名店がまたひとつ

さて、このコロナ禍の煽りを受けて当欄でもこれまで取り上げてきた柴又の料亭・川甚や銀座の老舗中華・桜蘭などの歴史ある名店が閉店の憂き目に遭って来たが、直近では先月中旬に移転の為という理由で閉店したばかりの中華街最古の名店・横浜聘珍樓が先週に結局パンクしてしまい約140年の歴史に幕を下ろすという事態に。これでまたひとつ中華街の風景が変わる。

運営組織が途中で別法人への事業譲渡等を経ており一寸ややこしいが何れにせよ中華街のアイコン的存在で、一時期ココの料理長など彼方此方のメディア露出で一躍有名人になったものだった。中華街といえばこのコロナ禍でこれまで低価格のテイクアウトや冷凍食品などやらないような一寸格上のところが挙ってこれを始め、また近年では飲茶バイキングに主軸を移す向きも多くこれが中華街における食事の姿になりつつあった。

そうした中でいま思えばこの手の老舗の立ち位置も微妙になっていた感は確かにあったが、中華料理と言えば余談ながら最近では” ガチ中華”なるメニューまで全て中国語表記の日本人向けに味付け等が忖度されていない、在日中国人向けの店が彼らはもとより日本人にもジワジワ流行つつある旨も各所で報じられている。斯様な新陳代謝の中で今回の件はこのカテゴリーの飲食店の現状のある種象徴を感じさせるものであった。


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