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アパレル今昔

さて、昨日の日経MJ一面には「ワールド 惰性のツケ」と題して、百貨店からショッピングセンターへの販路拡大をいち早く進めるなど先進的な企業と評され、かつてアパレルの雄を誇っていたワールドがリストラを進めるさまが載っていた。

アパレルといえば一部上場モノでも試行錯誤の日々が続いているがこのワールド、一昔前のDCブームを牽引したタケオキクチを擁しその他にも無数のブランドをぶら下げているものの、今思えば確かにその数の裏でブランドの境目が見えなくなっていたような気もする。

しかし同社といえば一頃株式市場でも有力筋として市場を席巻したのも今は昔、自社も10年前の2005年にMBOによる株式非公開化の選択をした際に当欄でこの件を取り上げた事があったが、株主と経営側では立場がまた違うもののこの選択がよかったのか否かいろいろと想いが巡る。


たった4日で450倍化!

先週から崩落が続いている世界の株式市場であるが、本日も日経平均は895.15円安と大幅に5日続落となった。まさに買い方にとっては戦々恐々とした週末であったがやはりショートしている向き以外は明けないほうが良かった悪夢の月曜日になった。

先週末の日経紙には市場関係者による年末までの想定レンジでが出ており、うち一人は下限19,000円を挙げていたが、本日はあっという間にそれを大きく割り込む始末。こんなプロでなくとも先週末辺りは値頃感からマル信で買いを入れた向きも多くこうした鋭角的な下げではこの手が一番厄介だ。

他、オプション市場も阿鼻叫喚の世界。9月物の16000プットなどちょど1週間飴の月曜日にわずか2円だったものが本日のナイトでは一時なんと505円に大化け、その一本前の15750プットに至っては先週の火曜日にわずか1円であったものがやはり本日のナイトでは一時450円と単純に450倍!にも化けている。当然ながらインザマネーだったコールなど4ケタをウロついていたモノがわずか50円以下まで暴落の憂き目に遭っている。

また為替なんぞも然りだが、こんな光景は東日本大震災やリーマン・ショック以来の事、語り継がれる記録がまた作られた感がある。


STAPを彷彿

さて、2020年の東京オリンピックがめでたく決まったものの、擦った揉んだの末にザハ氏による新国立競技場のデザインを白紙に戻すなど当局のお粗末報道が収まらぬなか、今度はオリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに関して模倣疑惑が表面化し渦中のデザイナーに関するニュースが連日にわたって報道されている。

もともとこれはベルギーの国立劇場ロゴの図案そっくりだという指摘から始まったものだが、これに対して記者会見で反論した傍から直近では国内でもサントリーのキャンペーン賞品であるトートバッグの一部のこれまたパクリが表面化し一部認めた事で取り下げから発送中止に追い込まれている。

ところでこんな一連の報道を見ていると思い出すのが、あの理研のSTAP細胞事件か。あの時も当初は論文の捏造が小さく報道されるにとどまっていたものだったが、彼方此方から検証結果が持ち寄られ拡散しあっという間に大事件に発展してしまった経緯がある。ネットが発達している現代は削除履歴始めとし彼方此方から膨大な証拠?が集められこれだけ見せられたらもう逃げられないだろうという気にさえなってくるから怖い。

しかし、これまで大手がバックに控え実績があるとはいえパクリがいわれているものがグッドデザイン賞を受賞したり、今回のオリンピックもまた然りで巨額の金が動くのは想像に難くはない。デザインに対しての考え方が全く違い意志が揺らぐことはないと会見では話していたが、常識的には最後はモラルの問題だろう。


建設ポスト

本日の日経紙投資情報面には、大成建設の時価総額が昨日に一時1兆円の大台に乗った旨が載っていた。上旬に発表した4-6期決算が大幅増益だったのを好感し、以降連日で年初来高値を更新している事に因るものだが、この1兆円超えは1991年6月以来、約24年ぶりの事でゼネコン株全体でも1兆円を超えるのは96年10月の鹿島以来の事という。

建設ポストの地味さから新興市場などのゲーム関連があっという間に東証の老舗企業の時価総額を抜いて大化けする光景と比較するにやや趣を異にするが、個別では下克上の外食産業などでマクドナルドが再上場したすかいらーくに約8年8ヶ月ぶりに抜かれたりと個別では時価総額も浮沈が激しい。

ともあれこんな個別の飛躍もあってか時価総額も1989年12月のバブル期水準の590兆9,087億円を約25年ぶりに上回ってきたが、以前にも書いたようにどうもこうバブル期にあった高揚感が湧いてこない。次々と各種コードが導入の運びとなり、意識改革が進んでいるものの草食っぽい流れでやはりバブル期相応の高揚感が懐かしく感じる。


運用会社新形態

本日の日経紙・一目均衡には「運用会社のガバナンス」と題し昨年来、運用会社は投資家の為の経営をしているのか等と金融庁などを中心に運用会社のガバナンスを問う声が強まり、一部大手が社外取締役を選任するなど業界もそれに呼応する動きが出始めている旨が載っていた。

この辺に絡んでは同じ日経紙の大機小機にも今月上旬に「投信運用会社VS販売会社」と題し、日本の投信残高が100兆円大台を超えるなど利用者層が広がり存在感も増すなどする中で、投信先進国米国とは投信会社と販売会社の立ち位置の違いがある旨を書くなどほぼ同じ内容のものがあったと思い出す。

こうした疑問から先に書いたように新手の運用会社も増殖しつつあるものの、ガバナンスに重きの風潮が近年高まりこうした論議が出てくる背景には、どれもこれも多くの運用会社が親の系列という特異な構図の下で成り立ちその意を汲むようなプロデュースが彼処に為されている事に起因する部分が大きいワケでそうした部分の偏見が無くなる日が望まれるところ。


各種低迷の影響

さて先週末の日経紙夕刊一面を飾っていたようにまたぞろ原油価格が安値更新してきている。13日には一時1バレル41ドル台まで下落し約6年5ヶ月ぶりの安値をつけてきているが、中国景気の減速よる世界的需要減への不安に加え米シェールオイルの高水準の生産やイランからの輸出拡大観測など供給面での材料も積みとなっている。

以前にも記したように原油以外の商品にも下げが広がっており、貴金属など金の国際価格が5年5ヶ月ぶりの安値水準に沈み、またプラチナも6年半ぶりの安値水準に沈んでいる。その金に比べた上鞘のイメージから国内ではプラチナが思わぬ人気を喚起し田中貴金属工業では7月の販売量が前年同月の32倍以上、石福金属興業では同月間平均の3倍が売れるなどしている。

とはいえこんなバーゲンハントの裏でマクロでみれば既に採算割れの深刻な状況から鉱山では大幅なリストラが進行し、上記の原油安では米でもエネルギー関連の社債の一角が崩落しているという。シェール革命の波に乗って大量発行が相次いだ社債市場の咎めで、デフォルト懸念が出ると金融市場を一気に冷さす可能性を秘めておりこの辺は新たな懸念材料でもある。


今年で見納め?

さて、先週末は隅田川花火大会に続いて東京三大花火大会の一つでもある「東京湾大華火祭り」が開催された。この三大花火大会が終わると直ぐにお盆休みモードとなってくるが、昨年はゲリラ豪雨による一昨年の隅田川中止に続いて台風の影響でこの東京湾も中止に追い込まれてしまったのが記憶に新しい。

というワケで今年はそんな鬱憤を晴らすような素晴らしいオープニングからのスタートとなったが、六部に分かれたそれぞれで隅田川では出来ない400メートルの花を咲かせる尺五寸玉が盛り込まれ、また「スライド牡丹」など発色技術と併せ今年もこれまで観た事のないような変わり種が数多く披露された。

ところで昨年も囁かれていた話だが、来る東京オリンピックの選手村を設営する工事着工の影響から会場確保が難しくなる事が予測され、この東京湾大華火祭りは今年を最後に休止してしまうとの話が出ている。30年近く続いてきた風物詩というのもあるが、花火大会は何処もその経済効果もばかにはならない規模だけになんとか関係各所の働き掛けに期待したいものだ。


爆買いに暗雲?

本日の日経平均は前引けにかけて一気に値を崩したが、昨日の場中動向を再現しているかのように酷似した展開となった。これは周知の通り前日に続いて中国人民銀行が人民元の基準値を引き下げたことによるものだったが、SQを控えている事もあって今回もまたボラタイルな展開となっている。

こんなオペをやっておきながら当の人民銀行は上海外国為替市場でドル売り介入を実施したとの報も入っており、株式市場同様により一層管理相場の色が濃くなってきている。しかし世界の市場を振り回しても次々にカードを切ってくる背景には、想定を超す減速感への危機感が窺える。

今のところアジア各国はこのオペに対して直ぐに輸出競争力が影響を受けることはないとみて通貨戦争が勃発するとは想定していない模様だが、アジアでなくとも米などこれの裏側でドル高が長期化すれば経済への影響も懸念されひいては利上げ先送りの観測も出てこないとは言い切れずまだまだ思惑は尽きなさそうだ。


試験上場6年

さて昨日の日経紙社説には「コメ先物存続は農協参加で」と題して日本の農家や業協同組合も、米国の生産者のように先物を利用すべきで取引所も農協や農業法人などに対し市場の役割や利用手法を分かり易く説明し、政府もコメの市場機能をいかし、需給調整に役立つよう積極的に支援してもらいたい旨が書かれていた。

コメ先物については先月も一度触れたが、既報の通り大阪堂島商品取引所が最近の上場大手卸各社の参入等も踏まえて今月に期限を迎えた試験上場の延長申請を農林水産省にし、同省が試験的上場期間を更に2年延ばす事を決めている。

これによって今度の試験上場期限は17年8月、試験上場の期間が6年にもおよび過去にこれ以上の延長事例が無いことから実質的にこの商品にとってラストチャンスとなろうが、先にも書いたように先物の使命は指標価格、相互利点を踏まえて限られた時間を有効に使いたいところ。


巨大化と副産物

先週末の日経紙国際面には「ETF、ヘッジファンド超え」と題して、6月末時点のETF(上場投資信託)運用残高が世界全体で実に計2兆9,710億ドルに達し、投機的売買を特徴とする同時期のヘッジファンドの資産残高計2兆9,690億ドルを初めて上回った旨が出ていた。

この変に絡んで最近の中国株の急落の背景には、当局の厳しい規制を掻い潜って投機的手法を駆使した海外ヘッジファンドが暗躍しているとロイターでは報じているが、ETFも投機的な売買にも用いられこうした株価急落などの一因にもなっているという。

中国の場合は先に書いたようにまた市場構造が先進国とは異なる部分が多いが、本邦でも日銀の執拗なETF買い入れで高寄与度の指数採用銘柄が吸い上げ状態になっており、一昔前の板と今とでは随分と光景が変わってきている。一方でレバレッジ型含め最近もJPX400派生指数連動型のETF3週が上場する等、増殖のペースは衰えない。

こんなことに伴いヘッジファンドの代表的指数とS&P500種株価指数を比べると過去4年は後者が大きく上回りETFなどで株価指数に投資する方が効果的という結果になっている模様だが、斯様な影響力の台頭が市場に今後どういった変化をもたらしてくるのかまだまだ各所でチェックすべき項目は増えている。


資源ショック

さて昨日の日経紙マーケット面には「資源国通貨が下落」と題し、今週に入ってブラジルレアルやマレーシアリンギが対ドルで揃って今年の安値をつけた旨が書いてあったが、他にもロシアルーブルも主要25通貨のうち先週は最も下落して約5ヶ月ぶりの安値に沈み、南アランドも景気減速と物価高が同時進行し約13年ぶり安値に沈んでいる。

この背景にはなんといっても国際商品相場の下落があるが、商品市場の動きを表す代表的な指数であるロイター・コアコモディティCRB指数は今週初めに最近高値だった昨年6月から36%低下、あのリーマン・ショック後に付けた09年3月の最安値をも下回り12年ぶりの低水準になったという。

先週も当欄で銅が最大消費国である中国の景気減速懸念で数年ぶりの安値に沈んでいる旨を書いたが、冒頭の南アランド安で世界生産7割を占めるプラチナもこうしたランド安を背景にした供給増の一方、需要は中国の景気減速等で減退している事で6年7ヶ月ぶり安値水準と一段安、またレアル安で粗糖先物も同じく6年7ヶ月ぶり、コーヒー豆も1年6ヵ月ぶりの安値水準に沈むなど負のスパイラルが広がっている。

負のスパイラルといえば米では最近の相場低迷で運用利回りが急激に悪化、運用資産の縮小と相俟って、商品相場に投資するヘッジファンドの清算・運用停止も相次いでいる模様。また昨日の株式市場でも場中の決算発表がネガティブサプライズとなった資源モノの三菱商事が一気に急落の憂き目に遭うなど斯様にコモディティ価格の下落が世界景気減速懸念イメージを増幅させている。