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時を経て再び

さて、昨日は太平洋戦争末期にアメリカ軍の攻撃を受けて戦艦「大和」が鹿児島県沖で沈没してから70年の節目の日で、広島・呉市では追悼式が、また奈良・天理では慰霊祭が行われた。ところで戦艦と言えばこの「大和」の他に、同じくこの太平洋戦争で米軍に撃沈された戦艦「武蔵」も最近話題になった。

これは周知の通りで、先月マイクロソフトの共同創業者で、8年前から武蔵の船体探索を始めたという資産家のポール・アレン氏が、先月に武蔵の船体を比中部の水深1千メートル地点で発見し、船体の潜水調査の様子をインターネット上で生中継した件。映像を確認した日本の軍艦に詳しい専門家も間違いなく大和型の戦艦で武蔵であると指摘している。

これまで武蔵が撃沈された場所は戦闘記録から判明していたが実際に沈んでいる場所は確認されていなかっただけに奇跡の発見となったが、奇跡の発見といえば同じ3月には100年以上も行方が知れなかった江戸時代後期の浮世絵の巨匠、葛飾北斎の傑作「隅田川両岸景色図巻」も発見された件も報じられている。北斎壮年期の肉筆画の傑作ともいわれるだけにこちらも一般公開が待ち遠しいところである。


伝統的モデルからの移行

本日は日本取引所グループがCEOである斉藤氏が退任し、東京証券取引所の清田社長が次期CEOに昇格する人事を指名委員会で内定した旨を発表している。月末の取締役会で決定し6月の株主総会を経て就任というスケジュールだが同取引所の発足から2年余り、アジアの中核的市場構築を進める狙い。

アジア中核的市場構築という事だが現状で時価総額は昨年半ばで世界7位、同じアジアでは香港取引所が世界2位である。また昨年の現物株売買代金は世界6位で同じアジアの上海や深圳の中国主要取引所を下回っているのが現状。関係強化も視野に入れつつ海外マネー誘致もキーになってくるが、これに先駆け同氏は出遅れたデリバティブ分野の強化を急ぐのが課題という。

確かに欧州等を見ても上記時価総額で世界第4位だったドイツ取引所は、傘下に擁するデリバティブ部門の売上高全体に占める割合は4割に達し、現物株の売り上げは1割に満たないなどデリバティブで先行している。新CEOの経歴は大和で伝説の債券トレーダーだったという事だが、マーケットの精通者としてどうマネージメントしてゆくのかその手腕が注目される。


兆超え再び

さて、先週木曜日の日経紙一面を飾っていたのは「LINE、上場申請」の文字。このLINE、昨年の上場申請の際には注目度と時価総額の高さであのリクルートと共に当欄でも取り上げた事があったが果たして予定通り上場したのはリクルートの方で、このLINEは11月上場がいわれていたものの2ヶ月そこそこで上場見送り発表をした経緯がある。

そんな一件から新年度入り早々の再上場報道は株式市場でも関連銘柄に取っては格好の蒸し返し相場を提供することとなった。ザッと挙げても引けまで寄らずにストップ高比例配分となったアドウェイズ、それにエムアップやメディア工房もストップ高まで買われ、昨日年初来高値を取ってきているネットイヤーグループや本日年初来高値を取ってきているラクーン等々数多くの銘柄の急騰を誘った。

今後は当然ながらここから選別色も強まって来ることになろうが、なにせ月間アクティブユーザー数が約1億8,100万人、14年12月期売上高は863億円、その時価総額は上記の通り1兆円超えともされるだけに一過性の蒸し返しで終わる事はないだろう。また金融機関の入出金、株などの購入も視野に入れているとされるだけに業界としても今後の展開が注目されるところ。


IPO錬金?

さて今週気になったものとしては、一昨日に日本取引所が一部のIPO企業の上場直後の業績下方修正や不正発覚などが相次ぎ市場不信を招いている問題で緊急の対策を公表した件か。証券会社や監査法人と協力し上場時の業績見通しを開示する際に具体的根拠を示すよう企業に求め、主幹事証券にも上場時期が集中しないよう分散を求める旨の内容。

その記者会見では、「3ヶ月で決算数字を黒字から赤字にしてしまうなんて経営者としてはありえない」と直近で上場したスマホゲームのgumiがやり玉に挙がっていたが、取引所も通したでしょ?という疑問はさておき、確かにこれは上場後の株価といいディスクロといいまさに昨年のジャパンディスプレイを彷彿させる酷さであった。

そんなこともあって丁度一週間前の日経紙では、2015年のIPO銘柄17社のうち10社で25日の株価が初値を下回るなど低迷感漂う旨が書いてあったが、関係者の売り逃げも一部噂されるなどやはりセカンダリーが嵌め込みなど錬金場になるようなIPOは問題だろう。ちなみに今月のIPOは10社が予定されているが、新興市場にリスクマネーを供給する市場使命の裏でどう監督してゆくかが今後課題となろうか。


持ち合い解消促進

新年度入りとなった日経平均は日銀短観を受けて続落スタートとなったが、昨日末尾に書いたように2014年度の日経平均上昇率は約3割に上った。本日の日経紙にはこの間株価上昇を牽引した主企業が、値上げ力・訪日外国人増、高ROE・株主還元強化、米景気回復・大型投資の項に分かれて幾つか挙げられていた。

こうした事も寄与して大手銀行5グループと大手生命保険4社が持つ株式の含み益も2015年3月期末で、計18兆1000億円と前期末比で8兆円強増えその増加率は8割に達している。とはいえこうして含み益が膨らむ裏で、近年重視されるROE等の観点からは持ち合い株を保有する合理性が一段と問われるとも日経紙では指摘されている。

先に個別ではH2Oリテイリングが同業の高島屋株の売却を発表しているが、当欄でも先月に15年の変遷と題し「持ち合い合戦の呪縛から解放」と書いている。この辺に関しては再来月から導入されるコーポレートガバナンス・コードで持ち合いに関して中長期的な経済合理性を説明するよう求める件もあり、今後は持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるか。


4/4付で新WEB版トレードツール「D-タブレット」リリース

北辰物産は、2015年4月4日(土)にタブレット端末に対応した新WEB版トレードツール「D-タブレット」をリリース。「取引メニュー」「相場情報」「チャート分析」を1画面に集約し、これによりタブレット端末でもスムーズに発注までの流れを行うことが可能に。
▼新WEB版トレードツール「D-タブレット」リリースのお知らせ



5月中を目途に「D-タブレット」へ、以下の機能を追加リリース予定。

特殊注文対応(Dip、Duo、連続注文)
集約建玉一覧
テクニカル分析の追加(ボリンジャーバンド、RCI、MACD等、20種類以上追加予定)
クイック入金サービス(D-touchも併せて対応予定)
履歴画面(注文履歴、運用履歴、出納履歴)
各種設定(チャート色、テクニカル設定値、ポーリング間隔)

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この一年

本日はとても暖かく何所も桜が満開となっているが早くも明日からは新年度、4月からはいろいろと変更点があり円安の影響もあって食品類の値上げも各種ある。ちょうど一年前は増税を目前にして彼方此方で駆け込み需要が見られたが、毛色の変わったところで金などもこの類で大手の田中貴金属は3月だけで販売量が前年同期比で5倍以上、石福金属工業も3月は前月比で6割も増えていた。

メタルと言えば本日の日経紙にはパラジウム相場が東京で約4ヶ月ぶりの安値水準になった旨が出ていたが、これも一年前にはウクライナ情勢絡めたロシアの生産への影響や南ア鉱山スト等の影響も重なりCBが発動されるほどの賑わいになっていたのを思い出す。

コモディティーはそれとしてストックの方も大証が大阪取引所として新スタート、またJPX400先物創設を表明したのもこの頃であった。個別ではロボットスーツを手掛けるサイバーダインが上場したのもちょうどこの頃、とこの一年でいろいろな姿を見せてきた株式市場だが2014年度の最終売買日は昨年比で4,379円高、その時価総額は129兆円の増加を見せた。来る新年度はどういった動きを見せるのか引き続き注目される。


ステークホルダーの答え

さて、当欄で「家具屋姫」として今月上旬に書いた大塚家具のプロキシーファイトを巡る騒動だが、先週末に有明で開催された定時株主総会は異例ともいえる注目を集め、周知の通り軍配は娘の社長側にあがり続投が決まることとなった。

この間まさに株価も含めて波乱の約1ヶ月となり、前回も当欄で書いたように父と娘それぞれの世代というかキャラを反映し舌戦を交えたドラマが展開されることになったものの、今回ほどステークホルダーと真摯に向き合う形になったのは創業以来の事ではなかったろうか?

株主総会直前まで大塚家具は新聞に折り込み広告を入れていたが、20日付けのチラシは「快眠ベッドコレクション」と題し、その下のブランド名にはシモンズ等の名門と並びフランスベッドの文字も見られた。同社は直前で会長支持を表明したが苦渋の選択だったのだろうか。ちなみに総会前日の26日付けのチラシのタイトルは「新生活をより素敵に心地よく」であったが、この主要な期である春商戦のエネルギーがこの騒動で消耗された感は否めない。

個人的な感想だが、時として顧客によって態度を変えるような慇懃無礼感漂うその接客姿勢は、一昔前に破綻した某航空会社のCA等にも見られたもので、こういうのが好きな向きにはそこそこ心地の良いものであったかもしれないが、この辺も上記の広告戦略と共に一新されるのか否か、今後の新体制が注目される。


クジラ相場

昨日の日経紙には「日銀、株保有10兆円に」と題して、年3兆円のペースで株式を買い増している日銀の保有株時価が今月に入って東証時価総額の2%弱の10兆円を超え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ大株主となった旨が載っていた。

その買付方法を巡っては具体的な方法が明かされておらずベールに包まれているが、市場ではこれまで前日比1%下落したら買いが入る云々の所謂日銀ルールが度々話題になってきたものだ。今年に入ってからその買い入れ回数は20回になったと同紙には書いてあったがこの執拗な買いが時折踏みを誘いこれまで下げるほどその後の相場の伸びを演出してきた。

ところで大発会はその年の相場の特徴が表れるとよく言われており、今年の場合大発会で前日比200円以上急落していた場面から300円以上も切り返すなどボラタイルな展開となったがその背景はいわずもがな日銀のETF買いであった。これら含めいつの間にかクジラと呼ばれる公的マネーの影響で直近では円相場から米株式W離れまで喧伝されるほど妙な安心感が蔓延している。

しかしその裏で当然ながら並行してこうした官製相場の弊害も同時に指摘され、1990年代の所謂PKOを想起させている事で今後の低迷を懸念する声も多い。もちろん当時とはPER等の指標も相違しており同一線上では測れないが、健全な調整まで意図的に阻止し続ける事になればやはり特異市場が形成され、クジラが政治的利用との烙印を再度押されてしまうのは想像に難くなく日銀の出口戦略等も今後注目されることになる。


純投資とか

さて、昨日の日経紙投資情報面には「日証金、金庫株を消却」として、同社が金庫株として持つ発行済株式総数の6.81%にあたる自己株730万7763株を30日付けで消却すると発表した旨が載っていた。特に大きな資金需要が無く、将来の自己株の再放出による希薄化懸念を払拭する目的という。

この金庫株消却といえば先週末にホチキス大手のマックスもこれを実施しているが、斯様に昨今のROE重視の波に乗って増配などと共にこの金庫株消却も以前に当欄で書いたように彼方此方の企業が実施に踏み切っており、中には背後に控える株主の声に反応したと囁かれる例も結構ある。

ところで同社といえば今月中旬に急騰した経緯があるが、これは旧村上ファンド関係者の投資会社レノなど3社共同で純投資目的として5.03%を保有している旨の報道が為されたことに因る。レノといえばSBIホールディングスの大量取得や、一昨年のアコーディアゴルフTOBに絡んだ件が記憶に新しいが、金庫株消却よりこちらの行方が興味深い。


コロコロ社名

さて、昨日の株式市場で全市場値上がり1位となっていたのは50%の値上がり率でジャスダックのグローバルアジアホールディングスであった。第2位のプロルート丸光の38.1%を超える実に50%という値上がり率というのも凄いが、なにせ先週末の株価が24円だったから12円高で堂々の50%となる。

ココもこれまで記してきた仕手系と共によく社名が変わるので有名なところだが元々は豊国産業なる糸会社で、たしか仕手全盛だった時期のアイビーダイワとか、後のプリンシバル・コーポレーションというのを経て、現社名のグローバルアジアホールディングスになっていると思う。

ところでココは先週に証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反容疑で関係先を強制調査されている。2013年3月期の転結決算等で資産を不正に水増しした有価証券報告書提出の疑いというが、綱渡りが囁かれる企業は所謂ハコの使命?を背負っているだけに何処も上場廃止基準を常に睨んだ動きをせざるを得ない。縦横無尽なファイナンスを繰り広げ再犯もいわれているだけにそのゆくえが注視される。


こちらも転換

さて、本日の株式市場では先週ディー・エヌ・エーと共にストップ高まで買われた任天堂がその後の一服から再度切り返していたが、先に共にストップ高の急騰を演じたのは周知の通りスマホ向けゲームを共同で開発・運営すると発表した事が手掛かりになっている。

任天堂といえばマリオで知られるように世界的人気のキャラクターを多く擁していたことで長らくスマホへの参入が期待されていたものの、経営陣側はスマホゲームの類はコンテンツデフレが激しい等の理由からこれまで慎重姿勢が貫かれておりこの辺の転換がポジティブサプライズとなっている。

同じ値嵩株で最近急騰劇を演じたのはファナックであったが、それの起爆剤になったのは先週はじめにに書いたように長年その閉鎖性が有名だった同社の対話路線への転換。同様の値嵩株にしてストップ高比例配分までになったのには上記の対話路線に転換したファナックレベルのインパクトを市場に与えたということになる。

京都の名門企業にして長年低迷する株価をそのコード番号から「泣くなよ」と揶揄される事もしばしばあったが、この株価急回復が持続性のあるものになるのかどうか、これからの戦略で真価が問われることになりそうだ。