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如何に持ってもらうか

さて、一昨日の日経夕刊一面では「個人投資家と対話拡大」と題して、有力企業が「対話拡大」などIRの強化に動き自社の株を長く持ってくれる個人を増やし株価の下支えを狙う動きが出てきた旨が載っていた。

この自社の株を長く持ってくれる個人という絡みでは、先週の同紙にて2014年度の株式平均保有期間が8.9ヶ月と前の年度比で3.3ヶ月長くなった旨も出ていたが、14年にNISAが始まったうえ日本企業が増配など株主還元を強め長期投資が報われやすくなってきたためとの指摘もされている。

振り返ってみれば個人の株式保有期間はリーマン・ショックの年まで長期間傾向にあったものだが、この事件以降は「羹に懲りて膾を吹く」の風潮から回転も速くなった事でこれを境にして年を追う毎に短期化が続いていた。この間に企業側も増配など株主増を図る動きを模索していた事が昨今具現化してきた策などから窺える。

こんな機運が背景にあるのかどうか、期末の権利付き最終売買前には先物ショートに現物ロングを組みその後の解消で配当部分を狙う取引も最近では増えてきたという。権利を確保し6月の株主総会に向けての増配思惑が実るかどうか待つといったところだが、今後はキャピタルゲインをもカバーする魅力的な保有特典をどう打ち出せるかこの辺が課題になってきそうだ。


コーヒーカルチャー

さて、暫く行かなかったうちに近所のスタバがいつの間にか改装し小奇麗な店に変身していたが、こういった所謂シアトル系に続いて最近では米国生まれとされるサードウェーブ系のお店も都内ではジワジワと広まってきている。

ところでこのコーヒーといえば約1年前に当欄でもコンビニコーヒーについて取り上げた事があったが、こうした影響も一部にあってインスタントや缶コーヒーが冴えない中でもこの手は拡大を続け、こんなサードウェーブの波に大手飲食企業もグループの子会社や孫会社経由で続々と参入してきている。

もともと淹れ手が手間暇をかけて出す喫茶文化は前から日本にはあったが、こんな光景を見ていると逆輸入のように見えなくもない。確かにこういった中でベリー系の芳香が漂う変わり種などに初めて出逢った時などなかなか新しい感動を覚えたものだったが、こんな広がりで市場拡大の伸び代はまだまだありそうだ。


上場ゴール終焉?

さて、昨日の日経紙・風速計では金融機関が太陽光事業への融資に慎重になってきている旨が載っていた。この太陽光事業と言えば電力関連のベンチャーとして注目されてきたエナリスがあったが、ココは昨年発覚した不適切な会計処理の問題を巡って東証から1月末に特設注意市場銘柄に指定されている。

先の東証記者会見では最近のIPO銘柄の中には数か月で黒から赤に転落させてしまう例もあるという愚行に苦言を呈していたが、既に昨年発覚したこのエナリス問題のあたりから取引所側として何かしらの対策が必要との雰囲気が所内では出ていたようだ。

確かにやり玉に挙げられた企業の他にも数か月で業績を下方修正したり、不明朗な資金の流れが発覚したりした新興企業が多く最近では幹事にまで風当たりが日増しに強くなっていると報じるところもある。既に胴元はもとよりVC等関連機関も厳しい対応に変わってきているというが駆け込みで滑り込んだ向きがこうした部類にならないことを願うところ。


提灯銘柄

週明けの日経平均は売買交錯に方向感定まらず小甘く引けたが、そんな中で本日の値下がり率ランキングの方の上位に入った物には先週先駆して急伸した銘柄群が目立っていた。ACCESSなどもそんな一つだが、これはタワー投資顧問が保有比率を16.07%から14.79%に引き下げたのが材料視されているもの。

この手の提灯モノでは本日は小動きだったものの先週派手に値を飛ばした物として、8日前場で買い気配を切り上げて寄り付きからほぼストップ高の急騰を演じ全市場値上がりランキング上位に踊り出た黒田電気もある。これは7日付けの関東財務局に提出された大量保有報告書で、あの村上世彰氏が同社株を保有している事が判明したことに因るもの。

斯様に中小型の波の中には必ずこうした提灯モノが混じってくるものだが、こうした裏には今月2日に当欄で「IPO錬金?」と題して書いたところの信憑性に乏しい業績予想続出のIPO新興勢の騒動も背景にある。そういった風潮の中で内情把握の思惑が募る著名機関投資家がロングする銘柄への提灯が湧いてくるのも自然な流れと言え、ある意味昨今の疑心暗鬼が生んだ徒花ともいえるか。


優待伸びしろ

さて日経平均は2万円台の大台を指呼の間に捉えているが、そんな地合いのなか昨日は朝方の堅調から一転して急落の憂き目が目立ったのがキティちゃんことサンリオ。この切っ掛けになったのが株主優待の個人情報漏洩について会見との報だったのだが、ベネッセあたりから情報漏洩に関してナーバスになっていた昨今だけに反応も素早かったか。

ところで情報漏洩はさておき、この株主優待が最近企業の間に広がりを見せている。今週あたまの日経紙夕刊でも「株主優待なぜ広がる?」として最近は企業側が優待に力を入れはじめてきている旨が載っていた。この裏には約一週間に当欄で「持ち合い解消促進」と題して取り上げたところの解消後の受け皿としての個人株主の存在という背景も一部ある。

最近では株主優待生活を全面にアピールした一部投資家がタレント扱いされている事も世間の関心を集めているが、確かに優待込では軽く利回り2桁などというものがあり株価的にも実施企業の廃止発表はネガティブ視され、逆に中小型系などは優待復活という発表だけで軽くストップ高まで急騰する事もありこの辺の効果も高い。

こうした利益還元充実に絡んではこれも何度か当欄で取り上げている「日本版スチュワードシップコード」等のコード導入もあり、6月の総会シーズンを挟んで今後もますますこうした気運が加速してゆくのは想像に難くはないか。


時を経て再び

さて、昨日は太平洋戦争末期にアメリカ軍の攻撃を受けて戦艦「大和」が鹿児島県沖で沈没してから70年の節目の日で、広島・呉市では追悼式が、また奈良・天理では慰霊祭が行われた。ところで戦艦と言えばこの「大和」の他に、同じくこの太平洋戦争で米軍に撃沈された戦艦「武蔵」も最近話題になった。

これは周知の通りで、先月マイクロソフトの共同創業者で、8年前から武蔵の船体探索を始めたという資産家のポール・アレン氏が、先月に武蔵の船体を比中部の水深1千メートル地点で発見し、船体の潜水調査の様子をインターネット上で生中継した件。映像を確認した日本の軍艦に詳しい専門家も間違いなく大和型の戦艦で武蔵であると指摘している。

これまで武蔵が撃沈された場所は戦闘記録から判明していたが実際に沈んでいる場所は確認されていなかっただけに奇跡の発見となったが、奇跡の発見といえば同じ3月には100年以上も行方が知れなかった江戸時代後期の浮世絵の巨匠、葛飾北斎の傑作「隅田川両岸景色図巻」も発見された件も報じられている。北斎壮年期の肉筆画の傑作ともいわれるだけにこちらも一般公開が待ち遠しいところである。


伝統的モデルからの移行

本日は日本取引所グループがCEOである斉藤氏が退任し、東京証券取引所の清田社長が次期CEOに昇格する人事を指名委員会で内定した旨を発表している。月末の取締役会で決定し6月の株主総会を経て就任というスケジュールだが同取引所の発足から2年余り、アジアの中核的市場構築を進める狙い。

アジア中核的市場構築という事だが現状で時価総額は昨年半ばで世界7位、同じアジアでは香港取引所が世界2位である。また昨年の現物株売買代金は世界6位で同じアジアの上海や深圳の中国主要取引所を下回っているのが現状。関係強化も視野に入れつつ海外マネー誘致もキーになってくるが、これに先駆け同氏は出遅れたデリバティブ分野の強化を急ぐのが課題という。

確かに欧州等を見ても上記時価総額で世界第4位だったドイツ取引所は、傘下に擁するデリバティブ部門の売上高全体に占める割合は4割に達し、現物株の売り上げは1割に満たないなどデリバティブで先行している。新CEOの経歴は大和で伝説の債券トレーダーだったという事だが、マーケットの精通者としてどうマネージメントしてゆくのかその手腕が注目される。


兆超え再び

さて、先週木曜日の日経紙一面を飾っていたのは「LINE、上場申請」の文字。このLINE、昨年の上場申請の際には注目度と時価総額の高さであのリクルートと共に当欄でも取り上げた事があったが果たして予定通り上場したのはリクルートの方で、このLINEは11月上場がいわれていたものの2ヶ月そこそこで上場見送り発表をした経緯がある。

そんな一件から新年度入り早々の再上場報道は株式市場でも関連銘柄に取っては格好の蒸し返し相場を提供することとなった。ザッと挙げても引けまで寄らずにストップ高比例配分となったアドウェイズ、それにエムアップやメディア工房もストップ高まで買われ、昨日年初来高値を取ってきているネットイヤーグループや本日年初来高値を取ってきているラクーン等々数多くの銘柄の急騰を誘った。

今後は当然ながらここから選別色も強まって来ることになろうが、なにせ月間アクティブユーザー数が約1億8,100万人、14年12月期売上高は863億円、その時価総額は上記の通り1兆円超えともされるだけに一過性の蒸し返しで終わる事はないだろう。また金融機関の入出金、株などの購入も視野に入れているとされるだけに業界としても今後の展開が注目されるところ。


IPO錬金?

さて今週気になったものとしては、一昨日に日本取引所が一部のIPO企業の上場直後の業績下方修正や不正発覚などが相次ぎ市場不信を招いている問題で緊急の対策を公表した件か。証券会社や監査法人と協力し上場時の業績見通しを開示する際に具体的根拠を示すよう企業に求め、主幹事証券にも上場時期が集中しないよう分散を求める旨の内容。

その記者会見では、「3ヶ月で決算数字を黒字から赤字にしてしまうなんて経営者としてはありえない」と直近で上場したスマホゲームのgumiがやり玉に挙がっていたが、取引所も通したでしょ?という疑問はさておき、確かにこれは上場後の株価といいディスクロといいまさに昨年のジャパンディスプレイを彷彿させる酷さであった。

そんなこともあって丁度一週間前の日経紙では、2015年のIPO銘柄17社のうち10社で25日の株価が初値を下回るなど低迷感漂う旨が書いてあったが、関係者の売り逃げも一部噂されるなどやはりセカンダリーが嵌め込みなど錬金場になるようなIPOは問題だろう。ちなみに今月のIPOは10社が予定されているが、新興市場にリスクマネーを供給する市場使命の裏でどう監督してゆくかが今後課題となろうか。


持ち合い解消促進

新年度入りとなった日経平均は日銀短観を受けて続落スタートとなったが、昨日末尾に書いたように2014年度の日経平均上昇率は約3割に上った。本日の日経紙にはこの間株価上昇を牽引した主企業が、値上げ力・訪日外国人増、高ROE・株主還元強化、米景気回復・大型投資の項に分かれて幾つか挙げられていた。

こうした事も寄与して大手銀行5グループと大手生命保険4社が持つ株式の含み益も2015年3月期末で、計18兆1000億円と前期末比で8兆円強増えその増加率は8割に達している。とはいえこうして含み益が膨らむ裏で、近年重視されるROE等の観点からは持ち合い株を保有する合理性が一段と問われるとも日経紙では指摘されている。

先に個別ではH2Oリテイリングが同業の高島屋株の売却を発表しているが、当欄でも先月に15年の変遷と題し「持ち合い合戦の呪縛から解放」と書いている。この辺に関しては再来月から導入されるコーポレートガバナンス・コードで持ち合いに関して中長期的な経済合理性を説明するよう求める件もあり、今後は持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるか。


4/4付で新WEB版トレードツール「D-タブレット」リリース

北辰物産は、2015年4月4日(土)にタブレット端末に対応した新WEB版トレードツール「D-タブレット」をリリース。「取引メニュー」「相場情報」「チャート分析」を1画面に集約し、これによりタブレット端末でもスムーズに発注までの流れを行うことが可能に。
▼新WEB版トレードツール「D-タブレット」リリースのお知らせ



5月中を目途に「D-タブレット」へ、以下の機能を追加リリース予定。

特殊注文対応(Dip、Duo、連続注文)
集約建玉一覧
テクニカル分析の追加(ボリンジャーバンド、RCI、MACD等、20種類以上追加予定)
クイック入金サービス(D-touchも併せて対応予定)
履歴画面(注文履歴、運用履歴、出納履歴)
各種設定(チャート色、テクニカル設定値、ポーリング間隔)

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この一年

本日はとても暖かく何所も桜が満開となっているが早くも明日からは新年度、4月からはいろいろと変更点があり円安の影響もあって食品類の値上げも各種ある。ちょうど一年前は増税を目前にして彼方此方で駆け込み需要が見られたが、毛色の変わったところで金などもこの類で大手の田中貴金属は3月だけで販売量が前年同期比で5倍以上、石福金属工業も3月は前月比で6割も増えていた。

メタルと言えば本日の日経紙にはパラジウム相場が東京で約4ヶ月ぶりの安値水準になった旨が出ていたが、これも一年前にはウクライナ情勢絡めたロシアの生産への影響や南ア鉱山スト等の影響も重なりCBが発動されるほどの賑わいになっていたのを思い出す。

コモディティーはそれとしてストックの方も大証が大阪取引所として新スタート、またJPX400先物創設を表明したのもこの頃であった。個別ではロボットスーツを手掛けるサイバーダインが上場したのもちょうどこの頃、とこの一年でいろいろな姿を見せてきた株式市場だが2014年度の最終売買日は昨年比で4,379円高、その時価総額は129兆円の増加を見せた。来る新年度はどういった動きを見せるのか引き続き注目される。