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三度目の正直?

本日の日経平均も円買い株売りの構図が継続され大幅続落となったが、昨日は同様の商状の中にあってGMOテックやアドウェイズ等のポストが朝方から大量の買い物を集め、後者など昨日のストップ高に続いて本日も二日連続でストップ高まで買われるなど破竹の勢いとなっている。

この辺は周知の通りスマホ向け無料通信アプリを手掛けるLINEが来月にも東京証券取引所に上場すると複数のメディアに報じられた事に因る関連株物色なワケだが、このLINEといえばこれまで数年前の急成長時期から度々年場観測が出ては消えといった肩透かしを辿ってきた経緯がある。

当欄でも一年前くらいに「兆超え再び」と題して取り上げた時の関連銘柄の乱舞が再度上記のように見られたものだったが、当時は末尾で時価総額1兆円超え云々の観測を書いていたものの今回は6,000億円規模に半減、関連銘柄含めさすがにお茶も三杯目になると出涸らし色が濃くなる。とはいえ規模的にはやはり今年最大となるだけに注目のIPOとなるのは間違いのないところか。


回復過程

さて、本日の日経平均はストップロスの円買いの影響もあって急反落となっていたが、昨日までは17,000大台を約一か月ぶりに回復していた。またコモディティーの方も原油が約7ヶ月ぶりに1バレル50ドル大台まで回復するなど国際商品も総じて底入れをうかがう展開に変ってきている。

それに伴って国際商品指数のロイター・コア・コモディティーCRB指数は先週時点で2月に付けた14年ぶりの低水準より2割高く年初来の高水準になっているが、これらを背景に上記の原油で投資比率の引き上げを図るなど、コモディティーで運用する投資ファンドも商品市場に続々回帰してきている模様だ。

新興国の個人消費を支えに世界需要が回復していることもあって今年度の需要見通しが相次ぎ上方修正され国際需給の均衡観測も浮上しているというが、個別毎の需給は異なりロケーション別には為替も絡むだけに全般は立ち直り途上にあっても落とし穴がある可能性は大きいといえようか。


言うは易く行うは難し

本日の日経紙社説には「市場機能を傷めぬ株高速取引のルールを」と題して、今や東京証券取引所の売買注文を席巻している高速取引に関して金融庁が金融審議会の場でITを駆使した株式取引への対応を検討し、必要に応じては新たな規制を導入する可能性もある旨のことが書かれていた。

これに関しては既に先月の同紙でも取り上げられていた経緯があったが、やはり取引業者が破綻し市場の同様が瞬時に世界に広まるフラッシュクラッシュなどの懸念が文中にもあった。これ以外でもレイヤリングや、クォートスタッフィング等々グレーゾーン?の手法をどうとらえてゆくか。

一方でマーケットには欠かせないリクイディティの問題もあることから題の通り市場機能を傷めぬルールという表現が出てくるワケだが、言うは易く行うは難し、現状では不利益を被る何所かがあっての上に微妙な均衡が成り立っている構図にあることに変わりはないか。


不公平是正?

来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを巡っては、本日これを2019年10月まで2年半先送りするという首相の決断を自公が受け入れる方向となった模様だ。ところで税といえばどこかの予告で見た「美人税」なるタイトルに惹かれてつい見てしまった土曜日の「世にも奇妙な物語」がなかなか面白かった。

番組では財政が逼迫している政府の財政立て直しには美人における計り知れない社会的・経済的恩恵を背景にした「美人税」の導入が不可避との会見が流れ、当事者は給与からの美人税天引きや年金関係の会社負担の絡みが人事問題にも発展している様をコミカルに描いていたが、某著名労働経済学者もルックスによる生涯賃金格差が2700万円という試算も出している。

容姿を背景とした税論ではかつてイケメン税なるものを論じたバラエティー系経済評論家がいたが、なるほど上記の労働経済学者によれば容姿による収入差は男性で17%、女性で12%とか。伊勢志摩サミットでの指摘を布石として消費増税が先送りされた今、今後もこんな如何にもありそうなネタが彼方此方でまた多用されそうである。


煽られた?若冲人気

さて、今週は東京都美術館で開催されていた「生誕300年記念 若冲展」が大盛況のうちに終了となった。チケットを買うまでに1時間近く、入場まで3時間以上という日が続き列の途中には水分補給所が設けられ果ては看護師まで列を巡回するという異様な光景まで見られた展は、結局約44万6千人の入場者を記録し1日あたりのそれも同館展覧会で過去最高だったという。

しかしいつの間に若冲はこんな人気が出たのだろう?たしかに重要文化財である鹿苑寺大書院障壁画始め、総額30億円はくだらないという誰でも何所かで一度は目にしたことがあるであろう最高傑作「動植綵絵」30幅等々、初期から晩年の大作が一堂に会する展だけに関心も向かおうがそれにしても異常な動員数だ。

私個人的には若冲に関してはこんな騒がれる以前から注目しており、当欄でも2008年8月に国立博物館で開催された展に出掛けた旨の事を書いているが、当時は直ぐに入館出来てじっくりと作品を楽しむことが出来たものだ。おそらくはTVやメディアが散々煽ったせいで、ニワカ若冲ファンが増殖した影響も大きいのだろう。

ところで、この東京都美術館からほど近くにある「国立西洋美術館」だが、周知の通り世界遺産に登録されることになった旨が先週報じられている。都内では初めての世界文化遺産の誕生だが、二度の見送りを経て三度目の正直となっただけに早くも多くの人でこちらも賑わっており若冲展が幕を閉じても上野の賑わいはこれからも継続しそうだ。


東急カラー

昨日の日経紙には「雑貨満載、江戸切子の箱」と題して、今年3月に銀座にお目見えした東急不動産の商業施設である「東急プラザ銀座」について書かれていたが、ちょうど界隈に所用があった都合で私も過日このビルを一寸覗いてきた。

階層毎にテーマを設けた作りだが総じて東急色が強く、かつてルミネや丸井が出来た時同様やはりこの界隈と違うカラーを感じた。東京初進出の店も誘致したようだがテナント以外では屋上の「KIRICO TERRACE」も印象的。TVや新聞では斬新さを称える向きが多かったが、既に三越銀座オープン時に屋上テラスは売りでありウッドデッキからの芝生広場と草木広がる植栽スペースを設けた三越の方がより銀座上空で四季を感じる点でコンセプトには合っているか。

ところで上層階には約4400平方メートルという都内最大のロッテ免税店が入っているが、エスカレーターで上がって来るとこのフロアだけまだ開業準備中かと勘違いするくらい人けの無さを感じた。ともあれ今17年3月期ではこの東急プラザ銀座が業績へ寄与し東急不動産は最高益更新見通しというが、思惑通りの初年度売上高を達成出来るかどうか今後の動向に注目である。


取引所視野

さて本日は一服となったものの、昨日の株式市場ではトレイダーズホールディングスがストップ高まで買われ、全市場中の値上がり率ランキングトップとなっていたが、業界からはマネーパートナーズやマネースクエア等も揃って続伸していた。

後者は週明けの日経産業紙でビットコインに関する法的な位置付けを明確にする資金決済法改正案が月内に国会で成立する見通しとされ、その新規参入を狙う最右翼の関連企業としてマネーパートナーズのゆくゆく取引所運営も等と同紙で取り上げられていた事が刺激材料になったもの。

また日経の夕刊でもスイスのツーク市が、7月から住民登録料の支払いに国や地方自治体としては世界で初めてビットコインを使えるようにする旨も載っていたが、マイナス金利に因る銀行決済手数料にも言及しており昨今の時事背景も絡め予想以上に汎用加速の片鱗も読み取れる。


新興アノマリー?

さて、先週末の日経紙マーケット面には「格言通り?新興株急落」と題して、春先から急騰した東証マザーズ指数の先導役であった創薬ベンチャ−のそーせいグループ株が25%下げ、連れて指数も急落した旨が載っていた。特にマザーズ市場の5月は成績が悪く「セルインメイ」によく当て嵌まる事で今年も格言が使われ易いか。

ところでマザーズの代名詞ともいわれるそーせい株だが、JASDAQ-TOP20のETFでいえばかつてのガンホー株のような存在になりつつあるといったところで、それもそのはずその時価総額はマザーズ指数の約2割に達するなど銘柄別で最大な事に他ならない。ガンホーは実に5割(ETF)に達したが、これも新高値を更新如何では当然占有率も変化してくる。

日本取引所グループは傘下の大証が来る次期売買システムの稼働に合わせマザース先物を上場する予定で、同社株にもこれに先駆けて先回り買い等も入っていたとの指摘も一部あるが、これに続くミクシィやサイバーダイン等々時価総額上位10社で全体の半分近くを占めることになる。225と違って個別の規模が異なるだけに、一方で裁定のオペなどどうやっていくのか今後も興味深いところである。


ストームライダー千秋楽

さて、今週はTDSの「ストームライダー」が惜しまれつつ週明けに運営終了となった。これは周知の通り17年春に映画「ファインディング・ニモ」シリーズの世界を舞台にした新アトラクションがオープンする事に因るもの。

これは開園当初からあるアトラクションで一発のキャパの大きさから何時でも乗れる印象だったことで合間を埋めるのにちょうどよく、私も此処のラウンジから使い勝手のよさでよく使ったものだったが、やはり消えるとなると最終公演の整理配布券は開演から7分で終了し、最終日は実にインディージョーンズの前くらいまで4時間近くの行列が出来ていたようだ。

ホテルオークラの時よろしくこちらも一部ファンが1,000件以上の署名を集めオリエンタルランドに嘆願書を送っていたそうだ。とはいえここ数年にわたる立て続けの強気の値上げで「夢の国」のスクラップアンドビルドは必須というところだが、2017年3月期の市場コンセンサスを大幅に下回る慎重予想を覆す一助になる事が出来るか否か値上げ巧者の腕が試される。


電力先物模擬取引

昨日の日経紙春秋では、東京商品取引所が商社や電力各社と電力先物の模擬取引を今月下旬から始める旨を取り上げていたが、これは先月の電力小売りの全面自由化を受け卸売市場で電力取引が盛んになった後の価格変動に対するリスクヘッジニーズ需要を見越してのもの。

ナスダック開発した電力取引システムを試験的に導入するようだが、欧米の後追いという格好でのスタートとなる。その欧米では電力先物の上場後に現物取引も活発になったという経緯から現物取引導入も視野に入れる模様。

同所では今年度中の電力先物上場を目指すというが、この期に及んでも文中には先物はマネーゲームが過熱する恐れがある等のくだりもあった。電力といえば発電用燃料としてLNG等の存在もあるが、同市場の成長で派生的にこれらの市場拡大にも発展してゆく可能性がありこうした偏見の是正も込めて必要不可欠な産業インフラに育ってもらいたいものだ。


特A急増

昨日の日経紙夕刊一面には「ご当地米 新顔続々」と題して、2016年産のコメが農林水産省のリストに726銘柄載り、新顔を15年産に比べて33%多い32銘柄に達するなど新銘柄が続々誕生している旨が出ていた。

米といえば個人的にはいつも決まったところから直接購入しているが、派生的に来る案内では毎回何かしら新しい銘柄がありワイン並みに詳細な解説が付いている。減反政策が始まった後に量から質への転換を後押しする目的でスタートした5段階判定の食味ランキングでは、最高評価の特Aが昨年産は46となりこれは過去最高水準という。

かつての新興ブランド米もこれによって今やメジャーの仲間入りを果たしている経緯があるが、コメ離れがいわれる昨今高評価急増が独り歩きしている感も否めない。当の農林水産省は今年の生産目標を需要予測を大きく下回る目標と定めたが、TPP等も絡めての生産戦略など各所の思惑が複雑に絡み合う構図か。


新興サイダー

週明けの日経平均はザラバで200円以上高い場面があったが、そんな中で終日ストップ安気配から比例配分でひときわ目立っていたのがマザーズ市場のALBERT株か。これは周知の通り同社の元会長が同社株を保有する親族らに業績予想下方修正を公表前に伝え損失回避させていた疑いがある事でこのインサイダー容疑が嫌気されてのもの。

明らかな下落を確信しての取引でインサイダーでは空売りをかけるのと同ケースとなろうが、過去には破綻準備中に周辺から漏れた情報で個別貸借銘柄の空売りが横行し、比較的最近ではファイナンス実施のヒアリングから漏れた情報で対象銘柄の空売りが大規模に行われた件が問題になって情報伝達者も行政処分や刑事罰対象となった経緯がある。

金融商品取引法違反といえば直近ではもう一つ、インサイダー取引ではないものの東京地検特捜部がジャスダック市場の夢の街創造委員会の創業者を2年前に同社株を相場操縦した疑いで任意事情聴取している事も報じられている。双方共に新興市場だが、昨年日本取引所は上場時審査厳格化等を打ち出している。果たして上場後のセカンダリーにおいても新興モノもこうした問題は起こり得るが、当事者意識に委ねる次第であり完全な防止策は無いか。