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十大リスク

本日の日経紙国際面には、政治リスクの調査会社ユーラシア・グループが昨日に発表した2016年の世界の「十大リスク」が載っていた。首位の同盟の空洞化から10位のトルコまで並べてあったが、5位に挙げたサウジアラビアなど早速イランとの断交を表明しバーレーン、スーダンもこれに続く動きを見せている。

この辺は4位に挙げているIS等へ及ぼす影響も少なからず出てこようが、こうした地政学リスクで新年相場はアジアから欧米まで世界規模で波乱の幕開けを演じている。加えて上海もPMI悪化を嫌気し導入された初日にサーキットブレーカーを使うハメになるなどまたぞろ怪しい雲行きだが、これまた規制が裏目にでてくる可能性も秘める。

地政学リスクの影響で原油相場は今年もボラタイルな展開が予想されるが、これによる各所への影響も計り知れない。所謂「森」で見るものから「木」を見る選別眼も問われることになる場面が随所で出てきそうである。


申騒ぐ

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さてマーケットの方だが、大納会で何とか帳尻を合わせ19,000円台に乗せ1996年以来19年ぶりの高値水準で引けていたものの、今年の大発会は昨年同様に一転しての急反落スタートとなった。

今年はといえば申年、兜町界隈は申年は「騒ぐ」の相場格言があり、東証再開以降5回あった申年の年間騰落率は平均で10.4%上昇し十二支の中ではほぼ中位、ちなみに前回の16年は約8%の上昇であった。しかし昨年も6月後半に年初来高値を付けるもそこから約3ヵ月で4,000円近くも急落し、その後約1ヵ月で2,000円近くも戻す等相場つきは既に「騒ぐ」だったと言えようか。

ともあれ昨年はコーポレートガバナンス元年の号砲が鳴らされたワケだが、そんな直後に例の東芝問題が発覚。またROEも焦眉の急とばかりに改善傾向にあるとはいえ内部留保の活用に関しては歯痒い部分も多く前者と併せ海外勢の懐疑的な見方も燻る。上記のアノマリーも加わり交錯した相場になろうが、如何に実効性のある攻めが盛り込めるかこの辺が焦点となってこようか。

本年もどうそ宜しく御願い申し上げます。


永青文庫の賑わい

さて、昨日で9月から永青文庫で開催していた「SHUNGA 春画展」が盛況のうちに閉幕した。日本では初めての本格的春画展ということでモノが春画だけに入場は18禁という異例の展であったが、遅ればせながら私も華道を嗜むご婦人の御招待で同展を過日観てきた。

エントランスでは凛とした着物の婦人方の姿が多く目に付いたが、永青文庫のこじんまりした建物の中は異様な熱気が漂っていた。二年前には大英博物館で大規模な春画展が開催され話題になっていた経緯があるだけに外国人の姿も多かったが、その大英博物館や三井記念美術館蔵の貴重な作品の数々が一堂に会し果たして印刷物と実物の差をまざまざと見せつけられた。

しかし当初20以上の美術館に当たって全てダメだったり、スポンサーも難航したそうだが結局この辺は各所の保身に他ならないというところか。かつてメイプルソープの写真集も裁判沙汰にまでなり芸術か猥褻かでよく議論になったり、愛知美術館でも作品の一部にシーツが覆われて展示された一件も思い出したが、いずれも日本の後進性を表しているともいえるだろう。

そんなワケで今回の春画展が試金石となるかどうか等と色々と考えつつ和敬塾を臨む静かな道を歩いていたが、もう今年もあと一週間で終わり。今年を表す漢字は「安」となったようだが来年に想いを馳せつつ今年はこれで筆を置きたい。皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


師走の乱高下

週明けの日経平均は続落と冴えない展開であったが、ザラバでは先週金曜日高値から1,200円以上安い場面もあった。2営業日でそんな実感はないが先週末の後場の動きがあまりにもジェットコースターのような展開に他ならなかった為で、日銀金融政策決定会合の結果発表直後のマイナス圏から続報で一気に500円以上も急騰したのも束の間、補完措置がネガティブ視されるやそこから900円近くの急落を演じた。

もともと前日の日経紙夕刊の「日銀ウォッチ」でも取り上げられていた通り、今年の日銀によるETF買い入れが3兆円を上回った事による買い入れ鈍化の憶測が飛び交い、満期償還の国債と違っていずれ市場売却の憶測の素地があったところへ今回の補完措置の読みでは日銀は売り手との連想が喚起されてしまったということころか。

追記をどう捉えるかにも懸かって来るが、消化難ながらも投資家にとっては総じてクリスマスプレゼントとしては肩透かしの印象と映ったというところだろうが、はたして切るカードはまだ残されているや否や年明けもまた注目されるところ。


33年の歴史

さて、本日は所用で有楽町界隈を歩いていたのだが、通りに面したプランタンを見た時にそういえば来年いっぱいで百貨店「プランタン」を持つフランスのプランタン社との商号・商標契約を終了する旨の報道があり、このプランタン銀座の名称もこれによって消えてゆくのだなとふと思い出した。

契約解消となった背景にはフランス本国同様の高級感を追求する同社と、一方では客層の幅広さを求めてゆく姿勢を鮮明にしてきた銀座店とで経営方針に食い違いが生じたというところが主因となっているようだが、確かに近年のプランタンは今や売り場で最大面積を誇るユニクロを誘致、またその階下にはニトリも店舗を構えるなどテナントのカラーは可也変わってきているのは事実だ。

有楽町といえば西武有楽町店が消えたちょうど5年前の時の当欄では、「フォーエバー21」、「うふふガールズ」から「ラオックス」まで導入した松坂屋を書いた事があったが、差し詰めこんなテイストに近いものがあるか。

ビゴやイリナなど都内では二子玉あたりにしかないような店も入る洒落たビルの割に、パーキングのリフトなどレトロ感たっぷりでダイエー時代からの歴史も感じられたものだったが、これを機に大規模改装にも着手との報もあり新生店舗がどんなコンセプトになるのか興味深い。


2015年度「商品先物ネット取引データ調査・分析結果」を公開

10月末時点で商品先物ネット取引サービスを提供する12社に対し、11月11日〜11月25日の期間で実施した「商品先物ネット取引データアンケート」を集計・分析した結果を本日12月17日に公開しました。総口座数・実働口座数・預り証拠金・月間売買高など各項目別に結果を公開しランキング表示を行っております。

▼商品先物ネット取引各社データ集計結果(2015年10月度)



【調査結果サマリー】
★預り規模は ホールセール込で推計約469億円と業界全体の約39%
★総口座数は推計24,505口座、実働は推計7646口座と稼働率31%
★ネット売買高はホール込で176万枚、一般対象で72万枚

【調査分析結果全体数値】([]内は公開企業数値)

 1. 総口座数         24505口座[19582口座]
 2. 実働口座数A        7646口座[5557口座]
 3. 実働口座数B        7137口座[5115口座]
 4. 預り証拠金A(個人)    338億円[249億円]
 5. 預り証拠金B(ホール込)  469億円[370億円]
 5. 月間売買高A(個人)    72万枚 [60万枚]
 5. 月間売買高B(ホール込)  176万枚 [164万枚]
 6. 口座増加数        +335口座(1.4%減)
 7. 口座稼働率        31.2%
 8. 1口座あたり預り証拠金[A] 138.3万円
 9. 1口座あたり月間売買高[A] 94.9枚
 10.1担当者あたり預り[A]  4億3461万円

【掲載項目】
[総合]
2015年10月度ネット取引各社取引データ一覧、関連データ業界全体比較
[各種ランク]
総口座数、実働口座数、預り高、売買高、注文件数、口座増加数、口座稼働率、枚数/オーダー、1口座あたり預り・売買高、1担当者あたり預り・売買高、企業内シェア(預り)


アンケートにご返答頂いた企業・担当者の皆様、お忙しい中ご対応頂き誠に有難う御座いました!


今回もまた

日経紙の投資情報面に「わかる証券税制」がシリーズで毎日掲載されているが、本日は損益の通算が株と債券で可能として来年から公社債と公社債投信が新たに加わる旨も説明されていた。当然ながらこれら特定口座へ入れることが出来るようになるワケだが、そうした事で投資家にとっては損益通算の広がりがプラスになる。

さてもう一つ我々として関心が高いのはやはりデリバティブ系だろうか?こちらは残念なことに上記と違って2016年の税制改正では株などと課税を一体にして損益相殺は認められない結果となった。一頃のコモディティーの両建でジャンプするようなスキームが懸念されての事だろうがやはり壁は相当に厚い。

この辺は当欄でも先月末に取り上げ「総合取引所創設にも絡んで長年の悲願は叶うのかどうか実現の可否には注視しておきたい。」としていたがまたしてもという感じか。金融庁もさることながら個人が先のネット証券のアンケートで93%の賛成結果を弾いており証券界含め悲願となっているが、こうした部分で欧米主要国と並ぶ標準化の道のりは遠くその是正は急務だろう。


老舗のざわつき

本日の日経紙企業総合面には「社長解任劇 法廷闘争へ」と題し、先週末で社長を解職されたセーラー万年筆の元社長がその決議が無効であるとし、今週は東京地裁に決議無効の仮処分を申し立てるなど一連の解職を巡る騒動が起きている旨が書いてあった。

解任無効を巡っての法廷論争では先週に当欄で書いたロッテなどもまさにそうだが、セーラー万年筆といえば創業100年を超える老舗で万年筆を使っていなくともその名は誰もが知っているところなものの、業績の方は8期連続赤字で無配が続き市場では低位の習性で近年では仕手色が強く忘れた頃に突飛高を演じる事もあった。

こんな低位の仕手系といえば先月にサハダイヤモンドも新社長人事を絡めて突如として寄り付きの19円からザラバでなんと1円まで暴落するも、翌日には15円と実に半日で株価15倍化というなかなか見られない珍事が起きたのが記憶に新しいが、継続企業前提の注記組とはいえ現代の名工に選出された職人を抱え同社モデルの根強いファンも多いだけに何とか立ち直ってほしいものだ。


賛否両論紆余曲折

週明けの日経平均は下げ止まらない原油を嫌気した世界的な株安を受けてザラバでは600円以上もの大幅続落となり、安値からは戻りを入たものの11月4日以来約1か月半ぶりに引けで19,000円大台を割り込んでいる。

さて先週から連日の株安が続くと気になって来るのが先にGPIFが2015年7〜9月期の運用損益が7兆8,899億円の赤字に転落したとの発表か。赤字は6四半期ぶりで四半期の赤字額としては過去最大となったが、GPIFに絡んでは先週に厚労省が株式に直接投資する事を解禁する検討に入った旨を報じている。

来年1月にも報告書を纏め早ければ16年中にも直接株式投資できる体制が整うと日経紙には出ていたが、パッシブ運用限定とはいえ当然市場変動リスクを受けるワケでゆくゆくこの辺もスマートベータ等も絡めていろいろ議論されるのだろうか?またそれ以前に論点になりそうなのは議決権への政治介入絡めやはりガバナンスの確立というところだろうが、厚労省絡みなだけに紆余曲折も予想されるか。


今年のミシュラン

さて、今年も飲食店等を星の数で評価する「ミシュランガイド東京2016」の掲載店が先週に発表となったが、果たして三つ星店は1店増えて13店に、二つ星は51店、一つ星が153店という内容で各々昇格組も多かったが他ビブグルマンの対象料理もカレーや餃子まで対象が広がっている。

今回は私の家の近所でランチが美味しくてけっこう有名だった店が新たに星を獲得しこの店名は比較的早く目に飛び込んできたが、他にも数年前にほとんど毎日遅めのランチを食べに行っていた店まで星を獲得していたのには一寸驚いた。とはいえいろいろとマイナーチェンジしている部分もありご無沙汰している間に各々進化を遂げたのだろう。

もう一つ、上記のように良く知っている店ではないが今回はラーメン店が世界で初めて一つ星を獲得していたのも話題になっていた。もともと上記のビブグルマンからの昇格であったがこれを機にこのポストからの昇格組が増えてくるや否や、日本版が登場してからはや数年だがこの間内容も随分と変遷を遂げた気がする。


ロッテもまた

本日の日経紙一面には「ロッテ上場検討」と題して、ロッテホールディングスの副会長が傘下の中核企業ロッテの株式上場を検討する方針を明らかにした旨が載っていた。ロッテといえばいわずもがな日本では菓子大手で名が通っているが、最近では大塚家具よろしく経営権を巡って創業家間の争いが話題になっている。

近年では同じ業界からカルビー、大塚HD、サントリーや、他にも出光興産など長らく何れも創業家の舵取りが続き非上場を貫いてきた大手企業が相次いで株式上場の道を選ぶケースが多くなってきたが、このロッテもまた然りで首尾よく上場すれば冒頭のカルビー以来の大型案件となる。

ところで冒頭の本邦にあるロッテHDは中心企業であるが、韓国ロッテの中核に位置しているのはホテルロッテとなっている。今回の発表では来年上半期にも韓国でホテルロッテを上場させるらしいが、傘下による相互出資形態等一般のHDとは一寸毛色も異なりロッテHDの対ホテルロッテ出資比率は約2割といわれる。お家騒動の行方共々この辺のディスクロも今後注目されようか。


19期連続買い越し

さて、先週も書いたように金市場はこのところファンド売りが鮮明であったが、市場で米利上げペースが想定よりも緩やかなものになるとの見方が広がり、ファンド筋のショートカバーから昨日のニューヨーク市場の時間外では11月中旬以来の高値まで相場が上昇してきている旨が本日の日経紙で報じられていた。

さて、この金と言えばWGCの纏めでは各国中銀による7〜9月期の金需要が175トンの純増と最近では地政学リスクも反映してか過去2番目の高水準であった旨も報じられている。実に19四半期連続となっておりこうした中銀の用は市場ではなかなか無視の出来ないものとなってきている。

先月末にはIMFがSDRの構成通貨に人民元の採用を決めたが、これに先駆けて中国ではディスクロが行われてきており上記の期には毎月15〜19トンを購入しておりこれ以上のところではロシアが77トンを積み増している。両国共に欧米水準から見れば見劣りするもののロンドン等現物市場では存在感が際立つ場面もあり今後もその動向が引き続き注目されよう。