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鉄火場通貨

本日の日経紙金融経済面には「ビットコイン3000ドル突破」と題して、短期間に大台を次々と塗り替えはや3000ドルを超えて来たビットコインなど仮想通貨に投資する米ブライアン・ケリー・キャピタル・マネジメント創業者と、英グローバル・アドバイザーズ最高投資責任者の二氏のインタビューが載っていた。

直近の当欄で仮想通貨を取り上げたのが先月末であったが、ビットコインなど取り上げる度にその大台が変わっているからまさに投機熱も破竹の勢いで、ブライアン・ケリー氏は文中で金を買っている5%の資金が流れ込むと24,000ドルまで上昇すると大胆な予測を述べている。

ちなみに他の通貨も先月末の当欄では時価総額2位のイーサリアムの急騰も取り上げたが、時価総額3位のリップルも3月には1円もしなかったものが、約2か月後には約45円まで急騰と実に50倍近くにも大化けしているのを見るに大胆予測も大胆には感じなくなってくるある一種の麻痺感のようなものがある。

他の金融商品等と違って投資尺度も無いだけに上記のような予測もどう捉えてよいのかわからないが、高的中率をマークしている感情値から将来の出来事を予測するプログラム「ウェブボット」の最新リポートでも来年2月には13,800ドルという予測を出している。果たして来年のその時期に何ドルになっているだろうか。


株先30周年

先週末の日経紙マーケット面には、日本で株先物市場が創設されてから9日でちょうど30周年を迎えた旨が載っていた。大阪取引所の前身である大阪証券取引所が1987年6月に日経平均株価と連動し易い「株先50」を導入、翌年9月に登場した日経平均先物がその後の牽引役となりはや30年である。

昨年の日経平均先物の売買高は2076万枚で創設当時の88年から14倍の規模に膨らんだというから飛躍的な伸びだが、思えば実施当初の口座開設制限等の壁は高く当時は街金の取次紛いが一寸した流行りの時期もあったものの、ネット証券の台頭等からこれが各段に低くなったのもこうした伸びに一役買ってきたのは想像に難くない。

斯様にラージと共にミニも相場急変時などヘッジニーズの高さから個人投資家の取り込み等で大きく伸びたとはいえ、デリバティブ全体としては当欄で4月に「デリバティブ市場混戦模様」と題し書いたように売買高ランキングは17位にとどまっている。引き続き世界標準を見据えて監督官庁の壁を見直し、悲願の総合取引所実現が焦眉の急だろうか。


統治の意義

さて、今年も多くの企業から定時株主総会案内やら議決権行使書が届く時期になったが、この株主総会も来週以降本格化してくる。株主総会といえば今年からは特に資産運用会社が議案賛否を個別開示し、その提案に厳しく臨むものとみられコーポレートガバナンスの質向上が一段と問われる。

資産運用会社といえばおおかた金融大手のグループという事になるが、これまで系列の投資先企業の議案賛否に対し今すっかり流行りになった所謂「忖度」があるのではとの疑念が付き纏っていたものだが、上記の個別開示でこの辺の透明性はグンと高まるということになる。

個別では予てより多くに議論されてきたものに複数の社外取締役選任があるがこれまで容認してきた基準を厳格化したり、また買収防衛策などにも反対意見が増えるなどこれまで以上に厳密に精査する姿勢が。6月以降の総会分については11月末迄に個別開示する必要があるが、いずれにしても株主と企業の対話がどう変貌し高水準な統治を目指す契機となるのか注目される。


TOCOMリアルトレードコンテスト応援企画実施

北辰物産は、東京商品取引所が6/19より実施する「第1回TOCOMリアルトレードコンテスト」に取引会社として参加することに伴い、このコンテストに参加するトレーダーを応援する目的で「TOCOMリアルトレードコンテスト応援企画」を実施へ。

▼「TOCOMリアルトレードコンテスト応援企画」実施のお知らせ

具体的には、北辰物産からTOCOMトレードコンテストにエントリーし、TOCOMから認定された入賞者10名様に現金をプレゼント。


商品先物ネット取引徹底比較からランキングまで


どうなる出口

本日の日経平均は1ドル109円台前半まで進んだ円高・ドル安を嫌気し売りが先行して寄り付いたが下値では日銀によるETF購入への期待が相場の支えとなりプラス圏に浮上して引けた。斯様に下値では日銀ETF購入思惑が台頭するのが最近では定着し、この辺も下方硬直性に一役買っている。

事実、一昨日の日経紙には日銀によるETF買い入れ拡大が加速している旨が載っており、今年の3月末時点でその保有額は1年前と比べ1.8倍の15兆9,303億円に達している模様だ。拡大した買い入れ枠でこれを継続すればあと2年ほどで保有額は30兆円に達するという試算だが、依然として歪な株価形成そして「出口」を巡っての否定的な意見も喧しい。

今月あたまの日経産業紙のコラムでもETF購入など即刻止めるべきと書いてあったが、そのかわりに運用に自信のある一任勘定会社や投信会社を公募し競争運用させ2年目以降は累積成績で運用資金配分額に差を付けるというアイデアを提案していた。実現性は兎も角も成る程一理ある意見だが、米のようなイグジットに持ってゆけるかどうかまさに道中なだけに未知数である。


密輸多様化

昨日の「GOLDNEWS」には在香港日本国総領事館が金の密輸に係る注意喚起を発出した旨が出ていたが、相変わらず金密輸のニュースが絶えない。今月に入って直ぐには韓国から金塊計30キロを密輸入し関税・消費税法違反容疑で韓国籍の主婦らが愛知県警に逮捕され、その前日には佐賀の漁港で金塊とみられる260キロの陸揚げで8人が関税法違反容疑で逮捕されている。

これまで金塊密輸事件といえば大抵が空輸モノで、この辺は昨年6月までの1年間で摘発された金塊密輸事件294件のうち約98%にあたる287件が航空機を使っていた事で裏付けられるが、この佐賀の事件のように海路を使ったケースは少なく記憶に新しいところでは昨年末にクルーズ船で15キロを密輸しようとした石垣港の事件、あとは一昨年のフェリーで20キロを密輸しようとした下関の事件くらいか。

それは兎も角もこれらいずれも密輸量は15〜20キロ程度だが、直近のモノは260キロとこれまでの10倍以上と桁違いの規模であり、また共に冒頭に挙げた主婦の件にしてもちょっとした小銭稼ぎの軽い動機と、当欄で前回取り上げた「売り子」の如くの風潮で犯罪意識希薄化の台頭も懸念されるところである。


新陳代謝の構図

さて、先週金曜の日経紙一面には「世界の株、時価総額最高」と題し、5月末の世界株の時価総額が76兆ドルとなり、2年ぶりに最高を更新した旨が載っていた。かつての時価総額上位企業であった銀行や資源の顔ぶれは一変し、その牽引役となっているのは米アップルや米アマゾン等のIT企業という。

米アマゾンといえばつい先週には初の株価1,000ドル突破を達成していたが、1997年に上場してから20年で分割等も考慮したその株価は実に約500倍となるなど大化けを果たしている。時価総額もトヨタの3倍近くに膨らんでいるが、日本はそのトヨタが時価総額1位である。

先週末に漸く2万円の大台を回復してきた日経平均だが、上記のトヨタは年初比でマイナスのままで、IT分野で牽引する企業の不在で指数は一桁の上昇率とその出遅れ感は否めないところ。斯様に米市場と相違する環境下でこのトヨタ等のコア系の動意薄は長期資金の流入不足も意味しており、この辺の構図の変化が今後の持続性と絡め焦点となってくるか。


6/19-8/31で「第1回TOCOMリアルトレードコンテスト」開催

東京商品取引所は、商品先物市場における取引の活性化、商品先物市場への参入促進等を目的として、2017年6月16日から8月31日まで「第1回 TOCOMリアルトレードコンテスト」を開催。

▼TOCOMリアルトレードコンテスト公式サイト



これは取引所が開催するリアルトレードコンテストとしては日本で初めての試みとなります。

リアルトレードコンテストの成績優秀者には賞品として金貨を贈呈するほか、TOCOMが開催するセミナー等において講師としてトレード手法についてお話しいただく機会も設ける予定。

詳細については公式WEBサイトで。


【6/7時点のリアルトレードコンテスト参加企業】
北辰物産、コムテックス、フジトミ、岡安商事、サンワード貿易、フジフューチャーズ、岡地、日産証券、岡藤商事、フィリップ証券

※口座開設をご希望の場合は、各運用会社にお問い合わせください

池坊2017

さて、今週初めまで開催されていた「池坊展」を今年も観て来た。「花の力」をテーマに約500点の作品の数々は昨年同様にいずれも斬新であったが、今年はなんといっても映画「花戦さ」の公開記念という事で、映画で描かれた様々な生け花のシーンなど実際に撮影で使われたものが展示されるというから見逃せない。

今回は経済界の華道人として上場企業役員の作品等も展示されていたが、いつもながら華督クラスはシンプルな花材構成なものの立体的な竹にクレマチスのアレンジや、アンスリウムにエンゼルヘアーを羽織らせたもの、また松にエキゾチックなストレチア、鴨立沢にカラー等々和物に絡ませるその縦横無尽なセンスと技には本当に毎回脱帽である。

そして今回の目玉、花戦さの世界展であるが果たしてそれらの数々は当に溜息もの、そしてやはり織田信長の所望で岐阜城大座敷に活けられたという見事な昇竜松を主体にした雄大な大砂物は圧巻であった。昔は「読んでから見るか、見てから読むか」というコピーがあったが、見る前に観る事の出来た貴重な体験であった。


司法とSESC

昨日の日経紙夕刊には「処分取り消し訴訟増加」と題してインサイダー取引等で行政処分を受けた個人や企業が処分取り消しを求めて裁判に訴えるケースが増えている旨が書かれていた。

インサイダー取引での金融庁の課徴金納付命令取り消しといえば記憶に新しいのが、昨年の東電のファイナンス情報を野村の担当者から得たのを基に空売りを行ったとの疑いがかけられた金融コンサルの女性の一件か。司法の場での初の取り消しケースとなったが、この一件で懲戒解雇された野村の社員もまた東京地裁は解雇無効の判決を出している。

課徴金は少額であったもののこれ以降も事実認定に異論を唱える向きが多数出てきており、証券取引等監視委員会はこうした動きに対応する為に昨年末に「訟務室」を設置したようだが、確かにデータ一辺倒に対抗すべく海千山千の投資家ほど意欲的に訴訟に臨むのは想像に難くなくこうした輩と対等に渡り合えるマンパワーの確保こそ今後は課題になって来るであろうか。


仮想通貨元年

先週末に「無国籍の8才」と題し当欄ではビットコインを取り上げたばかりだが、本日の日経紙総合面にも「ビットコイン危うい急騰」と題し、仮想通貨群の値上がりがここ継続し代表とされるビットコインに至っては金の最高値を抜いて先週25日には年初の3倍となる1ビットコイン=2,700ドル台まで上昇した旨が載っていた。

結局この週は15%高、3月末以降で見ると実に110%の上昇と破竹の勢いであったが、昨年末頃にビットコインについて触れた際には中国勢のリスク回避の動きで活況であった旨を書いていたものの、規制によってこれらが下火になったのに取って代わり新年度から仮想通貨を決済手段と認定する改正資金決済法が施行された事も背景に本邦勢が現在の盛り上げに一役買っている。

とはいえマーケットとしてパイは約10兆円程度と小さいだけにビットコインに次ぐイーサリアムなど他の仮想通貨の化け方も尋常ではない。当然高値警戒局面では急落場面もありそれがまた投機熱を煽るというものだが、投資尺度も無く個人も全てがマイニング等に精通しているワケでもない黎明期だけに便乗するブラックビジネスにも各々充分な注意が必要だ。