り物入りのデビューとなったが複数のオンライン証券は直ちに先物は取り扱わない方針で、大手銀行もゴールドマン・サックスは一部ビットコイン先物顧客の清算に応じる計画を明らかにしているものの、JPモルガン・チェ−スやシティグループは直ちに応じない方針という。

世界各国でこれを扱う取引所の規制や監視体制等も足並みが統一されておらず、清算機関やセキュリティーリスクの問題もネックになっているのだろうが、上記の通りCBOEに続いて18日にはCMEも先物を上場する予定となっており、引き続き価格推移や関連銘柄からかつて見送りとなったETFまで幅広く今後の推移が注目される。


破綻でも満額以上?

さて、連日ビットコイン関連の報が喧しいが、昨日の取引でその価格ははや14,000ドルを突破、11月初旬から1カ月強で実に2倍強と大化けし、今月の上昇率だけでもはや40%を超えるという破竹の勢いである。そんな中を一週間ほど前に2014年に破綻して世間をザワつかせた仮想通貨取引所マウントゴックスの一部債権者が、1日までに東京地裁に民事再生手続きへの変更を申し立てたという旨の報があった。

即ち上記の通り鉄火場と化したビットコインが急騰している事で、同社に残るビットコインの資産価値を考慮した場合破綻当時の時価で債権者への返還額を決めてしまう破産手続きよりも、民事再生に変更した上でビットコインによる受け取りを債権者が選択した方が利益も大きくなり、なにより残余財産が社長へ流れるというのは到底承服出来ないという理屈だ。

相場変動によって訴訟のシナリオが変った例として思い出すのが、これとは異質だが数年前に起きた関西の某市が基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債購入の事件か。購入後に相場が逆にいった事でリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損が膨らんだものの、その後のアベノミクス効果でこれが一気に解消したことから一転して訴訟を取り下げた一件であった。

ともあれ単純に弾いた計算で、当初は債権総額約456億円に対して約120億円程度しかなかったものが、今月アタマの段階で分裂によるビットコインキャッシュ付与含め約2,500億円超にまで倍々計算で化けている夢のような状況になっているワケで債権者としては毎日気が気ではないだろう。後は裁判所がどう判断するかという事になるが、債権者のみならずこの事例の帰趨がどうなるのか今後の行方が非常に注目される。


リスクを取れない本邦勢

経営再建中の東芝は昨日に第三者割当増資による計約6,000億円の払い込みが完了したと発表している。これでほぼ上場廃止を回避できる見通しとなったが、実に海外の60のファンドへの割り当てという思い切った手法でこの年末に来て一番注目を浴びたディールになったのは間違いないだろうか。

その顔触れといえばコバンザメ的な引き受け手も混在しているものの、もともと筆頭株主に浮上していた旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントを始めとして米サード・ポイント、米サーベラス、米エリオット・マネジメント等々の錚々たる面々であるが、エリオットは先月取り上げた日立国際電気のTOB劇にも登場したアクティビストである。

これが東芝にとって吉と出るか凶と出るのか、一先ずこれで残る懸念としては半導体メモリー子会社を巡る米WD者との対立のみとなるが、何れにしろこんなスピード増資劇を見るに裏を返せば今の日本にはこれだけ短期間に巨額のリスクの受け皿になれる投資家不在の証左で今の資本市場を如実に表している。


食の世相

さて、食に関する調査・研究を行っているぐるなび総研が昨日に2017年の世相を最も反映したという「今年の一皿」を選んだが、今年は「鶏むね肉料理」が選ばれることとなった。社会の高齢化や健康志向の高まりを背景に・高タンパク・低脂肪等が一般に認知され胸肉に注目が集まったという。

なるほど言われてみれば今年はコンビニで販売しているサラダチキン等がやたらとメディアに登場している機会を多く見かけたものだが、鶏むね肉といえばそのパサついた食感のイメージからあまり表舞台に登場するようなシロモノという感覚では無いが、糖質制限モノの流行等と並びそれだけ健康志向が高まったという表れか。

この今年の一皿、上記の通り世相を反映し優れた日本の食文化を人々の共通遺産として保護、継承する事を目的に14年からスタートしているが、昨年はパクチー料理が選ばれ当欄でも取り上げている。昨今のSNS流行から今年はもっと違った映えモノ系が選ばれると思ったが、ともあれ昨年のパクチー然り「今年の一皿」で脇役でも表舞台に躍り出るチャンスが増えるようになって来たか。


買収防衛策変遷

本日の日経紙法務面には「企業、買収防衛策に知恵」と題して、ここ数年買収防衛策を廃止する企業が増えつつあるなか、一方ではルール等を設定・公表する事前警告型を設け新たに導入に踏み切る企業や、新株予約権の無償割当など株式価値の希薄化に配慮するなど仕組みを工夫して維持する企業もある旨が書いてあった。

買収防衛策の廃止といえば二つのコード改定を睨み株主からの風当たりを気にして近年では廃止する企業が確かに増えており、導入社数のピークだった08年は569社あったが先月末時点では411社まで減少してきており9年連続での減少、とりわけ今年は5月にかけて過去最多ペースで廃止となった経緯がある。

近年ではROE重視も声高らかに謳われているが、確かにもともとこれが低水準な企業が防止策を導入するケースでは株主価値を毀損し所謂ゾンビ企業を延命してしまうというパターンが多い。過去にはニッポン放送やブルドックソース事件の攻防が記憶に新しく企業に対する影響力行使も線引きが難しいところだが、今後もガバナンス重視策は均衡点を探りながらの進行という事になるか。


食フェスの広がり

さて本日で霜月も終わりであるが、11月といえば食フェスのイメージが近年強い。日比谷公園では毎年恒例の子どもの食育体験を謳った「ファーマーズ&キッズフェスタ」が今年も盛況であったが、これが終るとはや翌週には日本全国から魚介料理が大集合する「フィッシャーマンズフェスティバル」が始まり、更にその翌週には全国の鍋料理を集めた「ご当地鍋フェスティバル」が開催されていた。

また代々木公園ではスペインを代表する料理や食材からワインまで集結した日本最大といわれるスペインフェスタが開催されていたが、代々木公園は上記のスペインフェスタのみならず日本最大級を謳うモノが多く、翌週からは日本最大級を謳う蕎麦や日本酒をキーコンテンツとした博覧会イベントである「大江戸和宴」が開催されていた。

食フェスの参加動機の6割以上を占める一番の理由は普段食べられないものが食べられる・飲めるとなっており、若年層のみならず団塊世代やシルバー層まで幅広い層を巻き込みこの大江戸和宴は昨年15万人を動員した実績があり、日比谷公園の「鍋フェス」も昨年実に17万人を動員した実績がある。

鍋でも蕎麦でも日本食はカテゴリーが多く、それらも廉価から高価まで細分化し易くこれらは洋食でもまた然り。来月も有楽町の国際フォーラムで開催される全国町村の自慢のグルメ・物産が大集合する「町イチ!村イチ!」の広告が過日の新聞折り込みに入っていたが食フェス増加の傾向はこうした日本の豊かな食文化の表れなのかもしれない。