149ページ目

寄与商品

先週末は底が見えない原油について書いたが、その後も時間外取引で一時1バレル28ドル台まで下げておよそ12年2ヵ月ぶりに29ドル台を割り込んでいる。スタンダード・チャータード銀行は10ドルまでの下落の可能性をアナリストが言い出し、本邦の官房長官は「日本経済にはいい影響を与える」との見方を示していたがはたしてそうだろうか?

それは兎も角そんな原油活況も寄与し、欧米先進国の主要な商品取引所の昨年の売買高は14年に比べて15%増える事となった。当然ながら最も伸びた原油はNYMEXで14年比18%の増加、加えてICEの粗糖やCBOTの穀物も伸びたものの、対照的にLMEの非鉄は低調となった模様。

上記集計の中には東京商品取引所も含まれるが、国内の2015年の売買高も同所と大阪堂島商品取引所計で前年に比べ12%増え4年ぶりの増加となった。この辺はやはりETN等の普及でこの手の間接効果があったのも大きく寄与したのだろうが、9月の日本取引所グループと売買システムの共同利用を控え今年もその動向から目が離せない。


油は火種

さて、今週は国際的な指標となるWTI原油の価格がニューヨーク商品取引所で、約12年1ヵ月ぶりに1バレル30ドルの大台を割り込む場面があった。昨年末にはこのWTIが北海ブレントを5年ぶりに逆転する場面があったが、売買高も数年ぶりに見る急増となっており今年も引き続き原油はリスク要因の一つとなるか。

しかしこうなるとETFやETNの崩落も凄く、TOCOM原油WブルのETNなど昨年の2月には5,000円を超えていた記憶があるが、本日も年初来安値更新でザラバでは700円大台割れに迫る場面があった。この1年のうちに約八分の一の値段に沈むなど、まるでIPO初値天井となった粉飾紛いの新興市場銘柄並みの動きである。

また世界の資源株も然りで昨年末で石油関連株の時価総額は1兆ドル以上失われ、年明けからでも英豪リオ・ティント株が1割の下落となり、米エクソンモービルも週明けには約3ヵ月ぶり安値に沈み、本邦も本日は三菱商事等が年初来安値に沈み、資源安が非鉄にも波及している事で住友金属鉱山も揃って本日は年初来安値に沈んでいる。

今後も下落が続くとなれば予想物価上昇率に与える影響も大きくなるが、何れにせよ今年も引き続き金融市場の主役級の座を維持し続ける公算が大きく目が離せない展開だ。


アクティブ寄り?

本日の日経平均は、米国や上海総合指数の落ち着き加え為替も円安方向に振れた事から7日ぶりに急反発となった。さすがに漸く連敗記録も一服といったところだが、昨日は日銀も今年四発目となる352億円のETF買い入れを実施した模様だ。

日銀のETF購入といえば、週明けの日経紙羅針盤には昨年末に導入が決まった新たなETF購入策の4月からの開始に向けた細部の詰めが明日から本格的に始まる旨が書いてあった。この辺に関しては昨年に当欄でもスマートベータ等も含めていろいろ議論されるのだろうか?と書いていたが、同紙にはこのスマートベーター活用の拡大との一文もあった。

またパッシブ運用限定とは言いつつも市場の平均的な動きに縛られないアクティブ運用により近い性格も持ち始めるとも書いてあったが、ガバナンス確立の問題等も含めこうした買い入れの性格の変化がどうマーケットに作用してくるのかこの辺も今後注目されようか。


対話の是非

連休明けも日経平均は下げ止まらず479円安と大幅に6日続落となった。そもそも先週末の段階で年明けからの5日続落は実に1949年5月16日に東証が再開されて以来初めての事であったというが、更にこの記録を塗り替えている。またこの間の下げ幅は実に1,800円超となり、これで昨年9月末以来、約3か月半ぶりの安値水準まで下がった事になる。

前日の欧米株式がマチマチであったもののやはり人民元や上海総合指数への懸念が燻り「もうはまだなり」を地でゆく相場展開となっている。その上海総合指数も再度心理的節目の大台割れを演じているが、昨年7月に当欄で「こんな国を挙げてのPKOも懐かしいが発展途上市場では結局自国なりのやり方で試行錯誤しながらしばらく学習してゆく以外に方策はなさそうだ。」と書いている。

年明けから始めて導入されたサーキットブレーカーが連日発動されてはや数日で運用停止に追い込まれ、大株主への株式売却新規制の適用も売りを誘発する要因になるなど全くと言っていいほど機能していない。上記の通りPKOの限界を学習途上ともいえるが、当局とマーケットの対話が何所で機能するのかが焦点といえそうだ。


経営者が推す銘柄

今週の日経紙投資情報面の会社研究では、毎年恒例の年明けの「経営者が占う」で各経営者が選んだ今年の注目銘柄が日替わりで紹介されているが、またザッと一年前の各経営者が選んだ銘柄予想を振り返ってみよう。1位は毎年上位常連のトヨタ自動車、2位が信越化学、そして3位の日立製作所と続いていた。

1位のトヨタ自動車は結局年間では1%の下落、2位の信越化学や日立製作所などは更に不調の二桁下落。また違う意味でヒットしてしまったのは一昨年から順位を上げて選ばれていた東芝か。証券取引等監視委員会から「虚偽記載」と認定され、東証からも特設注意市場銘柄に指定され株価は周知の通りの崩落である。

やはり証券系の金太郎飴的定番予想が復活し、有望銘柄にはコア系が並んだ果てのアノマリー効果は高い。スキャンダル塗れの東芝を有望銘柄に挙げていたのも大手証券社長であった。パフォーマンスを問うなら面白い場面も出てきそうなものながら今年は手の平を返したようにこの東芝は避けられ、昨年同様に1位はトヨタ自動車、2位も信越化学が定位置に収まる結果となっていた。

また日米中心に景気は堅調に推移し、米利上げを受けた円安進行も企業業績の追い風となる予想が殆どであったが、円安などのマクロ要因がこれまでのようにマーケットに寄与してくるかどうかは不透明、二年目になるコア銘柄一辺倒予想が今年こそ当たるのかどうか見物してゆきたい。


福袋模様

さて、昨日は新春恒例の初セリが築地で行われた。築地の初セリといえばマグロだが、今年もやはりお約束というか「すしざんまい」の喜代村が競り合った結果高い物で1匹1,400万円で競り落としている。これで落札は5年連続となるが、1億円を超えた最高値からここ数年の続落歩調も今年は反発といったところ。

また野菜の宝船も最高値が昨年より倍近くの1艘25万円と過去10年で最も高い水準であったそうだが、他の海産物も絞られているせいか全体的に相場は堅い傾向が見られた。ところでこの初セリも今年の豊洲移転に絡んで見納めで、上記の喜代村など移転先の新市場観光施設を巡って志半ばで撤退するなどの経緯もあった事でいろいろ想うところもあっただろう。

堅調だったのは築地相場だけではなく同じ中央区では初セリというか百貨店も初売りで福袋等各社趣向を凝らしているなか、松屋など1,000万円近くのロマコンの6本セットなど開店早々に売り切れ、高島屋では2億円を超える福袋も出るなどしているが大勢で実感薄いなかスポットで格差が如実に表れている。


十大リスク

本日の日経紙国際面には、政治リスクの調査会社ユーラシア・グループが昨日に発表した2016年の世界の「十大リスク」が載っていた。首位の同盟の空洞化から10位のトルコまで並べてあったが、5位に挙げたサウジアラビアなど早速イランとの断交を表明しバーレーン、スーダンもこれに続く動きを見せている。

この辺は4位に挙げているIS等へ及ぼす影響も少なからず出てこようが、こうした地政学リスクで新年相場はアジアから欧米まで世界規模で波乱の幕開けを演じている。加えて上海もPMI悪化を嫌気し導入された初日にサーキットブレーカーを使うハメになるなどまたぞろ怪しい雲行きだが、これまた規制が裏目にでてくる可能性も秘める。

地政学リスクの影響で原油相場は今年もボラタイルな展開が予想されるが、これによる各所への影響も計り知れない。所謂「森」で見るものから「木」を見る選別眼も問われることになる場面が随所で出てきそうである。


申騒ぐ

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さてマーケットの方だが、大納会で何とか帳尻を合わせ19,000円台に乗せ1996年以来19年ぶりの高値水準で引けていたものの、今年の大発会は昨年同様に一転しての急反落スタートとなった。

今年はといえば申年、兜町界隈は申年は「騒ぐ」の相場格言があり、東証再開以降5回あった申年の年間騰落率は平均で10.4%上昇し十二支の中ではほぼ中位、ちなみに前回の16年は約8%の上昇であった。しかし昨年も6月後半に年初来高値を付けるもそこから約3ヵ月で4,000円近くも急落し、その後約1ヵ月で2,000円近くも戻す等相場つきは既に「騒ぐ」だったと言えようか。

ともあれ昨年はコーポレートガバナンス元年の号砲が鳴らされたワケだが、そんな直後に例の東芝問題が発覚。またROEも焦眉の急とばかりに改善傾向にあるとはいえ内部留保の活用に関しては歯痒い部分も多く前者と併せ海外勢の懐疑的な見方も燻る。上記のアノマリーも加わり交錯した相場になろうが、如何に実効性のある攻めが盛り込めるかこの辺が焦点となってこようか。

本年もどうそ宜しく御願い申し上げます。


永青文庫の賑わい

さて、昨日で9月から永青文庫で開催していた「SHUNGA 春画展」が盛況のうちに閉幕した。日本では初めての本格的春画展ということでモノが春画だけに入場は18禁という異例の展であったが、遅ればせながら私も華道を嗜むご婦人の御招待で同展を過日観てきた。

エントランスでは凛とした着物の婦人方の姿が多く目に付いたが、永青文庫のこじんまりした建物の中は異様な熱気が漂っていた。二年前には大英博物館で大規模な春画展が開催され話題になっていた経緯があるだけに外国人の姿も多かったが、その大英博物館や三井記念美術館蔵の貴重な作品の数々が一堂に会し果たして印刷物と実物の差をまざまざと見せつけられた。

しかし当初20以上の美術館に当たって全てダメだったり、スポンサーも難航したそうだが結局この辺は各所の保身に他ならないというところか。かつてメイプルソープの写真集も裁判沙汰にまでなり芸術か猥褻かでよく議論になったり、愛知美術館でも作品の一部にシーツが覆われて展示された一件も思い出したが、いずれも日本の後進性を表しているともいえるだろう。

そんなワケで今回の春画展が試金石となるかどうか等と色々と考えつつ和敬塾を臨む静かな道を歩いていたが、もう今年もあと一週間で終わり。今年を表す漢字は「安」となったようだが来年に想いを馳せつつ今年はこれで筆を置きたい。皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


師走の乱高下

週明けの日経平均は続落と冴えない展開であったが、ザラバでは先週金曜日高値から1,200円以上安い場面もあった。2営業日でそんな実感はないが先週末の後場の動きがあまりにもジェットコースターのような展開に他ならなかった為で、日銀金融政策決定会合の結果発表直後のマイナス圏から続報で一気に500円以上も急騰したのも束の間、補完措置がネガティブ視されるやそこから900円近くの急落を演じた。

もともと前日の日経紙夕刊の「日銀ウォッチ」でも取り上げられていた通り、今年の日銀によるETF買い入れが3兆円を上回った事による買い入れ鈍化の憶測が飛び交い、満期償還の国債と違っていずれ市場売却の憶測の素地があったところへ今回の補完措置の読みでは日銀は売り手との連想が喚起されてしまったということころか。

追記をどう捉えるかにも懸かって来るが、消化難ながらも投資家にとっては総じてクリスマスプレゼントとしては肩透かしの印象と映ったというところだろうが、はたして切るカードはまだ残されているや否や年明けもまた注目されるところ。


33年の歴史

さて、本日は所用で有楽町界隈を歩いていたのだが、通りに面したプランタンを見た時にそういえば来年いっぱいで百貨店「プランタン」を持つフランスのプランタン社との商号・商標契約を終了する旨の報道があり、このプランタン銀座の名称もこれによって消えてゆくのだなとふと思い出した。

契約解消となった背景にはフランス本国同様の高級感を追求する同社と、一方では客層の幅広さを求めてゆく姿勢を鮮明にしてきた銀座店とで経営方針に食い違いが生じたというところが主因となっているようだが、確かに近年のプランタンは今や売り場で最大面積を誇るユニクロを誘致、またその階下にはニトリも店舗を構えるなどテナントのカラーは可也変わってきているのは事実だ。

有楽町といえば西武有楽町店が消えたちょうど5年前の時の当欄では、「フォーエバー21」、「うふふガールズ」から「ラオックス」まで導入した松坂屋を書いた事があったが、差し詰めこんなテイストに近いものがあるか。

ビゴやイリナなど都内では二子玉あたりにしかないような店も入る洒落たビルの割に、パーキングのリフトなどレトロ感たっぷりでダイエー時代からの歴史も感じられたものだったが、これを機に大規模改装にも着手との報もあり新生店舗がどんなコンセプトになるのか興味深い。


2015年度「商品先物ネット取引データ調査・分析結果」を公開

10月末時点で商品先物ネット取引サービスを提供する12社に対し、11月11日〜11月25日の期間で実施した「商品先物ネット取引データアンケート」を集計・分析した結果を本日12月17日に公開しました。総口座数・実働口座数・預り証拠金・月間売買高など各項目別に結果を公開しランキング表示を行っております。

▼商品先物ネット取引各社データ集計結果(2015年10月度)



【調査結果サマリー】
★預り規模は ホールセール込で推計約469億円と業界全体の約39%
★総口座数は推計24,505口座、実働は推計7646口座と稼働率31%
★ネット売買高はホール込で176万枚、一般対象で72万枚

【調査分析結果全体数値】([]内は公開企業数値)

 1. 総口座数         24505口座[19582口座]
 2. 実働口座数A        7646口座[5557口座]
 3. 実働口座数B        7137口座[5115口座]
 4. 預り証拠金A(個人)    338億円[249億円]
 5. 預り証拠金B(ホール込)  469億円[370億円]
 5. 月間売買高A(個人)    72万枚 [60万枚]
 5. 月間売買高B(ホール込)  176万枚 [164万枚]
 6. 口座増加数        +335口座(1.4%減)
 7. 口座稼働率        31.2%
 8. 1口座あたり預り証拠金[A] 138.3万円
 9. 1口座あたり月間売買高[A] 94.9枚
 10.1担当者あたり預り[A]  4億3461万円

【掲載項目】
[総合]
2015年10月度ネット取引各社取引データ一覧、関連データ業界全体比較
[各種ランク]
総口座数、実働口座数、預り高、売買高、注文件数、口座増加数、口座稼働率、枚数/オーダー、1口座あたり預り・売買高、1担当者あたり預り・売買高、企業内シェア(預り)


アンケートにご返答頂いた企業・担当者の皆様、お忙しい中ご対応頂き誠に有難う御座いました!