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再建スピードの相違

月曜日はIPO事情に触れたが、IPOといえば先週末にかけて入ってきたニュースには米政府管理下で経営再建中のGMが、4-6月期まで2四半期連続黒字を確保した好業績を追い風にIPO申請に漕ぎ着け、年内にも上場実現し政府関与が薄まる見通しとの報があった。

同社は普通株を新規発行せずに、優先株だけで資金調達する方向とのことだが、焦点は早くもどの程度の値で資金回収出来るか納税者の損失割合等が逆算されている。さて、GMが米を代表する企業再建なら、一方で日本を代表する企業再建といえばJALであろうか。奇しくも直近ではこのJALも今月末までに提出する再生計画案にて、2012年末までに再上場する方針を盛り込む方針で検討していることが報道されている。

しかしながらこの両者、畑違いをトップに据えた点こそ同じであるものの、後ろ盾にした政府の姿勢や組織全体への危機感は可也相違しているようにも見える。一年ソコソコで再上場申請に漕ぎ着けたのに比べると、なんともJALのそれは多くの部分で見劣りするのは否めない。

日本では98年に破綻した日本長期信用銀行が、04年に東証一部に新生銀行として再上場した例があるが、思えばココも破綻前まで債務超過額が3,400億円とされていたものの、その後の資産査定では2兆円を上回っていた結果は、同様に数千億円の差異があったJALとそれこそ酷似していたなと。それは兎も角、ココのように再上場がはたして叶うのかどうかまたもサンプルケースとして注目される。


インカムゲインの罠

主要企業の悲鳴をヨソに依然として「注意深く見守りたい」と判で押したようなコメントを続ける政府の静観ぶりにドルは83円台、日経平均は9,000円を大きく割り込み催促?相場の様相とも言われているが、まあそんなお陰で久し振りにボラタイルで面白いマーケットになってきている。

そんな中でも株式市場では断続的な売り物が個人にコツコツ拾われている対象銘柄としては高配当銘柄が目立っている。昨日の日経紙にも世界景気の減速懸念が強まる中、投資家が景気敏感株から高配当利回り銘柄に資金を移動している旨が載っていたが、さて報われるか否かこの辺は賛否両論。

確かにここ最近の長期金利の低下を見るに配当利回りで見た株式の魅力が高まっているというのも理解出来るが、斜陽業界始め今までの高配当イメージから避難的に買った企業群では値下がりではるか喰われてしまうパターンが非常に多い。

株式配当利回りというのは教科書的には国債利回りよりも低いのが通常であり、これを以って現状の株式は割安という図式を挙げる向きも少なくないが、手垢銘柄は買い残もネックになり結果的にはツナギの利が最も効率がよかったなどと当初の思惑通りにはいかない例も。折しも今はマル信の売り残が10年ぶりの低水準にあるといい、この辺も考慮して行動したほうがよさそうか。


決算とその先

さて、直近のディスクロを基に「一刀両断」「一目瞭然」など既に更新されているが、金曜日の日経紙商品面にも上場組の出揃った4-6月期決算が載っていた。ここでは三社が黒字に浮上となったものの、先行きの不透明感はやはり拭えない旨が認めてあった。

「商取各社、収益多様化急ぐ」との見出しであったが、このタイトルはもう何年も前から業界紙始め彼方此方で言い尽くされてきたことであり、一部躍進している取引員を除き個別では時間の経過と共に時折出て来る苦肉の策?が都度追加されるといった具合の繰り返しが為されているようにも見えなくはない。

これらポストの株価は既に底練りの程度を過ぎており、一頃は万年低PBRが言われていたが消去法的な散発物色の時期を経て、今ではもうほぼその織り込みが理に適っているのは明らかであろうと思われる。

ここ近年の商品高で商機のみならずその株価も見せ場を作った商社ポストなどを引き合いにすれば本来は何れも相関あって然りなのだが、そんな波に乗り切れないというか一部逆行してしまっている環境は実に歯痒いというか残念なところである。


投資家育成プロジェクト「THE MASTERS」開始

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▼投資家育成プロジェクト「THE MASTERS」開始=ドットコモ


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安い・早い・緩い

さて昨日の日経紙一面には、2010年上半期に国内株式市場に新規上場した企業が12社にとどまるなどIPOの低迷が続く国内を尻目に、日本のベンチャー企業がアジアの証券取引所に相次ぎ上場する旨が載っていた。

この辺に関してはアニメのディー・エル・イーなど、先に当欄で台湾系証券会社が日本企業向けの説明会を行い、此処へ近く日本企業も上場する見通しとコメントした通りであるが、人気の「KOSDAQ」には先ず業界からはクリック証券、そして野菜ソムリエ講座のフードディスカバリーや、たまについ宅配を頼んでしまうサルバトーレ・クオモ・ジャパンなどが上場を検討している模様だ。

現在のところ同所に日本からは昨年上場のネット広告会社ネプロアイティ一社のみだが、機動性というかこの「KOSDAQ」など日本と比較するとやはり可也違う。上場審査に2年以上かかる日本と違って此処は半分以下の1年、基準も時価総額始め利益も純利益1億5千万程度でOK、そして手数料は約35分の1程度で済むワケだからそこへ目を付ける向きが多いのも当然か。

しかし新規上場数が06年には188社であった事を考えれば、上記の通り上半期で12社とはその激減ぶりは可也のもの。折しもこの日はNHKスペシャルで「アジア沸騰 急成長のタイに世界企業が殺到」としてここ近年の海外進出への変遷を特集していたが、日本の工場も空洞化問題に直面している。彼方此方で日本の空洞化が加速する可能性がある現状下、はたしてこの流れを止める事が出来るのかどうか市場間競争の行方が注目される。


短期化の背景

さて、決算シーズンで直近まで主要企業の決算発表が相次いでいたが、株価もサプライズの強弱で各々がそれらを織り込み思い思いの動きとなっている。

そんな中で今月に入ってから目立っていた記憶があるものの一つは、最近日経紙にもジャストミート等の広告が目に付くようになったパイロットコーポレーションか。第2四半期決算を好感して急伸、一気に年初来高値を更新するも後場からは一転高値から急落し一日で約2割のボラを演じ不気味な日足を描いた。

こんな乱高下銘柄が出て来る背景として、一説には信用取引や先物で短期売買する向きが増加傾向にあるのが一つの原因とも言われている。折しもFXの規制を嫌ってスキャルパー連中がこうした素地を作るのに一役買っているとの指摘もあり、証券各社もそれら当て込んでか短期系に焦点を絞っての手数料ディスカウントにも余念が無いのが現状。

こうした一方で、斯様な短期売買は市場の価格発見機能が弱まり、個別企業への長期投資が根付かないという構造的な問題も出て来るとの懸念も俄かに台頭している。ただこの辺は上記の通り参加者のキャラの変遷に加え、近年は個人が好む材料株への規制も容赦なくキツくなっているのが事実で、これら含め昨今の環境こそが参加者やそのスタイルを変えてしまったと言っても過言ではないだろう。


自立路線も何時まで

昨日は農業の規制緩和を受けて野村ホールディングスが農業ビジネスに参入する旨を書いたが、もう一つ、農政の重点転換から認可を得られる環境が整ったとの判断から東穀取が来春にも農林水産省にコメ先物の上場を再申請する方針を決めた模様との報もあった。

悲願の認可が下りれば72年ぶりの上場となるが、上記の通り農業政策転換でコメの流通価格の変動幅が大きくなる可能性がある為、価格変動リスクを抑えたい生産者や流通業者を市場に呼び込み低迷する売買の底上げを狙うという目論みらしい。

はたしてその来春の環境がどうなっているか想像するのも怖いがそれは兎も角、これに先駆けて先月から研究会を発足させるなどしていたワケだが、最近は業界団体の日本商品先物振興協会などが抜本的な再編策を突き付けるなど他取引所との統合を視野に入れた行動が焦点となる中、依然として粛々と自立路線を貫いているようにしか見えない。

この辺が先に「〜問題は東穀などに見られるように外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に〜」とコメントする所以でもあるが、カンパニー制などという中途半端な提唱をする同所の自立路線を何時まで環境が容認してくれるかその成り行きを見たい。


野ギャルの次は野ムラ?

さて、先週末の大手各紙には農業の規制緩和を受けて、野村ホールディングスが農業ビジネスに参入する旨が載っていた。潜在的な成長分野である農業に早い段階から関与することで、本業の金融・証券サービスにも相乗効果が期待できるとみているというが、国内金融機関が農業ビジネスに本格的に乗り出すのは同社が始めてという。

農業といえば折しも2020年までに実現すべき成長目標として食糧自給率50%を掲げ農林水産省が農林水産分野を成長産業化するとしており、其の為の環境整備、産業規模の拡大、輸出促進の強化、将来ビジョンの策定とその実現等が打ち出されているが、株式市場でも折りにふれその関連銘柄が動意付く場面も見られた。

これら農業関連では、井関農機、日本農薬、クボタ、クミアイ化学工業、イハラケミカル工業、ホクト、雪国まいたけ、カネコ種苗、等々ざっと思い浮かぶだけでゾロゾロ出てくるが、ほか、物色されていないものでも二部やJASDAQにはこれらに関する対象銘柄が幾多もある。

そういえば産業規模の拡大は、水産物始めとする資源を食品産業など様々な産業と連携して利活用し新たな付加価値を生み出す等とあるが、野村は今月12日付にも書いたように漁業関連企業に運用対象を限定した投信を先に出している。2020年度までに6兆円の市場創出を謳っているが、コンサルといってもいろいろな芸当が出来そうでこの辺も注視しておかねばならないだろう。


花火も3D時代

さて、やはり東京の夏の風物詩として大規模な花火大会は外せなく、7月の〆が先の隅田川花火大会なら8月はやはり先週末開催の東京湾大華火祭という感じになるだろうが、東京湾大華火大会は尺5寸玉が入る等もあり周りも同大会の方のファンが多い。

今年も例年通りに自宅から観賞となったが、先の隅田川と共に技術はやはり日進月歩。発色は勿論のこと、昨今の映画やテレビの如くに3D系の花火も見せ方が格段によくなってきた。また全般では構成も所謂シリーズにおける飽きさせない間の取り方というか、その順番も綿密な計算あってのものと苦労が伺える。

ところで先の隅田川花火大会も今年は東京タワーを抜いたスカイツリーを意識したテーマが多かったが、思えばこの東京スカイツリーがテーマとして挙がり始めた頃は丁度着工が始まったばかりであったものの、はや今年は既に東京タワーを抜いたその姿がグンと会場近辺の光景に堂々と映えていたのが印象的であった。もう一つ、この頃から飛行船から花火大会を観賞するのも大流行しているとコメントした記憶があるが、直後にリーマンショックが襲いはやこの会社は破綻している。

斯様な暗い部分もあった半面、大会に関しては不景気といわれながらも各所ではスポンサー復帰がポツポツあった模様。人間を集めるのは光と動きと音というが、それら兼ね備えているのはやはり花火大会、いつまでも廃れずにいてほしいもの。


9/13をもって北辰物産にトランスファー移管の合意

大起産業は今後に予定される24時間取引への対応、スパン証拠金制度の導入に伴うシステム変更等において、十分なサービスの提供を続けることが困難であると判断し、2010年9月13日をもって「GALAXY」のユーザーの建玉及び取引証拠金等を北辰物産のー「D-station」にトランスファー方法にて移管することに合意。

▼建玉移管(トランスファー)についてのご案内=大起産業
▼トランスファーのご挨拶=北辰物産(PDF)
▼大起産業:GALAXYホームページ


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投信もフヌケ?

さて、今週から野村證券は10日付けの日経紙全面広告にも見られた通り日本を含めた世界の漁業関連企業に運用対象を限定した「アムンディ・グローバル漁業関連株投信」の募集を始めている。日興アセットも先に世界の医療関連企業株式等に投資するロックフェラーが運用する「日興ロックフェラー医療戦略ファンド」を設定するなど投信界もユニークな顔ぶれが続々登場している。

ところでこの投信といえば、証券取引等監視委員会は投信乗り換えを頻繁に進める事例が増えていると判断し、証券会社による投信の販売状況について立ち入り検査を通じて重点的に点検する方針を決めた旨を先週末の日経紙にて見掛けた。

確かに投信市場は多様化と共にその残高の伸びから裾野拡大が言われて久しいが、高水準の解約に加えてその保有期間が短期化してきているのも現状でありこの辺にはあまり触れる向きも少ない。勧誘規制といえば商品業界もそうだが、かつては「鎌入れ」と共にこの回転売買の「フヌケ」が横行した時期があったが相場業界何処でも同じようなものだろう。

証券界も収益の多様化を探る中で投信手数料は株式の約1.6倍にまで達しているがそうした中、先にもコメントしたように人気の毎月分配型でも複利運用でマイナスになるケース等もあり、乗り換えメリットが手数料を支払ってまであるかどうかにメスを入れるような動きが出て来るのも自然なところだろうか。


1%の立場

昨日は証取低迷に触れたが、そういえば昨日の日経紙商品面には「商取再編、待ったなし」として、経営難の取引所がいつの日か米国や中国の市場に飲み込まれ、消滅しても不思議ではないとした旨の特集が載っていた。

商取を危惧するこの手の記事は今に始まったことではなく、ここ近年は各紙において同様なものが見受けられるが、問題は東穀などに見られる様に外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に自浄?作用の行動を取る気配が見えないところだろうとも感じる。

迷走の上に解散路線を取った中部大阪などもあるが、昨年の5/20付け当欄でその収益形態を「〜不動産収入に依存し仮にポスト割りしたら実質は8000番台の仲間?に入る類ではないか。」とコメントした関西商取などは、やはり同紙にも「実体は不動産賃貸業に近い」と書かれていた。

しかし、国内で見るとこの関西商品取引所は全国4商品取引所の売買高に占める割合が1%にも満たない。また証券も地方証取の株式売買代金を合計してもやはり1%に満たない等の現状を見ると、02年に世界の三分の一のシェアを占めた日本市場のシェアがわずか1%台にまで急低下している状況からして全体をコレに置き換えて考えると可也怖い。個別ではライバル減って玉の輿というウルトラCも選択肢として無いわけではないが、さて・・。