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MBO考

今週は週初の日経紙に、「取締役の株主軽視に警鐘」と題しシャルレがちょうどあのリーマンショックの頃に実施したMBOの頓挫で会社に損害を与えたとして株主が当時の取締役に賠償を求めていた件で、神戸地裁が初めて当時の取締役の賠償責任を認める判決を出した旨が載っていた。

MBOといえば近年では先に再上場したすかいらーくや同じ外食の焼肉の牛角を擁するレックスHD、芸能関係ではホリプロや吉本興業、ワインのエノテカやレンタル屋のCCCから引っ越しのアートコーポレーションまで名の通っていた上場企業が一昨年あたりはMBOによって市場から姿を消すパターンが急増した記憶がよみがえる。(そういえば業界のユニコムもMBOで上場廃止の選択をしたなと。)

上記のシャルレは経営陣と一般株主とで価格を巡る思惑があまりにも違った事が問題だったが、このパターンでは出版の幻冬舎もTOB期間に突如として3割もの株式をおさえたケイマン籍のファンドがそれを盾に異議を唱えた件が記憶に新しい。こんな揺さぶりからワインのエノテカのように香りにつられてインサイダ−取引に手を出し摘発された小物まで何かとMBOの舞台裏ではドラマがあった。

この訴訟で問われたのはあまりに株主利益を軽視した取締役の行為という点だが、これらふまえ来年施行予定の改正会社法では取締役には少数株主に配慮して取引内容を承認する等新たな手続きが課されることになる。先には日本版スチュワードシップコードなる行動指針が投資家に導入されつつあるが、株主側に立った行動原則も近年徐々に変わりつつある。


老舗と相乗効果

さて、先週の当欄では「フュージョン料理」と題してユネスコの無形文化遺産に登録されたことで更に世界中で和食ブームに拍車がかかっている旨を書いていたが、和食といえばちょうど先週末の日経紙一面には「老舗料亭「なだ万」買収」と題し、アサヒビールがなだ万を買収する事になった旨が載っていた。

アサヒは料亭経営参画で得たノウハウを外食産業への営業や経営支援に生かしてゆくというが、大手飲料の外食事業買収はサントリーくらいしか聞いたことがなく、アサヒの件はなだ万という名前と併せてけっこう新鮮なニュースであった。

一方のなだ万は営業基盤を安定させ海外への出店を積極化してゆくという。海外といえば日曜日の日経紙でもフランスで輸入規制緩和を受けて和牛が店頭に再び並び始め、国民議会の議員有志は日本酒愛好会を立ち上げるなど和食人気の裾野が広がっている旨が取り上げられており、この辺絡めて機運とみたようだが今後どのような展開になるのか楽しみである。


サンゴバブル

さてこのところ問題になっていた小笠原諸島や伊豆諸島周辺での中国漁船による赤サンゴの密漁だが、最多観測だった先月末から今週にかけてはこの泥棒連中の船が大きく減っている模様だ。この件、10日の日中首脳会談以降にこうした事が顕著になるなど潮目が変わった事でいろいろと思惑も出ている。

密漁対象になるほど魅力的になってしまったその価格だが直近では入札価格が3年前と比べて2.6倍に膨らんでいる模様で、とりわけ赤サンゴは白サンゴの100倍以上になるという。中国ではコモディティー投機でも毛色の違うものとして、ここ数年プーアール茶から新型インフルエンザが出てきた時には唐辛子やその価格が前年同期比で120倍以上になった大蒜が投機対象になった件が思い出されるが、儲かると思えば果てしなく煽るキャラが如実に現れている。

しかしこうした単純な投機熱なのか、上記のように政治的な背景があるのかその辺は不明だが何れにせよ相変わらず世界へ醜態を晒し続けていることに変わりはない。


還元機運

本日の日経平均は、市場予想に反してマイナス成長となった7-9月期GDPを受けて16,973.80円と前週末比500円以上の急反落となり5日ぶりの大幅反落で取引を終了した。日経平均へ寄与度の高い銘柄はもとよりほとんどの銘柄が売られていたが、一方でこんな日でも年初来高値を更新している銘柄もあった。

富士フィルムホールディングス等がそれだったが、この辺は日銀のサプライズな金融緩和第二弾で総上げとなった銘柄群とは違い持続的な上昇が特徴となっている。これは先週の日経紙にも「電撃緩和より株主配分」と題してキーエンスやヤマトホールディングス等と共に同銘柄も上がっており、このヤマトホールディングスもやはりこの悪地合下で年初来高値を更新している。

この株主配分、上記の富士フィルムは今年度から配当と自社株買いを通じ2,000億円強を株主に還元と発表しているが同実施期間の純利益が3,000億円見当とされているから約70%程度を株主に戻す計算となる。株主還元といえば先にサプライズな100%還元を発表したアマダがあったが、直近ではインテリア大手のサンゲツが3年で純利益の100%以上を配当や自社株買いで還元すると発表しておりまさに挙ってという感がある。

この一連の動きの先にはやはりROEという一つのテーマがちらつき上記もサンゲツなどのそれは東証平均の半分程度という現状の問題を抱えている。何度も挙げてきたJPX日経インデックス400の登場が如何に企業を刺激し資本効率の向上を意識させているかだが、来週には同指数も先物の上場を控え今後もますますこうした動きが広がるのは想像に難くない。


フュージョン料理

さて、今週あたま迄にユネスコの無形文化遺産に登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」の認定書をユネスコ事務局長が文部科学相に手渡すはこびとなった。こうした動きが世界で巻き起こっている和食ブームに拍車をかけ、なかでも寿司などは人気が不動のものになりつつある。

過日もTBS系で「世界に巻き起こる寿司ブーム」として全国寿司商生活衛生同業組合連合会と国際すし知識認証協会が主催する「ワールド寿司カップ」の模様が放映されていたが、今年は12か国が出場した模様で独創的な素材を用いたなんとも創造性のある作品?が並んでいた。

今や定番となっているアボカドをはじめとして、例えばチェコの職人はウニが手に入りにくい為にカボチャでウニを、グリーンピースでわさびを表現した軍艦を、またブラジルの職人は生ハムにチ−ズ、そして仕上げにコアントローを垂らすなど一度トライしてみたいと思わせるような作品もあった。

一昔前にはお笑いのネタになりそうな見様見真似の和食屋が世界各地で見られたものだが、今や隔世の感。既にアパレルでは世界同一規格を謳いつつも現地の嗜好性を取り入れたラインナップを展開するのが普通になってきたが、上記のように漸く食の世界も旨みの文化がその地の料理と融合し新しい物を創造してゆくという形態が整ってきたように感じる。


消えゆく歴史

過日所用があって横浜に行き日本大通り近辺を通った際に思い出したのだが、この辺で最古とされる1910年に完成した旧「三井物産横浜支店倉庫」の解体工事が最近着手された件がある。地元ではこのところ保存を求める声が上がっていただけに、いろいろと物議を醸している。

明治末期に建てられ輸出用生糸を収めていたこの倉庫、関東大震災の被災を免れその後の貿易復興の先導的役割を果たした貴重な遺産として知られていた上、国内では現存例がほとんどないレンガや木造、鉄筋を組み合せた混構造と技術的面でも可也の価値があっただけに建築関係者からも惜しむ声が上がっていた。

生糸といえば8年前には生糸先物を上場していた横浜商品取引所もひっそりとその100年以上の歴史に幕を閉じたが、それはともかくも他にも旧帝蚕倉庫もリーマンショック後には同じような憂き目に遭い、横浜松坂屋本館、日本ビクターの工場など歴史的建造物の取り壊しが相次いできた。いろいろ事情があるのだろうが行政としては為す術がなかったのであろうか一連の件は甚だ残念である。


体質

本日の日経紙には「証券、顧客と長く深く」と題して、野村や大和など証券各社が金融資
を手厚く持つ高齢の顧客等と長く深い関係を築くために営業正社員の定年を最長で70歳まで伸ばしたり、遺産相続等の相談に乗る専門家を支店に置くなどという試みに取り込んでいる旨が載っていた。

斯様に短期的な証券売買による手数料収入への依存から脱して個人投資家との信頼関係を重視した質の高い営業への転換を目指すとしているが、この課題はもうバブル崩壊後あたりからいわれて久しいが結果的に収益構造はあまり変り映えがしていないのが実情か。

確かに一昔前の仕切りや不抜け売買の営業など、入社してくる新卒はその言葉さえ知らない向きも多いだろうがやはり回転してナンボの部分は要だ。販売にしても証券会社や銀行は今が旬となっている投資家人気の高いテーマものを次々と新しく設定、リスクの大小に関わらず大々的に営業をかけ旬が過ぎれば解約の嵐だが、その頃は既に営業の主力からは外してしまっている。

この辺が手数料稼ぎの道具という批評が多くなる所以だが、それでも並行してここ数年で漸くいくつか販売手数料無しなど投資家目線を謳うファンドも出てきている。とはいえ純資産額はまだまだ僅かで、今後数十年にわたって続いてきた上記の構図に変化が出てくるや否やこの辺の動きが注視される。


試金石

先週末の日経紙マーケット面には「日銀頼み裏で進む選別」と題して、先月末の金融緩和決定に従って決定後初となる5日のETF購入額が10月平均の147億円の約2.6倍の380億円に達したことが出ており、その辺と併せて日銀頼みの株高期待が広がっている旨が載っていた。

ところで文中には、週末から週初にかけての総株高の中にあってもジャスダック上場の日銀株は反応薄であったとも書いてある。確かにサプライズな発表があった31日の出資証券価格は前日比マイナスで引けており出来高も過去数日と変わらずと、前回の緩和時とは価格も出来高もまるで様子を異にしていた。

上場銘柄とはいえ株主総会もなければ議決権もない所謂普通の株式会社ではない日銀のそれは正確には出資証券ということで当欄では常にそう書いてきたが、その価格は長年円の信用力を測る目安とされ、また相場全体を映す鏡とも言われてきた。昨年3月に当欄でこれを取り上げた際には、「白から「黒」への交代劇で今後の政策もこの出資証券と併せ注目されてゆくことになろう。」と書いたがここからが正念場になるか。


ドミノ再編の契機?

さて今週は週明けの日経紙一面を飾っていた通り、横浜銀行と東日本銀行が共同持ち株会社を作り両行が傘下に入るような格好で経営統合する方針を固めた旨の発表があった。この横浜銀に関しては静岡銀や常陽銀などと共に長年にわたって常に統合のうわさが燻っていたものだが、いよいよ現実のものとなったか。

地銀に関しては当欄でも今年8月に「低PBR離脱」と題して書いた際に「地銀は業績回復の期待のかかるゼネコンと違って利益成長への手詰まり感が否めない。こちらはこうした方向性が出てこない限り、暫くは再編思惑がこの辺の切っ掛けとなろうか。」としたが、果たしてこの日の値上がり率ランキングでは東日本銀行が東証一部で一時トップに躍り出る急騰となり、横浜銀行も続伸となっていた。

上記の通り当欄で触れた8月から2ヶ月一寸で先ずはこの両行が出てきた格好になったワケだが、人口減などで地銀経営環境は厳しさを増しているなかそうした波もいよいよ首都圏行にも波及、これまでと違って健全経営とされた二行の統合で攻めの時代に入った感もあり市場では早くも次の候補探しが始まっている。


金低迷の裏で

本日の日経紙商品面には「金、4年3ヶ月ぶり安値」と題し、昨日も書いた先週末の日銀追加金融緩和によるドル高進行でドルの代替資産と位置付けられる金市場から資金を引き揚げる動きに拍車がかかり、金の国際相場が一段と下落し4年3ヶ月ぶりの安値になった旨が載っていた。

ところでこの金といえば上海では外国人投資家に市場を解放し、また最近金を活用した金融サービスが熱を帯びているシンガポールでは先月13日に現物の受け渡しを伴う金先物取引を創設するなどアジア各所で取引所が相次いで開設された旨の記事も先月の同紙で見掛けた。

斯様な動きのあるアジアではあるが、上記のような相場低迷期という事もあってこれまでのところは東京商品取引所にはまだ脅威にはなっていないという。ただこれらは政府の肝煎りのプロジェクトといい、この背景にはアジア価格指標を巡る意図も見え隠れするだけに本邦も新たな一手が求められようか。


11/4より値洗益金での新規建玉が可能に

日産センチュリー証券は、2014年11月4日(火)の夜間立会より『値洗益金』での新規建玉』が可能に。

▼証拠金取扱いの一部変更について〜値洗益金での新規建玉が可能になります〜


【ご注意ください】
・値洗益金での新規建玉が可能となる事から、資金効率は高まりますが、相場変動等によりお預けいただいているご資金以上の損失が発生する可能性が高まりますので、 建玉管理には十分ご注意いただきますようお願いいたします。
・値洗益金は『出金』する事ができませんので、予めご了承ください。

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11/4付でスマホ・タブレット版専用アプリの提供開始

日産センチュリー証券は、2014年11月4日より専用アプリ「アクセスCX for Smartphone & Tablet」の提供開始。

▼『アクセスCX』商品先物専用トレードアプリが遂にリリース!



本アプリは、どなたにでも分かりやすく、軽快な操作性を備えつつ、PC版ツールのアクセスCXウェブのような多彩な注文機能、売り買い6本の気配値を表示可能な板情報、ティックや分足等が選択できるリアルタイムチャートを搭載した本格的な商品先物専用アプリです。アクセスCXに口座をお持ちのお客様なら、どなたでも無料でご利用いただけます。

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