124ページ目

重要提案行為

昨日の日経紙総合面には「物言う株主、再び攻勢」と題して、企業の経営に影響を及ぼす狙いがある「重要提案行為」を目的にアクティビストが株を大量保有するケースが相次ぎ、昨年はその数が103件と08年以来9年ぶりの高水準となるなど世界的なカネ余りや株高で資金力を増し日本株市場への攻勢を再度強めている旨が書いてあった。

上記のカネ余りの背景の他にも15年から導入されたコーポレートガバナンス・コードも活動の追い風となっている模様だが、この辺が窺えるのがやはり昨年の黒田電気の株主総会において旧村上ファンド系の投資ファンドである大株主のレノが提案した人事案が8年ぶりに承認された出来事が記憶に新しいところ。

先にTOBの話で取り上げたアサツーDKや日立国際電気も、アクティビストである英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズやエリオット・マネジメントがそれぞれ絡み買収価格の低さを指摘していたが、目下のところジャスダック市場の東栄リーファラインも上記の旧村上ファンド系の大株主がTOB価格の低さを指摘し一先ずMBOが不成立となっている。

確かにPBRが1倍を切る現状ではMBOに応じる株も集まりようが無いが、異端扱いされていたかつてはそんな検討に値する提案さえ賛成票を投じるのが躊躇されていたものがコード導入によって壁が崩れた功績は大きい。キャピタルゲイン効果も無視出来ないモノもあり今年もアクティビストの動向は益々注目されるところ。


新興統合

本日の日経平均は史上最高値を更新し続けている米株高を背景に年初来高値を更新し、ザラバながら24,000円の大台に乗り1991年11月以来、約26年2か月ぶりの水準となった。その裏で今週はジャスダック市場もまた一昨日まで9日続伸となり、1990年7月9日に記録した高値を上回り83年11月の算出開始以来の最高値を付けてきている。

ところでジャスダックといえば、東京証券取引所を傘下に持つJPX(日本取引所グループ)が同じく新興企業向け株式市場マザーズとで両者統合する方向で検討に入った旨が年明けに報じられている。これら両者は東証傘下になる以前はそのカラーというか棲み分けが比較的明確化していたものだが、現況ではその色も薄れてきていた感は否めない。

JPXは今年半ばから3年展望を示す中期経営計画を新たに策定するのに合わせ再編の検討を本格化、単純に時価総額の規模で比較すればジャスダックはマザーズの約倍だがこれらを統合し約1,000社、時価総額約16兆円規模の市場で世界有数の新興市場である英AIM等を見据え、日本の新興市場の位置付けを明確化させ市場の活性化を狙うと読売紙でも書かれていた。

これまで新興市場は東証一部に比べて海外投資家や上場企業の参加が未だ限定的といわれてきたが、算出以来の最高値を付けて来たジャスダック市場など最近では海外勢や機関投資家の資金が流入してきている旨を日経紙では伝えているが、統合でこうした動きを更に促す事が出来るかどうか注目される事になろう。


丑の日影響必至?

本日の日経紙商品面には「ウナギ稚魚 歴史的不漁」と題し、ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギが日本、中国など主産地での漁獲量が1トンに満たず記録的な不漁だった2013年度を大きく下回る恐れがあるなど深刻な状況に陥っている旨が書かれていた。

国内のシラスウナギ漁は、ふるさと納税の返礼品でも知られる通り主力は鹿児島、宮崎、静岡などで行われているが、鹿児島では18年漁が解禁された昨年12月10日以降の15日間で0.5キロと前年同期の1%程度しか取れず、今月に入っても可也少ない状況と時事でも報じられており、当然ながら価格も現在はキロ当り17年度末の2倍近くに跳ね上がっている。

とはいえそのモノ自体が無いワケで今年も業者間での奪い合いは想像に難くはないが、早くも丑の日への影響が懸念される事態となっている。ここ数年の高騰で穴子や秋刀魚、果ては茄子まで他の食材をウナギ風にした商品が続々登場してきたが、昨年あたりから一部大手が扱い出したパンガシウスなどの新種も本格的に今年は脚光を浴びるのかどうか注目である。


億り人の憂鬱

昨日はビットコインに絡むETF関連など取り上げたが、周知の通りこれを含む仮想通貨の暴騰で昨年は所謂「億り人」の存在も彼方此方で取り上げられた。思わぬ濡れ手に粟となった向きは浮かれる一方で早くも申告をどうするのか頭の痛い問題も台頭してきたが、国税当局は多額の売却益を得た投資家らの調査を始めた模様。

仮想通貨元年だっただけにこれらの本格的な情報収集としては初となろうが、現物そのものが存在しないという事で当初よりロンダリングし易いのでは等々の憶測が飛び交っていたものの、朝日紙では数千万〜数億円の利益を得た投資家らをリストアップし2018年の確定申告に向け取引記録や資産状況をデータベースにまとめ税逃れを防ぐ考えと載っていた。

普通に考えれば正規業者には取引データの足跡が全て残されており当局にしてみればこれらの開示から容易に全容を把握出来るワケで下手に小細工してもバレそうなものだが、いたちごっこでタックヘイブンを絡める等の指南も数多見掛ける。いずれにせよ国税当局のお手並み拝見といった仮想通貨元年か。


仮想通貨ETFに暗雲

さて、先週末にはまたぞろビットコインを始めとした時価総額上位の主力仮想通貨が軒並み値を崩した旨の報道が多く見られたが、こうした背景にはSECがビットコイン先物を使ったETFの上場申請で否定的な姿勢を示したほか、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が5年物のプットを買えるなら全ての仮想通貨で喜んでそうすると発言していた事がある。

このETFだが昨年にはビットコインを裏付け資産として一度は上場申請したものの、周知の通りSECから認可が得られなかった為3月に暴落の憂き目を見た経緯があったが、その後のCBOEやCMEの大手がビットコイン先物の上場を果たした事でこれを原資産としたETFなら通るだろうとのコンセンサスが一部あったところこれも否定的な反応と暗雲漂う報道となっている。

仮想通貨を巡っては日々ニュースに事欠かないが、中国当局による仮想通貨のマイニング事業の中止要請通達から取引所の実質的な閉鎖、またICO禁止など規制強化の動きなども一方では喧しい。ブロックチェーン等のテクノロジーはその性質から日進月歩であまりにも急速に発展増殖した事で、結果として各所で対応が追い付いていないのが現状なだけにこの先も数多の紆余曲折があろうか。


2018年10大ビックリ予想

さて、一昨日は日経紙の「経営者が占う今年」を振り返ってみたがこの特集が出る頃にはもう一つ、米投資会社ブラックストーンの副会長であるバイロンウィーン氏の「びっくり10大予想」も話題になる。当欄では昨年も取り上げているが50%の確立で起こり得る事とした予想は為替が外れた程度で他は予測通りかそれを上回るパフォーマンスであった。

S&P500に関しては12%の上昇予想が、低金利と好決算に支えられ結局は年間で20%の上昇率と2013年以来の好パフォーマンスを記録、また日本の実質成長率は数十年ぶりに2%を超えるとしていたが、果たして7-9月のそれは年率換算で2.5%と29年ぶりとなる7四半期連続プラス成長を記録、年間の株価上昇率も他の先進国をリードとした通りの展開となった。

今年の相場関係ではザッとしたところで為替が1ドル120円まで円安ドル高が進みユーロドルは1.10へ、昨年も当てたWTIは約33%上昇し1バレル80ドルになるとの見方、S&P500は強気ムードの反動から一旦は2,300をうかがう水準への下落があるも、米経済成長率が4%に向かう為に年間では約11%上昇し3,000に達するとの見方をしているがさてどうなるか。

ところで昨年ビックリした事といえば過去稀に見る暴騰劇を演じた仮想通貨で、同氏はこれに触れていなかったもののこれに言及していたのがサクソバンクのビックリ予想。とはいっても同社が出した3倍化を遙かに上回る大化けを演じたワケだが、バイロンウィーン氏は番外編でこれに言及し規制当局が取引を制限するとし、サクソバンクは昨年の強気から一転ビットコインの1,000ドルへの暴落を予想している。

またS&P500種にしてもフラッシュクラッシュによりマイナス25%の劇的な急落を演じるとバイロンウィーン氏とは対極の予想を出しており何れに靡くかだが、いずれにせよ大方の予想モノはある程度のレンジを移動平均に絡めたような横並びの無難予想を謳うが、ビックリ予想というのはその範囲を逸脱させ盛った設定にするだけに当たった時の話題性の効果は大きい。


築地最後の初セリ

本日は所用で築地界隈へ出向いたが、築地といえば一昨年今頃の当欄で「〜マグロの初セリも今年の豊洲移転に絡んで見納め〜」と書いたものの、結局移転が頓挫し昨年も築地で行われることとなったが、いよいよ豊洲への移転が今年の10月に決定した為にこの中央区での最後となるマグロ初セリが先週に行われた。

果たして3,645万円で落としたシロモノは市場2番目という405キロの大間産クロマグロであったが、このマグロの初セリといえばここ6年連続で競り落とし代名詞のような存在となっているのが「すしざんまい」の喜代村だったが、今年はマグロ専門卸大手のやま幸が落札するという意外?な展開となった。

当日の日経紙夕刊ではこれがすしチェーンの築地すし好などで提供されると書かれていたが、これらは銀座おのでら他各支店で提供され招待された幻冬舎の社長や秋元康氏ら美食家がいち早く舌鼓を打った模様。当のすしざんまいの方はキロ単価と品質勝負で190キロ物を3,040万円で競り落とすこととなったが、一強体制が崩れた裏には様々なドラマがあったのは想像に難くない築地最後のセリであった。


経営者が占う

大発会のロケットスタートから本日で3日続伸となった日経平均だが、今年も恒例の日経紙「経営者が占う」を振り返ってみよう。日経平均の高値予想平均は前年を上回る21,750円と96年7月以来の水準となる強気予想であったが、果たして結果は更にこれを大きく上回り11月には22,937円と1992年1月以来、25年10か月ぶりの高値示現となった。

こうなると万年強気の年末高予想とほぼ願望で固める証券業界の暗黙のルールで予想を立てた大和証券グループ本社社長やSMBC日興証券社長の判で押したような12月に23,000円という予想を出した証券会社トップが結果的に当たってしまったが、そうなると一般企業の伊藤忠商事社長の10月に23,000円、信越化学工業会長の10〜11月に23,000円などこちらの予測がなかなか際立つ。

そういった中で高値は3月の20,000円と一番低い予想を出していた中には三越伊勢丹HDもあったが、この辺は自身を取り巻く環境が斯様な弱気な予測を弾き出させた部分があったのかもしれない。また個別は4年連続でトップだったトヨタ自動車が往って来いだった以外は、こちらも2位常連の信越化学工業、3位の伊藤忠商事が日経平均に靡きそこそこ好パフォーマンスという結果であった。

というワケで今年の個別銘柄は1位のトヨタ自動車、2位の信越化学工業、3位の伊藤忠商事とトップ3は前年と全く変わらずとなり、日経平均の高値予想は平均で25,440円と1991年6月以来、約27年ぶりの水準まで引き上がることとなったが、昨年に続いて今年も証券会社トップの願望予想が叶う「戌笑う」の展開になるのか否か見ておこう。


戌笑う

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さて今年は戌年、兜町界隈では戌年は上昇を示唆する「いぬ笑う」の相場格言がある。1958年から過去5回の騰落率を見ると1958年の40.3%高をトップとして、1994年の13.5%高、2006年の7%高1982年の3.9%と続き、下落したのは70年のみでその4勝1敗の平均騰落率は9.8%のプラスと投資家にとっては引き続き期待が持てる年ということになる。

昨年は大発会のロケットスタートの余勢をかってそのまま日経平均も約26年ぶりの高値まで昇ったが、果たして戌年の最初を飾った本日の大発会も上記の格言を裏付けるように蓋を開ければ急反発スタートとなり、大発会としては96年以来の上げ幅で大引も1992年1月以来の高値水準で幕を開けた。

振り返れば昨年は景気や雇用を始めとし指数も個別も記録づくしの一年となったが、一方では年間を通じてまたぞろ企業の不祥事が続々と表面化した年でもあった。この年明けも核ミサイルを巡って米と北が挑発合戦の様相を呈し他の地政学リスクも依然燻っている。上記の戌年上昇率トップだった年の首相は現首相の祖父、代を経て孫も真価が問われる年になりそうだ。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


怖い絵展 2017

さて、今月はシャンシャン公開に沸く上野動物園に隣接する上野の森美術館で開催し17日で閉幕した「怖い絵」展を終盤になって観にいって来た。上野の美術館に行くのはアルチンボルド展以来の事であるが、これまた神戸での前評判から関心を集めていただけに来場者は10月からの72日間で実に約41万人を集めた模様。

作品の背景から「怖さ」を味わい、その全作品に恐怖を読み解くヒントがあるという中野京子氏の視点がおもしろく以前より氏の書籍は観ていたが、やはりこれらの実物は圧巻であった。たった9日間の女王を描いたドラローシュの大作「レディージェーングレイの処刑」や、クレオパトラが人体実験の末に選んだ毒蛇を使った自害を描いた絵の艶かしさはその背景を読むに更に怖さが増幅する。

他にもシッカートの「切り裂きジャックの寝室」は本人不在という(居ない空間)を描いているのが逆に怖さを醸し出し、「オデッセウスに灰を差し出すキルケー」など今流行りの不倫ネタを絡めてあり、また印象派で知られるセザンヌなど構図の美しさを求めていた一方で強い殺意を描いた作品も描きあげていたその二面性など本展で改めて知ったのが新しい発見であった。

どの作品も奇跡の来日とも言え貴重なものを観させてもらったが、怖いといえば現実世界では隣国の「北」が狂気のミサイル発射や核実験を繰り返しこの年末も発射準備の兆候が見られるなど気が抜けない状況。そんな背景もあって世相を漢字一文字で表す今年の漢字は「北」に決まったが今年もあと3日、来年に想いを馳せつつ今年はこれで筆を置きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


仮想保全

さて、昨日の日経紙一面には「仮想通貨を保全」と題して仮想通貨取引所が破綻した場合の利用者の通貨を保全する仕組みを信託銀行が始める旨の記事があった。所謂ビットコイン版の分別保管で信託した投資家は破綻や犯罪などのリスクから遮断されることとなるが、当然ながら価格変動リスクは避けられない。

価格変動リスクといえば主力のビットコインは今月に入ってから下げが加速、最高値を付けたところから取引が始まったばかりの先物も巻き込みたった5日間で4割超の急落を見せるなど果たしてかなといった崩落を見せ、株式市場でもGMOインターネット、フィスコ、リミックスポイント等の関連株まで軟調展開となっていた。

この暴落劇では実務の方でも取引ネットワークの混乱から取引所が支払うネットワーク手数料が高騰、それに伴い送金手数料が一部では4倍化するなど影響が出てきている。他、ICOなども可也の規模に枝葉が広がっている事で乱高下が恒常化すればこちらの影響も表面化しそうだが、一昨日から再度価格は戻り急となっており今回も何れ新値に切り返して来るのかどうかまたも目が離せない展開になって来た。