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白と黒のダイヤモンド

さて、一週間ほど前の日経紙・春秋には密漁で大きな利益が上がる事から、ナマコは「黒いダイヤ」、ウナギの稚魚のシラスは「白いダイヤ」と呼ばれている旨が書いてあったが、同じ食材でもこの時期「黒いダイヤ」といえばやはり世界三大珍味の一つトリュフだろうか?ちなみに旬の短い白は勿論「白いダイヤ」である。

菌茸類といえばこの時期彼方此方の店頭では松茸が誇らしげに鎮座している光景を多く目にするようになり、最近ではカナダ産やブータン産が出てきて国産より随分と安価で流通するようになったが、これらよろしくこのトリュフも一部安価な中国産等が台頭するも松茸と共に人工栽培はほぼ不可能とされる。

ところでかつては人工栽培が不可能なキノコとされた舞茸は、雪国まいたけの創設者による技術確立でこれが可能になったとされている。斯様に長年培ってきたお家芸の技術で今後は松茸やトリュフ等もしかしたらとの期待もかかるが、余談ながらそんな会社も内紛のゴタゴタを経て昨年には米投資ファンドの手に渡り市場からは姿を消している。昨日記の通り、さが美を巡る投資ファンド争奪戦に終止符が打たれた事でふとこんな事を思い出してしまった次第だ。


フィンテックとかTOBとか

本日の日経紙一面には「通貨と同じ位置づけに」と題して、財務省と金融庁がビットコイン等の仮想通貨を買う時にかかる消費税を2017年春をメドになくす調整に入り、仮想通貨をモノやサービスだけでなく支払い手段として明確に位置づけるという旨が書かれていた。

この報道によって本日の冴えない日経平均の中でもロックオンの急伸を始めとして、セレスやGMOメディア等の仮想通貨・フィンテック関連銘柄が再度動意づく展開となっていたが、5月の仮想通貨取引所を登録制とする改正資金決済法が成立しメガバンクも活路を模索し始めている動きのなか利用者増加へ一段と弾みがついてくるか注目。

一方でズルズルと本日も続落し値下がりランキングに入ってきたモノにさが美があったが、これは争奪戦の結果が結局当初のアスパラントグループに落ち着いた事によるもの。二度のTOB価格引き上げも最後は「拒否理由に同意できないが、しかたがない」とニューホライズンもあっけない幕引きであったが今回も内輪の論理優先だったのかどうか気になるところ。


低倍率恒常化

連休明けの日経平均は原油先物上昇を好感し約1ヵ月ぶりに17,000円大台を回復、ショートしている向きは一寸分が悪くなってきたが、先週末の日経紙マーケット面では「貸借倍率4年ぶり低水準」と題し7日時点の貸借倍率が1.04倍と約4年ぶりの低水準となった旨が出ていた。周知の通り貸借倍率はマル信を利用する個人の心理の動向を示す指標の一つであるが、こうした低下傾向がこのところ恒常的になってきている。

ところでこうした低倍率といえば、先の権利付き売買日最終に逆日歩の付く銘柄は646銘柄と2009年47月2日の652銘柄以来およそ7年6ヶ月ぶりの高水準となったが、いまだにやる向きがあるマル信のクロス商いで権利落ち後をしのぐ動きから貸し株が不足したと思われるが、これを跨いで月替り後もなお高水準なのは3月期末の時に見られた光景と同様でもある。

こうした傾向の背景には米大統領選挙や利上げを巡る思惑など外部要因が絡み相場の先行きに対する不透明感が色濃く表れているというのがあるが、もう一つ日銀によるETF買いによって相場が高止まりし個別もなかなかケツ入れの機会を逸しているという内部要因も指摘されており、今後日歩の変化等見ながら一旦解れる場面があるのか否か注目してゆきたい。


池坊2016

ハロウィーンが近いのでこのところ彼方此方でカボチャの出現率が高くなっているが、過日観てきた「池坊展」でも皐月展と時期も違うという事でハロウィンチックな作品も多く見られた。同展はここ暫くご無沙汰していたので一寸久し振りであったものの、「新風のきざし」をテーマに約450名の作品は何れも圧巻であった。

東京都美術館でやっていた頃に見たアンスリウムやストレリチアなどに竹や椿を組合せた斬新さに感動したものだったが、今回も上記アンスリウムにせいばんもろこしや満天星つつじを合せたりとこの辺の技は相変わらず。斬新といえば飲料ボトルに挿した花をフィルムで包んだモノが前回見られたが、これまた今年も国旗プレートやエンゼルヘアを花に絡ませたモノもありこの辺の創造は止まる事が無い。

また、花の種類も生け花では想像もつかないエアープランツを用いたり、通常は葉を多用するところで花の方はなかなか見ないオクロレウカ、これまたなかなか目にする事が無いブラックキャットなど珍しい花が見られるのも楽しい。ところで家元クラスの大作は毎度の事ながら感動ものだが、学生コーナーに見られた小学生の作品も立派なモノ多数で将来が本当に楽しみというものである。


オートファジー

周知の通り2016年度のノーベル生理学・医学賞は、生物が細胞内で不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」の仕組みを解明した、東京工業大学の大隅栄誉教授に贈られる事が発表されている。この仕組みで新たな創薬の道が開かれる期待が掛かるが、日本のノーベル賞受賞は3年連続で計25人目という快挙であった。

毎年恒例行事ということで今一つ方向感が出ないマーケットにおいてこの手は恰好の材料になるワケで特にバイオ系はお約束ともいえる急騰、本日は一服したが先月後半から先取りで賑わっていたコスモ・バイオが昨日はストップ高比例配分、また医学生物研究も同様にストップ高比例配分と急騰、タカラバイオもザラバ急騰して年初来高値更新となっていた。

今年の風景を見ると昨年のパターンと重なる部分も多いが、今年も次の文学賞など今度こそ?の期待を織り込んで丸善HDの出来高が膨らんだり文教堂グループHDも年初来高値を取ってきている。ノーベル賞相場は一過性と揶揄されるのも恒例ながら意外に二番煎じも効き、一種のお祭り感覚で参加する向きは絶えない。


Kai-X設立

昨日は東商取を少し取り上げたが、取引所といえば本日の日経紙投資情報面には「超高速取引を排除」と題して、PTS(私設取引システム)を運営するチャイエックス・ジャパンが今月17日から主に機関投資家向けに東証と比べ売買スピードを意図的に遅らせるHFTを実質的に排除する仕組みを設けた新たな株式取引市場を設立する旨が出ていた。

この手で思い浮かぶものに既に米国では既に3年前から取引をスタートしている同じ私設取引所のIEXがあるが、今年6月には公式な取引所としてSEC(米証券取引委員会)に認可されている。ちなみに同所は受注から売買までの時間を350マイクロ秒遅らせているが、もともと超高速取引に対して疑問を呈していたCEOはこれを対抗手段として売り込んできた経緯があった。

HFTなど超高速取引に関してはこれまで幾度となく当欄でも触れてきたが、これらがリクイディティー提供に重要な役割を担っている一方で、米バーチュフィナンシャルに見られたような一般との機会不平等も混在する。この手の創設によって棲み分けが出てくるかどうかだが、何れにしろ東証を経由しない取引が何所まで普及するか今後に注目か。


ETN呼び水

週明け本日の日経平均はドイツ銀行を巡る金融不安が和らいだ事から反発となったが、売買代金は東証一部で1兆6,000億円程度と低調で依然として小型が舞う展開となっている。そんな中でコモディティー系のETFやETNも高値引けとなるモノがあるなど堅調なモノも目立った。

この手といえば週末29日の東京市場では、東京商品取引所で取引されるドバイ原油先物の2倍の値動きをする「NEXT NOTES 日経・TOCOM・ 原油ダブル・ブル ETN」の売買代金は58億円と前日の約3倍に増加し約5ヶ月ぶりの高水準に膨らんだ。米原油先物に連動する「WTI原油価格連動型上場投信」も売買代金が3倍に膨らむなど原油連動の売買が大賑わいとなった。

この辺はOPECが減産で合意したのを受けての事で、2008年以来約8年ぶりという事から個人等の利幅狙いが活発化したのだろうが、しかし東商取にとってこの手のETNやETFの組成はまさに救世主となった格好か。言うまでも無いが商品の設計上まさに東商取への間接効果は絶大、先月から「J-GATE」も稼働しアジア指標確立まで視野に入れる東商取としてはこれをテコに幅広い参加会社の誘致など課題だろうか。


システム変更に伴う内容・ポイント修正

2016年9月20日(火)付で東京商品取引所(TOCOM)が新システムに入れ替わったことに伴い、各社の注文関連の内容を更新しました。また金オプション開始に伴う修正も同時に行っております。それに併せて「評価ポイントテーブル」を微修正、トータル189ポイント(前回より1pt減)となっています。

▼商品先物ネット取引/一目瞭然:評価ポイントテーブル(10/1改定)

1.取扱銘柄>金オプション
2.注文関連>東商取・執行条件等

またその他の修正・内容確認は、11月実施のネット取引データアンケート調査の際に確認・更新を行う予定です。

どうぞよろしくお願いします。


CG導入後のTOB合戦

さて、今週はシルバーウィークからほぼ往って来いと冴えない株式市場であったが、そんな中を気を吐いていたのはやはり旧ユニー系の呉服屋「さが美」だっただろうか。週明けから二日連続でストップ高を演じ、わずか三営業日でその株価は2倍に化けるなど破竹の勢いであった。

この背景には周知の通り来月に投資ファンドのアスパラングループの傘下入りで合意していたところを、別の投資ファンドであるニューホライズンキャピタルがアスパラントのTOBを上回る価格の他、貸出債権買い取りや第三者割当増資にも幅を持たせた買収申し入れをした事に因るもの。

過去こんなケースで株価が乱高下した例では、かつてジャスダックに上場していた「幻冬舎」のMBOにおけるイザベルリミテッドの登場や、かつて東証一部に上場していた「アコーディア・ゴルフ」のTOBにおけるPGMホールディングスの登場等々の記憶があるが、結果的には何れも不発に終わっている。

ただこれらの騒動から時を経て昨年にはコーポレートガバナンスコード適用が始動しており、買収事案もより開かれた場になる事への期待も大きいのは個人もファンドも一緒である。そういった意味では今回のさが美の案件も駆け込み感が強いとはいえ、その行方が今後の参考として注目されるところになるか。


再上場機運

9月末配当権利落ちの本日の日経平均は、円高進行に対する警戒感が燻るなか終始マイナス圏で推移し反落となったが、IOP組は破竹の勢いで昨日値付かずであったチェンジが公開価格の2.5倍で初値形成、またシルバーエッグ・テクノロジーは公開価格の2.9倍で初値形成のあとストップ高に張り付いての引けとなっていた。

ところでIPOといえば、先週末にはテーマ・パークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する「ユー・エス・ジェイ」が東京証券取引所に株式の再上場を検討している事が報じられている。ご存知此処はかつてマザーズに上場していたが、業績不振から09年にゴールドマンサックスの公開買い付けを経て上場廃止になっていた経緯がある。

今やハリー・ポッターをテーマにした新エリア大人気の追い風もあって機と睨んだのだろうが、投資マネーもまた世界的な低金利下の運用難からファンドに集まり易くなっている。ユー・エス・ジェイと同じパターンでは「あきんどスシロー」等もあるが、こちらも再上場を狙っており後半から来年に掛けてはこの手の再上場組も注目を集めそうだ。


共同J-GATE

東京商品取引所が、今年7月に導入したJPX(日本取引所グループ)の「J-GATE」を共同利用する新システムに移行してから1週間が経った。東商取はこれによって取引時間の拡大や金オプションも刷新し注文の処理速度も従来と比べて向上、高速売買を手掛ける海外のプロップハウスなどの誘致を視野に入れるとしている。

ちなみに初日の金オプション取引では売買がコールで65枚、プットで46枚と合計111枚の取引があった模様だったが、実に約9年ぶりの取引成立であった。とはいうもののご祝儀商い
の初日以降の商いがポイントになってくるのは言うまでもない。7月に始まった金現物も初日こそ14枚の商いがあったが8月以降はピンにとどまるケースが目立つと過日の日経紙にもあった。

一方で稼働から1年を迎えた「東京ゴールドスポット100」などは既に先物標準と肩を並べる水準まで伸びてきている。この新システム導入で始まった東証マザーズ先物も上場4日目以降は出来高が1,000枚の大台を上回る日がなかなか無いのが続いているが、この辺などとも併せ今後の普及の推移等を注視しておきたい。


ハイブランドの陰り

さて今月始めに「リシュモン先行」とし、カルティエがここ数カ月の為替変動を鑑みて平均で約10%の値下げに踏み切った旨を当欄で書いたが、これに続いて中旬からは先に終了したTBS系「せいせいするほど、愛してる」の舞台にもなったティファニーも約7年ぶりとなる値下げを行い、それから数日後にはボッテ・ガヴェネタも一部商品の価格引き下げに踏み切っている。

ところで、上記のティファーが約7年ぶりの値下げに踏み切った14日の欧州市場では、リシュモンの株価が8月迄5か月間の売上が13%減少との発表から3.9%の下落を見せ、同業のスウォッチ・グループまで連れ安となっていた。また、来年以降は年間売り上げ成長見通しを発表しないとした事を嫌気し、エルメスの株価も8.8%の大幅安をこの日は演じている。

エルメスの決定はリシュモンよろしくビジネス環境の先行き不透明感の裏返しともいえるが、来月もモンブランが平均で7〜8%の値下げを予定し、ヴァシュロン・コンスタンタンも値下げの予定など高級ブランドの値下げはまだ続く模様。インバウンド需要一服で国内高額消費にも陰りが見える中での相次ぐ値下げは決して円高のみが理由というワケではなさそうで各ブランドの匙加減が注目されよう。