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ブランディング彼是

本日の日経紙商品面の価格は語るでは「和牛、輸出単価1割上昇」と題し、和牛の輸出が20年の落ち込みから急回復し過去最高となった旨の記事があった。確かに海外での和牛の存在感は高まっていて、去年1月から11月までの輸出額は87.7%増加と前年より9割近く増加、輸出単価も1割以上上昇して日本の食品輸出を牽引する存在になりつつある。

富裕層を中心に需要が高まったのが大きな要因のようだが、これまで和牛のブランドといえば神戸牛一択が浸透しており国内のような様々な産地の銘柄牛は認知されているとは言い難かったものの、海外展開における要のこうした世界各地の富裕層達は一歩進みそれらの細かい違いを意識し始めているという。

この和牛も最近ではサステナブル和牛なる商品も開発され、SDGsという観点に付加価値を見出している海外での販路を広げるなどの動きもある。この辺に絡んでは当欄で以前にエシカルなランドセルがロンドンのポップアップストアでお披露目された旨を書いていたがこうしたライン上にあるといえ、和牛を含め今後もこうした海外マーケットで価値を上げてゆくビジネスには商機が潜むか。


非財務価値対応

昨日の日経紙投資情報面には「ESG投資家が銃をとる日」と題し、ロシアのウクライナ侵攻を背景に、平和を希求する支援など民主主義や人権を守るうえで重要としてこれまで人道的な観点からタブーとされてきた防衛産業への投資も社会主義にかなうとして従前の見解も変わらざるを得ない旨が書かれていた。

このESGといえば国内でも金融庁が昨年のガイドラインでESG課題などに取り組む体制整備を推奨、ESGを推進する社内委員会を設置する企業も昨年末時点で118社が設置し1年半で倍以上に増加した旨も先週末の同紙が書いており、来る4月の東証市場再編でもそれぞれにESGの内容を含む基準を定め上場する企業はESGへの対応が義務付けられる事になっている。

このディスクロでは従前のように過去の情報を開示するのではなく、例えば将来の気候変動がどういったものになるのか、またそれらを踏まえそれが事業にどう影響するのか分析したうえで定量情報として開示しなければいけない点でこれまでと違う難しさがあるが、ESGが企業価値という成果に繋がっているか今後厳しく問われる事が予想されるだけにこの非財務指標は重要なポイントになってくる。


あれから11年

先週であの東日本大震災から11年が経過した。いまだに2500人以上の行方不明者がおり捜索が続いているが、福島ではもう戻れないとみられていた帰還困難区域の一部で春以降住民の居住が可能になるほか、岩手・宮城両県ではインフラ復興に一通りのメドがつき政府は2021年度からの5年間を第2復興・創生期間と位置付けている。

一昨日に冬季のパラリンピックが閉幕したばかりだが、思い返せばオリンピックを誘致するべく当時の首相が福島はアンダーコントロールされておりこの辺は保証するとの一文で引っ張て来たくだりが蘇る。その福島だが上記の帰宅困難区域に若干の進展が見られたものの、除染、廃炉、その先の核ゴミの問題含め道筋がついているとは言い難い。

それら含め我々は原発をどうするのか本格的な議論を始める時だが、おりしもこんな時期にウクライナの原発関連施設にはロシアが攻撃を加えるなど信じられない暴挙が行われ、こうした過程でエネルギーの供給不安も最高潮に高まり脱原発どころか原発回帰論もまたぞろ台頭してきている。風化させるべからずの東日本大震災だが、皮肉なことにこんな一国の暴挙が改めて原発問題と向き合わざるを得ない状況を作り出している。


システミックリスク

周知の通りロシアの供給不安で数多の商品が急騰しているが、先週のマーケットでそれが特に顕著だったのはなんといっても非鉄金属のニッケルであったか。国際指標となっているLME(ロンドン金属取引所)の3ヵ月先物は週明けの7日から前週末比約2倍に急騰、翌日も前日比約2.1倍の1トン10万ドル超えと暴騰しまさに倍々ゲームで史上最高値を更新した。

ミーム株の類ならまだしもあらゆる製品に多用されている非鉄金属がたった2日間で約3.5倍にも化ける事態となった事で、LMEはこの日ニッケルの取引を即日停止措置にしてその日の取引を全て取り消しにすると発表。その背景には多くの参加者がマージンコールへの対応に追われる中でも、中国メーカー大手の看過出来ない額のショートポジションが市場全体へ多大な影響を及ぼすと予測された事への思惑がある。

個人投資家としてLMEの鉄火場に参加するのはハードルが高いものの、手軽にこの暴騰劇が味わえたところでは非鉄大手の住友金属鉱山が7日に年初来高値を更新、またETFではWisdomTreeニッケル上場投信が週末4日の大引3,100円から8日の6,152円まで2営業日でほぼ2倍に急騰と破竹の勢いであった。

しかし同じくロシアの供給不安で急騰しているパラジウムもたしか2000年だったかTOCOMで解け合いの憂き目に遭った記憶があるが、名門LMEの取引帳消し措置は前代未聞といえる。こうなるとこれまでにも増して回収やリサイクルの強化等々、所謂都市鉱山を囲い込む戦略が今後も改めて重要になってくるか。


直接アプローチの是非

さて、資源エネルギー庁が発表した7日時点のレギュラーガソリン価格は、1リットル174.6円と前週から1.8円上昇しこれで上昇は9週間連続となった。斯様なガソリン価格の高騰抑制の為に、政府は石油元売り各社に支給する補助金上限をこれまでの5円から25円に引き上げる事とし本日から1リットルあたり17.7円支給する。

ちなみにこれには一般予備費3,600億円強を活用する模様で高騰が続いた場合は追加策も準備する方針というが、果たしてというか前回当欄でも挙げた「トリガー条項」の凍結解除は見送られた。アプローチの構図からすれば今回のような間接アプローチより減税という直接アプローチの方が即効性があるのは明らかだが、やはり税収や法改正の壁があるという事だったか。

このトリガー条項に関しては自民幹事長は自民、公明の両党で相談するとしているが、WTIの急騰など見るに今後もガソリン価格が上昇し続けるのは火を見るより明らかで補助金上限の到達は早晩訪れよう。ともあれ政府としては更なるエネルギーの価格上昇に対し家計や企業に対する更なる対策を考える必要が出て来ているが、このウクライナ情勢を鑑み痛みを共有するという面からも我々は各々が耐えなければならない時期という覚悟も必要か。


ミモザ

昨日は世界中の女性の権利を守り、女性の活躍を支援する為の行動を呼びかけるべく1977年に国連によって制定された「国際女性デー」であった。毎年恒例となった日経トレンディーによる2022年のヒット予測BEST30の10位には女性が抱える課題をテクノロジーで解決する商品やサービスなどフェムテックギアが入るなど近年は日本でもそうした活動が浸透してきた感がある。

昨年は女性の国内就業者数が前年より12万人増加し3000万人に迫る勢いと、女性の社会進出も進み女性役員数も漸く増加傾向にはある。政府としても2020年代の出来るだけ早い時期で指導的地位に占める女性の割合を3割にする事を目指しているところだが、それでもなお現況は日本企業の女性役員比率は1割程度にとどまり欧米などと比較するにその澪と感は否めない。

この辺は各国の男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数でいまだに先進国では最低レベルに位置しているあたりにも表れているが、ESGが喧しい現代において仕事への価値観も多様化しており、そんな人材をどうマネジメントするかという観点の無い企業はその経営に大きなリスクをもたらす可能性もあるだけに女性役員の登用など多様性の活かし方は喫緊の課題か。


禁じ手

昨年11月に当欄ではSMBC日興証券の社員が、大株主等が時間外で一度に大量売却出来るブロックオファー取引に絡んで特定銘柄の株価を維持する目的で不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして強制調査されている件を取り上げた事があるが、直近で報じられている通りこの事件は東京地検特捜部が同社の幹部ら4人を逮捕する事態にまで発展した。

これと同様の終値関与で事件になった件といえば、リーマンショックの年に今は市場からその姿を消したケイエス冷凍食品のIPOに絡んだ株価操縦で起訴された丸八証券が記憶にあるがこれ以来の事か。とはいえ今回の舞台は大手証券内で行われ、このエクイティ部門の中枢を担っていたのは何れも一流外資系証券出身者との事だが海千山千を潜って来た兵にしては脇が甘かったと言わざるを得ない。

そもそも同社は取引日を提示する特異な形式で空売りを誘発し易い状況を作り出しており、売り手・買い手・胴元の” 一見三方よし”にも見える同取引が公平に機能していたのか疑わしいところ。斯様な大手証券が同取引に対する売買監視部門が機能していない訳は無く、ここで同社側が組織的犯行の立証を回避?すべく個人の犯行として蜥蜴の尻尾切りに動くのか否か、市場の門番として言語道断の行為だけに特捜部の徹底した解明が待たれる。


経済と倫理

さて、2度にわたる停戦交渉も虚しくとうとうロシアは欧州最大の原発まで攻撃する前代未聞の行動に出たが、こうした事を背景に各国の主力大手企業が続々とロシアから離れる動きが加速している。ロシアといえば先ず石油だが、これに絡んでは英BPをはじめシェルもロシア極東で展開しているサハリン2から撤退、また米エクソンもサハリン1からの撤退方針を決めている。

自動車業界も米GMがロシアに輸出停止したのをはじめ、ドイツからはダイムラートラックにBMWやフォルクスワーゲン、英はロールス・ロイスにアストンマーティンやジャガーもロシア事業を停止と続いている。また航空業界も米ボーイングや欧州エアバスがロシアでのサービスを停止、末端消費では米アップルがアイフォーンはじめとした製品の販売停止にナイキやH&M、英バーバリーやイケアも続々とこれに続く。

更にはエンタメからは米ディズニーやワーナーメディア、ソニーピクチャーもロシアで劇場映画の公開を中止し、米ゲーム大手のEAはサッカーなどを題材としたゲームからロシア代表とクラブチームを除外すると発表、金融では米マスターカードやビザにアメックスも決済ネットワークからロシアの複数銀行を排除するなどロシア国民にとっても生活水準の劇的な変化の波が迫る。

サハリン1やサハリン2など言わずもがな巨大プロジェクトであり、またハリウッドにとってもロシアは極めて重要な市場であったが、人権問題で各企業が踏み絵を迫られた中国ビジネスを彷彿させる今回はこの時より待ったなしの状況と言え、いずれも利益優先よりも倫理を優先し事業撤退を英断している。上記のサハリン2には本邦勢も三菱商事や三井物産が出資しているが、エシカル経済の観点から他の進出企業含め今後の在り方が問われる事になるか。


制裁と返り血

さて、一寸前まで個人的な海外送金をする際には送金依頼書に必ずSWIFTナンバーを記入していたものだが、周知の通り欧米はこの国際的な資金決済網であるSWIFTからロシアの大手行排除を実行する事とし日本もこれに追随する方針を示している。SWIFTから排除されるとなると世界で殆どの金融取引が出来なくなることで輸出入が滞りその事業展開能力が損なわれる事になる。

このSWIFT排除、冒頭の送金依頼書にも北朝鮮・イラン関連規制に該当しないかを問うチェック項目があったが、かつてこのイランと北朝鮮に発動された経緯がある。常軌を逸したかのようにも見えるロシア大統領は核戦力を含む核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた事が報じられていたが、さしずめ金融の世界で核爆弾にも相当するのがこのSWIFT排除か。

これに加えて制裁はロシア中銀にまで及んだ事で外貨準備を使った通貨の買い支えが出来なくなり、通貨防衛の為に出来るのは利上げくらいという事で急遽その政策金利をクリミア併合時の17%を上回る20%にまで引き上げている。しかし国家や通貨そのものの信認が失われつつあり、中銀が斯様に強烈な利上げを行っても通貨価値の維持やインフレ抑制の効果は期待できないだろうか。

いずれにせよこの金融制裁がロシア経済を悪化させるのは想像に難くないが、上記の通りの金融核爆弾を行使した” 返り血”もまた避けられない。ただでさえ昨年から原油や小麦共に上げ続けていたところへ世界輸出の約3割を占める大国への制裁措置は火に油で、直近のWTI先物は約13年半ぶりの高値示現、小麦先物も14年ぶりの高値となっており遠く離れた地に居る我々も今後は更なる身構えが必要になるか。


コロナ禍の疲弊

さて、一昨日は新宿のハイアットリージェンシー東京が身売りを検討しているとの報が入って来た。ロビーの巨大なクリスタルシァンデリアやガラス張りのエレベーターなどが象徴するようにバブルと共に開業し我々の世代ではホテルセンチュリーハイアットと言う方が馴染みがあるが、施設の老朽化やコロナ禍があだとなって小田急電鉄が保有資産の見直しに動く模様だ。

バブル期に欠かせない存在であったホテルといえばこのハイアット以外にも赤坂プリンスホテルや六本木プリンスホテルがあったがいずれも今はその姿を消し、生まれ変わったホテルの一部も直近ではシンガポールの政府系ファンドへ売却する方針を西武側が表明している通り、ここ数年に及ぶコロナ禍で鉄道業界の疲弊の深さがが窺えるというもの。

しかし昨年営業を終了してしまったホテルグランドパレスや上記の赤坂プリンスホテルなど幾つもの名物メニューがありそれらがもう味わえなくなってしまう寂しさがあったものだが、ココも擁するレストランは幸福ならぬ”口福”がコンセプトであったが既に1年前から大半のレストランを閉めていた。つくづくバブル期に馴染のあった施設の身売り話の浮上はやはり感慨深いもの。


弥生もまだ

さて本日から3月入り、毎年恒例の光景といえば首都圏以外では高校生が卒業を迎えたところも多かったと思うが、例年と違う光景といえば年明けからの各種値上げの顕著化か、先月も食品からエネルギーまで幅広く続騰模様となったが、この流れは今月も多くの食品群から主要エネルギーまでまだまだ続く。

食品などザッと挙げてもマルハニチロや日本水産がサバ缶などを約3~20%、ニチレイフーズが家庭用冷凍野菜を約8~15%、日清食品チルド・日清食品冷凍がチルド麺や冷凍麺を6~13%、昭和産業が家庭用油を1キロあたり40円以上値上げ、キューピーや味の素がマヨネーズを約2%~10%、ヤマサ醤油が全製品を約4~10%、それぞれ値上げする。

また値上げの波は日用品にも及び大王製紙がティッシュやトイレットペーパーを15%以上値上げ、更に大手9社の電気料金や大手4社のガス料金の値上がりも続く。最近は昨年の関西スーパーマーケット争奪戦ですっかり有名になったオーケーが、値上げ宣言した花王製品の取り扱いを中止する旨が話題なったが、長い間デフレの中で競争してきた経緯があるだけに企業は価格を上げ難い。世界的なインフレ下でデフレ脱却が叶わぬ日本、ロシアの暴挙が予期せぬ形でこの構図を変える事になるか否か引き続き目が離せない。


デジタルゴールド始動

信じ難きロシアの暴挙を背景にマーケットの激震が続くが、NY金先物価格は昨年6月以来の1900ドル台示現後も一段高し、国内でも1グラム7,000円大台を突破から一昨年の8月以来、約1年半ぶりに史上最高値を更新した先物価格が先週の祝日明けにこれを更に塗り替えていた。一方で金の代替としてかつて注目された暗号資産が軒並み値を崩す光景を見るに、依然として金が投資家から安全資産としての不動の位置にある事を感じる。

そんな中、今月は三井物産がブロックチェーン技術を用いて金価格に概ね連動する暗号資産「ジパングコイン」の発行を開始している。同暗号資産は1ジパングコインを金1グラムとしてその量に応じた金を実際に調達、価値を金で裏付け金価格と連動させる事で代表的暗号資産のビットコイン等と比べて価格変動を低減し投資以外にも既存の金融商品に無い決済手段としての機能を有するもの。

金の裏付けのあるものとしてはETFが既に定着しつつあるが、この度の商品は暗号資産等に抵抗の無いZ世代などを意識しているのだろうか?何れにせよ先ずはどの程度普及するかというところだが、それ如何でこれから他のコモディティ連動の暗号資産も商品化されるのかどうかこの辺も今後は注目されるところ。