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サザエさん彼是

さて本日は東芝の9月中間連結決算があったが、純損益が497億円の赤字となり中間では5年ぶりの赤字、18年3月期も純損益は1,100億円の赤字見通しを出す事となった。ところでこの東芝といえば今月に入り、スポンサーとなっている国民的アニメ番組である「サザエさん」から降板する方向で調整に入った旨が報じられている。

実に48年間もスポンサーを務めて来ただけあって、サザエさんといえば東芝というのは誰でも連想するところだが、株式市場のアノマリーでもサザエさんは業界関係者の間ではジブリの法則と双璧である。即ち同番組の視聴率が上がるとTOPIXが下がり、視聴率が下がるとTOPIXが上がるというアノマリーはその相関係数が0.86と高い事で有名なところ。

まあこの辺は余談だったが、今回のスポンサー降板の報を受けては有名美容外科がいち早く名乗りを挙げた模様で、後継スポンサーが見つかれば2018年3月末にも降板する可能性があるという。債務超過解消を掲げ経費削減強化に背に腹は代えられないという事だろうがこんなところまで影響が及びこれでまた一つ昭和が消えゆくさまは何とも残念なものだ。


裏経済需要

昨日の日経紙商品面には「金の現物購入 復活の兆し」と題して、世界最大の金消費国の中国と第2位のインドで金の現物購入に復活の兆しが出て来た旨の記事があった。中国は通貨政策と資源政策の両面で金輸入を増やす可能性があり、インドは7月から税制改革の一環で消費税GSTを課したがその導入前の駆け込み需要で金購入が増えた面もあるという。

さてこの駆け込み需要はそれとして、このインドでは上記の3%のGST導入と同時に12.5%かかる相殺関税を撤廃しているが、ここに一部の業者が目を付けFTA(自由貿易協定)を結んだ韓国などからの輸入には関税がかからない点を悪用して輸入後に形状を変える精錬を施し転売するというケースが横行しているという。

金を利用した不正錬金といえば日本も密輸に年々拍車がかかっており、財務省も今週はこうした事態を受け17年度予算で金属探知機を早期導入する他、機内検査の強化や罰則を強める等の関連法改正も目指すようだが、裏では抜け穴を見つけこうした地下経済が横行しているのは何も我が国だけの問題ではなさそうだ。


動き始めた大手

さて、その大台が変る度に取り上げられるビットコインだが本日の日経紙マーケット面では「ビットコイン上昇続く」と題して、仮想通貨の代表であるビットコインの価格が日本時間2日夜に1ビットコイン7,000ドル台に乗せ、5日には7,600ドルを上回る場面があるなど依然としてその騰勢が衰えない旨が載っていた。

こうした背景にあるものの一つがCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)が先月末に発表したビットコイン先物の上場計画であるが、先物といえばこれに先駆けて夏にはCBOEも先物上場を発表している他、レッジャーXがCFTCの認可を得てビットコイン・オプションの取引を開始している。

これだけの大手による上場計画となれば参加者増の期待が高まるが、実際に全米最大の取引所であるコインベースではこれが報じられた1日だけでも早速約10万人が口座開設した旨が報じられている。加えて先の8月の分裂に続いて今月中にもビットコインゴールドに絡む分裂思惑もあり、新通貨の権利取り思惑等併せまだまだ年内目の離せない展開が予想される。


実ってきた果実

さて、週末の日経紙一面にはトランプ米大統領がFRB次期議長にハト派のパウエル現FRB理事を指名した旨が載っていた。イエレン路線を継続し利上げペースも引き続き緩やかになるとの見方で金相場も連休前まで内外共にその水準を切り上げてきているが、またぞろ今月は金地金27キロを大型クルーズ船で密輸したとの事で那覇地検が関税法違反罪等で中国人ら4人を起訴したとの報が入ってきている。

さてこんな貴金属を使った不正錬金は論外として、先週末の日経紙マネー&インベストメントには「貴金属、株価調整に備え熱く」と題し一般では現物、先物からETF等々投資の選択肢が広がりを見せ、主力の金のみならず下剋上著しいPGM系貴金属もまた資産を分散する受け皿の一つになっている旨が書かれていた。

特にETF系は主力のSPDRが上場してはや10年近くになるが、後発の三菱UFJ信託の「金の果実」など上場時から27倍超と過去最高の水準にある事を同紙の記事で改めて知った。また「プラチナの果実」も金との価格逆転からその増加に拍車がかかっている格好で純資産残高は3年前のほぼ5倍の水準となっている模様だ。

このプラチナ含めたPGM系も上記の通り近年の下剋上でパラジウムが頭角を現してきており、本日も同シリーズ「パラジウムの果実」は年初から1万円ほど水準を切り上げて年初来高値を更新してきている。ETF活況が継続すればリクイディティの薄い他の組成モノへの波及効果も見込まれようが、斯様に選択肢の広がりは投資家の広がりを誘発し要のリクイディティの一助となって来ようか。


株高と富裕層消費

さて、本日の日経平均は第4次安倍内閣発足によるアベノミクス加速への期待感や、主力銘柄の上方修正から急反発し年初来高値を更新、21年4か月ぶりの高値水準となった。こんな株高を受けてかどうか最近は高級品を扱う一部で高額品がジワジワと売れ始めるような好影響も出て来ている模様。

例えば松屋銀座店では直近3ヶ月の高級時計の売上高が5割増で推移、また高島屋向かいの同店ウォッチメゾンでは先月の1~24日の売上高が前年同期の1.5倍となり、内訳も500万円以上の商品が昨年10月の4本に対して今年は24日までに5本売れ、その中にはリシャール・ミルの1,000万円超の商品も含まれている旨が一昨日の日経MJ紙で書かれていた。

宝飾品も米ティファニーの新展開シリーズの販売が好調な模様の一方で、この項の末尾には同じ宝飾大手のミキモトの場合売り上げに大きな影響はない旨も書かれていたが、とはいえ此処も9月から10月にかけて数千万クラスの1点モノの高級宝飾の新作公開イベントを開催、改装ではVIP向けの個室を設けるなど富裕層らを迎える準備に余念がない。

今の日経平均もアベノミクス再始動との思惑が背景にあっての株高第二幕を演じつつあるが、同様にかつてのアベノミクスのはしりで起きたような高額消費の盛り上がりの再来があるや否や小売業界としても各所で受け入れ態勢の準備を整える様はその期待値の高さを物語っている。


ヒルドイド神話

さて、本日の日経紙一面には「診療報酬マイナスに」と題して、厚生労働省と財務省は2018年度予算編成で医療行為や薬の対価としての医療機関が受け取る診療報酬をマイナスにする方針とし、今回は効果があるが価格が高すぎる医薬品を値下げする薬価制度の改革による減額にも踏み込む模様だ。

ところでこうした価格が高すぎる医薬品がある一方で安価な普及薬を保険適用で更に安く入手出来るのを悪用し、一部では美容クリーム代わりにこれを多用しているケースが話題になっている。保湿剤のヒルドイドがそれで私も何回か処方してもらった事があるが、確かに一部女子の間で実しやかにそんな話が喧伝されていたのを聞いた事がある。

元を辿れば一部女優・モデルが美容効果を謳ったとかで口コミの波が広がったという話だが、これまでも他目的での要処方箋薬で費用対効果が高いとされる薬は数多あった。とはいえこの美容目的の保湿剤利用を巡っては今月上旬に健保組合連合会が公表したレセプト分析調査研究で、実に年間93億円の薬剤費が無駄に支出されているというから看過出来ない。

斯様な状況に至りさすがに厚生労働省も保険適用外や一回の処方量制限の検討に入る模様だが、その線引きも難しく本来必要な患者からすれば甚だ迷惑な話だろう。美に対する飽くなき執念がこんな医療保険財政の圧迫要因になるまでに至っているとはとんだ弊害を生み出しているものだ。


ハロウィーンビジネス

さて、明日のハロウィーン本番を控え街の彼方此方ではイベントが盛り上がっている模様だが、今年は台風22号の影響で先週から屋外モノは受難、渋谷では降りしきる雨で寒そうな姿が其処彼処に見られ日本最大級ともいわれる川崎のハロウィーンパレードはこの影響で中止となってしまった。

ところで近年拡大するハロウィーンブームに乗って今年も各テーマパークも客層拡大を狙いホラー色を強化している模様。USJはそのリピーターの多さからレベルにより中学生以下禁のハロウィーンホラーナイトを展開し、ホラーとイメージが結びつかないピューロランドも小学生以下禁のゴーストピエロのホラーハウスを展開している。

確かに客層の観点から見れば、例えばこれから迎えるクリスマスやバレンタイン等は子どもやカップルがメインターゲットだが、ハロウィーンの場合は老若男女誰でも楽しめる事で子ども向けイメージの強かった上記のピューロランドなどにも大人向けアトラクションを展開出来る伸びしろが商機として浮上する。

事実こうした展開が数字に結びついて表れてきている模様だが、テーマパーク以外の部分でも特に商材を選ばないので様々な業種・業界がビジネスとして参入し易い素地を持っており、今後も各所の展開如何でその経済効果も益々の拡大が見込めようか。


ブランド米戦国時代

さて、新米が行き渡るこの時期になるとDMやネットでは頻繁にブランド米の案内が届き、百貨店のコメ売り場もあらゆる地域のブランド米が入れ代わり立ち代わり並び目移りさえする。それもそのはず昨日たまたま見かけたTVではコメの品種登録数は年々右肩上がりとなっており、直近では843種類にのぼるというのを見た。

これだけブランド米が増殖している背景には年々変化する天候条件に適応する必要性があったという事もあるが、本日の日経紙商品面で一人当たり米消費量が前年同期比3.1%減となり5カ月連続でマイナスとなった旨が書かれていた通りこうした消費減から販売競争が激化、パイの奪い合いからブランド化が必要となり各地域の開発に拍車をかけた事も大きい。

更にスパンを長く見ればバブル世代が生まれた昭和40年頃に比べると現在の一人当たりの消費量は実に約50%にまで落ち込んでいる模様。そんなワケで過日百貨店に立ち寄った際も、昨年試験販売されていたポストコシヒカリを謳う新潟県の新ブランド「新之助」の販促が知事のトップセールスで行われていたのを見たが、今年廃止となる減反政策を睨み斯様に売り込みも益々拍車がかかって来ようか。


高級スーパー再編劇

さて本日は所用があって出かけた先でクイーンズ伊勢丹の看板を見掛けたが、昨日の日経紙・企業総合面には「三越伊勢丹、改革は融和型」と題し、三越伊勢丹HDがこの高級スーパー・クイーンズ伊勢丹の運営会社の株式の大半を三菱商事系の丸の内キャピタルに売却すると正式発表した旨が載っていた。

高級スーパーの売却といえば最近では成城石井がこの同じ丸の内キャピタルを経てローソンの傘下入りをしたのが記憶に新しいが、その前にはJ・フロントリテイリングがピーコックストアをイオンに売却しており、今回の三越伊勢丹と併せ大手百貨店系がスーパー経営から離れるパターンが続く。

ところで上記の成城石井買収の時はローソン勢に対して三越伊勢丹も手を挙げるのではという思惑さえ出ていたのを思い出すが、当時と今とでは丸の内キャピタル含め同じキャストながら買収の構図がさま変わりしている様子がこの業界の再編劇の目まぐるしさを物語る。


景気に投機

本日の日経紙・一目均衡では「市場騰勢 景気を反映か」と題して、米国の史上最高値更新や日本の21年3ヵ月ぶりの高値水準など日米の株価が上昇しているのみならず景気の先行指標とされる商品相場もまた内外で上昇している旨の記事があった。

この辺に関しては特に非鉄の上昇が顕著でLMEの先物では銅が今月に入って7%超上昇、亜鉛もリーマン・ショック前に遡る10年振りの高値を記録している。日経平均は本日で16連騰と連騰記録を更新しているが、上記を背景にして同紙二面に出ていた連騰の間に上昇した銘柄リストでは半導体やロボット関連に交じって住友金属鉱山や大平洋金属等の非鉄金属関連が上位に顔を出している。

非鉄といえば他にはニッケルも電気自動車の市場拡大に連れ供給不足が21年3月期から顕在化してくると予測されているが、別子の場合それらを低コストで生産する技術を有しており一部アナリストの評価も高い模様。そんな個別はさて置きとしても、何れにせよそうした需給もテコに過剰流動性の投機も乗り各市場で新たな相場形成が為されて来ようか。


アベノミクス再始動?

昨晩はボクシングの村田選手が世界チャンピオンのベルトを賭け因縁の相手との再戦に臨む注目の生中継が行われていたが、その注目の戦いの画面には同時にL字テロップで選挙速報を逐一報じるという、かつて衆院選とサッカーの大きな試合がバッティングした時を彷彿させるような何とも落ち着きのない画面になった。

果たして村田選手は期待通りに雪辱を果たしたが、もう一つの衆院選の戦いは下馬評通り自民が単独280超の議席を獲得と余裕の勝利でこれでまた安倍一強が継続される事となった。こうした背景には野党側の二転三転したドタバタ劇も自民にとって勿怪の幸いとなった感が強いが、ホンの失言も針の一穴ではないが命取りになる政治の恐ろしさを見た感もある。

そんな煮え切らない構図から勝った割に漂う消去法感は鮮明、支持率とのアンバランスも微妙なところという気もする。とはいえ政局動向を最も気にする外人勢も乗る格好で週明けの日経平均は本日で15営業日連続上昇と過去最長を更新、1996年7月15日以来21年3か月ぶりの高値水準まで上昇したが、いずれアベノミクスもエグジットを日銀と共に視野に入れる必要があり何所まで外人勢が付き合うのか今後も目が離せない展開である。