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継続提言

本日の日経平均は約1ヶ月ぶりに14,000円台を回復したが、全般高のなかで久し振りに一寸跳ねたり商い回復してきたものに木徳神糧やヤマタネなどのコメ関連物も散見された。TPPの交渉を巡り、加工用米等の関税に関しては思惑が一部出ているが折に触れまたこれら関連が動意付く場面もあるかもしれない。

さてコメといえば、コメ試験上場検討特別委員会が先に大阪堂島商品取引所に対して試験上場期間の延長などの形で取引継続を求める報告書を発表していたが、この報告書を受けて同取引所は農水省に取引継続の申請を今月中にも申請するという。

一方で市場参加者の方だが、コメ卸で作る全国米国販売事業協同組合が取引参加の意向を示し、コメ卸の最大手の神明は先月からこの大阪堂島商品取引所のコメ先物にヘッジ売りの用などで参入している。東穀の解散により何とも歪な形で移管された同商品だが、最大手の参入で先ずは裾野の広がりを見せるかどうか一寸注視しておきたい。


中国版サブプライム

日曜日の日経紙一面には、「影の銀行、高利回り理財商品」として、中国の高利回り理財商品の2013年3月末の残高が約130兆円に達していることが明らかにされた旨が載っていたが、なにぶん中国のディスクロだけに外資の格付け機関が弾いた数値等では実情は更に大きなものとの試算も出ている。

この理財商品なるもの、銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集めるシャドーバンキング(所謂影の銀行)の代表的存在であるが、新聞等で挙がった各種試算では建設コストでみた中国住宅市場の価値はGDPの300〜400%、中央政府を除いた借入額の対GDP比は昨年210%、数年前は150%前後であったことを考えれば可也膨張しており何れも警戒水準を超過しているのは明白。

官製金融がのさばり市場金利が浸透しないなかで拡大してきたバブルの芽を象徴するような構図になってきたが、過去日本のバブル崩壊、そして米国のサブプライムと世界経済を震撼させてき前例があるだけにそれら踏まえた当局の舵取り、そして過剰な信用創造がどういったランディングになるのか興味深いところ。


株主総会変遷

さて、本日は3月期決算企業の株主総会のピークで全国で多くの企業が一斉に開催のはこびとなった。昨今時代の流れと共に異質な総会活動も影を潜めてきているのも背景に近年分散化も進んできており、フットワークの軽い向きは彼方此方に参加する機会も可也増えてきたようだ。

そんな訳で出席者が過去最多となった企業も幾つかあったが、今年はガバナンスをめぐる株主意識の高まりで社外取締役制度の導入の動きなど顕著、一方でタイミング悪く直近でひと騒動起こしたところや、アベノミクス効果もカンフル剤にならず株価低迷が継続しているところはなかなか厳しい指摘が飛んでいた模様。

議決権行使も先月あたりまで各社からいろいろと通知が届いていたが、ちなみに野村の調査ではこれを行使するとした個人の割合は昨年より5%上昇の44%となったという。斯様に上記の通り黒い総会活動からファンド系の台頭、そして彼らの衰退から近年個人の台頭が目立つようになったがこの一頃鳴りを潜めていたファンド系も徐々に復活しつつある。

一昔前の最前列近辺を社員株主で固めたり、社長ならぬ脇役員が淡々と纏めるシャンシャン総会などある意味この時期の風物詩だったものだが、株主総会も時世其の時々のカラーが色濃く出て面白い。何れにせよ今週月曜日に書いた長期投資家誘致も株主との対話がキーになってくるだけに総会も益々重要性が増してこようか。


アジアの暑い夏

今日は医師をしている友人の奥様がバースデーということで、そのお祝いの前に皆で韓国料理なんぞで腹ごなししたのだが料理を待っている間にコリアンタウン含めいろいろとこの国に因んだ話が出た。韓国といえばこのところ、昨日も一寸触れたFRB議長の量的緩和縮小への言及から債券市場等が混乱している。

マーケットの混乱といえば、週明けの上海総合指数も5.3%安となり約4年ぶりの安値を記録したが、韓国の金融マーケットには既に大量のチャイナマネーが流入しており、中国がいよいよヤバイという事になればレパトリの動きも相俟ってこれら外国マネーも我先に流出という事態になれば世界的にも影響が出てこよう。

上海総合指数同様に韓国総合指数も弱含み連日の年初来安値を更新しているが、KTB証券やSK証券等は従来の予想値を相次いで下方修正したものの、早くもこの一部予想下限をも割り込む事態となっている。そういえば日本との間で結んだ通貨スワップ期限の一部はいよいよ来月早々にも到来するが、この辺も含めて何かと今年は暑い夏になりそうだ。


輸出国健在

さて、先週のFOMC後の会見でFRB議長が量的緩和縮小に言及、具体的見通しが嫌気され今年最大の下げ幅を記録した株式相場と共に急落しているのが周知の通り金相場。昨晩も力なく反落し、この3日間でざっと100ドルの下落を演じている。

まあ下落は別に直近で始まったワケではなく、年初から見れば随分と値位置も変わってきたものだが、こんな状況下でも依然変わっていないなと思ったのは金の輸出傾向で、この間つまり今年1月から4月の金輸出入量は実に約56トンの輸出超過になっている。

ちょうど一週間前の火曜日の当欄では「粛々と積み増し」として、新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨を書いたが、本邦勢はこれらとは対照的に依然我が道をゆくといったところか。2年ほど前に金は歴史的に国力のある国に動くと書いたが、さて今後どういった構図になりますか。


結局はお上次第

先週末の日経平均はザラバ安値から大引まで500円以上もの値上がり、週明けの本日も寄付から大引まで350円以上値を下げるなどここ依然として株式相場の変動が大きい状態が続いている。そうしたなかでNISA口座に絡んだ話題のなかには中長期視点での投資の重要性を謳う記事も多く目にするようになった。

確かに今の市場、足の早い資金構成という構図から先物で主導権を握れば上記の通り指数を乱高下させるのは比較的容易な状態。中長期でじっくり腰を据えた投資家不在も一因との指摘も多いが、NISA等預金に偏った個人の資産が株式市場に流れるということで短期の値幅取りではない中長期の投資が広がる呼び水になるのではとの期待も高い。

しかしどうだろう?HFTがインフラと共にこれだけ蔓延っている現在、構造変化云々というのは些か期待が大き過ぎるというのは否めないところだろうが、中長期系を誘致したければ先ずNISAのようなチマチマしたものでなくこれらによる売買益や配当課税のドラスティックな優遇改革が第一だろう。NISAは切欠というところで新たな改革の機運が望まれる。


その違いが判りますか?

さて、昨日のマックに続いてもう一つ今週は食の話題として港区内の4つのプリンスホテルが、チリ産牛肉のローストビーフを国産としたり、ハンガリー産のフォワグラをフランス産と表示するなどの実際の食材とは異なるメニュー表示をしていたと発表していた件があった。

この手では直近でもディズニーシーのミラコスタでブラックタイガーを車海老とし、またアンバサダーホテルでは国産鳥を地鶏としていた問題が発覚したばかり。こう立て続けに出てくると直ぐに記憶が蘇るのが2007年に続出した食の偽装ラッシュか。幾つも出た中で大阪の船場吉兆など九州産牛肉を但馬牛と謳って販売したり、地鶏が実はブロイラーだったりと名門なだけに話題になったものだ。

これと前後して秋田の比内鶏や名古屋の名古屋コーチン、また魚沼産コシヒカリまでいろいろな表示偽装が発覚してきたが、思うにどれだけの消費者が明らかに味の違いを感じ疑問を呈しただろうか?あのミシュランガイドでさえ二つ星を与えたヒルトンのトゥエンティ・ワンも山形産牛を前沢牛としていた産地偽造が発覚して結果店は消滅に至っている。

偽装自体決していい事ではなく、現場との間で情報が共有されていない意思疎通の無さに因んだ問題は他企業も反面教師にすべきだが、つまるところこういった件が特に取り沙汰されるのはやはり繊細な日本人の特異なブランド志向という背景がベースにあるからだろうなとつくづく。


デフレでは勝組も

さて週初はアベノミクスで消費好調という旨を書いたが、当然ながらその辺は末端まで幅広い範囲にわたりファストフードなんぞもこれにあやかろうとの動きで今週は日本マクドナルドが少し贅沢な路線で業績テコ入れしようとの思惑からこれまで発売した中で最も高価格のハンバーガーを夏限定で新発売すると発表している。

マックといえば先月の1-3月期決算でも売上が前年同期比14.6%減の659億円、純利益は54.8%減の19億円と冴えなかったが、ビックマックの安売りを止めて新商品を減らしたことが主因とか。最近は回転率を狙ってかメニューを撤去したり、60秒企画?なるモノもやっていたがどれもこれも迷走という指摘が多い。

で、今回の贅沢路線だがプチ贅沢して美味しいハンバーガーを食べたい向きが、ハンバーガー専門店が山ほど犇めき合う中でこんなワンコインに近い物を選ぶかかどうか?ウチの近所で流行っているハンバーガー店など一番安いシンプルなハンバーガーでも今回マックが打ち出す値段のほぼ2倍の1,000円だが、昼時など列が絶えない。

同じファストフ−ドで他業態では値下げ競争が激化して久しい牛丼があるが、これは専門を謳っている店も少なくこうしたところこそブランドが浸透しているところは高価格帯のプチ贅沢路線は選択の一つと思うが流行店を超えるサプライズ、例えば復活したウェンディーズのロブスターとかキャビアを使ったバーガー並のインパクトに欠ける今回の新商品がヒットするかどうかその行方を一寸注目しておきたい。


粛々と積増し

本日の日経紙商品面には「中央銀、なお金買い高水準」として、4月の買越量が7ヶ月連続で節目の30トン以上となるなど新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨が載っていた。

同記事では4月の金輸入国はロシア、カザフスタン、トルコ、それにアゼルバイジャンの4カ国で経済成長から外貨準備が増えている国との指摘があったが、中国からも目が離せないとしていた。かつて中国は金準備を大幅に拡大し、いずれ米国と同水準まで引き上げるべきとの見方をした経緯があったが、3月の香港からの金純輸入量は前月の2.2倍に膨らむ等この辺は肅々と進行している感がある。

先週放映された日経チャンネル「アベノミクスと世界経済そして金」でも新興国の公的金保有を示したパネルのトップになっていたが、金融政策をめぐっては相異なる二つのリスクを擁していると長らく言われてきた同国、今後もそのバイアス如何ではこの金と絡めてさまざまな思惑もまた出てこようか。


ぶれない強気

さて、先週末の各大手紙で一寸目に付いたのが、「ルイ・ヴィトン」が日本で販売する革製品を7月1日から平均で8%値上げすると発表していた件か。円安・ユーロ高貴重が続いており輸入コスト上昇分を価格に反映させるとのことだが、ここは確か他の先陣を切って今年の2月にも平均で12%の値上げを敢行しているからはや2度目の値上げである。

しかしこのヴィトンといえばざっとではあるがここ10年位の間に10回以上値上げしているが、値下げしたのはリーマンショックのあと等含め2回程度ではなかったか?昨年の超円高下でも値下げはせずこの円高前の水準に戻ったところではすかさず立て続けに2度の値上げなんぞを見るに狐につままれているような感さえある。

とはいえまあ常識的にハイブランド系はブランドイメージの問題から値下げに関してはどうしても躊躇するのが自然なところだが、アベノミクス効果で高額消費が好調、加えて消費税引上げの背景もあって影響は軽微との勝算もあったのだろう。

今年1発目の時は他ブランドの間ではけっこう強気との声も出ていたが、果たしてその後ハイブランド系では翌月に「シャネル」が平均で5〜6%引上げ、その翌月には「カルティエ」が平均10%、「ティファニー」も平均10%前後、また「ハリー・ウィンストン」も追随して値上げが行われた経緯があるが、今回もまた他の追随あるや否やその動向に注目である。


通常銘柄へ復帰

さて、今週は東京地検特捜部がオリンパスの粉飾決算事件で粉飾を指南した野村證券OB含む指南役3人が再逮捕されたが、もう一つこの同じ日には当のオリンパスを東証が内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」指定をオリンパス側が提出した所定報告書をもとにした審査で問題はないとして解除している。

ちなみに特設注意市場銘柄は指定後3年以内に改善なき場合上場廃止になってしまうが、同社の場合は指定から約1年半で解除になった。当の株価の反応は当日こそ一寸急伸したものの本日は急落し往って来い以下になっているが、今迄内規等から投資を手控えてきた機関投資家物色が再開される思惑とはいえ脛に傷持つ銘柄として指標面で個人的には随分と割高なところにきたなという感も。

その辺はともかくも今回の件ほどバブル期の副産物が表面化し、コーポレートガバナンス問題を考えさせられたケースはない。はれて普通の銘柄に復帰を果たしケツは上手く帳尻を合せた格好になったが、消えていった日興証券やライブドアと何処が違ったのだろう?闇に葬った感が強いものがあれこれありすぎて明朗でないというか釈然としない部分が残ったのは否めないが、世間は斯様に回っているということだろう。


初の500万枚突破

本日も先物・オプション取引のSPAN証拠金額変更のお知らせメールが来て証拠金管理には十分注意するよう云々と記されていたが、しかし一頃から比べるとこの証拠金も随分上がったものだなと。ところで日経平均オプションといえば大証が週明けに発表したところによれば建玉残高は7日に1989年6月の取引開始以来、初めて500万枚を超えたらしい。

今、日経紙では投資・財務面に「先物・オプションのからくり」として初心者向けに解説が行われているが、先の同紙でも「相場急変 先物も使いよう」と先物を使ったヘッジ例紹介の記事が出ていたのは月曜日に書いた通り。一昔前と違ってこうして頻繁に登場する機会が増えてきたのも建玉増に貢献しているのかもしれない。

前にも書いたように一頃のセルボラの効率が良かった時と違って、昨今はIVも高止まりしタイムディケイで食われて気がついたら溶けていたという景色の変化も感じられる。即ち初心者が入り易い単純なロングでも一夜にして大化けする機会に非常に恵まれているということでもあり、週末のメジャーSQを控え一層の厚みが出てくるのではないだろうか。