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変貌する構図

さて、本日の日経紙総合面には「電力、値上げ機運広がる」として関西電力が東電に次いで電気料金の値上げに踏み切る方針を明らかにしている旨が載っていた。ご存知原発再稼動が進まず他の燃料調達費等の上昇で今回の方針となった模様だが、今後は他電力が追随するかどうかが焦点となってくるようだ。

斯様な状況に絡んでは二酸化炭素排出量も何れ問題になってこようが、他にも大口ユーザーも値段によっては越境云々の話が出てくるかもしれないところ。そうなるとそれはそれでまた各社競争というか鎬を削るということになるが、各社それぞれ今後の舵取りが注目される。

このユーザーも財務改善が急務となっている中の値上げで負担は増えるばかりであるが、そんなところから株主まで皺寄せが及び配当の方も先に無配表明した東電に次いで実に61年振りに無配方針としているこの関西電力や北海道電力などもある。他に九州や東北、四国もこれらに追随するか検討中とも伝わっておりその価格と共にいよいよ長年君臨してきたディフェンシブの地位も終焉を迎えることになるか。


懐かしの食事処

本日の日経紙金融面には平和不動産が兜町の「東京証券会館」を買収する方針を固めたとの記事が出ていた。なんでも三菱地所と共同で取り組む兜町・茅場町周辺の再開発事業の基盤を固める狙いがあるとのことで買収総額は60億円という。

ところでこの東京証券会館といえば、ここの一階にあった「JASDAQ-OSEプラザ」が東証と大証が来年1月に統合することから12月末を以って閉鎖する報道もあった。日頃から証券関係者や投資家の図書館?となっていた他、JASDAQへの新規上場企業が式典等を開くなどこの界隈でも馴染みがあったところでまたもこうした場所が消えてゆくのは寂しいが東証にそのまま移るのだろうか?

もう一つ余談ながら、この証券会館といえばまだ市場も人も活気があって派手な仕手戦が堂々と横行していた良き?時代には上のレストランにて頻繁にビジネスランチを食していたのが思い出される。いろいろな紳士?が鉢合わせになったものの此処では暫し休戦、夫々が此処で一時の休息を楽しんでいたものだ。

今年の6月には「兜町もまた」と題してこの界隈の風景が急速に変わってきている旨を書いたことがあったが、一つ消え二つ消えでこの証券会館もゆくゆくは建て替えなどでこんな市場の数々の戦を見てきた思い出のレストランも上記のJASDAQ-OSEプラザ同様無くなってしまうのであろうか?


復古気運

神無月もあと一週間で終わるが、今月は周知の通りJR東京駅丸の内側の赤レンガ駅舎が約5年間の修復工事を終えて前面開業の運びとなり特徴的な南北のドーム型屋根を備えた重厚な外観が復活、約100年前の創建当時の姿が忠実に蘇った。既にホテルや物販店の出だしも好調、近隣商業施設も相乗効果で賑わい早くも都内有数の観光スポットとしての存在感を高めている。

ところでこの手の復元駅といえば、浅草駅も最近約80年前のネオ・ルネサンス様式のレトロ調にリニューアルさせたばかりだが、他にも明治時代に造られた旧万世橋駅遺構の再整備等もこの手の部類で、何時だったか日経紙「春秋」で開業当初のレトロな建物をもう一度表舞台に立たせたいとの思いから、当初の形を復元した逆コース型の階層が各地で増えている旨が書かれていたのを思い出した。

この東京駅近くの三菱一号館などもやはりそのパターンだが三菱といえば、日本橋郵便局に隣接する三菱倉庫本社ビルも解体からリニューアル真っ只中である。同建物は表現派風建築の代表的作品として東京都選定歴史的建造物の選定を受けていた物だったが、何でも老朽化で高層ビルに建て直すとか?何とか此処も上手くかつてのイメージを残せないものだろうかと淡い期待を抱くところ。

しかしこの界隈もこの手のレトロな建物が多く、例えばこの三菱倉庫と同時期の物にはこの三菱の通称「客船ビル」に対して野村證券の通称「軍艦ビル」なる同社本店ビルも近所にある。これも一寸見ない間に取り壊しが決定等という可能性が全く無いとも限らないワケだが上記の「春秋」で謳ってあったような流れが続くことを望みたいものだ。


心理系も変化

本日の日経平均はさすがに反落し先週からの連騰記録は途絶えることとなったが、それでも米株式の243.36ドル安の急落を考慮すれば後場は一時プラス圏に浮上する場面があるなど売り方に回っている向きには些か気味の悪い異様な強さを見せている。

この辺は週明けも先週末の米株式が205.43ドル安となっていたにも関わらず週明けの日経平均が続伸となったあたりにも現れているが、本日の日経紙「チャート&データ」にはクレディ・スイスが世界の株式や債券の動きを基に算出する「リスク選好指数」が、直近で4/18以来6ヶ月ぶりの水準まで上昇するなど投資家のリスク許容度が改善している旨も出ていた。

VIXやオプション、VIなど外部環境の3極追加金融緩和もあって一頃は不気味な低水準が続いていたが、これらも含めて近年はリスクオフなどのスタイルがあのリーマンショック時とはまた違ってきているのではないだろうか?最近はヘッジファンドも苦戦と聞くが、レバの低下でこれら指数の反映度もまた違ったものになっているのではとも思うし、この辺を頭に置いて今後の心理系を見てゆきたいところ。


貴金属の効用

本日の日経紙マーケット面には「金、投機資金が流出」と題してここ直近で金の国際価格が続落している旨が載っていた。これらファンドの利益確定売りや株安の抱合せリバランス要因との見方だが、世界的な金融緩和の流れから今後は再度上昇基調が回復するとの観測も多い。

さて相場観は兎も角も、貴金属といえば最近はその効用?について目に付く機会が多い。今月の日経「私の履歴書」を執筆している有機化学者根岸英一氏の先週の項では、パラジウムは触媒活性が十分に高いだけでなく結合部位の選択性がほぼ100%で、パラジウム触媒はクロスカップリングに最も適している旨が書いてあった。

このPGM系では先週末にも東大教授らが触媒や燃料電池、電子機器等の材料に使用する白金を効率よくリサイクルする技術を開発した旨の報もあったし、上記の金はその特性を生かしインフルエンザ等のウイルス診断や妊娠検査まで幅広く応用出来るという。再来月には当社等の運営で品川コクヨホールにて「TOKYO GOLD FESTIVAL’12」が開催される予定となっているが、こんなマルチな才能に思いを馳せてフェスタに臨むのもいいかもしれない。


売りの啓蒙

さて、今週の日経ヴェリタスの一面には「売り を究める」とのタイトルとなっている。近年の低迷極める株式市場で「買い」以上に「売り」のあらゆる戦略が重要になってきていることを利食いやヘッジ売り等交えて書いてあったが、昨今漸くこの手の題目が踊るようになってきたなという感じ。

そういえば今月の上旬であったか日経夕刊の「ウォール街ラウンドアップ」には、空売り王とされるグリーンライト・キャピタル率いるディビッド・アイホーン氏の数々の実績が書いてあったが、一方で日本では売りで取った事例の記事といえばインサイダー絡みとか、若しくは踏み上げに遭えば天井知らずで損失無限大といったネガティブな報道ばかりでマトモな戦歴?が紹介されているのは見たためしが無い。

コモディティーを一寸触った向きはショートに対する抵抗は然程感じない場合が多いが、まだ場立ちが居た頃の証券マンなど新規で売りの注文なんぞ取ってくると支店長に烈火のごとく叱られるシーンも多く相場の上手い奴ほどこれで衝突して辞めていった輩は多く、現状でもやはりエントリーはロング一辺倒でショートに関しては一般的にイメージが悪い。

今月の「投資の日」にちなんで諸外国に比べて著しく低迷している本邦市場の現状を幾度か取り上げたが、その土壌もさることながら投資家サイドもまた金融リテラシーの低さは他に比べて否めないところで、特に上記の「売り」に関してはツナギでさえ知らない向きも多くここ数年のインフラの劇的な変化に比べ驚くほどこの分野は旧態依然といった感じである。環境変遷と共にこの辺も今後啓蒙が進んでゆくのかどうか気になるところではある。


11/5より委託者証拠金ルールを変更へ

北辰物産は、11月5日(月)日中立会より委託者証拠金ルールを変更へ。

▼北辰物産:委託者証拠金の取り扱い変更のお知らせ


▼注文可能金額における値洗の取り扱いにつきまして

[現在]注文可能金額の計算における値洗いにつきましては、大引け時の値洗いを適用しております。
[変更後]立会中の値段の変動に応じてリアルタイムの値洗い金額を算出し、注文可能金額の計算に適用いたします。

▼新規注文の取り扱いにつきまして
[現在]発注時の保有ポジションに関わらず、プライス・スキャンレンジに発注枚数を乗じた金額分の注文可能金額がないと発注できません。
[変更後]未約定新規注文を約定したものとみなして既存建玉と合算した必要証拠金を「発注時必要証拠金」とします。
「発注時必要証拠金」−「(現在の建玉維持に必要な)必要証拠金」<注文可能金額であれば発注可能となります。

▼取引画面上での口座情報(預証拠金状況)表記内容の変更項目につきまして
委託者証拠金の取り扱い変更に伴い、取引画面上での口座情報(預証拠金状況)表記内容の変更がございます。

(現在)注文中証拠金 ⇒ (変更後)発注時必要証拠金
(現在)返還可能金額 ⇒ (変更後)出金・出庫可能金額(※)

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回復の鍵

昨日はコスト削減の動きから本邦では重複上場解消が進行している旨を書いたが、株式といえばその取引自体が世界で減少している旨を昨日の日経紙一面では載せており、2012年7-9月の売買代金は約7年ぶりの低水準に落ち込んでいるという。3極の追加金融緩和政策で市場への資金供給は増えているものの、その中身はさっぱりといったところか。

しかしそれでも米国のDOWなどほぼリーマン・ショック前の5年前の水準まで回復を見せており、独や英などもそれを追うような戻りの軌跡を歩んでいるのに対し、方や本邦はこれらと比べるに5年前の半値ほどの水準であり、個別でも主力株で数十年ぶりの安値が続出している有様とその凋落ぶりが鮮明である。

上記の通り世界中で売買代金落ち込みなど不振を極めているという器の間でも、斯様に日本からは株式然り投信然りマネーの流出が著しい空洞化?現象ではこの先が思いやられるというものだが、「投資の日」にも書いたように関係当局がどの程度この辺の環境というか事態を深刻に捉えているかが焦点だろう。

インサイダー取引問題一つ取っても野村證券が実質過去最高額の過怠金云々が喧伝されていたが、過怠金規定上限の5億円を下回る水準としたことには証券会社自身によるインサイダー取引ではないという認識が昨日の日証協の記者会見で言われており、この辺は同協会がこの取引に関わった社員を外務員資格の剥奪も検討としているあたりにも窺える。

ちょうど一週間前には総じて金融業界は顧客と企業が利益相反の構図になっている部分が多いとも書いたが、この手の魔女狩り的見せしめで封印してしまうのもまたこの業界の特徴で協会も上記のようにある意味同調している部分等この先自浄されてゆくのだろうか?こうして挙げると幾つでも出てくるが、土壌という部分でこの辺は今後も注目して見て行きたいところ。


地方への皺寄せ

昨日の日経紙夕刊一面には、企業間で複数の証券取引所に株式を上場させる「重複上場」を解消する動きが加速してきた旨が載っていた。本年度はこれまでに昨年度の29社を3割強上回る39社が新興市場を含めた取引所の重複上場解消を決めたというが、大きなところばかりが記憶にあったので改めて数字を見ると随分と多いものだなといった印象である。

この重複上場については当欄でも2年前に触れたことがあったが、その当時は1999年に1,042社あった重複上場が昨年には773社に減少した旨を書いていたが、その辺の動きが依然として加速しているという構図か。主因としてはやはり上場維持コストという問題になってくるがこの辺はMBOもまた然りといったところであろうか。

さてそうなると地方取引所も一段と厳しい状況になってくるが、好景気のときならいざ知らずこんな時世ではこうした流れは当然か。そういえば余談ながら業界でもMBOを実施したところあり、また地方市場とメインマーケットでトコロ相場を演じた経緯のある企業もあるが、この辺もゆくゆくは一本化の動きへ纏めてくるのかどうか注目したい。


円高と商機

さて、昨日は凪のような相場になってしまったJALを冒頭で挙げたが、それとは逆にこのところボラタイルな相場を演じているのはやはりソフトバンク株か。先週末からの急落のあと本日は一転して急反発を演じているが、イー・アクセスに続く矢継ぎ早の大型買収で最近は紙面を賑わせている。

しかし英ボォーダフォンのときの兆単位の買収もそうであったが相変わらずのレバレッジ買収は凄い。今回もボーダフォンのときとほぼ同額となるがやはり同社社長とは感覚の違う個人株主は戦々恐々、そんな投げもあって直近の株価急落からその時価総額は春先から差が広がっていたKDDIを一気に下回る場面も見られた。

数々の有言実行を成し得てきた氏だけに今回の決断が奏功するのか否か急変動の時価総額と共に注目されるところだが、こんな通信業界以外でも大型買収案件といえば最近は消費関連企業なども積極姿勢を取っている。レコフの集計によれば今年4-9月の消費関連企業のM&A金額は前年同期比51%増といい、やはりこの背景は円高が後押ししている部分が大きいとつくづく、現在水面下で交渉中の案件も近々表面化してくるかどうか今後に注目である。


鎖国継続?市場

本日も株式市場は方向感の無いまま円の弱含みを手掛りに辛うじて小反発となっていたが、先月に上場したJALも上場直後でこそ乱高下を演じたものの、先週からは日足で連日コマを描きすっかりとボラの無いおとなしい銘柄になってしまった。

ところでこのJAL、直近で証券保管振替機構が公表した資料で発行済み株式の約4割を外国人が保有していることが先に判明している。先の売り出しで海外割り当てが25%であるから再上場後の手当てとなるが、航空法によって外国人の議決権割合は三分の一未満に抑えなければならない所謂「外資規制」の問題で規制超過分は配当等一部失う恐れがあるという。

こんな規制は何も航空に限ったことでなく、この辺ザッと挙げてみても「放送法」、「電波法」、「貨物利用運送事業法」等々あり、数年前も英投資ファンドへのJパワー株式の追加取得中止勧告や、豪ファンドの日本空港ビルでもまた似たような経緯があった。他にもタイトなところでは証券取引所なんぞは外国人が議決権の五分の一以上の株式を所有出来ない事になっている。

近年では優先株の無議決権株式なども登場しているが、総じてこの辺に引っ掛かる物には半官・半民だったものが多し。当時諸般の事情があったのかどうか場当たり政策や天下り先確保の用が疑われる向きも多く、本当に民営化の必要性があったのかどうか疑問視される物も多い。海外と違ってスポーツクラブなども上場する素地は皆無で、グリーンメイラーのようなファンドならいざ知らず資本市場開放の流れに逆行した日本市場の鎖国性故の海外からの投資意欲を殺ぐことにならねばよいが。


理屈と現実

今週は東京国際フォーラムにて国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が東京では1964年以来、実に48年ぶりに開催されている。そんなワケで有楽町界隈は交通規制なんぞで渋滞やら物々しい様も見掛けるが、金融会議といえば先週は大手町でニッポン金融力会議の第一回トップ・シンポジウムも開催された。

この辺に関しては連休明けの日経紙にも載っていたが、この中で某大手証券の社長など日本株は歴史的に極めて割安な水準と強調、メガバンク3行の株式配当利回り平均が4%前後なのに対して、銀行の大口定期預金金利が0.2%台であることを例に挙げ預金からメガバンク株に一定の資金シフトがあってしかるべきだと述べているがそんな言葉も虚しく只管低迷する市場を見るにやはり違和感は拭えない。

こんな理論から今こそ「投資の機熟す」・「貯蓄から投資」と同紙にはタイトルが踊っていたが、今まで何度も書いているように既にこんなところに魅力を感じて株主になる向きが居なくなってしまっているのが事実。東電やオリンパスやシャープに見られるようにかつてのディフェンシブ優良株は無残にも時価総額を急減させ、配当や優待を狙っても斯様に値下がりの代償がそれを遥かに上回ったり突然のファイナンス実施で暴落の憂き目に遭って退場、素直にアップルやグーグルを買って放置している方が遥かに報われているという向きは潜在的に可也居ると思う。

同会議ではメガバンク勢も「サービス顧客回帰」と述べていたが、金融商品をセールスする銀行も他では無料の投資等の商品に高額な販売手数料を当然の如く徴集し、覆面で潜入調査したリポート等を見るに金融知識に乏しい行員がリスキーな金融商品をホイホイ捌いている様子も窺える。

確かに金融業界は総じて顧客と企業が利益相反の構図になっている部分が多いのは事実だが、インサイダー等露骨に顧客の犠牲が糧になるような部分はそろそろ襟を正す時期に来ているのではないか。