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SSとCGの形骸化

さて、先週末の日経紙社説には「型より実質が問われる東芝の統治改革」と題して、会計不祥事を起こした東芝がコーポレートガバナンス等の改善状況を東証に報告した旨が載っていた。おもえば2014年のスチュワードシップコードに続きコーポレートガバナンスコードも適用され1年以上が経過、今や多くの企業がコードの諸原則順守を心掛けている。

この二つのコード始動と時を同じくして暫く鳴りを潜めていた村上ファンドなどが久し振りに再活動をみせたのも記憶に新しいが、肝心の企業側が何所もこれを掲げIRに勤しんでいるもののそれらの順守に関する説明が当初から比べると横並びになってきている点は否めない感がする。

冒頭の東芝なども文中にあった通り、いち早く社外取締役が経営監視する体制に移行するなど統治改革の先頭集団を走る会社として市場から評価を得ていたものの、結果は粉飾発覚から特設注意市場ポストに入れられ一年以上経った今も出られぬ憂き目に遭っている。斯様に形骸化が目立つ昨今だが、一方で株価など正直にそれらを映す部分もありもう一度原点回帰で張りぼて構図の再考も求められようか。


ざる法ファンド

さて、本日発売の「週刊新潮」ではクエストキャピタルマネージメントなる都内の投資コンサルタント会社が、運用実態のないファンドに計113億円超の出資をさせていたとして運営会社社長らが逮捕された事件において、騙された向きに格付けチェック連勝記録の有名芸能人やジャスダック上場企業まで嵌められていた事が書かれていた。

証券取引等監視委員会によれば、同ファンドはいずれも適格機関投資家からの出資を受けておらず、当該取得勧誘は金商法に規定する特例業務要件を充足していないとされている。もともとベンチャー企業等への投資を活性化する狙いで金商法施行と同時に導入されるも、通常と異なり届け出だけで運用できるために問題業者等の割合が増加してきた経緯がある。

この辺を鑑み改正金商法では投資被害を防ぐ為に個人出資には1億円以上の金融資産を持つ事などを条件にしていたが、これが逆に災い上記のような客層も嵌められたという構図か。定期的に事件化し一向に無くならないこの手の案件だが、それもそのはず昨年金融庁に届け出のあったモノのうち問題業者と思われるモノは20%を超えるという。ざる法にならぬよう法整備は焦眉の急か。


取り敢えずプット

本日の日経紙マーケット面には「株 売る権利 取引活発」と題して重要日程を前に長期金利や為替の動きが不安定になり、株式市場では15,500円Pの売買高が今週に入って1日あたり平均で2,493枚と前週のほぼ2倍に膨らむなど株価の下落に備える動きが強まっている旨が載っていた。

ここではプットとコールの総建玉から算出したPCR(プット・コール・レシオ)が昨日は1.21と、4月以来約5ヶ月ぶりの弱気水準となった旨が出ていたが、週末の米VIX指数も前日比40%近い急騰を演じ週明けの日経VIも前日比17%超の上昇と6月のブレグジットの時以来の久し振りの動意のような気もする。

思えばこの時のオプション市場もディープアウトの11,000Pから13,000Pあたりまで何れもプットが寄りから10倍化を示現するなどしていた事で、この辺の覚えから需要も増してきたのだろうが、セルボラ一辺倒からこうした獲りに行くような内部のザワつきがしばしばみられるようになったのはやはり確証感の無い不安の裏返しなのか。


金連動

本日の日経紙商品面には「金の価格下落に備え」と題して、ニューヨーク市場で金相場が1,300ドルに下がると見込んで取引する10月物のプットオプションの持ち高が、前週末時点で7,886枚と1週間前より1,000枚近く増えるなど短期的な価格下落に備える動きが強まってきている旨が載っていた。

この背景には米の早期利上げ観測が再燃し金利を生まない資産である金の先安観が意識されているが、金を産出する鉱山会社のヘッジ目的の買いもあるという。先月あたりはこの金と円の連動性が強まっていたとの指摘もあったが、最近ではこの上値の重さに同じ貴金属のプラチナも連動しているとの指摘がある。

プラチナといえば工業需要が多いイメージだが先月「都市鉱山メダル」のタイトルで書いたように近年では未回収スクラップからの抽出技術も日進月歩で、金と共になかなか品薄感を煽る局面も見掛けなくなった。金に対して下鞘定着が久しいが恒例のストも一昨日がピークの感もあり上記と併せ暫くは下鞘恒常化が継続されるか。


ワールドウォッチ2016

さて、今年の三越ワールドウォッチフェアが終了して二週間が経つが、部屋の片隅にあった同展のカタログを見つけあらためてパラパラと捲った。今年も50ブランド3000点と謳っていたものの、訪れたのが平日という事も関係していたのかはたまた円高に伴う訪日客消費の低迷もあったのか心なしか会場は閑散としていた感があった。

とはいえ、今年もバックス&ストラウスの億の桁が並ぶ世界一点モノの「ピカデリープリンセスロイヤルエメラルドグリーン」などお約束の目の保養は健在であった。このシリーズでは今から2年前の同フェアで観た「ピカデリープリンセスロイヤルカラー」が記憶に新しいが、ロイヤルカラーが緑一色になるのもまた圧巻であった。

ところで先にハイブランドの値下げで取り上げたカルティエなども中心にブースを構えていたが、此処はリシュモンの利益の三分の二を稼ぎ出すものの、宝飾部門とは対照的に腕時計部門は不振という。その依存性から上記の爆買い低迷も主因だろうが、ブラッシュアップ以外にも円高による値下げで消費者呼び込みの契機を探るといったところか。


顧客プレス

さて、今週初めの日経MJ紙一面には「日々しまパト、チープ楽しむ」と題して、しまむらの店舗を定期的に巡り、高級ブランド品などによく似た安い商品を探し出しインスタ等にアップする女性などの様子が取り上げられていた。

ここではルイ・ヴィトンのヴェルニ風を始めとして、エルメスのバーキン風バッグ等ハイブランド系が挙げられていたが、この手もかつてダイアンファステンバーグのラップドレスやルブタンの偽物騒動全盛の頃を思えば今はフランク・ミューラーまで知財高裁で跳ねられるなど随分と緩くなってきたように感じる。

同紙には意匠権が切れた名作家具などの形状をまねて復刻したジェネリック家具の事も載っていたが、しまむらといえば「シマラー」なる造語がかつてあったものの、こうした類とこの「しまパト」は可也ニュアンスが違う感じ。コスパ世代が勝手にプレスしてくれるいい時代になったともいえるが、冒頭で取り上げられていたハリスツイード始め其の前提としてやはりヒットの是非に賭ける企業側の決断如何が背景にあるか。


短期受難

日経平均は昨日で東証一部時価総額が6月8日以来約3ヶ月ぶりに500兆円台を回復することとなったが、本日も米早期利上げ観測後退を受けた円高から反落となったものの、それでも日銀によるETF購入期待で後場からは底堅い展開となり17,000円大台を維持しての引けとなった。

最近の相場は何かにつけてこの日銀ETFの思惑が付いてまわるが、直近のレバ系ETFの売買代金の少なさも本日の日経紙にも出ていたが日銀ETF買いが影響し短期志向のこの手の投資家の一寸した障壁になりつつあるようだ。

以前は野村アセットが新規設定を停止するほど個人マネーを吸い上げたものだが、日中のボラも薄く小幅な往って来いが目立ってくるとその構造上元指数比でパフォーマンスが落ちてしまうのは否めない。本来ETFは長期向けなものの、レバ系への傾斜が鮮明な本邦は投資家の短期嗜好が顕著に表れているか。


往って来い

本日の日経紙投資情報面には「空売り専門会社思惑外れ?」と題して、米グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事の売り推奨リポートを出して以降、昨日で株価が急落する直前の株価を終値で約1ヶ月ぶりに回復してきた旨が載っていたが、同社の株価は本日も続伸し完全に急落直前水準を抜いてきた。

このグラウカス・リサーチ・グループについては当欄でも7月から取り上げていたが、コストやカバーの進展具合、残高詳細も解らず果たして担がれているのか否かも不透明だが、腰の入った売り方が担がれた例ではかつてミクシィや日本マイクロで某外資大手が大きく担がれた事が記憶に新しい。

他にもっと関係者が注目した事件?では2008年のVW株暴騰で複数のヘッジファンドが壊滅的に踏まされた件もあったが、これらとは浮動玉規模が違うので往って来い程度の穏やかさ?となっているものの、このまま静かに初戦の幕が下りるのか否か引き続き今後も株価と共にその動向が気になるところ。


TDS 15周年

さて、昨日の日曜日に東京ディズニーシーは開業15周年を迎えた。本日の日経紙にも記念式典の様子やオリエンタルランド会長の弁が少し出ていたが、同社は隣接する東京ディズニーランドとあわせ2020年度までに2500億円を投じTDSの存在感を高める事で競争の激化するレジャー市場で事業拡大につなげる考えという。

TDLに続く第2テーマパークとして開園してから早くも15年、最近では「ビッグバンドビート」等のレビューショーも人気の模様だが、斯様に当初から子供寄りのランドに対して大人が楽しむシーといった色分けがアルコールNG(クラブ33の例外はあるが・・)等でも比較的はっきりしておりやはりターゲット層をある程度明確にしてきている分選択肢も広がるというものだ。

TDLとTDSは来場者数の約9割がリピーターというが、昨年は前年度より40歳以上の割合がTDSをより顕著にして特に増えここにきて1日の入場者数がTDLを上回る日もあると日経MJ紙で見た。投資と併せアトラクションとは別のソフト面強化も奏功するかどうか、ディズニーテーマパークの中でも今後立ち位置が重要になってくるだけに注目される。


TOCOM次期取引システムの変更について

東京商品取引所(TOCOM)は、2016年9月20日(火)より日本取引所グループ(JPX)の取引システムが導入される予定となっています。その変更点などについて各社からの案内を以下にまとめます。※順次追加


会社名掲載日内容
東京商品取引所-次期システムの本番稼働経過情報
北辰物産08/05東京商品取引所の次期取引システムの変更点について
日産証券08/05東京商品取引所のシステム更改に伴う当社取引ルール等の変更のご案内
岡地08/17<オンライン取引>TOCOM新システムの変更点について
コムテックス08/24東京商品取引所の新システム移行に伴う制度変更のお知らせ
フジF08/31東京商品取引所の次期取引システムの変更点について
カネツ証券09/01東京商品取引所の取引システム変更に伴う弊社の対応について
岡藤商事09/02東京商品取引所(TOCOM)のシステム更改について
サンワード貿易09/**東京商品取引所システム更改に関するお知らせ

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リシュモン先行

さて、直近でこそ円相場は一か月ぶりの円安水準云々と喧伝されてはいるが、日銀がマイナス金利政策を導入してちょうど半年が経過したところで為替が1ドル100円の大台を突破し、その後もつい先週まで1ドル100円の大台を割る局面が度々見られ他の主軸通貨に対しても総じて円は堅調であった。

そんな事もあってか、有名なところではカルティエがここ数カ月の為替変動を鑑みて先月5日からほぼすべての商品価格を平均で約10%の値下げに踏み切っている。またここ以外にも円高・ユーロ安の今、イタリア輸入家具を特別価格でという触れ込みでカッシ−ナの人気ソファー等が約半額というDMも来ていた。

ハイブランドといえばこれまで円安を理由に度重なる値上げを行ってきたが、円高の影響を勘案し値下げするのは異例、消費者側としては予期せぬ?円高で上記のようなブランド品が少しだけ身近になるかもしれないが値下げは或る種禁断の果実、リシュモンが傘下の主力で斯様な行動に踏み切った事で他グループの動向も今後注目される。


格差是正

昨日に東京証券取引所が発表した26日申し込み時点の信用取引の買い残高は2週連続で増加、一方で信用売り残高は3週連続増加で約4ヶ月ぶりの水準に膨らんでいたが、信用取引といえば先週の日経紙一面には「株の信用取引 夜間も」と題し、東証が閉まっている早朝や夜間も私設取引所などで信用取引が出来るようにする規制緩和に乗り出す旨が報じられていた。

この件に関しては今から2年ほど前に、大手ネット証券会社が実施したアンケートのお願いの中で「信用取引があったら便利に思うか?」という質問があったのを思い出す。PTSは刻み値などで一歩先を歩んで創設来売買代金の増加が続いてきたものだったが、こんなアンケートから2年で漸くマル信にも切り込んできたかという感じ。

とはいえ昨年にはカリブ海の島にある投資会社の不正売り抜けの舞台としてPTSが使われたり、リクイディティーの面などまだまだ課題は多い。また同紙にも書いてある通り利益相反の問題等もあるが、既に個人投資家の売買においてマル信は半分以上を占めているだけに取引所との格差是正で利便性向上に期待がかかるところ。