止めるに止められず10年

日銀が金融緩和の一環としてETF(上場投資信託)の購入を決めてからはや10年になるが先週の日経紙・オピニオンには「日銀ETF購入10年の功罪」と題し、欧米の主要中銀は手掛けていないこの異形の金融政策の功罪について大手シンクタンクや元米財務次官など有識者がそれぞれの見解を述べていた。

今月に入ってからは1回あたりの購入としては新型コロナ感染拡大前と同程度に落ち着いてはいるものの、今年はこのコロナの感染拡大で3月にその購入額を年6兆円から12兆円に増額、1回の購入額も最大で2004億円まで増やした影響も出て中旬に発表されている累計では6兆2141億円と、従来の最高であった18年の6兆2100億円を既に上回っている。

ETF買い入れの額がここまで増加するとは開始当初は予想だにしなかったが、国債とは性格を異にし満期が無い分買えば積み上がるワケで今や日本最大の株主見通し論まで出るなかこれに付随する様々な副作用が議論の対象に挙がり、コーポレートガバナンスの重要性が謳われる一方これと逆行する政策の特異性が際立つ。

今週の金融政策決定会合においても日銀は引き続き現行の大規模緩和策を維持し新型コロナウイルスの感染拡大を受けて打ち出した一連の政策対応も維持する方針を示すと見られているが、当欄で毎回書いている通りアフターコロナも睨んで出口戦略の具体的な在り方もいよいよ議論されてくるのか否かこの辺も気になるところ。


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