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HFT界再編

本日の日経紙金融経済面には「超高速取引 淘汰の波」と題して、HFT(金融商品を高速で売買するハイ・フリークエンシー・トレード)大手の米バーチュ・フィナンシャルが同業のKCGホールディングスを買収する事で合意した旨が載っていた。システム開発の負担等が重く収益性維持には再編が避けて通れなくなってきたという。

バーチュといえば上場申請目論見書にて1238日間で損失を出したのがたった1日だけだったと謳い、5年で勝率99.9%という運用成績と併せて顰蹙を買った経緯があるが、赤字に転落したKCGホールディングスのみならず同社も16年12月期は上場後初の減収減益に陥り純利益は2割減となっている。

冒頭のシステム開発負担もさることながら取引低迷も大きな要因になっている。NY証取の売買高は一週間前に今年2番目の低水準、ナスダックに至っては今年最低を記録するなど盛り上がりに乏しく、注文と並行し収益機会も減少しているのは逆風。地政学リスクが燻るなか様子見姿勢が継続されるようであれば再編の波にさらされた業界も安穏とはしていられない。


ターニングポイント

本日の日経紙地域総合面には「ふるさと納税戸惑う地方」と題して、今月あたまに総務省がふるさと納税における返礼割合や返礼にふさわしくない品目を細かく列挙した通知を出し過度な競争の自粛を求めた事に対し、自治体の中では見直す動きがある一方で個別制限に反発する声や通知に反し継続を検討する動きもある旨が出ていた。

直近で後者の継続検討とした自治体は個々の解釈での判断としているが、確かに一頃パチンコのような換金構図になっていたトコロや純金製品を用意しそれに著名トレーダーがすぐさま応じたところから注目を浴び早々に打ち切ったトコロもあったなか、継続表明の自治体のコンセプトを理解すればこれらとの相違性を感じなくもない。

この辺は外と内の立場から解釈も異なったものになってしまうものだが、現実問題としてここ数年特に「売り」を持たない自治体は税流出が顕著で、豊富にネタを擁しているところの格差拡大から死活問題になってきており、これを重く見た総務省の動きと並行し最近では媒体側も魅力的な食材群一辺倒から、TVでもよくネタにされているペットの殺処分ゼロや災害支援等の課題解決モノを取り上げる事が非常に多くなった。

個別制限の強化でふるさと納税も今後歯止めがかかって来るか否かだが、上記の通りお上と当事者各々の立場でその見解も相違してくるのはふるさと納税に限った事ではなく、総じて一括りで考えられないところは本当に難しい部分でもある。


インデックス運用の功罪

さて、先の日曜日の日経紙朝刊の一面を飾っていたのは「株指数運用市場を席巻」と題して、低コストで市場平均並みの成績を狙うのが効率的との見方が強まった傾向から本邦市場で投資信託の8割、年金運用の7割が株式市場で株価指数の構成銘柄を丸ごと買うインデックス運用が急速に広がっている記事であった。

これを先導するGPIFは日本株投資における運用比率を2001年度から倍増させているが、倍増といえば日銀によるETF買いもまた然り。異次元緩和策の一環として年6兆円分の購入を目標としているが、日経平均が下げに転じたホワイトデー以降から約1ヵ月で8,970億円分を購入し、その規模は昨年度の株式投信への純資金流入額の実に約7割に相当するほど。

この影響もあって地政学リスクが高まっている割に日経平均がまだ下げ足りないと感じている向きは多いと思う。またインデックスは指数に組み入れられていれば内容に問題があろうが割高だろうが、個別で見ればチキンレースの域でも自動的に買う玉石混合で健全な株価形成に影響が出る弊害も指摘されている。

他にもコーポレートガバナンスコードへの逆風を懸念する声もあるなど上記の件含めいろいろと出始めたが、斯様に最近はかつて予想もしなかった過ぎたるは猶及ばざるが如しのような偏重傾向が各所で表面化する時代になりそれらに対する課題が今後も彼方此方で議論されてこようか。


救済の壁

本日の日経紙一面には「東芝、主要事業を分社へ」と題し、経営再建中の東芝が稼ぎ頭の半導体メモリー事業を今年度内にも売却する為、今後の柱のインフラ事業をテコ入れするため分社に踏み切る旨がでていた。

東芝といえば昨日に開かれた経済産業省と米商務長官の会談において、米商務長官側が米WHの雇用継続に不安を表明すると共に半導体メモリー事業の売却計画に関しては中国への技術流出に懸念を示した旨も同紙に載っていたが、日本側としては必要な場合は外為法を活用して防ぐとの表明をしている。

予てから高度な技術を有する同社ノウハウや安保上の機密が流出する懸念から、売却先に注文が付く可能性は指摘されてきたが果たしてという感じ。同じ破綻懸念の憂き目に遭いながら今や蘇生しつつあるシャープの時を思い出すが生粋の本邦企業が挙って手を上げようものならまた違う展開になるものの、これまでこの手の事業で彼らが意欲的に食指を動かす事例は僅かで事務的に政府が関与するのが関の山な事が根本の問題なような気がする。


売り子

さて地政学リスクの高まりを背景に国際指標となるNY市場の金先物価格は3月上旬の直近安値に比べて1割高い水準となり、1トロイオンス1,290ドル台と昨年11月以来の1,300ドル台に迫り東京商品取引所の金先物価格も約1ヶ月ぶりに1グラム4,500円を上回る高値を付けるなど金の価格が国内外で一段と上昇している。

ところで金といえば、先週はまたも韓国から重さ3キロの金の延べ板を足の裏に粘着テープで貼り付けて密輸しようとした疑いで大阪市職員らを逮捕した旨の報があった。当欄で最後に金密輸について触れた今年1月の末尾で、今年もこの手の事件モノも折に触れ紙面を賑せる事になりそうであるとしたが先ずはという感じである。

昨年に福岡で6億円相当の金塊が盗まれた事件もこのうち約4億円分が事件後に換金されていた事が先月明らかにされているが、この件も個人情報を隠し換金するためにグループが法人間の取引を装い経営者側も事情を知りながら名義貸しをした疑いが出ている。また末端でも振り込め詐欺の「出し子」ならぬ、所有者に代わり金を売却する「売り子」などの存在等も出てきており当局はじめ危機感は一層増してきている。


新陳代謝の街

先週末の日経紙夕刊の一面を飾っていたのは「大人の銀ブラ 再び」と題して、日本を代表する商業エリアの銀座が相次ぐ商業施設の開業や改装で変貌を遂げつつある旨の記事であった。周知の通り直近では旧松坂屋跡地に銀座最大の商業施設を謳う「GINNZA SIX」の開業を今週は控えている。

前々から東急プラザに負けず劣らず話題になっていたこの銀座最大を謳う施設は、地下6階地上13階建てでその売り場面積は実に約4万7千平方メートル、出店内訳も241ブランドの半数121店は日本での旗艦店の位置付けをしており、初年度は売上高600億円、来館者2千万人を目指すという。

当欄で銀座に触れることになるのは昨年6月に東急プラザ銀座を取り上げた時以来となるが、こうした新商業施設が登場する一方では併せて書いたマキシム・ド・パリ銀座が入っていたソニービル銀座が先月末に51年の歴史に幕を閉じ、プランタン銀座も昨年末に32年の営業を終え社名をマロニエゲートに変更し再出発している。

今から9年ほど前の当欄では街の変遷と題して「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である」と書いた事があるが斯様に新陳代謝は継続している。20年の東京五輪も見据え、内外の観光客を呼び込むため今後も再開発やリニューアルは継続してゆくのは想像に難くないか。


イースター 2017

さて、明々後日の日曜日はキリストの復活を祝う春の祭日「イースター」である。例年エイプリールフールが終了すると各方面から届くDM関係はイースターに絡んだイベントや商品のモノが一気に増え、年々その数も増えつつある感がする。

百貨店・小売大手やTDRやUSJ等のテーマパークはいわずもがなだが、昨年の当欄で取り上げた卸中心のイメージが強かった仏ヴァローナも昨年は初のイースターエッグを売り出したのに続いて今年も限定商品を発売している。此処は有名パティシエによるイースターチョコアート展も主催しインスタ好きにはなかなかいい絵が撮れる穴場になりつつある。

各所の商戦を考察するに近年ハロウィーンからクリスマスまでの空白期を埋める商機の位置づけとしてボージョレヌーボーを担ぐ動きがみられるようになって来たが、これと同様にバレンタインデー・ひな祭り・ホワイトデーの流れからゴールデンウィークまでの空白期を埋める商機の重要イベントとして近年このイースターが位置付けられているのは想像に難くないか。


意見不表明

さて、これまで監査法人からの承認を得られず2度にわたり昨年4月から12月までの決算発表を延期してきた東芝だが、周知の通り昨日は監査法人から承認を得ないまま「意見不表明」として決算の発表に踏み切った。上場企業決算は監査法人承認によって信頼性が保たれている為、承認を得ず発表するのは極めて異例のこと。

今回は監査法人への不信感からまた延期してもいつ合意出来るのかわからず、前例のない3度目の決算発表延期要請となれば上場廃止の懸念も強まる事で監査法人の適正のお墨付き無しで発表に踏み切る事を決めた背景があるが、東証関係者は「夏休みの宿題を白紙で出すようなものだ」と厳しく批判、特設注意下で暗雲漂う。

ところで東芝株といえば先月にはシンガポールの投資ファンドであるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、発行済み株式の8.14%を取得し筆頭株主に浮上した事が関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになっているが、今月に入って先週末にはこの投資ファンドが同社株を追加取得した事も明らかになっている。

ディフェンシブポストの雄だった東電からシャープまで近年は東証一部の名門企業でも破綻懸念に晒される事例が多くなったが、これから本決算発表に加え資金繰りから事業売却等々超えなければならない壁が数多控えるなか、政府や銀行団から投資ファンドまでそれぞれの思惑を乗せどういったランディングになるのか注目が怠れない。


電子化の波

さて今月のあたまには臨時株主総会について少し触れたが、株主総会といえば先週末の日経紙には「株主総会 電子化じわり」と題して、東証一部企業の半数近くがインターネット経由で議決権を行使できる仕組みを導入、これによって行使率が前年から増えてきた企業もある旨が書いてあった。

電子投票は一昨年のコーポレートガバナンス導入によって加速してきたが、株式関係の電子化といえば8年前からスタートした株券電子化の時は一寸した衝撃であった。これによって破綻株券コレクターや街金の一部業務等々には支障が生じるハメになったが、一般的ではそれらを凌ぐ紛失・盗難からの解放、発行体側もコストや作業軽減等々になったのはいわずもがなである。

今となってはこの一昔前の株券電子化も随分と前の出来事にも感じてしまうが、今後は斯様に電子化もこの議決権だけではなくインターネットによる招集通知の発送などにも広がりそうで、今後も株主・企業双方の負担軽減を目指して電子化が加速してゆくのは想像に難くないか。


短期志向

週明け本日の日経平均は円高ドル安の一服を手掛かりに買戻しの動きから続伸となったが、先週は米軍がシリアに対してミサイル攻撃をし、各地ではテロめいた事件が起きるなど地政学リスク等の台頭から為替市場ではリスク回避の円買いが進行、株式市場からは資金が流出し投資家の目は安全資産とされる先進国債券や金に向かった。

為替は110円台まで急伸し日経平均は急反発の動きから値を消し一転してマイナス圏に沈む事となったが、オプション市場ではプットの総売買高が昨年の米大統領選の波乱があった昨年11月中旬以来5ヶ月ぶりの高水準となり、PCRも1.30倍と1年半ぶりの大きさだった3月9日の1.31倍水準に並ぶなどまたぞろ下落リスクへの備えの動きが出て来た。

生保等の手当てが目立った180プットなど本日は日経平均反発でプレミアムが先週末の半値以下の水準まで売られていたが、個人物色の活発なETF市場でも先週末の日経レバの商いが膨らみ売買代金は今年最大になった旨も日経紙に出ていた。

上記のデリバティブなど機関投資家のヘッジの用以外にも前後場で倍化する機会の増えてきた近年では個人が一発狙いの単発でエントリーするケースも多くなり、またETFもレバ型の商品多様化から個人の選択肢が飛躍的に増えている。出来高の爆発的な増加で先物等への波及効果も善し悪しだが、個別の回転日数低下と併せ総じての短期志向は先行き不透明感の高まりを如実に表している。


出足順調

さて、ちょうど一週間前の先月30日には「スシローグローバルHD」が再上場を果たした。このスシロー、知名度もあり8年ぶりの再上場という事でそこそこの注目度であったが、蓋を開けてみれば約200万株の売り気配でスタートしその初値は公開価格の3,600円を4.7%下回る3,430円と冴えないスタートとなった。

公開規模が760億円と大きく、そもそも公開価格も仮条件下限で決まっていた事や同じ日に上場した旬なAI関連の「ユーザーローカル」の人気に資金が流れた事も影響した感は否めないか。とはいえ今年公開価格を下回ったモノは同社と「マクロミル」の2社のみで、他は同じく上記のユーザーローカルや「ほぼ日」等25社が大きく公開価格を上回っている。

斯様に今年のIPOの出足は順調で、日経紙によれば1〜3月に上場した企業数は前年同期から約2割増の27社と07年の43社以来の多さという。当欄では約ひと月ほど前にIPO企業の業種の多彩化を書いたが、これらを映してか過去1年間に上場した銘柄の値動きを示すQUICK IPOインデックスも約10年ぶりの高水準で推移、今後のIPOと併せ上場ゴールが死語になってゆくか否かその推移が注目される。


東西の雄

さて、本日からオリエンタルランドでは運営する東京ディズニーランドの大規模な改装に乗り出している。この大規模再開発では映画「美女と野獣」や「ベイマックス」をテーマとする大型施設や新アトラクション、ミニーのグリーティング施設等を整備し2020年春のオープンを予定しているという。

ところでテーマパークといえば今週初めにはこの東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンの東西2大テーマパークが昨年の入園者数を発表しているが、TDRが前年度比0.6%減の3千万4千人と2年連続減少となった一方でUSJは同約5%増の1,460万人と3年連続で過去最高を更新と対照的な結果となった。

TDRは天候事情にも左右されただろうが、さすがにライブや限定アトラクションを矢継ぎ早に打ち出すUSJを横目に些かのマンネリ感は否めなくなってきたか。目先では昨日から新キャラも投入したイースターイベントが始まっているが、やはり開業以来最大規模といわれる投資額750億円という今回の改装はTDSの180億と併せ大いに注目されるところ。