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丸の内の目玉

今週は週初の日経紙一面に日本製紙グループ本社がオーストラリア3位のオーストラリアンペーパーを買収する旨が出ていたが、全般M&A金額が金融危機の影響で縮小する中を豊富な手元資金を持つ向きの攻勢が際立つ。
ところでM&A同様大きな買い物関係といえば、直近では何度か当欄でも触れた経営再建中の米保険大手AIGがとうとうあの丸の内のAIGビルの売却を決めた模様である。

このAIGビル、築年数こそ古いものの皇居のお堀とセットで一つの風景になっており東京駅周辺の物件の中でも八重洲側とは可也ステージが違う、一寸前まで先ずこのクラスが売り物に出る事は稀だろうと見られていた物がこうして出て来るのはやはり金融危機があってこその事例だろうか。

まさに昨年末当欄で「Welcome不況」のタイトルで書いた経済混乱故の出物だろうが、とはいってもでは頂きましょうと落とせるのは其れなりに纏まったキャッシュを動かせるところに限られてこよう、そうなるとやはりこの辺の財閥系大家さんになるのだろうかなどと勘繰ってしまうが、やはりこんな局面こそ強固なところほど更に機会も多いという構図か。


萎縮から再編

本日の日経紙財務面にはREITの産業ファンド投資法人が三菱商事を引受先に80億円の劣後債を発行する旨が出ていたが、REITによる劣後債発行は初のケースだろうか。

さて、REITといえば不動産証券化協会が先週末に纏めた個人投資家の意識調査結果によると、REITを保有しているとの回答は僅かに6.6%、今後REITに投資する予定が無い向きが60%に達するなど人気の無さが顕著だが、つい数年前にREITを当欄でとり上げた時は累計資産額が一年間で60%増と破竹の勢いで膨張していたのを思えばその凋落ぶりがなんとも酷い。

昨今のREITは組み込まれている不動産資産価値を合せた実質純資産額を時価総額が下回る状況、リーマン破綻で所謂ブルーチップ株が軒並みPBR割れと割安感?が煽られていたのに状況は同じであるが、株式よろしく今のセンチメントはPBRの異常な低下は割安感より破綻懸念を喚起してしまうのが現状である。

こんな状況に危機感を募らせた政府は投資家の信頼回復の為に運用を行う投資法人同士の合併・再編を促す方針を固めた模様だが、これまた企業同様玉石混合なだけにそのオペの成り行きが注目される。


ドットコモとネット取引事業の建玉移管に関わる契約締結

スターアセット証券は、ドットコモディティと同社ネット商品取引事業の顧客の建玉移管に関わる契約(トランスファー契約)を締結。建玉・口座については顧客の申出により2月27日(金)に大引け後に移管。

▼商品先物取引(電子取引)に係る建玉移管による引継ぎについて(PDF)


平成21年2月18日
スターアセット証券株式会社
ドットコモディティ株式会社

スターアセット証券株式会社の商品先物取引(電子取引)に係る
建玉移管(トランスファー)による引継ぎについて


この度、スターアセット証券株式会社(以下「SA社」といいます。)とドットコモディティ株式会社(以下「DC社」といいます。)は、SA社の商品先物取引(電子取引)について、DC社に建玉移管を行うことにより引継ぐことに合意し、契約を締結いたしました。

現在、SA社の取引システム『I・トレード』にて商品先物取引(電子取引)を行っていらっしゃるお客様につきましては、口座移管を行い、DC社にてネット取引を継続いただけます。

1.建玉移管実行日
平成21年2月27日(金)大引け後に建玉移管を行います。

2.今後の予定
SA社の商品先物取引(電子取引)のお客様におかれましては、2月26日(木)までに、SA社より別途ご案内する方式にて、口座移管についてのお申出をいただきます。その場合、翌27日(金)の大引けまで、これまでどおり取引システム『I・トレード』にてお取引ができます。

お申出いただいたお客様につきましては、新たな申請のお手間を経ることなくDC社に口座を開設し、2月27日(金)大引け後に「建玉」と「預り証拠金」をDC社に移管いたします。週明けの3月2日(月)からは、DC社の取引システム『Formula(フォーミュラ)』にて、そのままお取引を継続することができます。

口座移管の手続きの詳細、『Formula(フォーミュラ)』の概要等につきましては、お客様に別途ご案内申し上げます。

今後も、両社は、それぞれが展開する分野において、お客様のニーズに適合する取引サービスを、個人投資家の皆様へ提供し続けてまいります。

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境界線

本日からシカゴ商品取引所は、大量の投機マネーの流出入が先物価格を乱高下させ実需家に悪影響を与えているとして、年金基金などが農産物先物などに投資する際の持ち高を制限する模様である。

直近ではWTIが対ブレントの鞘や期近の動きを以ってその指標性が物議を醸し出しているが、この辺に関しては先週だったかCFTCの委員の一人がワシントンの講演にて昨年の商品相場の高騰原因には新たに参入した投機筋が大きな役割を果たしたと明言、相場操縦などの取り締まりを強化するにはCFTCが司法省と同様の犯罪起訴権限を持つべきだとの考えを明らかにしている。

さて国内、取引所も主務省もプロ化云々とかまびすしいが一般投機家主戦からファンドやディーラーへとその占有模様が変り相応のリクイディティーを創造したものの、崩壊しその受け皿さえ潰してしまった感ありだが、仮に先行き主軸をそうした大口系に依存してゆく事になった場合はこれら規制も日本が得意な右へ倣えで導入促進という運びになるのだろうか?

事が起きてから対処するパターンが殆どであるが、暴れるだけ暴れて味が無くなったら捨てる構図は未成熟市場に顕著で当事者にはワンチャンスでも旨み在り、先手の打ち方にも手腕が問われよう。


奇異なる日本のValentine’s Day

気象庁によるとバレンタインデー前日の金曜日の強風は春一番であったとの事だが、確か一昨年も春一番はこのバレンタインデーではなかったかと記憶している。

春一番は兎も角、さてこのバレンタインデー、今年は土曜日という事で義理系の商戦が不安視されてはいたもののその品にかける予算平均額はアップと不況知らずの様相を呈していたらしい。

今年は目に留まったところでミントンの容器に入ったバブリーなモノもあったが、あと面白いと思ったところで「グリーン電力証書」なる物が付いたチョコレートや、西洋銀座などではフェアトレードチョコレートを展開と人に地球に優しくとやはり今の時世を感じさせるものありと様々。

そういえば今年の商戦では男性から女性へプレゼントする所謂「逆チョコ」なるものも登場し提議の変化とか大袈裟に言われていたが、そもそも欧州等でバレンタインデーといえばお互いに思い思いの品を交換したりするのが普通で寧ろこの日本独特の習慣は以前からかなり奇異に見られていたのが事実。さて、次第にこの辺も国際標準の道を歩むのであろうか?


繋がらない各論

今週は週初に日本商品先物振興協会が制度政策委員会にて市場振興策と会員の経営活性化、市場の活性化などを骨子とする09年度の事業計画案をまとめた。

まあ、関係各所で各論ではいろいろと使い古した案が出てはいる模様であるが、例えば活性化策では市場参加者の取引費用低減策が示される一方ではTOCOMなど定率会費の引き上げをチラつかせるなど、依然として各所内での論議羅列の先にその脈絡を見出せないのは構造的ないつものパターン。

取引所といえばこの祭日前にも東穀取が一年間取引が無い生糸先物の上場休止を検討とあったがこの期に及んで「休止」とのたまうあたりも或る意味凄いし、また同日再生鉄も納会を迎えたがキャンペーンも空しく何時も通りの参加者不在納会とこちらも何とも荒涼とした感ありと、最近ではこの衰退論も何が最初にありきという順番もどうとでも取れるような状況となっている。

さて戻って上記の商品先物振興協会にしてもこの辺の核心については既に先週カウボーイが触れている通りであるが、この靄が掛かったようなモラトリアムの中、年明け早々に書いたように業界のみで自由裁量が利く時間もさてどれほど残されているのだろうか。


岡安商事の商品先物業務を承継し3/2付で「岡安商事」に商号変更

ハーベストフューチャーズは2月27日付けでグループ会社である岡安商事の商品先物取引事業を承継、3月2日付けで商号を「岡安商事」に変更へ。

▼会社分割のお知らせ(PDF/岡安商事リリース文)
▼吸収分割に伴う商号及び本社所在地変更のお知らせ=ハーベストF(PDF)


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評価ポイントテーブルにおいて1点修正を行いました

企業の信用面でのリスクウエイトを考慮にいれ、2月10日付けで「評価ポイントテーブル」を一部改定。具体的には行政処分に係る項目において、新たに2年以内の行政処分について減算枠を追加(-20pt)。こちらの基準日のみ'09/1月末時点とし、今年10月のアンケート時に他減算項目の基準日に併せる形で調整。また、判断期間においても次回の検討点として保留。

▼商品先物ネット取引/一目瞭然:評価ポイントテーブル(2/10改定)

これに伴い、本日付で当該項目に関するポイント修正を行います。

次回は、東工取新システム稼動に併せて、項目追加・修正、ポイント配分修正などを行う予定です。

宜しくお願いします。


醒めないMAGIC

さて、先週は内定取り消しやら何やらで一頃晒し者になってしまった日本綜合地所がとうとう2,000億以上の負債で破綻の道を辿るハメになってしまったが、こうしたモノが出る一方で先週末の日経紙一面に出ていたようにオリエンタルランドなどは09年3月期の連結決算で純利益が過去最高になった模様である。

もともと同社は昨年から度々上方修正をい繰り返すなど一般とは全く逆の優等生ぶりを見せ付けて来たが、最近の景気後退の中で所謂レジャーの「安近短」傾向が追い風になったと見られている模様である。

まあ上記は額面通りには受け取れないもののTDL周辺については度々当欄で触れて来たが、古くを辿ればバブル崩壊期でもへこまず100年に一度の危機でも最高益とはそれこそMAGIC、考えてみればここ数年に亘ってレンジ内での動きを続けている管理相場のような同社株価には正直つまらなさを感じる事もあったが、まあ外部環境に左右されないというのもやはり特異でもある。

先に25thアニバーサリーに触れた時に「〜シンプルな発想ながら絶え無き仕掛けとその実現にはいつも敬服させられる〜」と書いたが、もう一つの強みはやはりキャストの教育であろうか。この辺は以前に直営ホテルへ宿泊した時にこれは凄いなと敬服した出来事が幾つもあったが、或る面ココの人材教育に似たようなエッセンスを持っていたのが2/5付けで書いたマハラジャであったが、さすがにそのマジックの規模が違った。


マハラジャに見たマーケティング

このところ街もこの時期バレンタイン一色になってきたが、ヒルトンなどでは「バブル期を思い出して」と宿泊券付きのチョコを売り出している。

さて、バブルといえば昨年の秋には「夜に見る世相と経済」というタイトルであの「ジュリアナ東京」を一晩だけ復活させるイベントについて触れた事があったが、先週末には同イベントの「マハラジャ」版が行われた模様だ。
こちらの方には行かなかったが前のジュリアナの時に書いたようにバブルを謳うならやはりジュリアナ以前のこのマハラジャこそ世相を見てきたというのが正解と個人的に思うところあり、思えばFD・FF形式のブッコミがディスコの主流といわれた渋谷・新宿系を、ドレスコードの設定やVIPルームを設けるとなどの差別化を図りその概念を全く変えたこの系統の功績は大きいだろう。

それこそこれで夜は比較的閑散であった麻布十番やこれの絡みでキンクイが登場した表参道など一躍華やかな社交場?に変身してしまったものだが、水商売の概念を覆すマーケティングの上手さは当時間違いなく1歩先をゆくものであったと思う。

しかし考えてみればこのデフレの狭間に咲いたロハスやらエコやらと抑制へ回帰するものが増えて来る気運の中で、逆にこうした反動の部分を煽るモノが出てくるのも何やら分る気がする。


右へ倣えと権限拡大

先月末に政府は公的資金を活用して一般企業に資本注入する制度の創設を正式に発表しているが、本日の日経紙一面にはあのエルピーダメモリがこれを活用する検討に入ったと報じられている。

直近でも札幌の老舗である今井丸井がとうとう破綻の憂き目に遭ったが、500億円以上規模の破綻が相次ぐ中、企業申請から資本注入が打倒と判断すれば対象企業が発行する議決権の無い優先株を引き受けるといった格好で支援するとの事だが、通常思い浮かぶ金融機関というか銀行へのそうした措置が一般企業へも枠が拡大されたという事か。

確かに今の米国他を見るとGMだ、シティだ、RBSだと巨額のカネを注ぎ込みもう大金に対しても半ば麻痺状態化しておりこうした気運になり、カラ売り規制や今回もそうなのだろうが何でも他国の真似というのも如何なものだろうか。

だいたい他とは規模こそ違うだろうにしてもそれでも少し纏まれば数兆円単位の話になるだろうし、目下2兆円のバラマキとされているものでも大騒ぎの日本が旨くオペレーションできるのであろうか?

仮にそうなったとしても曲りなりにもというか国が企業に介入という事になると、なにかまた天下りめいたもの含めて穿った見方を敢えてすれば混乱に乗じた官僚の権限拡大狙いとも取れなくもないし、幾つかは利益相反の疑義が掛けられるケースも間違いなく出て来るのが想定されると思う次第。