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SDGsに商機

さて、今年の初めに当欄では植物肉パティを使ったハンバーガーをマックがカナダで試験販売した旨を書いた事があったが、世界30ヵ国に5000店を展開している植物ミート専門店のザ・ベジタリアン・ブッチャーが、日本で初めてのプラントベースドミート専門店が併設されンバーガー全てに植物由来のパティを使用したハンバーガーショップを昨日池袋にオープンした。

この植物ミートのハンバーガーといえばモスバーガーも他に先駆けソイパティのハンバーガーメニューを既に展開させ、コンビニではローソンも先月から大豆ミートを使ったカツやメンチのハンバーガーや唐揚げを販売しており、他にフレッシュネスバーガーも10月から植物肉で作るハンバーガーを本格展開する事を決めている。

こうした植物肉の原料となる粒上大豆たんぱくの国内生産量は昨年約3.3トンであったがこの10年間で約50%増という。こうした事を背景に5割の国内シェアを持つ不二製油は植物肉関連事業を拡充する意向で、ネスレ日本も来年は植物肉を日本市場に投入と後発組?ながらその豊富な販路と資本力にモノを言わせ参入してくる。

カロリーは一般的なチーズハンバーガー比で3分の2程度という事で、欧米では健康志向の高まりなどを受けて植物肉人気が先行し株式市場でも関連株が大化けを演じている。SDGsも意識し環境保護の観点からもその注目度が増してきているが、はたして日本でも欧米のように市場拡大が加速するのか否かこの辺は今後も注目される。


価値の普遍性

さて、一昨日まで日本橋の高島屋では国内最大級の黄金展が開催されていた。同展の目玉?的存在の金箔を1,700枚使った2,200万円の金箔ダルマをはじめとして仏具から今が旬なアマビエの純金カードから将棋駒セットまで1,000点以上の金製品が並んだが、何れにせよどれもこれも金の含有量を考えるにデザインや工賃の高さを改めて感じる。

ところで金といえば今やアップルを5%保有する大株主で米企業初の2兆ドル突破となった同社株にニンマリな米投資家ウォーレンバフェット氏も、かつてはこうしたIT企業と共にゴールド嫌いを公言していたがこの4-6月期で金鉱株に新たに600億円近くを投じた旨が報じられ各所で思惑を呼んでいる。

既にマイナス圏に沈んでいる実質金利や金融緩和継続によるドルの減価観測を背景にバブルの一言で片付けるには早計との雰囲気だが、この高値圏で開催された上記の黄金展も然りアフターコロナを睨んで「もうはまだなり」か「まだはもうなりか」まだまだ無国籍通貨には思惑が交錯しそうだ。


TOB二例

さて本日の日経紙企業面にも「ファミマTOB成立へ」と出ていた通り、伊藤忠商事による子会社のファミリーマートへのTOBが期限をむかえ成立する事となった。株価が1000円台後半だった時にこの話が出て以降香港のオアシスマネジメントなどが買い付け価格引き上げを要求するなか、その株価はTOB価格を上回る状況がつい先週まで続いていただけに同成立が危ぶまれたものだったが取り敢えず一安心といったところか。

TOBといえばもう一つ、ファミリーマートと共に結果が注目されていた外食大手コロワイドによる大戸屋HDへのTOBは、その条件が変更され成立に必要な応募数が引き下げられその最終期限も9月8日まで延長される事となった。こちらの方は直近で大戸屋側がオイシックスとの業務提携を発表するなど反発が続いておりどういった結末となるのか今しばらく注目される。

しかし伊藤忠商事のTOBといえば昨年のデサントが直ぐに思い出されるが今回も下馬評を撥ね退け予定通りにTOBを成功させた格好で、快進撃の同社はその時価総額も資源価格急落に苦しむ三菱商事を上回り初の総合商社トップに躍り出ている。何れにせよコロナ禍で消費が落ち込むなかこの手で基盤強化を狙う向きが今後も増加傾向になってゆくのは想像に難くないか。


優勝劣敗

さて、先週は米アップルの時価総額が米国企業で初めて2兆ドルを突破したのが話題になっていた。今年に入ってからの同社の上昇率も実に5割以上に達し同社を1兆円保有する巨鯨GPIFもニンマリといったところだろうが、その辺は兎も角もこのアップルに限らずIT大手へマネーが集中する構図がここ顕著だ。

この辺に絡んでは先週の日経紙総合面でも「IT好調 米株二極化」と題して取り上げており、同文中にはS&P500の時価総額のうちこのアップル含めた所謂GAFAMで24%を占めると書いてあったが、その時価総額合計はこの5社だけで約740兆円と実に東証上場の全企業の時価総額合計の約640兆円を5月に逆転してから3ヵ月ほどで既に約100兆円も上回っている計算になる。

また先月にテスラを取り上げた時にこの1社で日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産の時価総額合計を上回ると書いたが、これとて今や既にトップスリーどころか自動車9社をも上回っている。上記と併せコロナ禍での成長が期待出来る点が囃されている構図だが、同じコロナ下での成長を囃されている一部上場大手が日本の場合はニトリや西松屋等という現状を見るに、コロナ・ショック暴落から往って来い以上の過程で二極化が鮮明になった米との構図の違いを改めて感じる。


消えた密プール

さて、大人も子どもも短い夏休みが終わり今週からそれぞれヤレヤレの始動という感じであるが、今年は都外への移動自粛が求められる雰囲気のなか都内のホテルではプールやレストランなどで旅行気分を楽しんで自粛疲れを癒してもらおうという都民囲い込みのプラン等が目立っていた。

例年のこの時期は年々派手さを増して来たホテルのナイトプールなど一番の書入れ時なのだろうが、毎年人気のところは今年の場合は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から殆どが宿泊者限定とする旨の通知が多く届いていた。ホテルメンバーなど会員特典が無くなってしまう分お得感も薄れるというものだが、冒頭の通り全国各地のご当地グルメのビュッフェなど企画は盛り沢山だ。

またこれらの案内と共に今年新しいところでは所謂ワーケーションプランの案内も目立って来た。星のや東京など先駆けてワンフロア全6室貸し切りプランと称し通常より18万円以上お得というプランを販売していたが、ニューオータニも今月末まで高級ホテルの静かな環境をオフィスのように使えるというフレコミで39万円からの30日連泊プランなど注目を集めている。

テレワークから更に進化?しこれを活用しつつ上記のラグジュアリーホテルやリゾート地などで仕事をするという政府も肝煎りのこの新たなスタイル、個々ではいろいろとハードルが高い課題もありそうな気もするが、新型コロナウイルスの感染拡大が依然高水準な中はたして新たな形として浸透するのか否かこちらも今後に注目したい。


デジタルゴールドの位置付け

本日の日経紙国際面では「投資対象、定着なるか」と題しインドで最高裁の判決によって暗号資産取引が再開し、暗号資産の直接取引仲介サービスを手掛ける欧米大手2社が仲介したインドルピー対ビットコインの月間取引高が先月は3月の2倍弱に上るなど暗号資産ビジネスがにわかに活気づいている旨が出ていた。

インドといえば貯蓄資産として銀行預金等より金を選好する傾向が高い国民性で知られるが、コロナ禍で財政赤字が膨らみ自国通貨価値が不安定になるなか再開された暗号資産取引が活況になるなどを見るに、史上最高値を更新している金に代わる貯蓄資産の位置付けで一定の人気がある事が窺える。

このビットコインも昨日は昨年8月以来の130万円台奪回と年初来高値を更新しており、新型コロナウイルスの感染拡大であらゆる資産の総投げに巻き込まれ50万円台にまで売られていた事を考えると話題の金どころではない上昇率だ。これまでその特性から何かと金と比較対象となってきたビットコインだが、このコロナ禍を背景に投機対象から徐々にその位置付けに変化が出て来ている感もある。


実施促進

さて、今年の株主総会では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から招集書類にもかかわらず当日のご来場はお控えいただきますようお願い申し上げます等の一文が印字されているものが目立ったが、昨日の日経紙夕刊一面には「スマホ投票導入6割増」と題し株主総会でスマートフォンを使って株主総会で議決権を行使できる仕組みを導入する上場企業が337社と今年は19年より61%増加した旨が出ていた。

もう一つ、7月アタマの当欄では総会もバーチャルへと題しインターネットによる議決権行使が推奨されている旨も書いたが、作業が簡素化になるとはいえ普段からデジタルに疎い一部高齢の株主層に浸透するかどうかの課題云々の問題はあるものの今後も総会等のオンライン化は拡大こそすれ総会土産と共に従前へと回帰の方向に向う事は考え辛い。

これまで働き方改革絡めリモートワークやオンライン授業など予てよりこうしたモノを活用しなければならないというコンセンサスは一致していたとはいうものの、なかなか踏み切れなかった事が皮肉にもこの新型コロナウイルスによって否応なしに実施しなければならなくなって来た事例の一つでもあるが各々上手く生かして行ければと思う。


山高ければ谷深し

さて、約一週間前には米ドル信任が問われるなか中東の地政学リスクも加わりあっという間に2000ドル超えまで駆け上がった金を取り上げたが、それからわずか二日後の日経紙マーケット面には「金急落、一時1900ドル割れ」と題し、過去最高値圏で推移していたなか終値ベースで3月中旬に金を含む主要金融商品に換金売りが強まったコロナショック時の下げ幅に並ぶ急落を演じた旨が出ていた。

過剰流動性に乗ったモメンタム系の鬩ぎ合いもあって時間外取引では一時1900ドル割れの場面があるなど山高ければナントカを地で行く相場を呈しているが、直近のこの下げは米財政赤字拡大で国債発行増加による長期金利上昇が直撃したといったところで金利が付かないデメリット面が久し振りに突かれた感か。

ところで外貨準備の一つとしてこれまで積極的に金を積み上げてきたロシアに代わって最近では米との関係悪化を背景にトルコ中銀の購入が目立つ報道があったが、今や金ETFの代表銘柄SPDRゴールドシェアを扱うステート・ストリートのETF保有残高は日本が外貨準備で保有するそれをも上回っている模様。これまでの同資金流入ペースを見るに日銀のETF買い入れの如く、今回のように空中戦で押した要所では確実に買い手も存在する証左といえ趨勢変化と捉えるのは早計か。


特別な夏

さてお盆休みも後半戦だが新型コロナウイルスの感染者数が彼方此方で依然高水準となるなか、周知の通り移動の自粛を求める雰囲気が蔓延し故郷へお盆の帰省もし辛い状況下からチケット相場も下落傾向だが、自治体や企業なども帰省のオンライン化を呼び掛けている旨が一昨日の日経夕刊の一面を飾っていた。

オンライン化といえばこんなご時世で故郷に帰省出来ない向きにオンライン墓参りサービスも登場しているが、これと並びお墓参りをして墓石磨きや草むしりにお花とお線香をあげ作業終了後は依頼者へ写真付きの報告書が届くという「墓参り代行サービス」も今年はふるさと納税の返戻品サービスなどで人気になっているという。

ふるさと納税サイトへの登録自治体数でみれば前年比で約1.4倍の105と増加しているというが、その寄付額も1万円台から5万円近くの強気?な設定もあるなど自治体でさまざまだ。
しかし近年では葬儀から法要までオンラインやドライブスルーサービス等が増殖しているが、日本人の心の中で大切な位置付けとなっていたものもニューノーマルでその光景が様変わりしているやはり特別な夏といえようか。


一頭地を抜くIPO

本日の日経紙マーケット面には「厳選IPO株にマネー」と題して6月以降に上場したIPO銘柄が、新型コロナウイルスの感染再拡大や米中対立の激化などで世界経済の先行き不透明ななかを、今月に入ってから少ない需給面や機関投資家の参戦等も背景にして買いが集まっている旨が出ていた。

確かに本日の市場を見てもこの頁の冒頭で挙げられていた公開価格2.5倍で初値形成となったティアンドエスが、その勢い止まらず本日も寄り後早々にストップ高まで駆け上がり成行33万株以上もの買い物を残して引けている。同じく今月公開のモダリスも挙げられていたが、こちらもザラバでストップ高寸前まで買われ前日の4倍以上の大商いのうちに年初来高値を更新といずれも破竹の勢いである。

IPOの4〜6月期で7社は2013年以来7年ぶりの少なさなど、この辺が冒頭にもある通り需給面として影響しておりそれがIPO指数の最高値更新にも表れている。この手は指標面での乖離が指摘されるのも常だが、新型コロナウイルスの影響をどう加味してゆくかでフェアバリューも各々変って来るだろうし今後もそれを探りながらの展開となるか。


金と銀のそれぞれ

先の日曜日の日経紙一面は「ドルの信認問う金高値」と題し、米ドル価値の下落等を背景に金の国際価格が連日史上最高値を更新している旨の記事が飾っていたが、金価格がまだ1700ドル台で推移していた今年の6月にその価格予想を大幅に引き上げたゴールドマン・サックスが公表したリポートでは、1年後に史上最高値を塗り替え2000ドルに達すると記してあった。

上記の米ドル信任が問われる中において火薬庫ともいわれる中東の地政学リスクもにわかに台頭した事などもあってそれから2ヵ月もしないうちにこの予想はアッサリと達成されることとなったが、ゴールドマン・サックスは更に2000ドルを大きく上回る為として挙げた条件にはインフレがFRBの2%目標を超える事が必要ともしている。

ところで同じ貴金属では銀も現在7年ぶりの高値を付けてきており、国内ではチェーンの売り上げが先月の2倍となる店もあるなど足元で銀製品も大きく伸びている模様。こちらの場合2011年の高値までまだまだ伸びしろがあり二匹目の泥鰌狙いというところだろうが、一方で知人の歯科医は詰め物に使うジーシーキャストウェル価格が数年前に比べ6割近く上昇したとボヤいており貴金属を巡る悲喜こもごもは各所でまだ続きそうだ。


文化の盗用?

さて、先の日曜の日経紙「NIKKEI The STYLE」ではクール・アフリカと題してアフリカ生まれのファッションやデザインが世界で注目を集めている旨の特集があった。アフリカといえば確かに最近ではファッションや生活雑貨などフェアトレードを通じた途上国支援等も含め様々な場面から取り沙汰されている。

ところでファッションの世界といえばこの手のファブリックからインスパイヤされたコレクションが披露される事も多いが、近年目立つのはハイブランドによる伝統民族衣装の模倣疑惑か。一例を挙げても昨年の伊マックスマーラによるラオスのオマ族の伝統衣装のデザイン模倣疑惑や、更にその前にはディオールによるルーマニア民族衣装の模倣疑惑が話題になったものだ。

これらはインスタなどでブランドが発表したコレクションとそのオリジナルの民族衣装の写真が並べられている事が多く、両者比べて見るに確かにインスパイヤと言うより殆どコピーにしか見えない酷似具合のモノも少なくない。中にはこうしたファッション等を販売し民族支援している団体もありこうしたケースで抗議の火種になっているものも多いが、彼らやフェアトレードも併せ支援元との齟齬など課題が残るなかブランドもCSRなどの観点から再考すべき点は多いか。