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セレブとICOバブル

さて、当欄ではちょうど1カ月くらい前にICOについて取り上げているが、直近で中国当局がこのICOを全面禁止にした旨を発表、その後には仮想通貨の取引所を当面閉じる事も決めたと報じられている。中国勢はビットコインで世界の半数のシェアを握っていただけにこの影響で元建てビットコイン価格は約2割急落の憂き目に遭った。

ICOといえばクラウドファンディング形式で資金調達出来る上に、ブロックチェーンの負担も無いなど容易に調達出来る仕組みから今年の調達額は既に約1,370億円に上っているが、当局の介入は別に中国に限った事ではなくSECも7月下旬にトークンについて証券取引所法抵触の可能性を指摘、ICOを予定していた上場企業の株式取引停止の処分も下した経緯がある。

ところで中国当局が全面禁止にする数時間前にはあのパリス・ヒルトン嬢がツイートでリディアンコイン社が行うICOに参加するのが楽しみだとコメントしていたが、昨年からインスタ等でイーサリアムの幹部と交流を持っていた様子が確認されており成る程という感じ。他にも著名プロボクサーのメイウェザー氏も2つのICOをプロモートしている。

こういった所謂セレブな面々がICOへ参加すれば否が応でも人気沸騰しその効果は計り知れず、彼らの関与は発展を加速させるネットワーキング効果の証左との意見もある。ある種黎明期バブルとセレブの存在は切っても切れない関係だが、斯様な事例が一時的流行に終るのか否か当局の動きと併せ引き続き注目しておきたい。


ワールドウォッチフェア2017

さて、今週はHUBLOTの京都店開店等を週初に取り上げたが、こんな高級ブランド時計といえば毎年この時期恒例の「ワールドウォッチフェア」が先月末まで開催されていた。今年は20回目となるフシ目の年でテーマは「時の継承」、過去最多となる5千本強の時計を揃え歴代のカタログ等の展示もあった。

上記のテーマだけに今年はアントワーヌ・プレジウソがトゥールビヨン3つを連結させた上で公転させるというピーストゥールビヨン・オブ・トゥールビヨンなる超絶時計を展示したり、A.ランゲ&ゾーネブースでは1,300個以上もの時計部品を一つ一つ番号をふって一覧展示するなどジュネーブ・サロンのような演出も見られた。

個人的に見惚れたのはクリスチャン・ヴァン・ダー・クラウのアンモライトを施した世界限定1点のリアル・ムーンステラネビュラか。その芸術品を超える遊色効果もさることながら、企画立案、宝石提供、製作と3社がコラボしアンモライトをこの薄さとデザインにカットしたその技術力には驚かされる。

また今年はピアジェの60年代後期に製作されたモデルを再現したものや、フランクミュラーの初期モデル等も出ていたが、国内勢もセイコーが60年代のグランドセイコーを意識したモデルを複数打ち出しており、最先端技術と並行して各社こうした「復刻」モノにも力を入れ出してきているのも印象的であった。


一過性に非ず

本日の日経紙商品面には「金相場 見通しを聞く」と題し、ここ上昇を続けて来ている金相場の勢いが続くのかどうか二氏へのインタビューが載っていた。年末にかけて上昇するとの予測と、年末にかけて下落すると両氏の見解はきれいに分かれたが、昨日触れたように国内でも金先物価格は約2年2ヶ月ぶりの高値まで上昇し直近安値からの上昇率は5%に達している。

これまで春先の仏大統領選やその後のロシアゲート疑惑が浮上した局面で1,300ドル大台に接近する場面がある度に弾かれていたものの、直近で浮上した米利上げ観測後退も背景にこの抵抗であった大台を突破し昨晩のNY市場では一時1トロイオンス1,349ドル台に上昇し約1年ぶりの高値を付けている。

こうした背景もあって北朝鮮の有事買いも一過性に終らずなかなかしつこい粘りを見せている点は防衛関連株のなかなか終わらぬ蒸し返し相場と酷似しているが、斯様な地政学リスクに米政策情勢不透明感が今後どの程度長期化してくるのか、この辺の動向が各対象商品の高値定着のキーとなって来ようか。


リアル24?

直近で6回目となる核実験を北朝鮮が強行し警戒感が燻るなか、本日の日経平均は前場の終盤に北朝鮮がICBMと見られるロケットを同国西側に移動していると一部海外メディアから報じられた事で前日に引き続いて続落、また昨日の東京商品取引所の金先物も有事の際の安全資産とされて資金が流入、1グラム4,696円と約2年2ヶ月ぶりの高値を付けている。

とりわけ今日のマーケットは防衛関連が大賑わい。細谷化工や石川製作所などの本命株が再度ストップ高の急騰を見せ年初来高値を更新したほか、重松製作所や興研などの防毒マスク関連銘柄、EMP爆弾への脅威から電磁波や放射線技術へも矛先が向かい技研工業や東邦金属なども物色されるなどその裾野も広がりを見せている。

しかし上記のEMP爆弾などは、かつて中毒のようにハマって見てしまったFOX系海外ドラマ「24」の中だけでの作り話と思っていたモノがまさか現実にTVで可能性が報じられる日が来るとも思わなかったが、何れにしても9日の北朝鮮建国記念日を控えそれまでは蒸し返し相場で対象銘柄など乱高下の展開がまだまだ継続されるか。


京町家と高級ブランド

本日の日経産業新聞には日本電産の会長が京都に日本最大のオルゴールミュージアムをつくる旨や探訪繁盛店では京都のマリベルの紹介等があったが、京都といえばスイスの高級時計ブランドHUBLOTの直営店が京都の祇園に開業した旨の記事も最近見掛けた。

祇園の目抜き通り、花見小路に面した2階建ての京町家への出店というが、此処への出店というと記憶に新しいのが昨年の同じく高級ブランドのエルメスの期間限定店出店で、地元京都の著名人なファッショニスタが所有するスカーフの展示や、来場者が持参したスカーフに後染めを施すシルクイベント等を実施していた。

さまざまな伝統文化や価値を生み出すと共に革新を続ける古都のこうした京町家には木組みや組子等の伝統建築の技法が用いられており、職人の美しい手仕事ともの作り精神を現在に受け継ぐこだわりを共有する両者のアイデンティティのシンクロという点でこうした高級ブランドもうまくマッチしたというところだろうか。

しかしこうした高級ブランドに限らず、冒頭のチョコレートのマリベルや、つい最近はスターバックスコーヒーも世界遺産の清水寺近くに2階建ての伝統的日本家屋に畳の座敷を設置した世界初の店舗をオープンしている。周年事業における地域貢献の一環として町家の再生・活用と共に町そのものの活性化を目指す動きは今後もトレンドになりそうだ。


UUUM上場

さて、昨日はユーチューバーのマネジメント業務をおもな事業とする(UUUM)がマザーズ市場に新規上場となったが、蓋を開けてみれば初日は買い気配のまま値付かず、上場2日目の今日は差し引き34万株の買い気配で始まり、結局注目の初値は6,700円と実に公開価格2,050円の約3.27倍となった。

所属クリエーターは(ヒカキン)氏や(はじめしゃちょー)氏等々有名どころが名を連ねているがそれだけに小学生でも同社を知っていたのには驚いた。ヒカキン氏など大株主に名を連ねているがその数六万株、初値でナンボとソロバンを弾きたくなるが、2008年に上場した一流アスリートマネジメント業のサニーサイドアップ上場の時にもサッカー元日本代表であった中田氏も数十万株の大株主だった事から同じような下衆の勘繰りで話題になったのを思い出す。

とはいえココと明確なる類似企業が存在しない初物IPO案件、先に取り上げたVALUもそうだが近年のテクノロジー進化でIPOの顔ぶれも本当に変わってきた。かつてライブドアの小学生株主が話題になった事があったが、上記の通り小学生でもこの企業を知っているのを見るに今後の分割如何では憧れる小学生の株主がまた話題になってもおかしくはない、そういう世の中になって来たという事か。


疑似株式に非ず

本日の日経紙企業面には「個人価値株式「VALU」騒動 売り逃げ対策で取引制限」と題し、今月中旬の人気ユーチューバーらによる売り逃げ騒動を踏まえ、来月4日からは1日に売買出来るVALUの取引単位であるVAの上限を決めるなど取引規制を設ける発表を運営会社がした旨が出ていた。

このVALU、当欄では先週取り上げた際にはこれからブレイクするアーティストの資金需要などなるほど双方にマッチしたサービスとした通り、逮捕されて話題になっている生き人形作家などこうしたサービスで優待等を駆使すればそれこそ胡散臭い人物と下手な事件に巻き込まれなくて済んだばかりか、その道でまた素晴らしい世界が開けた可能性があったのは想像に難くない。

ともあれサービス開始早々にこうした「事件」が起きて考えようによっては早めに取引規制や利用規約の見直しが出来たといったところだが、それでも今回はほんの一歩。先に書いたように社会が変わりゆくサービスが確立する前に利用者保護の為のルール作りは焦眉の急となっている。


NEO納豆

本日のTBS系「マツコの知らない世界」では納豆が取り上げられていたが、確かに最近では納豆も趣向を凝らしたものが増えてきたように感じる。番組中でも老舗の塩麹の納豆、流行りのSNS映えしそうな女性プロデュースの納豆バター、昔JALのCAからよくいただいたドライなっとうを彷彿させる乾燥納豆等々いろいろ紹介されていた。

実際にこんなバラエティー番組で取り上げられるくらいであるから売れ行きの方も好調となっており、全国納豆協同組合連合会によると昨年の市場規模は過去最高の約2,140億円となり、食べる頻度が増えた人は25%、7割が豊富な栄養を理由に挙げているという旨を日経紙でも見かけた事がある。

またぞろフードファディズムなのかその手とは異質なものなのか、この手の健康食品ブームというとかつては紅茶キノコから始まり、寒天、ヨーグルト、チョコレート、そしてこの納豆もかつては盛り上がった時期があったが斯様なサイクルはいまだ形を変えて続いている。


買収さまざま

さて先週の日経紙にはSGX(シンガポール取引所)が値動きの大きいレバレッジ型のデリバティブを上場し、また昨年買収した英バルチック海運取引所もテコに海運関連の新規デリバティブ商品の開発も進めている旨の記事を見掛けたが、最近またぞろ取引所関係の記事を同紙で目にする機会が多くなってきた。

上記のSGXは英バルチック海運取引所を買収、そして同じアジア勢では香港取引所が英のLME(ロンドン金属取引所)を買収しているが、こちらの方はLMEの売買低迷が足を引っ張る格好で約2000億円を投じた割に買収効果が思うように上がっていない旨も見掛けた。

アジア勢といえばもう一つ、CHX(米シカゴ証券取引所)の買収に向け意欲を燃やしていた中国の重慶財信企業集団率いる中国投資家グループであったが、議会メンバーから反対意見が上がりその行方が注目されていた件でSEC(米証券取引員会)はこの買収についての承認採決を延期する旨の発表で中国資本による初の米取引所買収は阻止された格好になった。

斯様な買収劇の背景にはアジア経済の成長が続くなかで各々取引所間の競争が激化している事があるが中には当初描いていた青写真通りに事が進まぬケースや、やはり規制当局の壁が高く立ちはだかり国を越えた合併など一筋縄ではゆかぬケースなど依然として多いのが現状である。


寿命ある株式

さて、今週は先週起きた個人の価値を仮想株式として売買する「VALU」を巡る騒動が週初から話題になっていた。事は著名ユーチューバーがツイッター上で意味深なリップサービスを表明、仮想株式が急騰したところでこのユーチューバーはじめ取り巻きの関係者連中がこれに合せ保有仮想株を売り抜け、優待を仄めかすコメントも消去し抜け殻となった仮想株は暴落の憂き目に遭ったというもの。

このVALU、約2ヵ月ほど前から始まっているサービスだが、例えばアーティストなど資金が必要な個人が自身の価値を売る事で資金調達が可能となり、出資者もこの人物から優待を受けたりまた有名になるに連れ価値も上昇し、インカムゲインだけでなくキャピタルゲインも得られるというなるほど双方にマッチしたサービスである。

とはいえこれまた黎明期に付き物の上記のような事件も勃発するワケで、一昔前の株式詐欺で広義で篭脱けの類ともいえこれが株式だったら間違いなく犯罪となるところだが、如何せんVALUはビットコインを使う仮想株式と金商法の対象でない為に相場操縦やインサイダー取引を規制出来ないところが抜け穴となっている。

近年のテクノロジーの進化でビットコインなども含めて今迄想像出来なかったようなサービスや商品が出現してきているが、今回のようなわずか1週間以内で起きた事件も踏まえ早急な利用者保護の為のルール作りが社会を変えてゆく前に必要になる最優先課題となってくるのではないだろうか。


寄付失速

本日の日経紙総合面には「ふるさと納税バブル崩壊」と題して、総務省が高額返礼品で獲得に走っていた話題を呼んだ自治体に対して待ったをかけた効果が出て一時の過熱感が一服するなど転機を迎えているさまが書いてあった。

この手の記事では必ずといっていいほど登場する宮崎県都城市であるが先月は前年同期の三分の一に失速したという。かつてトップが寄付額の9割ぐらいの返礼品でもよいと思っている旨の発言をTVで見た事があったが、お上の御達しが出ると逸早くこれまでの半分にカットするなど聞き分けがよかったのは意外でもあった。

そういった一方で還元率5割を誇る草津温泉や北海道の人口減対策の為の還元率5割の航空券、またモノでは志摩の真珠や福岡の家具、山形のノートパソコンなどはこの御達しをそのまま受け入れるつもりはないとしているところは筋が通っていて気持ちがよい。改めて資産性や高額なモノとの一括りでおふれを出してしまう愚策が浮き彫りになるいというもの。

現状ではふるさと納税バブルに踊った自治体の寄付額減少のみがクローズアップされているが、前にも記したように納税に対する返礼品バブルに乗って受注を捌くべくマンパワー不足から雇用を増やし、また設備投資も拡大させてきた関連の中小企業の問題も今後出てくる可能性もないわけではないか。